清水湛の発言 (法務委員会)
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○清水(湛)政府委員 今回は、一九七九年議定書を締結する、具体的な中身としては批准もするということに伴いまして、国内法を整備するというものでございます。
提案理由説明にもございましたように、現行法は、一九二四年の船荷証券統一条約に基づきまして昭和三十二年にこれを批准して、三十二年に制定されたものでございます。その後、一九六八年に一九二四年条約を改正する議定書が作成され、これが一九七七年、昭和五十二年に発効をした、こういう経緯がその間の中間的な経緯としてあるわけでございます。当時もう既に、この一九六八年議定書の作成が昭和四十三年、その発効が昭和五十二年でございますので、これを批准するという一つの可能性があったわけでございますけれども、しかしながら、例えば一九六八年議定書では損害賠償の限度が一万金フランというふうに定められました。ところが一九六八年あるいはこれが発効した一九七七年当時の一万フランというのは、六八年当時が約二十四万円、それから七七年でもこれが十九万くらいですか、相当の金額になる。そういう金額になりますと、現行法は十万円でございますので、恐らく二倍近く運送人の責任の限度が上がってくるというような問題が一つ実はあったというふうに私どもは考えております。
それからもう一つは、一九六八年議定書が発効した昭和五十二年当時、この一万金フランというフランス・フランを前提とした損害賠償の限度というものは適当でない、これはIMFの特別引き出し権であるSDR単位に改める必要がある、こういうようなことから既に議定書の改定の動きというものが始まっていたわけでございます。そういうようなことから、我が国といたしましては世界の趨勢を見ていたというのが実情だと思うわけでございます。
しかしながら、その後SDRの値が二百円を割るに至りまして、現在では百八十円前後ということでございます。責任の限度額、現行法は十万円ですが、現在のSDR価額で計算いたしまして条約をそのまま認めましても十二万円程度になるというようなことから、要するに運送人になる船主の団体等においてもそれほど抵抗感がなくなったというようなこともあろうかと思うわけでございます。
それからまた一九六八年の改定議定書をのみ込んだ一九七九年議定書、これは今回お願いをしている議定書でございますけれども、世界の有数な海運国がこの議定書を多く批准するに至ったというような情勢の変化、そういうものを踏まえまして昭和六十三年に船主協会及び荷主協会の双方から法改正の要望が出されたということになったわけでございます。それを受けまして、法務省でこの改正作業の準備をいたしまして今回の改正をお願いいたしたというわけでございます。
条約がつくられてから相当の期間が経過しているということでございますけれども、その間には、先ほど申し上げましたような、円高により国際面から見ますと我が国の損害賠償限度というのはそれほど大きなものにはならないということが実質的には大きな理由になっているということも言えるのではないかというような気もいたすわけでございます。