橋本龍太郎の発言 (内閣委員会)
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○国務大臣(橋本龍太郎君) ちょうど昭和四十年代の後半になりますと、内閣総理大臣の諮問機関であります社会保障制度審議会、これには御承知のとおり院を代表する委員が何名かずつ入っております。当時私は衆議院から社会保障制度審議会の委員を拝名いたしておりましたけれども、当時の国鉄共済につきまして将来に対する懸念というものはその時点から私どもの中では表明をいたしておりました。
その当時たしか国家公務員共済が直近三年をとっておったと私は記憶をいたしております。中途それが直近一年に変わりましたが、国鉄共済のみが退職時給与をベースに制度を組み立てておられたというようなこと、またその資産運用等につきましていろいろな角度から問題が提起をされ、たしか私の記憶では、社会党を代表して大原亨先生がおられたような気がいたします。国会側の委員が党派を超えまして国鉄共済に対しての資料要求を繰り返した時期がございました。しかしその当時、他の共済制度の資料は社会保障制度審議会に非常に速やかに提出をされましたけれども、実は国鉄共済の資料提供だけはなかなか十分に行われず、社会保障制度審議会として抗議の意を表明するために、たしかある年のごときは他の共済制度に対する答申を出しましてから一週間程度おくれて国鉄共済についての答申をまとめたことがございます。
そして、そのころから実は現在の鉄道共済の状況に至る不安というものは一部において心配をされながら、その問題として指摘をされました点につきましてなかなか改善の道がとられませんでした。今申し上げました退職時給与も一つの例であります。そしてそれが、これは組合員の責めに帰すべきではございませんけれども、当時の国鉄の管理者側の労務政策に利用されたといったような面もマル生問題の当時には指摘をされたこともございました。
さまざまな問題がありましただけではなく、退職時特昇が年金額に反映をいたしますこと、あるいは保険料の引き上げ不足など鉄道共済自身の制度あるいは運営に起因する面がありましたことは委員がよく御承知のとおりであります。また一方は、モータリゼーションの進行など産業構造の変化、人口構造の高齢化に起因をいたします面等々もございました。こうした面は必ずしも私は国の責めに帰すべき面だとは考えておりません。しかし、かつての原因がどうこうということを今申し上げるよりも、鉄道共済年金への今回の対応策というものは、こうしたことすべての原因を勘案しながら取りまとめをいたしたわけでございます。
委員御承知のように、たまたま私は運輸大臣の際に国鉄の分割・民営という一つの歴史の変革の責任をとる状態になりましたが、その時点におきましても鉄道共済について心配でありました。政府の中におきましても鉄道共済についての閣僚の懇談の場を設けると同時に、有識者の方々にお集まりをいただき、労働組合の方々あるいは学識経験者、いろいろな方々にお集まりをいただいて鉄道共済問題についての御意見も拝聴してまいりました。今回の考え方の中にはそうしたものすべてが生かされておると考えております。
一方では、先ほどから厚生省の方で御説明がありますように、今回平成七年の公的年金一元化に向けまして制度間調整というものが動き始めるに至りました。たまたまこの制度間調整をスタートさせる段階におきまして、いわば助けを求める側に立ちました共済は鉄道共済とたばこ共済の二者でありまして、結果として他制度から御協力をいただく羽目になったわけであります。これは各年金制度を通じる共通給付部分につきまして負担の調整を行おうとするものでありますから、公的年金制度における先ほど来委員が御指摘になっております給付と負担の一元化という観点からは極めて合理的な仕組みが組み上げられたと考えております。
よくありますのは、国の責任だと、だから国の負担でという御議論でありますが、それは結局は国民の税金をもってこれを補てんしろということでありまして、現在、ようやく明年度何とか赤字国債依存体質から脱却をしたいと願っておりますような厳しい財政状態の続く中で、自助努力を行っていただく、また各公的年金制度全体を通じまして基礎年金の三分の一に集中して国庫負担を行っております状況の中で、鉄道共済にのみ国の特別な負担を行うということは公平の観点から見ましても不適当な方法であると考えております。
また、今回一連の対策の中で清算事業団に特別の負担を求めておるわけでありますが、清算事業団の経理内容も委員よく御承知のとおりでありまして、この負担というものが最終的に国において処理する債務等の増加になっておることを考えますと、国もこうした形でその役割を担っているということも申し上げたいと存じます。