社会労働委員会

1989-12-05 参議院 全246発言

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会議録情報#0
平成元年十二月五日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十九日
    辞任         補欠選任
     後藤 正夫君     木暮 山人君
 十一月三十日
    辞任         補欠選任
     小西 博行君     勝木 健司君
 十二月一日
    辞任         補欠選任
     勝木 健司君     小西 博行君
 十二月四日
    辞任         補欠選任
    日下部禧代子君     篠崎 年子君
     沓脱タケ子君     林  紀子君
     乾  晴美君     新坂 一雄君
 十二月五日
    辞任         補欠選任
     田代由紀男君     前田 勲男君
    篠崎 年子君     日下部禧代子君
     林  紀子君     沓脱タケ子君
     新坂 一雄君     乾  晴美君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜本 万三君
    理 事
                小野 清子君
                佐々木 満君
                糸久八重子君
                高桑 栄松君
    委 員
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                西田 吉宏君
                前島英三郎君
                前田 勲男君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                篠崎 年子君
                深田  肇君
                堀  利和君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                林  紀子君
                乾  晴美君
                新坂 一雄君
                小西 博行君
                西川  潔君
       発  議  者  深田  肇君
       発  議  者  高桑 栄松君
       発  議  者  小西 博行君
   委員以外の議員
       発  議  者  山本 正和君
       発  議  者  渕上 貞雄君
       発  議  者  山田 健一君
       発  議  者  塩出 啓典君
       発  議  者  沓脱タケ子君
       発  議  者  乾  晴美君
       発  議  者  下村  泰君
   衆議院議員
       社会労働委員長
       代理       粟山  明君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  戸井田三郎君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     加藤 栄一君
       厚生大臣官房審
       議官
       兼内閣審議官   森  仁美君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省保健医療
       局長       長谷川慧重君
       厚生省年金局長  水田  努君
       厚生省援護局長  末次  彬君
       社会保険庁運営
       部長
       兼内閣審議官   土井  豊君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部長     七瀬 時雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       労働省婦人局婦
       人福祉課長    堀内 光子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国民年金法等の一部を改正する法律案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)
○被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○原子爆弾被爆者等援護法案(山本正和君外九名発議)
○社会保障制度等に関する調査
 (へい獣処理場等に関する法律の改正に関する件)
    ─────────────
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浜本万三#1
○委員長(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十一月二十九日、後藤正夫君が委員を辞任され、その補欠として木暮山人君が選任されました。
 また、昨四日、乾晴美君、沓脱タケ子君及び日下部禧代子君が委員を辞任され、その補欠として新坂一雄君、林紀子君及び篠崎年子君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
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浜本万三#2
○委員長(浜本万三君) 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案及び被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。戸井田厚生大臣。
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戸井田三郎#3
○国務大臣(戸井田三郎君) ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案及び被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、国民年金法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 我が国は、世界に例のない速度で高齢化が進んでおり、老後の問題は国民の最大の関心事となるとともに、老後生活の主柱としての公的年金制度に寄せる国民の期待は極めて大きなものとなっております。
 こうした国民の期待にこたえていくため、昭和六十年の年金制度の改正においてすべての国民に共通する基礎年金の導入が行われ、公的年金制度全体の長期的な安定と整合性ある発展を図る上での礎が築かれたところでありますが、高齢化のピークを迎える二十一世紀に向けて、さらに、年金制度全体を揺るぎないものとしていく努力を重
ねてまいることが必要であります。
 このような考え方に基づき、今回提出いたしました改正案では、必要な年金額の確保を図るとともに、後代の負担を適正なものとするため、厚生年金の支給開始年齢を十分な準備期間を設けて段階的に引き上げていくためのスケジュールを明示する等所要の改正を行うこととしております。
 以下、改正案の内容につきまして、御説明申し上げます。
 まず、国民年金法及び厚生年金保険法の一部改正について申し上げます。
 第一に、年金額の引き上げにつきましては、本年十月から、国民年金の基礎年金の額を月額五万五千五百円に引き上げるとともに、厚生年金保険の制度成熟時における加入期間四十年の場合の標準的な年金額を月額十九万七千四百円に引き上げることとしております。旧法国民年金及び旧法厚生年金保険の額も、これに準じた引き上げを行うこととしております。そのほか、配偶者や子に係る加算・加給年金の額を引き上げることといたしております。
 第二に、物価スライド制につきましては、平成二年四月から、物価変動に完全に対応して年金額の改定を行う完全自動物価スライド制とすることとしております。
 第三に、厚生年金保険の在職老齢年金につきましては、本年十月から、その支給割合を現行の三段階から五段階に改める等の改善を図ることとしております。
 第四に、老齢厚生年金の支給開始年齢につきましては、給付水準を維持しつつ、後代の負担を適正なものとするため、十分な準備期間を設けて、平成十年度から平成二十二年度にかけて段階的に六十五歳に引き上げることとしております。また、これに伴い、老齢厚生年金の繰り上げ支給制度を創設することとしております。なお、これらの改正の施行につきましては、別に法律で定める日からとしております。
 第五に、厚生年金保険の標準報酬につきましては、最近における賃金の実態に即して、本年十月から、八万円から五十三万円の三十等級に改めることとしております。
 第六に、保険料につきましては、年金額の引き上げ及び受給著増等に対応して年金財政の健全性を確保するため、国民年金については平成二年四月から月額八千四百円に改定し、以後段階的に引き上げることとしております。また、厚生年金保険については、本年十月から保険料率を男子については千分の二十二引き上げ、女子については男子との格差を解消するため、千分の二十三・五引き上げ、その後男子の料率に達するまで毎年千分の一・五ずつ引き上げることとしております。
 第七に、現在、国民年金に任意加入となっている二十歳以上の大学、専修学校等の学生につきましては、年金を保障するため、平成二年四月から、国民年金の当然加入の被保険者とすることとしております。
 第八に、基礎年金、厚生年金等の支払いにつきましては、本年十月から、年六回支払いに改善することとしております。
 第九に、自営業者等に対する基礎年金の上乗せ年金制度を実現するため、現行の業種単位の職能型の国民年金基金の設立要件を緩和するとともに、一般の自営業者等が加入する都道府県の区域を単位とする地域型の国民年金基金を創設することとしております。
 第十に、厚生年金基金につきましては、積立金の運用の一層の効率化を図るため、運用方法を拡大するとともに、積立金の管理及び運用に関する業務について、所要の規定の整備を行うこととしております。
 次に、平成元年度におきます年金額の特例物価スライド等について申し上げます。
 拠出制国民年金及び厚生年金保険の年金額につきましては、最近における社会経済情勢にかんがみ、特例的に昭和六十三年の物価上昇率に応じて年金額の引き上げを行う特例物価スライドを実施することとしております。また、老齢福祉年金の額につきましても、拠出制年金の額の引き上げに準じて引き上げを行うこととしております。
 最後に、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部改正について申し上げます。
 児童扶養手当及び特別児童扶養手当等の手当額につきましては、年金額の引き上げに準じて引き上げを行うとともに、平成二年四月から、物価変動に完全に対応して手当額を改定する完全自動物価スライド制を導入することとしております。
 以上が、国民年金法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、衆議院において、年金額等の引き上げを本年四月にさかのぼって実施すること、在職老齢年金の支給割合を七段階に改善すること、厚生年金の保険料率を政府案より引き下げること、老齢厚生年金の支給開始年齢の引き上げ等に関する規定を削除し、別に、老齢厚生年金の特例支給については次期財政再計算の際に見直すこととする旨の規定を置くこと等を内容とする修正が行われております。
 次に、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案について申し上げます。
 我が国の公的年金制度を今後の高齢化の一層の進展や産業構造、就業構造の変化の中で、公平で安定した揺るぎないものとしていくためには、公的年金制度の一元化を図る必要があります。
 その第一段階として、昭和六十年の年金制度の改正においては基礎年金制度の導入を行い、公的年金制度の一階部分について給付と負担の両面にわたる一元化を行うとともに、二階部分に相当する被用者年金制度についても、共済年金の給付水準を将来に向けて厚生年金の給付水準にそろえることにより給付面における公平化を図ったところでありますが、公的年金制度の一元化を完了するためには、被用者年金制度の負担面における不均衡を是正していくことが課題となっているところであります。
 この法律案は、このような課題を踏まえ、被用者年金制度間の負担の調整を進めるため、公的年金制度の一元化が完了するまでの間の当面の措置として、厚生年金及び共済年金の老齢・退職年金給付のうちの共通の部分について費用負担を調整するための制度間調整事業を実施しようとするものであります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一は、調整交付金の交付であります。制度間調整事業の実施主体たる政府は、各被用者年金保険者が行う老齢・退職年金給付のうち各制度に共通する部分の費用に充てるため、各被用者年金保険者に対し調整交付金を交付することとしております。
 第二は、調整拠出金の拠出であります。調整交付金の財源に充てるため、各被用者年金保険者は、その標準報酬総額に応じて、制度間調整事業の実施主体たる政府に対し、調整拠出金を拠出することとしております。
 第三に、制度間調整事業の事務の執行に要する費用は、国が負担することとしております。
 第四に、制度間調整事業は社会保険庁が実施することとしておりますが、その円滑な実施のため、各共済組合からの社会保険庁長官への報告等について所要の規定を設けております。
 このほか、厚生保険特別会計法、被用者年金各法等について、制度間調整事業の実施のための所要の改正を行うこととしております。
 なお、この法律の施行期日は、平成二年四月一日としております。
 以上が、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案の提案理由及びその内容の概要でありますが、衆議院において、平成二年度から平成四年度までの間、日本鉄道共済年金への調整交付金の減額措置を講ずることとし、当該減額相当額について厚生年金保険等の保険者の調整拠出金の減額を行うこととすること、及び政府は、平成四年度までの間に、制度間調整事業について、公的年金制度の一元化を展望しつつ、その運
営の状況等を勘案して見直しを行うものとすることを内容とする修正が行われております。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
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浜本万三#4
○委員長(浜本万三君) この際、両案の衆議院における修正部分について、衆議院社会労働委員長代理理事粟山明君から説明を聴取いたします。粟山君。
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粟山明#5
○衆議院議員(粟山明君) まず、国民年金法等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、
 第一に、国民年金、厚生年金の年金額の実質改善について、改正案では本年十月から実施することとされていたものを本年四月にさかのぼって実施すること。なお、児童扶養手当等の額の引き上げについても、同様の措置を講ずること。
 第二に、厚生年金の在職老齢年金の支給割合を改正案の五段階から七段階に増加すること。
 第三に、厚生年金の保険料率を改正案より引き下げることとし、平成二年一月分から十二月分までについては改正案より千分の三引き下げ、平成三年一月以降分については改正案より千分の一引き下げること。
 第四に、老齢厚生年金の支給開始年齢の引き上げ及び繰り上げ支給制度の創設等に関する規定を削除し、別に、老齢厚生年金の特例支給については、次期財政再計算の際に、財政の将来の見通し、高齢者の就業機会の確保等の措置の状況等を総合的に勘案して見直し、これに基づく所要の措置は別に法律をもって定めるものとする旨の規定を置くこと。
 第五に、国民年金基金及び国民年金基金連合会が積立金の資産運用等について契約する相手方として、改正案の生命保険会社及び信託会社のほか、新たに全国共済農業協同組合連合会または全国共済水産業協同組合連合会を加えること。
 第六に、改正案の施行が、当初予定していた平成元年十月一日を経過したこと等に伴い、改正事項の施行期日について所要の整理を行うこと等であります。
 次に、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、
 第一に、日本鉄道共済年金の財政対策に関して、日本国有鉄道清算事業団の特別負担の追加等による自助努力の額の拡大が行われることを踏まえ、平成二年度から平成四年度までの間、日本鉄道共済年金への調整交付金の減額措置を講ずることとし、当該減額相当額について厚生年金保険等の調整拠出金の減額を行うこととすること。
 第二に、政府は、平成四年度までの間に、制度間調整事業について、その運営の状況等を勘案して見直しを行うこととすること。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
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浜本万三#6
○委員長(浜本万三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後刻に譲ります。
    ─────────────
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浜本万三#7
○委員長(浜本万三君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案及び被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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浜本万三#8
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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浜本万三#9
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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浜本万三#10
○委員長(浜本万三君) 次に、原子爆弾被爆者等援護法案を議題といたします。
 発議者山本正和君から趣旨説明を聴取いたします。山本君。
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山本正和#11
○委員以外の議員(山本正和君) 私は、ただいま議題となりました原子爆弾被爆者等援護法案につきまして、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブを代表いたしまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 昭和二十年八月六日、続いて九日、広島、長崎に投下された人類史上初の原子爆弾は、一瞬にして三十万人余の生命を奪い、両市を焦土と化したのであります。この原爆による被害は、普通の爆弾と異なり、放射能と熱線と爆風の複合的な効果により、大量無差別に破壊、殺傷するものであるだけに、その非人道性ははかり知れないものがあります。たとえ一命を取りとめた人たちも、この世の出来事とは思われない焦熱地獄を身をもって体験し、生涯消えることのない傷痕と原爆後遺症に苦しみ、一層健康破壊が進む中で年老い、貧困や孤独に悩まされながら、今日までようやく生き延びてきていることは、一昨年の六月に発表された政府の原爆被爆者実態調査等においても明らかであります。
 しかし、国は、被爆から四十五周年を迎えようとしている今日に至るまで、原爆で亡くなられた方々やその遺族に対し全く弔意すらあらわさないばかりか、特段の生活援助もしておりません。ここに現行二法の最大の欠陥が指摘できるのであります。
 国家補償に基づく援護法を求める国民の不満は、なぜ軍人軍属など軍関係者のみを援護し、原爆の犠牲者を差別して処遇するのか、戦時諸法制から見て全く納得がいかないという点にあります。本法案提出に当たり、私はこの際、まず国家補償法の必要性について明らかにいたしたいと思います。
 国家補償の原則に立つ援護法が必要な第一の理由は、アメリカの原爆投下は国際法で禁止された毒ガス、生物化学兵器以上の非人道的兵器による無差別爆撃であって、国際法違反の犯罪行為であるということです。したがって、サンフランシスコ講和条約で日本が対米請求権を放棄したとすれば、その請求権を放棄した日本国政府に対し国家補償を要求する権利が当然存在するのであります。しかも、原爆投下を誘発したのは、日本国政府が起こした戦争なのであります。我々が、この史上初の核爆発の熱線と爆風、そして放射能によるはかり知れない人命、健康の被害に目をつぶることは、被爆国としての日本が恒久平和を口にする資格なしと言わなければなりません。
 第二の理由は、この人類史上未曾有の惨禍をもたらした太平洋戦争を開始し、また終結することの権限と責任が日本国政府にあったことが明白であるからであります。特に、サイパン、沖縄陥落後の本土空襲、本土決戦の段階では、旧国家総動員法は言うまでもなく、旧防空法や国民義勇隊による動員体制の強化に見られるように、ほとんどすべての国民が国家権力によってその任務につくことを強制されていたことは紛れもない事実であります。政府は、援護法の制定については、国を挙げての戦争による犠牲は、一般の犠牲としてすべての国民が等しく受忍しなければならないという、原爆被爆者対策基本問題懇談会のいわゆる戦争被害受忍論を盾にこれを否定しておりますが、原爆被害が人として到底受忍できない被害であることは、何よりも被爆者が置かれている現状が雄弁に物語っているのであります。
 また、一般の戦災者とのバランス論についても、国民皆兵状態をつくり出した当時の戦時諸法制からすれば、戦争被害の救済を国との間の身分関係によって差別する政府のやり方は全く根拠のないことであり、そのすべてを救済するというのが国としての正しい施策であるべきであります。同じ大戦の敗戦国である西ドイツは、いち早く幅広い救済を行っているのであります。
 太平洋戦争を体験している年代も数少なくなり、ややもすれば戦争の悲惨さは忘れ去られよう
としている現状にありますが、被爆者にとって援護法が制定されることにより初めて戦後が終わるのであります。
 私たちは、以上のような理由から、全被爆者とその遺族に対し、戦争被害の中でも特に特別な犠牲である放射能被害の特殊性を十分考慮しつつ、現行の軍属、準軍属に対する援護法に準じて、原爆被爆者等援護法案を提案することといたしたのであります。
 以下、本法律案の概要を御説明申し上げます。
 まず第一は、健康管理及び医療の給付であります。健康管理のため年間に定期二回、臨時二回の一般検査、精密検査を行うとともに、被爆者の負傷または疾病について医療の給付を行い、その医療費は、七十歳未満の被爆者については現行法どおりとするとともに、老人被爆者については、老人保健法の規定にかかわらず、地方自治体負担を国の特例的負担といたしました。
 第二は、医療手当及び介護手当の支給であります。医療手当については、認定疾病医療を受けている者に対し月額八万円を支給することとし、また日常生活に介護を必要とする者には月額十万円の範囲内で介護手当を支給し、家族介護についても給付するよう措置したのであります。
 第三は、被爆二世または三世に対する措置であります。被爆者の子または孫で希望者には健康診断の機会を与え、原子爆弾の傷害作用に起因する疾病として政令で定めるものにかかっている旨の認定を受けた者に対しては、健康診断、医療の給付及び医療手当、介護手当の支給を行うことにしたのであります。
 第四は、被爆という特殊な被害に着眼した国家補償として、被爆者年金を支給することであります。全被爆者に対して、政令で定める障害の程度に応じて年額最低三十四万八百円から最高七百六万六千八百円までの範囲内で年金を支給し、年金額は恩給法と同じいわゆる総合勘案方式による改定を行うものとしております。
 第五は、特別給付金の支給であります。本来ならば死没者の遺族に対して弔意をあらわすため弔慰金及び遺族年金を支給すべきでありますが、当面の措置として百二十万円の特別給付金とし、十年以内に償還すべき記名国債をもって交付することにいたしました。
 第六は、被爆者が死亡した場合、二十万円の葬祭料をその葬祭を行う者に対して支給することにしたのであります。
 第七は、被爆者が健康診断や治療のため旅客会社を利用する場合には、本人及びその介護者の運賃は無料とすることにいたしました。
 第八は、高年齢被爆者、小頭症その他の保護を必要とする被爆者のため、国立原子爆弾被爆者保護施設を設置し、国の負担で保護すること、被爆者のための相談所を都道府県が設置し、国は施設の設置運営の補助をすることにいたしました。
 第九は、厚生大臣の諮問機関として原爆被爆者等援護審議会を設け、その審議会に被爆者の代表を委員に加えることにしたのであります。
 第十は、放射線影響研究所の法的な位置づけを明確にするとともに、必要な助成を行うことといたしました。
 第十一は、日本に居住する外国人に対しても本法を適用することにしたのであります。
 なお、この法律の施行は平成二年七月一日であります。
 以上が、この法律案の提案の理由及び内容であります。
 被爆後既に四十五周年を迎えようとしている今日、老齢化する被爆者や遺族にもう残された時間はありません。被爆者団体の調査によれば、再び原爆による犠牲者を出すなという原水爆禁止の全国民の熱き願いにこたえる形で、援護法賛同署名は参議院議員の三分の二を超え、衆議院でも三分の二に迫ろうとしております。
 こうした事実を踏まえ、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに可決されるようお願い申し上げます。
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浜本万三#12
○委員長(浜本万三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
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篠崎年子#13
○篠崎年子君 私は、社会党を代表いたしまして、提案者の皆さん並びに大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 この被爆者等援護法案が初めて国会に提出されましたのは一九七四年、昭和四十九年のことであります。その最初の原案が検討されるときから被爆者の方々が参加され、以来十五年間、その制定はすべての被爆者の悲願であります。本日、本院の過半数を超す議員の賛同を得て提案の運びとなったことにつきまして、被爆県広島選出の浜本委員長とともに、長崎選出の私は深い感銘を覚えるものでございます。初めに、共同提案者の六会派の皆さんに心からの敬意を表したいと思います。
 さて、近年、戦争体験の風化現象などと言われるように、特に若い人たちの中に悲惨な戦争犠牲者に対する理解や認識が乏しくなってきていることは御承知のとおりであり、それは時として政府高官の言動にさえあらわれていることを憂えている者の一人でございます。しかし、一昨年六月に発表されました厚生省の被爆者実態調査は、被爆者手帳を持つ三十六万六千九百五十七人の多くが、病苦、貧困、孤独、高齢化の状態の中で今なお苦しんでいられる姿を浮き彫りにしております。
 例えば、入院または通院中の方が四割を超え、一般の二、三倍の率であります。年収二百万円未満の世帯が四分の一もあるという状況、また生活保護受給者の割合やひとり暮らしの方々あるいは寝たきりの方の割合も非常に高くなっております。例えば、生活保護受給者の割合は、全国平均は一・六%ですが被爆者の皆さんは一・九%であります。また、寝たきりの方の割合も、千人に対しまして全国平均は二十三・八八ですが被爆者の皆さん方は三十・九人という大変高い率になっているわけです。
 このような生存被爆者の実情からすれば、一九八〇年に政府の原爆被爆者対策基本問題懇談会報告が強調したいわゆる戦争被害受忍論、すなわち、「およそ戦争という国の存亡をかけての非常事態のもとにおいては、国民がその生命・身体・財産等について、その戦争によって何らかの犠牲を余儀なくされたとしても、それは、国をあげての戦争による「一般の犠牲」として、すべての国民がひとしく受忍しなければならない」という立場は、言語道断であると言わなければなりません。
 政府・自民党の方針の基本とされているこの考え方についてどのような見解を持っておられるか、まず提案者にお尋ねいたしたいと思います。
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山本正和#14
○委員以外の議員(山本正和君) 現在、政府の戦争被害についての基本的な考え方、これは国との間に一定の身分関係があった軍人軍属の人たちに対しては国家補償、こういう立場をとっているわけでありますけれども、今御質問者おっしゃいましたとおり、いわゆる受忍論という立場に立って、原爆被爆者に対してはどちらかといえば社会保障的な意味合いを持ってこれに対応しているという大変な矛盾があるわけでございます。私どもは、我が国政府が政府の責任において起こした戦争であり、しかもその戦争を終結する力があったにもかかわらずなお戦争を継続して、そのためにまさに人類まれに見る大変な惨禍をこの広島、長崎の被爆者たちに及ぼした、このことを断じて許すわけにはまいらないのでございまして、いわゆる受忍論で言う「国をあげての戦争による「一般の犠牲」として、すべての国民がひとしく受忍しなければならない」、こういう立場には立ち得ないと考えるのでございます。
 そういう意味から、何としてもこの戦争受忍論の過ちを政府みずからが正して、受忍論に立つその立場をなくす、そのことが我が日本国憲法に示された平和国家への道である、こういうふうに考えているところでございます。
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篠崎年子#15
○篠崎年子君 政府は、この戦争受忍論の立場か
ら、原爆被爆者を初め一般戦災者の被害に対する国家補償を回避しております。そして原爆被爆者に対しては、国家補償的な配慮などと政府が位置づけている原爆医療法と原爆特別措置法といういわゆる原爆二法が通常の社会保障制度の上乗せ措置として実施されていることは御承知のとおりです。
 しかし、私は原爆被爆者を含めた一般戦災犠牲者全般に対し国家補償の立場から何らかの対応が必要ではないかと思います。この一般戦災者と原爆被爆者とのバランスをどう考えていられるかについて、提案者の方の御所見をお承りしたいと思います。
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下村泰#16
○委員以外の議員(下村泰君) ただいまのお話でございますけれども、政府の戦争被害者に対する補償というのは、軍人軍属などのような国との間に一定の身分関係のあった者とその遺家族に限定され、原爆被爆者に対しては原爆二法により特別な措置が講じられているにすぎないのは既に申し上げたとおりでございます。すなわち、一般の国民に対しては、国との身分関係がないという理由で社会保障的な措置が講じられるにすぎないのであります。
 しかし、戦時諸法制による強制的な動員体制からすれば、ほとんどすべての国民が国家権力によってその任務につくことを強制されていたというのが実態であります。国との間に一定の身分関係がないという理由で国家補償の対象にならないということは、国民感情からしても納得のいかないところなのであります。
 我々はこのような立場から、原子爆弾被爆者援護法と並行して昭和四十八年の第七十一回国会以来毎通常国会に戦時災害援護法案を提出しているのであります。今後とも、一般の戦時災害についても国家補償に基づく援護法の成立を求めていくつもりでございます。
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篠崎年子#17
○篠崎年子君 よくわかりました。
 これと関連いたしまして、提案理由の御説明で触れられました、戦争犠牲者に対する西ドイツの事例だけでなく、主要諸国の対応はどのようなものか、この機会に御紹介いただければ幸いでございます。
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小西博行#18
○小西博行君 今おっしゃいましたように、既に西ドイツでは、一九五〇年に戦争犠牲者援護法によりまして援護の手を一般市民にまで及ぼしているというのが実態であります。
 また、お尋ねの西ドイツ以外の主要諸国での対応でございますが、同じ大戦の敗戦国でありますイタリアを初め、フランス、イギリスなどでも戦争犠牲に対して国によります援護がなされております。
 まず、イタリアの一般戦争災害についての救済措置でありますが、戦争により傷害を受けた市民や死亡した者には軍人などと同じ戦争傷病者年金が支給されておりますほか、財産補償までされているというのが実態であります。次にフランスでは、人的被害に対しては軍人廃疾年金及び戦争犠牲者に関する法典というところで、またあるいは物的な被害には戦争被害に関する一九四六年十月二十八日の法律第四六の二千三百八十九号での補償がそれぞれなされております。またイギリスでは、一九三九年人身傷害法によりまして、一九三九年九月以降の緊急事態の期間にこうむった戦争傷病や死亡に対して年金手当の支給が行われております。
 もちろん、これらの国々は原子爆弾の被害を受けたことがございません。日本だけが原子爆弾を受けた経験を持っております。このような国々でも原子爆弾による被害がもし起きたといたしますと、当然このような補償の法律がもうできている、そのように私は信じているわけであります。
 以上であります。
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篠崎年子#19
○篠崎年子君 ただいまの御説明によりまして、同じ大戦の敗戦国であるイタリア、西ドイツを初め、イギリスやフランスなどの諸国においても一般戦災者を含めた形での幅広い救済がなされていることが明らかになったわけですが、大臣、お聞きになっていてどのようにお感じになりましたでしょうか。
 こうした事実からすれば、少なくともこれらの国には我が国の受忍論のような思想はなく、あまねく援護の手を一般市民にまで及ぼしていると理解できますが、それでもなお大臣は受忍論に固執されるのでしょうか。きょうは、被爆者の皆さん方もたくさんお見えのようでございます。政府としてこうした考えを再考するおつもりはないかどうか、またヨーロッパ諸国の戦争被害法制についてどのような所感をお持ちになりましたでしょうか、この際お答えいただきたいと思います。
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戸井田三郎#20
○国務大臣(戸井田三郎君) さきの大戦が日本国民の非常に悲惨ないろいろな意味での精神的、肉体的、そしてある者は命を失い、ある者は負傷をした体のままで現在ただいまでもその苦しい障害を持ちながら生き延びてきているというような現状は、まさにあの戦争の悲惨な結果もたらされたものであるということは私どもの認識の上でも全く一緒であります。
 しかしながら、その中でそういった状態に置かれている方々に対しては、社会保障の分野でできるだけのことをしていかなければならない。その最も大きかった問題は原爆による被害者である、私どもはかように思っております。そういう中で、今までも政府としては原爆に対する医療の問題であるとか生活の問題であるとか、そういう意味でいろんな制度を御承知のとおり実施しているわけであります。
 ただ、御承知のとおり戦傷病者戦没者遺族等援護法は、軍人であるとか軍属であるとか、国と雇用関係にある者について行われているというのは今御指摘のとおりであります。でありますから、私どもといたしましては、やはり原爆というものの置かれている、また受けた方々の今なおその犠牲によって治療を受けている、そういったことについてはできるだけの手当てをしていかなければならないという認識に立って今日まで至っているわけであります。
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篠崎年子#21
○篠崎年子君 続いて、また提案者の方にお尋ねいたしたいと思います。
 ところで、政府が国家補償的などと説明してきた現行の原爆二法の内容は、生存被爆者に対する健康管理や医療の給付、それに認定患者に対する医療特別手当等の支給が柱となっております。つまり、原爆によって死没された方々とその遺族に対して国としては弔意すらあらわしていないし、また慰謝もしていないと言わざるを得ません。援護法案の御提案は、このような現行の原爆二法の不備を改めようとする意図と理解してよろしいでしょうか、お尋ねをいたします。
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沓脱タケ子#22
○委員以外の議員(沓脱タケ子君) お答えいたします。
 現在の被爆者対策は、被爆者に対して健康管理や医療の給付を行う原爆医療法と、原子爆弾の傷害作用による病気やけがのために特別な出費が必要となるということから、医療特別手当等の手当を支給する原爆特別措置法のいわゆる原爆二法によって行われているということは、先生も御承知のとおりでございます。
 昭和五十三年の最高裁判決で、実質的に国家補償的配慮が制度の根幹にあるという指摘があり、これを受けた形で翌年の制度審答申が基本理念の明確化を、現行法の再検討を求めることとなり、原爆被爆者対策の基本理念を明らかにし施策の基本的あり方を検討するために、いわゆる原爆被爆者対策基本問題懇談会を発足させたのであります。しかし、五十五年十二月十一日、その意見報告は、アメリカの原爆投下の国際法の違反性や日本政府の戦争責任に切り込まないだけではなく、逆に、戦争被害受忍論という許すべからざる考え方を基調として援護法の制定を否定し、被爆者の心を裏切ってしまったのであります。
 その結果、現行二法の枠組みは今後とも堅持していくというのが政府の基本的な態度のようでございますが、こうした対応の最大の問題点というのは、御指摘のように、原爆の最大の被害者であります亡くなった方とその遺族に対して弔意をあらわすこともしていないし、慰謝もしていないと
いうところにあります。また、その施策の対応も生存被爆者のみに限られ、被爆者年金もなく、内容的にも極めて不十分な上に所得制限までつけられているのであります。こういった現行制度の不備を見るにつけましても、私どもは国家補償の精神に立ち、被爆者年金の創設と死没者と遺族への弔意と慰謝、これが確立された被爆者援護法の制定こそその必要性を痛感しているところでございます。
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篠崎年子#23
○篠崎年子君 今回の援護法案の提案が、現行の被爆二法の不備を改めようとするものであることはよく理解できました。
 そこで、この際、関連して政府にお伺いいたしたいと思いますが、原爆による最大の被害者である死没者に対しましてどのような施策を考えておられるのかということであります。死没者の全容は、間もなく発表されるであろう原爆死没者実態調査結果により明らかにされるものと思われます。とするならば、ここでまず問題とされるべきことは、被爆者に対し国としてどのような弔意をあらわすのかということであります。
 この問題について過去の本委員会でのやりとりを会議録で調べてみますと、原爆措置法案の審議の際、そこにいられる浜本委員長の質問に対しまして、六十一年の今井大臣は、「今回調べましたことによって、何か私どもの弔意をあらわす方法をひとつ皆様とともに考えてみたい」と答弁されております。そして六十三年、藤本大臣は、これは十分考えていかなければならない大きな問題であるという認識は持っているとし、政府・自民党がこの問題についてよりどころとしている原爆被害受忍論についてさえ、放射線による健康被害という特別な事情、特別な犠牲については受忍すべきものとは考えていないとまで答弁されております。また小泉前大臣は、本年六月の本委員会で、「死没者調査がまとまった段階で、どういう形で弔意をあらわすことができるか、それを検討してみたい」と答弁されております。
 このことは戸井田大臣も当然御承知でこの立場を引き継いでおられることと思います。とするならば、死没者調査の結果を踏まえて、直ちに被爆者、戦没者の皆様のみたまと御遺族に対し、とりあえず弔意だけでもあらわすことの決断が必要な時期が差し迫っていると思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
 また、関係者が心待ちにしている調査結果の発表は一日延ばしとなり、いまだにその結果が出されていませんが、一体いつごろになるのかもあわせて明らかにしていただきたいと思います。
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戸井田三郎#24
○国務大臣(戸井田三郎君) 先ほど御答弁申し上げましたように、原爆被爆者対策は放射線による健康被害という他の戦争犠牲者にない特別の犠牲に着目して実施しておるわけでありますが、その点につきまして前任者である大臣も、弔意の方法等について御答弁をしていることは私も存じております。そのために、死没者調査の、今いたしておりますけれども、その調査の結果がまとまった時点で一般戦災者との均衡の問題のない範囲でどういう弔意を表することができるのかということは検討申し上げるという趣旨、この趣旨も前任者と同様の考え方であります。
 ただ、その調査の実態が今どう進んでおるかということについては政府委員からお答えさせていただきます。
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長谷川慧重#25
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 昭和六十年に行いました原子爆弾被爆者実態調査のうちの生存者調査につきましては、お話ございましたように昭和六十二年六月に結果を取りまとめ、公表いたしたところでございます。残っております死没者調査の集計結果につきましては、去る十一月六日に原子爆弾被爆者実態調査委員会を開催いたしまして、内容の分析、検討をお願いいたしておるところでございます。委員の先生方の方から、この分類や集計の方法につきましていろいろな御意見をいただいておりまして、現在その委員の御意見をもとにさらに作業を行っておるところでございます。なお相当の時間を要するものというぐあいに考えております。できるだけ早く努力いたしまして結果を取りまとめまして、実態調査委員会でさらに審議をしていただきまして、できるだけ早く公表いたしたいというぐあいに考えております。
 なお、この死没者調査につきましては、当初に死没者調査を行います目的といたしまして、原爆による被害の実態を明らかにし、正確に後世に伝えることを目的として行うものでございまして、この結果をもとに何らかの新しい施策を行うことは予定していないというぐあいに申し上げているところでございます。なお、この新しい施策ということにつきましては、ただいま大臣から御答弁ございましたように、弔意をあらわすということと別に新しい特別な施策を考えているということはありません。ただ、弔意につきましては、大臣からお答えございましたように、その段階で検討してまいりたいというぐあいに考えております。
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篠崎年子#26
○篠崎年子君 ただいまの御答弁で、弔意をあらわすことのほかには特別な新しい施策を考えていないというふうに聞き取りましたけれども、間違いございませんでしょうか。
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長谷川慧重#27
○政府委員(長谷川慧重君) 弔意をあらわすということにつきましては、先生からお話ございましたように、六十一年、六十二年と、この審議の場におきまして大臣御答弁してございますので、その方向に沿って検討してまいりたいというぐあいに考えております。
 ただ、死亡者実態調査につきましては、当初申し上げましたように、史実を明らかにするということを目的として行った、この実態調査の結果を踏まえて何か新しい対策、新しい施策を行うということは予定していなかったものであるということを申し添えさせていただいております。
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篠崎年子#28
○篠崎年子君 死没者の調査につきましては、もう戦後既に四十四年、来年は四十五年になろうとしておりますので、時がたてばたつほど非常に調査が困難になっていくのではないだろうかと思います。それに伴いまして、また原爆被爆者の皆さん、また御遺族の皆さん方はそれぞれに年をとってこられまして、もうこれ以上待てないというのが皆さんのお気持ちではないでしょうか。そう考えますときに、やはり一日も早くその死没者の調査を終えられまして、そして皆さん方に対する弔意を早くあらわしていただきたいと願うものでございます。
 次に、提案者の方にまたお尋ねをいたしたいと思いますが、今のようなことでぜひとも一刻も早く調査結果を発表して、国としてまず弔意だけでもあらわしていただきたいと、こういうふうに考えますのは、被爆者だけでなく地元の関係者もひとしく強く要望しているところでございます。
 現行の戦傷病者戦没者遺族等援護法など軍人軍属であった方々を対象とした国家補償の制度とこの被爆者等援護法案との関係についてやはりいろいろ疑問点もあるかと思いますので、明確にしていただくようにお願いをいたします。
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塩出啓典#29
○委員以外の議員(塩出啓典君) お答えいたします。
 現在の戦争の被害者に対する補償は、先ほどもお話がありましたように軍人軍属等のように国家との間に一定の身分関係のあったものに限定をされておるわけでございます。現在、被爆者に対しては被害の特殊性から原爆二法により特別な措置がとられておりますが、これは社会保障的な措置によるものでございまして、国家補償によるものではないことは先ほど提案者からいろいろお話があったとおりでございます。政府は、いわゆる戦争受忍論に立脚して一般戦争被害者に対する国家補償を一貫して拒否し続けておりますが、このような考えが私たちの立場と相入れないものであることは既に申し上げたとおりであります。
 私たちとしては、一般戦争被害者についても国家補償に基づく援護法案の成立を求めていく所存でありますが、まず、被爆後四十四年たった今もなお原爆後遺症に苦しみ続け、病苦、孤独、貧困の三重苦に悩まされ続けている原爆被爆者の特殊性にかんがみ、国家補償の精神に基づいて、戦傷病者戦没者遺族等援護法に準じて原子爆弾被爆者
等援護法をまず制定しようとするものでございます。
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