貴志八郎の発言 (本会議)
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○貴志八郎君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、いわゆる政治改革三法案に対して、総理並びに自治大臣に質問をいたします。
政治を病気に例えてまことに恐縮でありますが、ロッキードやリクルート事件は政界に生じた最も悪質ながんであります。現代医学の常識では、がんは切り取らなければ治らたい。腐り切った患部にメスを入れ、大胆に周囲の転移部分まで切除しなければ治らないのであります。体質改善はそれから後のことでございます。ところが、海部ドクターは、切るのは痛い、下手に切れば死ぬことだってある。そこで、病院をかえ、ヘッドを置きかえ、四人部屋、三人部屋では困るから、個室に入れれば治ると言い出したのであります。がんというこの病根、すなわち汚れた金の問題を断ち切らなければ、自民党という政党もまたがんと同じように滅ぶのであります。まず、そのことを指摘しておきたいと思います。(拍手)
九月六日、政治資金規正法に基づく報告が一斉に報道されました。それによりますと、悪名高きバブルの主役、コスモワールドの代表あるいは東京佐川急便、麻布建物から、それぞれ自民党の羽田孜代議士、丹羽雄哉代議士、中山正暉代議士らに献金されたとあります。まさに、バブルの主役から自民党の政治改革の主役に政治献金が行われたというのであります。また、四大証券の献金は公表一億、実態三倍との報道もございます。まさに、証券業界との癒着体質を浮き彫りにいたしておるのであります。本日の新聞報道によりますと、かの茨城カントリーの実質オーナーから水野元総務庁長官に六千万円、しかも裏口献金が発覚をいたしておるのであります。しかも、報道によりますと、これは政治資金規正法の上では預かり金たというのであります。政治資金規正法の抜け穴をまざまざと見る思いであります。一昨日から指摘された閣僚の不祥事件を含めまして、改革を必要とするのはまず政府、そしてそれを支える自民党ではありませんか。
前のイギリスの首相マーガレット・サッチャーさんが人生の師と仰いたお父上から、自分のことは自分で決断をし、自分の責任で行動せよと教えられたといいます。そしてそれが鉄の宰相の生きざまとなったのであります。
重要なことは、汚職や腐敗防止のために、本来政治家や政治集団である政党自身の自浄作用が求められておるのであります。自分たちがつくり出した政治腐敗の病根は自分で切り取ってもらわなければならないのであります。
総理、哲学なき政治家は国を滅ぼすと言われます。あなたは、まず国民に汚れた金と政治の関係をおわびし、自民党の姿勢を正し、譴責すべきはきちんと責任をとらせ、しかる後、野党の意見に従い、総意を結集して議員立法を図るべきではございませんか。(拍手)
特に、この政治改革法案については、与党自民党の内部の意見すらまとまり切っていないということであります。本日お伺いいたしたところ、次期総裁選候補宮澤元蔵相は、一つ、国がえは不可能、二つ、改革で金がかからなくなるかは疑問、三つ、スケールの小さい政治家が育つなどと、野党と軌を一にする意見を述べ、与野党協議の必要性を説かれたようでございます。これでは、もうこの法案を審議する土台が足元から音を立てて崩れておるではございませんか。ともかく撤回をいたしまして出直すべきだと判断いたしますが、いかがでしょう。
さて、問題を第八次選挙制度審議会に移します。
まず、この審議会の委員は、どのような基準に基づき、だれが選んだのか。第二に、メンバー二十七名は各界の有識者だと聞いておりますが、消費税に泣く主婦、課税捕捉率一〇〇%といわれる若いサラリーマンだと、真にロッキードやリクルート事件に怒りを持つ庶民代表を外しているのはなぜだろう。また、第七次審議会までは特別委員として政党代表も入っていたのに、今回だげはこれを除外し、除外した中で小選挙区比例代表並立制導入を決めたのであります。
総理は審議会の答申を金科玉条のごとく申しておりますが、審議会香員を決定する段階で既にレールは敷かれていた。そのレールは、腐敗に直接メスを加える方向を選ばず、投票総数の四十数%で八〇%以上の議席を獲得できる小選挙区制という自民党積年の悲願を実現する、そのおぜん。立てを整えたのであります。委員に政党を外した理由を含めて、しかとお答えを願いたいのであります。(拍手)
また、一昨日から国会答弁で総理はゆゆしき発言をされました。それは、連合政権は不安定で単独過半数の安定政権が望ましい、連合政権は民意に反した政党間の取引でできるものとまで極言をされました。しかも、それは選挙制度審議会の意見であるというのであります。
第八次審議会が設置されたころ、すなわち宇野内閣の時代であります。あの参議院選挙で野党が協力して与野党逆転を果たした。まさにその時期に非公開の密室で野党の政権構想を批判し、小選挙区制導入のためのほかりごとが進められていたということになります。一方で政権交代ができると言いながら、実は野党の躍進を芽のうちに摘むうという恐ろしいきばを秘めたばかりごとが行われていたのであります。(拍手)私は、こうした経緯から、我が国の議会制民主主義の崩壊の重大な危機を感じるのであります。また、連合政権は民意に沿わないと極言する海部総理の考え方は、明らかに政権構想を目指す野党に対するあからさまな挑戦であります。総理は、腹を据えて野党との対決を求めるのですか、見解を確認をしておきたいと思います。
さて、この審議会の答申を受けて出されました政治改革三法案のうち、政治資金規正法について質問をいたします。
まず、第一点は、諸悪の根源となった企業献金について、なぜばっさり切り捨てなかったかということであります。
企業は、その企業の目的のために手段を選ばないという体質を持っております。今度の証券・金融問題でその一部をかいま見ただけでも、どん欲な企業体質が浮き彫りにされてまいりました。大蔵省の通達はあっても、罰則がなければ損失補てんは行い、補てんを受けた方は、何十億円という単位で受けていても、補てんを受けた認識はないと言い張るのであります。
一方、補てんをした証券会社や業界あるいはこれを受けた大企業が、今日までどれだけの政治献金をどこに行ってきておるのだろうか、そこがまた問題であります。公表された資料だけを見ても、莫大な額となっております。企業は何のために一政党とその派閥に向けて集中的に献金を行うのか。八幡判決を金科玉条のように言われておりますけれども、あの判決も、今日の現状に見るような企業献金を野放し、手放しで是認しておるのではありません。株主や顧客全般の利益や存在を無視し、一政党、派閥に集中して寄附し続けることを異常と受け取らない神経こそ問題です。かつ、税法上の優遇を受けられる仕組みは、まさに大企業の金の流れが自民党に向けて一本で入り込む水路のようなものであります。
しかも、今回の改正案では、政党中心という方向は出されましたが、今度は、大企業の大きな水路のほかに、中小企業向けの損金算入というパイプまで張りめぐらせたのであります。何のことはございません。昭和五十年、三木内閣当時から企業献全廃止の方向で検討をされてまいりました。しかし結局は、全体として自民党の懐に入る献金は確保できる、そういう仕組みに逆戻りをさせているのであります。(拍手)
今回の証券・金融問題に対しても、その構造的見地から見ても及び順となり、断固たる措置はなかなかとりにぐいのであります。総理はこれについてどのような基本哲学をお持ちになっておるか。
質問の第二は、企業献金のもう一つの側面として、献金という形をとらずに、政治家及びその周辺における経費を企業が肩がわりをするという構図であります。
建設大臣や自治大臣は、まさにこの手口を使ったのであります。幸か不幸か、自治大臣の会社も建設大臣の会社も、税務調査の中で三年間にさかのぼる課税を認めました。もちろん、なぜかそれ以前は不間であります。自治大臣は、この脱税事件を単なる陳謝で済むと思っているのですか。これこそ、政治資金規正法の網をくぐり、企業活動を隠れみのにした。税金逃れ兼用の政治資金ルートの最も悪質な標本ではないですか。今回の両大臣の問題発覚を見て、十名、二十名という大量の秘書団を抱えた方々の中には、首を洗わなければならない政治家も少なくないとささやかれておりますが、このような行為を規制をしてこそ法改正の意義があるのであります。
総理並びに自治大臣は、このようなやり方を政治資金規正法に照らして違法と見るのかどうか、そして、今回の改正で未然にこのことをきっぱり防止できるようになっていると考えるかどうか、見解を問うものであります。(拍手)
最後に申し上げますが、これらの企業献金や企業経理の中で処理される政治資金は、課税前の金であります。献金された分が課税対象から除外されるということは、本来、国庫に入るべき税金の一部が企業の恣意によって一政党、一派閥に納入されるのでありますから、結果的には、国家に得べかりし税金が合法的に勝手に使われ、特定の政党に集中することになります。
一方でこの企業献金を認め、一方で政党助成を国民の税で行うという今回の改正案は、一見政党政治に貢献するように見えましても、国民の側から見れば、企業ルートを遮断しない限り、やらずぶったくりの構図となるのであります。(拍手)また、今回の改正で、ここに手をつけようとしたかった理由について、明らかにしていただきたいと思います。
以上で、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕