嶋崎譲の発言 (本会議)
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○嶋崎譲君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました内閣の提出に係る消費税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
今、国民は、与野党逆転の参議院を背景とする新しい衆議院の動向に深い関心と期待を寄せております。その本格的な試金石となる消費税の審議がいよいよ開始されたからであります。
この機に呼応するかのように、昨日、福岡県における参議院補欠選挙において、我が党の三重野栄子候補は十二万票余りもの大差で圧勝できました。(拍手)全野党の協力のたまものと深く感謝をいたします。この選挙も消費税の廃止か見直しかが改めて問われただけに、依然として国民の世論の動向は消費税の廃止を強く要求しています。総理の御所見を賜りたいと存じます。(拍手)
言うまでもなく、選挙の際の公約を実行することは、政党並びに議員として当然の国民に対する責務であります。そして、それは同時に、公約を守るということを通じて、憲法に規定されている議会制民主主義を正しく実現していくことにほかならないと思うのであります。したがいまして、我が方が提案している消費税廃止関連法案と、大型間接税は導入しないと国民に約束したその選挙公約に違反して強行採決した消費税、そしてその消費税見直し法案とは、根本的にその生い立ちが異なっているのであります。
振り返ってみますと、昨年の百十六国会において我が方が提出いたしました消費税を廃止する法律案外八法案は、委員会での審議期間二十七日間、総審議時間八十三時間四十六分にわたる審議の結果、参議院において可決され、本院に送付されました。結果的には審議未了、廃案ということになりましたが、立法府の場において、与野党それぞれ立場が違う中で、野党提出の議員立法に対し、熱心に、そして真摯な議論がなされたことは、議会制民主主義にとっても画期的な出来事であったと言えます。
一方、政府・与党は、昨年の参議院選挙後、消費税の思い切った見直しというかけ声ばかりで、どこをどのように手直しするのか、内容は一切不明でありました。我が方が、消費税の廃止法並びにその後の税制再改革のあり方、そしてその間の代替財源について明らかに示していたのとは対照的でありました。
その後、昨年の十二月にようやく見直しの骨格が固まりはしましたが、それについても、すぐさま自民党内においても再見直しの必要性が叫ばれた代物でした。この時期になって大綱を発表したのも、自民党の税制調査会の意向を政府税制調査会の答申にリンクさせ、相も変わらず、あたかも国民の意思及び専門家の意見を聞くという隠れみのに政府税調を使い、消費税の導入の定着を図ろうとした何物でもありません。このようなやり方に対して、国民が強い反発を持っていることにお気づきにならないのでしょうか。
消費税の廃止か存続かは、昨年の参議院選挙、そして今回の総選挙と、二度にわたった争点であり、その結果は、税制改革に当たって、消費税について両院は廃止と存続という一見異なった国民の意思を反映しているように見えました。しかし、福岡県の参院補選の結果は、いまだに消費税廃止を強く期待しているのです。
これらの選挙を通して、我が国の税制のあり方全体が議論されたこと、特に消費税の導入より不公平税制の是正が何よりも必要であるという認識は、国民共通の合意であり、そしてそれは与野党にも共通している認識であることを考え合わせれば、もはや、消費税の存続、手直しよりも、それを廃止し、税制改革をやり直す以外に方法はないと考えます。改めて総理の御見解をお聞かせ願いたいと思います。(拍手)
次に、消費税の見直し法案の内容について伺います。
消費税は構造的な欠陥があり、手直しでは解決できないと考えております。したがいまして、消費税見直し法案は、その構造的な欠陥を見事に改めて浮き彫りにし、かえってさらなる問題性をつけ加えただけなのであります。
まず指摘したいのは、第一条の「趣旨」のところで、「消費税の収入については、国民福祉のための経費に優先して充てるものとする。」としていることについてであります。
この条項は、消費税がなぜ必要かという国民の疑問に対して、高齢化社会への対応と回答してきたことへのあかしとして、特定財源化の構想を示されたのでありましょう。しかし、これもごまかしです。今年度の消費税収は五兆三千二百億円と見込んでおりますが、いまだに、「国民福祉のための経費に優先して充てる」とはそのうちのどれくらいなのか、明らかにしておりません。国の社会保障関係だけで十一兆円を超えております。消費税収総額をすべて福祉に特定化しても不足しております。しかも、今回の見直しによって、約一兆一千億円の税収が削減されることになっております。一体、「国民福祉のための経費に優先して充てる」という意味はどのようなことなのか、全く意味不明と言わざるを得ません。
それに加えて、消費税と地方財政との関係が問題を複雑にしています。消費税収総額の五分の四は地方交付税交付金のベースに組み入れられ、その二四%が地方交付税として地方に交付されます。さらに、消費税収総額の五分の一は地方譲与税として地方に配分されます。したがって、消費税収のほぼ四〇%は地方の固有の財源として利用されることになっています。この地方に配分される消費税分は、福祉予算に特定されないものであります。自治大臣、いかがですか。
こうしたことを考え合わせれば、消費税は財政にほとんど寄与しないことになっています。まさに「国民福祉のための経費に優先して充てる」ということがいかに空虚なものであるかは明白であります。どのような国民福祉に、幾らぐらいの経費を、どのようなタイムスケジュールで充てる所存なのか、総理並びに大蔵大臣、自治大臣の御所見をお伺いいたします。(拍手)
次に、消費税の構造的欠陥である逆進性についてお尋ねいたします。
消費税の欠陥は、実施以前からわかり切っていたことであり、竹下元総理も九つの懸念として表明せざるを得なかったことであります。その中でも、低所得者ほど負担割合がふえるという所得に対する逆進性の問題、所得税などの課税最低限以下の世帯にも課税されるという問題、年金生活者、障害者など社会的弱者に対しても高額所得者と同じように課税されるという問題について何ら解決ができないどころか、今回の見直し案でより複雑にし、見直し案に期待していた方々からも、見直さない方がましだといった声が聞かれているのであります。
非課税範囲の見直しや、食料品等に対する小売段階非課税及び特別低税率制度の創設は、低所得者の負担が相対的に重くなるという逆進性の批判に対する措置としてとられた方策でありましょう。しかし、問題の解決どころか、事態を複雑にしただけです。
非課税範囲の見直しとして、入学金、出産費用など非課税範囲の拡大を限定十項目追加しておりますが、これが果たして思い切った見直しでしょうか。消費税の構造的欠陥は、非課税または免税を限定列挙することしかできないのです。これをさらに拡大すれば、課税、非課税がより複雑になり、税の徴収が困難になるからであります。した
がって、社会的弱者への逆進性は緩和されることはできません。これでも社会的弱者への逆進性は緩和されたと言えるのでしょうか。御所見を伺いたいと思います。
食料品に対する小売段階非課税及び特別低税率制度の創設も、その執行を複雑にしただけであります。食料品には生産・流通段階で一・五%課税、小売段階で非課税とするという、およそ税の理論を欠いた無節操なやり方は、世の中に混乱をもたらすだけであります。一体幾ら下がるのか、価格が適正であるのかなど、消費者の不安は募るばかりです。事業者にとっては、食品とその他の分を区別しなければならないなど、複雑でしかも巨額のコストがかかることになります。
消費税制度において非課税品目を拡大することの困難さは、消費税がその執行形態として、通常の伝票方式ではなく、帳簿方式を採用した点にあります。仕入れと売り上げを帳簿で捕捉する方式では、非課税品目と課税品目が混在する状況下では、課税売上高と課税仕入れ高を捕捉することは技術的に困難だからであります。
こうした食料品課税の見直しを国民が望んでいるものだと確信して提案されたのでしょうか、御所見を承りたいと思います。
最後に、簡易課税制度、限界控除制度、免税制度などによって、事業者が消費者から預かっている多額の税金が国庫に入らない、それどころか、大企業等においては巨額の運用益までが生ずるという問題についてであります。
これらの制度は、消費税の導入に当たって、最終的な税の負担者である消費者に十分な配慮もなく、ひたすら事業者におもねた日本型堕落型消費税の欠陥をあらわにしたものであります。(拍手)
そもそも税制というものは、国民経済の動向に対して中立でなければなりません。それが、消費者の納めた税金が国庫に入らない、しかも、その額は、大蔵省の試算でも、課税ベースにして十六兆円、四千八百億円にも上ると言われております。この点については何ら見直しすらできないという状態であります。一体、国民の血税とも言われる税をどのように考えておられるのでしょうか。国民の批判をどのように受けとめているのでしょうか。また同時に、このことは事業者と消費者の相互不信を生み出す欠陥税制であるということを意味していると思うが、御所見を伺いたいと思います。
加えて、これらの特別措置は、事業者間、産業間に不公平をもたらすものであります。簡易課税制度のみなしマージンの設定は、それほどの根拠もなく卸、小売の二つに分けられ、小売の平均マージン率平均一七・六%、卸売は六・六%であるから、利用した方が有利な業者とそうでない業者との差は大きいと言えます。同じ小売でも二〇%を超える高いマージン率を実現している業者が、結果的には消費税によって補助金が受けられることになるのであります。
あわせて運用益の問題についてでありますが、申告・納付を四半期ごとにしておりますが、多少運用益が少なくなるという程度で、とても納得のできるものではありません。預かった税金で利益を得る、しかも、それができるのは主として大企業であるということは、幾ら運用益を少なくしたからといっても納得のできるものではありません。
税金が行方不明になる、税金で利益が生ずる、この構造的欠陥についてどのような認識で対処されるのか、御所見を伺いたいのであります。
政府は、不公平税制の是正をさきの税制改革の最大の目的としながら、不公平税制の典型と言われる消費税を強行導入し、そしてその不公平を拡大するかのごとく見直し法案を提出しています。私たちは、こうした政府案について、さらに税制問題等に関する特別委員会において十分な審議を保証されることを要求し、そして、その委員会の場において、国民に消費税見直し法案の矛盾点、非合理性を徹底的に明らかにするとともに、消費税は廃止しか解決する方法がないことを明らかにする所存であることを申し述べ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕