中山太郎の発言 (外務委員会)
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○中山国務大臣 本日は、最近のペルー情勢について申し述べます。
去る七月十二日、ペルー共和国の首都リマから北北西約八十キロに位置するワラル所在の野菜生産技術センターがテロリストに襲撃され、国際協力事業団から派遣されている日本人専門家三名が射殺されました。まことに悲しく、かつ非道な事件であります。宮川清忠、中西浩、金良清文、三氏がこの残虐なテロリストの行為で亡くなられたことに対し、謹んで哀悼の意を表しますとともに、御遺族の方々に対し、衷心よりお悔やみを申し上げます。
襲われた野菜生産技術センターは、ペルーにおける野菜の生産技術の向上と安定供給に寄与することを目的に、我が国の無償資金協力により建設され、我が国が技術協力を行ってきた施設であります。このような施設を攻撃し、ペルーの発展のため尽力されてこられた農業技術者の方々を殺害するという野蛮な行為は、天人ともに許さざるものであります。フジモリ大統領も、殉職専門家追悼式に寄せられた弔辞の中で、「たった一握りの集団が、卑劣な反逆行為を行った」と申されておりますが、まさにそのとおりだと思います。亡くなられた三名の方々に報いることはもはやできませんが、残された御遺族の方々へのせめてもの策として、補償についてはできる限りのことをしてまいる所存であります。
この事件に引き続き、有力な日系人の誘拐、殺害という衝撃的な事件が発生し、政府としても極めて重大なことと受けとめております。これらの事件の犯人はいずれもペルーのテロ組織と見られていますが、このようなテロ組織が活動する背景には、ペルーの深刻な経済状況及び貧困の問題があります。すなわち、貧困の解決なしにはテロを含めた社会問題の解決もないのであります。昨年七月二十八日、フジモリ大統領が就任したときに、前政権から引き継いだ経済状況はまさに危機的とも言い得るものでありました。昨年のインフレ率は対前年比七六五〇%、失業率は潜在失業率を含めると約七〇%、対外債務残高は二百億ドルにも達し、貧困に起因する犯罪やテロによる深刻な治安の悪化という、まさに惨状を呈していました。
この状況に対し、フジモリ大統領は敢然と戦いを挑み、国民には一時の耐乏を求めつつも、経済再建に向け思い切った経済安定化政策を実施し、また、毅然としたテロ対策及び麻薬問題対策を実
施してきました。フジモリ大統領のかかる努力の結果、現在では、インフレ収束は一応の成果をおさめ、財政の均衡も達成され、国際金融社会への復帰も軌道に乗りつつあります。また、テロに対しては、軍、警察による治安維持活動を進めるほか、農民自警団への武器の供与、テログループの大学からの一掃等の対策を実施し、テロ組織幹部の逮捕等の成果を上げています。
我が国といたしましては、フジモリ政権の真摯な経済再建努力を高く評価し、昨年度はペルーへの無償資金協力を大幅に拡充いたしました。また、同国が国際金融機関への延滞を解消し、また、国際収支の均衡を達成するための対ペルー国際支援体制の早期構築に向け、積極的に協力を行ってきております。
かかる中、今回のJICA専門家殺害事件が起きましたことは、まことに残念なことであります。今回の事件発生後、我が国は速やかに外務省及びJICA職員をペルーに派遣いたしました。その調査結果を踏まえて、安全確保の見地から、残念ながら今般、我が国経済協力関係者をとりあえず一時帰国せしめることといたしました。しかし、我が国としてペルーの経済再建努力を支援していくとの基本姿勢には何ら変更はありません。ペルーに対し、人員の派遣を要する協力については当面慎重に対応せざるを得ませんが、これからもその他の形でできる限りの協力を行っていく所存であります。
本事件や日系人の誘拐、殺害事件等の背景は依然不明でありますが、近時、我が国はペルーで注目を引く存在になっていることもあり、同国の在留邦人に対するテロの危険は遺憾ながら無視できません。外務省としても、かかる認識のもと、本事件発生後、本省においては在京ペルー大使に対し、また、ペルーにおいては在ペルー妹尾大使がフジモリ大統領や内務大臣に対し、在留邦人の安全のため最大限の措置をとるよう、累次にわたりペルー側に強く要請してまいりました。
ペルーの在留邦人社会は、従来からも大使館とも協議しつつ安全対策の強化に努めてきておられます。今次事件の発生に伴い、在ペルー大使館では、改めて在留邦人社会と頻繁に連絡、協議を実施し、所要の注意喚起及び在留邦人おのおのの事情に応じたきめ細かな助言を行ってきており、おのおのの在留邦人もその立場に相応した対応策をとっています。さらに、本省におきましても、現地進出企業の親企業に対し情勢説明会を開催いたしました。また、当分の間、同国への渡航は差し控えることが望ましい旨の渡航情報を発出し、一般国民に対する注意喚起も行っております。
政府といたしましては、平和で安定したペルーが実現し、我が国経済協力関係者が同国の発展のため安全に活動できる状況が一日も早く到来することを心から希望いたしますとともに、同国における在留邦人の安全対策につきましては、今後とも万全を期していく所存であります。
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