中桐伸五の発言 (決算委員会)
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○参考人(中桐伸五君) 中桐でございます。
私は、医学的な立場から、先ほどの脳・心疾患の認定のあり方について問題提起をさせていただきたいというふうに思います。
これからの職場での健康問題の主体は慢性病が主体になってまいりまして、成人病、がんというのが主体でございます。その成人病の一つの大きな課題が脳卒中及び心臓病ということになるわけでございます。こういった疾病は非常に原因が複雑でありまして、また非常に長い期間をかけて病気が起こってまいります。したがいまして、その認定ということになりますと、その因果関係をめぐって非常にトラブルが起こるわけであります。非常に長い場合はもう数年を要するというふうな期間を経て決定が下されるということが起こるわけであります。
私ども医学の立場からしますと、不幸にしてお亡くなりになった方の問題ということが一つありますけれども、もう一つは脳卒中、例えば脳出血で半身が不随になったというふうな場合に、速やかに安心して治療を受けて社会復帰するということが非常に重要であります。特に早期に対策をとるということが非常に重要になってまいります。そのことを考えますと、現在の認定制度というのは非常にぐあいが悪くなってきたというわけであります。というのは、昔の、やけどやけががたくさん起こっていた時代の認定のあり方というものをそのまま現在に持ってきているわけでありまして、そういう制度をやはり現代の疾病構造の変化に合わせて変える必要があるというふうに思うわけであります。
しかし、その認定基準の問題につきましては、先ほど大臣もまた基金の理事長さんも話されましたけれども、医学のところで非常に困難を生じているわけであります。本当は現代医学がそこに、このケースは五五%もう仕事が原因である、このケースは四〇%しか仕事が原因ではないからこれはもう公務外だろうというふうにはっきり分けられるならばよろしいんですけれども、残念ながら、まあ例えばインフルエンザがインフルエンザのビールスで起こるというところまではわかりましたけれども、インフルエンザのビールスが何個で起こるかということになりますと、もはや現代医学は答えられないわけであります。世界じゅうの名医を連れてきても皆さん方が冬お引きになるインフルエンザのビールスの数が当てられないわけであります、現代医学は。まして、インフルエンザのような感染症の場合にはまだわかりやすいというところがあったわけですが、心臓病とか脳卒中になりますと非常に複雑でありまして、もちろん仕事の要因もありますけれども、日常生活でいろんな問題があるでしょうし、あるいは嗜好品で、たばこを吸っているという問題もあるでしょうし、また生まれつき持った遺伝的な素因というのもあるわけであります。そうしますと、インフルエンザでも非常に難しい現状において、これを医学的に明快に解明せよといっても非常に無理があるということであります。
そこで、医学は一体どういう役割を果たせばいいのかということになりますと、やはり私が最初申し上げましたように、被災された方が安心して治療できるという体制をつくりたいというのが私どもの願いであります。そして、一日も早く職場に復帰していただく、社会に復帰していただく、これが願いであります。
それともう一つは、原因は複雑でありますけれども、その一つ一つの原因の中に改善する要因というのは幾つか出せるわけです。例えば脳卒中でありますと、冬、家の中は暖房をしている、非常に暖かい、それで外へぱっと出ますと顔に冷たい空気が当たる、五度以上の温度変化がありますと血圧がぴゅっと上がるわけです。そういうふうな例えば温度という環境をよくするとか、そういったことについては現代医学は十分対策をとるところまで来ておるわけであります。そういう点から考えますと、早期治療、社会復帰と同時に、もう一つは、考えられる疑わしい要因に手を打っていく、二度とこういう不幸なことを起こさない、これが私は現代医学において十分できるというわけであります。
そこで、時間がございませんので私の提案でございますけれども、一つは、この前の参議院の地行委員会においても話させていただきましたけれども、認定を迅速、公平に行うためには、認定基準を大幅にもう一度見直すということは必要ですが、しかし過渡的に私は次のような制度を提案したいわけであります。
その制度といいますのは、仮認定制度でございます。仮に認定をするわけであります。仮というのは一定の期間ということでありますが、それは、三カ月ないしは六カ月ぐらいの間にしかるべき資料を収集して正式に公務上外の判断を下す。それまでの間は仮に、認定基準を大幅に緩和して、申請があればとりあえず、例えば家で頭を打って脳卒中になったというふうな場合にはこれは無理でありますけれども、そういう明らかに公務以外に原因があるという場合を除けば仮にまず認定をする。そしてその期間の間に判断を下す。そして、その間にかかった費用については一応公務災害の基金の方から出していただくという形で、そしてもし公務外になりましたら健康保険の治療なり対策に移行させる、こういうのが一つであります。
もし、それが非常に認定基準の枠を広げるということでしたら、もう一つの案といたしまして、オールタナティブな案といたしまして仮払い制度というのも考えられるわけであります。仮払いというのは、とりあえず公務災害の基金を使って治療費を出したりあるいは休業補償を出して、とりあえずそういう形で、申請がありましたら仮に出していただく。現在の認定基準はそのままにしておいてとりあえずそういう制度をつくる。そして三カ月ないし六カ月間の期間で決定を下して、もし公務外になりましたら健康保険の方で支払いをするというふうに変えるという制度でございます。