法務委員会

1992-05-26 衆議院 全151発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成四年五月二十六日(火曜日)
    午前九時五十二分開議
出席委員
  委員長 浜田卓二郎君
   理事 鈴木 俊一君 理事 田辺 広雄君
   理事 津島 雄二君 理事 星野 行男君
   理事 与謝野 馨君 理事 小森 龍邦君
   理事 鈴木喜久子君 理事 冬柴 鐵三君
      愛知 和男君    石川 要三君
      今津  寛君    武部  勤君
      長谷川 峻君    増子 輝彦君
      増田 敏男君    小澤 克介君
      沢田  広君    仙谷 由人君
      高沢 寅男君    谷村 啓介君
      松原 脩雄君    倉田 栄喜君
      中村  巖君    木島日出夫君
      中野 寛成君    柳田  稔君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 田原  隆君
 出席政府委員
        経済企画庁調整
        局審議官    柳沢  勝君
        法務大臣官房長 則定  衛君
        法務省民事局長 清水  湛君
 委員外の出席者
        外務省国際連合
        局経済課長   花角 和男君
        大蔵省関税局輸
        出保税課長   花井 伸之君
        大蔵省銀行局保
        険部保険第二課
        長       西川  聰君
        運輸省海上交通
        局海事産業課長 深谷 憲一君
        運輸省海上交通
        局外航課長   淡路  均君
        運輸省海上技術
        安全局船員部労
        政課長     三澤  明君
        運輸省港湾局開
        発課長     井上 興治君
        法務委員会調査
        室長      小柳 泰治君
    —————————————
委員の異動
五月二十六日
 辞任         補欠選任
  亀井 静香君     増子 輝彦君
  熊谷  弘君     増田 敏男君
  坂本三十次君     今津  寛君
  中野 寛成君     柳田  稔君
同日
 辞任         補欠選任
  今津  寛君     坂本三十次君
  増子 輝彦君     亀井 静香君
  増田 敏男君     熊谷  弘君
  柳田  稔君     中野 寛成君
    —————————————
五月二十五日
 夫婦別氏・別戸籍の選択を可能にする民法・戸
 籍法の改正に関する請願(佐藤祐弘君紹介)
 (第二六七二号)
 非嫡出子差別を撤廃する民法等の改正に関する
 請願(辻第一君紹介)(第二六七三号)
 同(常松裕志君紹介)(第二六七四号)
 同外一件(河上覃雄君紹介)(第二八三三号)
 同(常松裕志君紹介)(第二八三四号)
 同(土井たか子君紹介)(第二八三五号)
 同(東中光雄君紹介)(第二八三六号)
 同(堀昌雄君紹介)(第二八三七号)
 同(正森成二君紹介)(第二八三八号)
 夫婦別氏・別戸籍の選択を可能にする民法・戸
 籍法改正に関する請願(佐藤祐弘君紹介)(第
 二六七五号)
 法務局、更生保護官署及び入国管理官署の増員
 に関する請願(小澤克介君紹介)(第二六七六
 号)同(高沢寅男君紹介)(第二八三九号)
 夫婦同氏別氏の選択を可能にする民法等の改正
 に関する請願(網岡雄君紹介)(第二八三二
 号)
同月二十六日
 夫婦同氏・別氏の選択を可能にする民法等の改
 正に関する請願(永井孝信君紹介)(第二九二
 八号)
 夫婦同氏別氏の選択を可能にする民法等の改正
 に関する請願(石井智君紹介)(第二九二九
 号)
 非嫡出子差別を撤廃する民法等の改正に関する
 請願外一件(岡崎宏美君紹介)(第二九三〇号
 )
 同(常松裕志君紹介)(第二九三一号)
 同(永井孝信君紹介)(第二九三二号)
 同(和田貞夫君紹介)(第三〇五一号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 国際海上物品運送法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第六八号)(参議院送付)
     ————◇—————
この発言だけを見る →
浜田卓二郎#1
○浜田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、国際海上物品運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、趣旨の説明を聴取いたします。田原法務大臣。
    —————————————
 国際海上物品運送法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    —————————————
この発言だけを見る →
田原隆#2
○田原国務大臣 国際海上物品運送法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 現行の国際海上物品運送法は、一九二四年船荷証券統一条約に基づいて昭和三十二年に制定されたものでありますが、その後、この条約を改正するため、運送人の責任限度額の引き上げ等を内容とする一九六八年議定書が成立し、さらに、運送人の責任限度額を計算する単位を国際通貨基金の定める特別引き出し権とすることを内容とする一九七九年議定書が成立を見るに至り、これらの議定書は、これまでに英、仏等主要海運国が締結し、既に発効いたしております。
 そこで、政府におきましては、この改正議定書を批准するため、今国会においてその御承認を求めているところであります。
 この法律案は、この議定書の批准に伴い、国際海上物品運送法の一部を改正しようとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げますと、第一に、運送人は事実と異なる船荷証券の記載について過失の有無を問わず善意の船荷証券所持人に対抗することができないこととし、船荷証券の効力を強化することとしております。
 第二に、運送人の責任限度額を引き上げるとともに、責任限度額を計算する単位を国際通貨基金の定める特別引き出し権とし、また、コンテナ等を用いて運送される場合の責任限度額等についても明らかにすることとしております。
 第三に、運送人及びその使用する者の不法行為による損害賠償の責任についても、運送人の契約違反による責任と同様の免除及び軽減を認めることとしております。
 第四に、損害賠償の額の算定、運送人に故意等がある場合の特例、運送人の責任の消滅等について、議定書に合わせて、所要の規定を整備することとしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
この発言だけを見る →
浜田卓二郎#3
○浜田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    —————————————
この発言だけを見る →
浜田卓二郎#4
○浜田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小森龍邦君。
この発言だけを見る →
小森龍邦#5
○小森委員 非常に専門的な分野にわたる法律でございますので、私どもとすればごくかいつまんだことについて質問を申し上げ、まずこの知識の地ならしというようなことになろうと思います。
 今回の国際海上物品運送法の一部改正、その中身というものは、いわゆる通常の商取引のような、陸上運送などにかかわる民事責任というものとこの国際海上物品運送法に言う責任、先ほど法務大臣から何点かの説明がございましたが、ごく大まかに言いましてどういう点が相違するのか、通常我々の常識にある民事責任とどういう点が違うのか、この点を御説明いただきたいと思います。
この発言だけを見る →
清水湛#6
○清水(湛)政府委員 お答え申し上げます。
 今回のこの国際海上物品運送法による海上運送人の責任でございますけれども、御承知のように、国際海上運送というのは、多国間、外国との関係の運送でございますので、それぞれの国の法律が異なるということでは非常に不都合が生ずるということから、まず第一に、国際間において運送人の責任に関する法制を統一する、こういうことが非常に重要な目的になっているわけでございます。そういう意味におきまして、我が国の陸上運送あるいは我が国の国内における海上運送というものとは国際間の統一を目的とするためにある程度食い違いが出てくる、こういうような点も当然のことながらあるわけでございます。
 今回の改正法に従って幾つかの陸上運送人の責任との相違点を指摘いたしますと、まず第一は、航海上の過失免責及び火災免責という問題がございます、船長など運送人の使用する者の過失のうち航行または船舶の取り扱いに関する過失、これは俗に航海上の過失と言われているわけでございますけれども、そういう損害については、この国際運送については運送人は責任を負わない、こういうことになっているわけでございます。通常の場合ですと、船長あるいは運送人の使用する者は運送契約を履行するための履行補助者ということになるわけでございまして、こういう者の過失は運送契約当事者である運送人の責任になるわけでございますけれども、国際運送につきましては、そういったものについて運送人の免責を認めておる、こういうことになるわけでございます。これは国際海上物品運送に特有の免責事由でございまして、もとより陸上運送にはない免責事由でございますとともに、我が国の国内の海上運送にもない免責事由こういうことになっているわけでございます。陸上運送人につきましては、先ほど申しましたように、陸上運送人の使用する者、つまり運転手とかそういう人たちの過失はいわゆる履行補助者の過失として当然に運送人の責任になる、こういうことになります。
 それから二番目に、堪航能力という問題がございます。海上運送人は、発航の当時に船舶が航海にたえる能力を有するということに注意を尽くさなければならない義務を負うということになっております。これは国際海上物品運送法の五条でございますが、この義務に違反がございますと運送人は損害賠償責任を負う、こういうことになっております。逆に言うと、この義務に違反がないと損害賠償責任は負わない、こういうことでございます。陸上運送については商法に明文の規定はございませんけれども、運送手段であるトラック等が安全な運送にたえ得る能力を保持するということ、これは商法五百七十七条に定める運送品を運送する義務の一内容でございますので、実質的には運送人はそういう注意義務を負っているということになるわけでございます。この堪航能力の保持義務というのは、これは実は内航船に関する商法七百三十八条でも定められているわけでございまして、この点は国際海上物品運送法による堪航能力保持義務と同じでございますけれども、ただ、商法上の責任は無過失責任であるのに対して、国際海上物品運送法では過失責任とされているという点が違いがあろうかと思います。
 それから三番目に、損害賠償の額でございますけれども、海上運送人が支払い義務を負う損害賠償の額は法律で一定の限度で制限されておる、こういうことになるわけでございます。損害賠償が定型化されておる、こういうことになるわけでございます。ところが、陸上運送人の責任についても、実は商法五百八十条が同趣旨の規定を定めておりまして、この損害賠償の額については、海上運送か陸上運送かということについて実質的な違いはないということが言えようかと思います。
 ただ、この責任の限度につきましては、まさに海上運送人の責任については、運送品一包または一単位につき、今回の改正案によりますと、六百六十六・六七SDRまたは損害を受けた運送品一キログラム当たり二SDRのうちいずれか高い金額を限度とするというような責任の限度を決めておるということになっております。しかしながら、陸上運送人の責任については、このような限度額が定められていないという点が違うわけでございます。
 それから、この責任の追及をすることができる期間につきまして、海上運送人の責任は、原則として運送品が引き渡された日から一年以内に裁判上の請求がされないときには消滅するということで、これはいわば除斥期間だというふうに言われておりますが、一年以内に運送人の責任を追及しませんとその追及権は消滅する、こういうことになっております。陸上運送人についても実はこの責任は一年間で消滅するということになっておりますけれども、これは短期消滅時効というふうに解釈されておりまして、時効中断等が認められるというような問題がございます。
 それから、運送人等の不法行為責任についてでございますけれども、海上運送人及びその使用する者の荷主に対する不法行為責任につきましては、運送人の契約責任におけると同様の免除及び軽減が認められる、今回の改正法案によりますとそういうことにされているわけでございます。これは、具体的には二十条の二でございます。しかしながら、我が国におきましては陸上運送人については、このような責任の減免とか、例えば履行補助者に一定の過失があっても責任を負わないというような航海上の過失免責あるいはその他の減免事由というものは認められない、不法行為責任も契約責任も競合して責任の限度なしに認められる、こういうことになっているわけでございます。
この発言だけを見る →
小森龍邦#7
○小森委員 そうしますと、これは我が国内における船荷の運送については国内のルールに基づくし、国際的なものはこれに基づく。そして、その国際的という場合に、日本の品物を日本の船が載せる場合もその概念に入るのか、あるいは日本の船で外国の品物を運送する場合にこれが適用されるのか、その点はどうでしょうか。
この発言だけを見る →
清水湛#8
○清水(湛)政府委員 「この法律は、船舶による物品運送で、船積港又は陸揚港が本邦外にあるものに適用する。」というふうに第一条、これは改正案前の現行法でございますけれども、要するに船積み港が日本にあって、日本から外国に輸出するという形で外国へ持っていくという場合、あるいは外国の港で船積みをして日本が陸揚げ港になっておるというようないわば輸入貿易に係る輸送の場合、あるいは日本の船舶がアメリカからイギリスに商品を運ぶ、つまり陸揚げ港あるいは船積み港がともに国外にある、こういうような場合に適用されるということでございまして、その積み荷が日本のものであるかどうかということにはかかわりがなく適用される、こういうことになるわけでございます。
この発言だけを見る →
小森龍邦#9
○小森委員 私ども法律の素人がごくごく常識的に考えてみまして、国際海上物品運送法というのは、一つには国際的なことであるということと、もう一つは、一つの国から一つの国へ物が動くわけでありますからその航行距離といいますかそういうものが非常に長いので、したがって通常の常識ではいかない、事故が一つあった場合でもそれは今論議するような一つのルールによってやるんだ、こういうことではないかと思うのであります。
 しかし、我が国のように非常に細長い、沖縄から北海道まで行きますと近隣の国へ行くよりははるかに遠いわけですね。そうすると、海上の距離というものは非常に長いわけですね。そうなれば今回審議をしておる法律の中身と航行距離に対する一つの懸念というものはほぼ同じようなものがあると思うのでありますが、そういう点についてはどういうお考えでしょうか。
この発言だけを見る →
清水湛#10
○清水(湛)政府委員 この国際海上物品運送法は、要するに先ほど申しましたような国際間の運送について適用する、しかも国際間の運送でございますためにその内容を各国それぞれ統一をする必要がある、同じ内容の法律を整備する必要がある、こういうことを目的としてつくられた法律でございます。国内間の運送、例えば委員御指摘のように沖縄から北海道まであるという地域につきましても相当長期のものがあるわけでございますが、それにつきましては、これは我が国国内の問題でございますので現在の海商法の規定が適用されるということになるわけでございます。
 国際間についてこのような特別の条約に基づく法律がつくられているという背景の中には、おっしゃるとおり国際間の運送というのは非常に長距離で長期間を要する、こういう特色がある。したがいまして、これが典型的にあらわれておりますのは、先ほどちょっと御説明申し上げましたような航海上の過失、つまり一たん船会社が船を出してしまいますと後は船舶の取り扱いに関する限りは船長に任せざるを得ない。その場合、船長の船舶取り扱いの責任については、それによって生じた事故については運送人としては責任の負いようがないということで、航海上の過失については運送人つまり船会社は責任を負わないというような規定が設けられ、あるいは火災についても免責されるというような規定が設けられておりますが、これは極めて長距離及び長期間にわたってこのような航海が続くということを前提にしたものと思われるわけでございます。
 同じような状態は北海道から沖縄までという長距離かつ長期間を要するような海上運送にも考えられるのではないかというような御指摘でございますけれども、しかし、この点は国際運送と国内運送というものを区別し、しかもこの国際海上物品運送法は条約に基づいて制定されたものであるということから、そのような取り扱いの違いが生ずるということは、これは法律の整備の仕方としていたし方がないことだというふうに思うわけでございます。
 それからもう一つ申し上げますのは、国内運送の面から見ますと、むしろ、例えば先ほど申し上げましたような航海上の過失免責とかそういうようなものは国内運送については認められませんので、その意味においては国内の運送人の方が国際運送に比べて責任が重い。今回、船荷証券の効力を強化する改正をいたしましたが、やっとこれで国際間の船荷証券についての効力も国内における船荷証券の効力と同じ水準に達したということも実はあるわけでございまして、その点、条約に基づく法律というものとそうでない国内法との違いというものは、これはやむを得ないと申しますか、性格の違いから出てくることであると考える次第でございます。
この発言だけを見る →
小森龍邦#11
○小森委員 例えば、今は陸上運送でも九州福岡から東京とかあるいは東京から札幌とか、大型トラックがそっちへ向けて走っている間はトラック会社の経営者はとてもコントロールできないですね。そういう意味からすると、昔と違って今は船に対する特別な配慮をしなければならぬほど特別な事情にあるだろうか。そしてまた日本の国のように、先ほど私が例として出しました沖縄から北海道という場合もとても会社の経営者がコントロールできるものではありませんけれども、それはコントロールできるものとしての法律適用というところに大変ちぐはぐを感じるわけであります。
 しかし、国際的な問題でありますから、それに歩調を合わせるということになれば、その一点で一つの整合性みたいなものが出てくると思うのでありますが、そんなことを考えておりまして一つ疑問になってくるのは、今回の改正というのは、この改正のもとになる国際的な取り決めは随分昔のことであるように先ほども法務大臣の提案理由で聞いておりますが、どうして今日まで延々と延びたのでしょうか。その点、ひとつお尋ねしたいと思います。
この発言だけを見る →
清水湛#12
○清水(湛)政府委員 今回は、一九七九年議定書を締結する、具体的な中身としては批准もするということに伴いまして、国内法を整備するというものでございます。
 提案理由説明にもございましたように、現行法は、一九二四年の船荷証券統一条約に基づきまして昭和三十二年にこれを批准して、三十二年に制定されたものでございます。その後、一九六八年に一九二四年条約を改正する議定書が作成され、これが一九七七年、昭和五十二年に発効をした、こういう経緯がその間の中間的な経緯としてあるわけでございます。当時もう既に、この一九六八年議定書の作成が昭和四十三年、その発効が昭和五十二年でございますので、これを批准するという一つの可能性があったわけでございますけれども、しかしながら、例えば一九六八年議定書では損害賠償の限度が一万金フランというふうに定められました。ところが一九六八年あるいはこれが発効した一九七七年当時の一万フランというのは、六八年当時が約二十四万円、それから七七年でもこれが十九万くらいですか、相当の金額になる。そういう金額になりますと、現行法は十万円でございますので、恐らく二倍近く運送人の責任の限度が上がってくるというような問題が一つ実はあったというふうに私どもは考えております。
 それからもう一つは、一九六八年議定書が発効した昭和五十二年当時、この一万金フランというフランス・フランを前提とした損害賠償の限度というものは適当でない、これはIMFの特別引き出し権であるSDR単位に改める必要がある、こういうようなことから既に議定書の改定の動きというものが始まっていたわけでございます。そういうようなことから、我が国といたしましては世界の趨勢を見ていたというのが実情だと思うわけでございます。
 しかしながら、その後SDRの値が二百円を割るに至りまして、現在では百八十円前後ということでございます。責任の限度額、現行法は十万円ですが、現在のSDR価額で計算いたしまして条約をそのまま認めましても十二万円程度になるというようなことから、要するに運送人になる船主の団体等においてもそれほど抵抗感がなくなったというようなこともあろうかと思うわけでございます。
 それからまた一九六八年の改定議定書をのみ込んだ一九七九年議定書、これは今回お願いをしている議定書でございますけれども、世界の有数な海運国がこの議定書を多く批准するに至ったというような情勢の変化、そういうものを踏まえまして昭和六十三年に船主協会及び荷主協会の双方から法改正の要望が出されたということになったわけでございます。それを受けまして、法務省でこの改正作業の準備をいたしまして今回の改正をお願いいたしたというわけでございます。
 条約がつくられてから相当の期間が経過しているということでございますけれども、その間には、先ほど申し上げましたような、円高により国際面から見ますと我が国の損害賠償限度というのはそれほど大きなものにはならないということが実質的には大きな理由になっているということも言えるのではないかというような気もいたすわけでございます。
この発言だけを見る →
小森龍邦#13
○小森委員 そういう国際的な新しい取り決めを日本の国が法律として整備するというもろもろの客観的条件の変化ということはわかりますが、ここで一つ、最近の状況として私感じておりますのは、我が国の船舶保有量というものが非常に下降線をたどってきておる。その下降線をたどってきておることにつきましては、後ほど経済企画庁の方とも若干のやりとりをしてみたいと思うのでありますが、そんなことと日本の利害との関係は全くないでしょうかということが一つ。
 それから、この際一つ非常に専門的なことで、これまではハーグ・ルール・システムに基づいておったがこのたびはハンブルク・ルールだというようなことも言われておりますので、そういう言葉で表現する中身というのは、概念は非常に大きいわけなんでありまして、それも余り時間をとれませんのでごく簡単にお答えをいただき、同時に、日本の船舶保有量が少なくなったことによる何らかの国益というか、私の利益に余りこたえないから、直接国益とまで言えないかもわからないが、つまり日本の船主あるいは日本の荷主ということに焦点を当てて何らかの利益があるのか、この点をお尋ねしたいと思います。
この発言だけを見る →
清水湛#14
○清水(湛)政府委員 お手元に差し上げてあります法律案関係資料の中に総トン数等の経緯に関する資料がたしかあったと思います。これは運輸省からいただいた資料でございますけれども、確かに委員御指摘のように日本船舶の総トン数は減少傾向にあるようでございます。しかし、このことと今回の法改正とは全く関係がないというふうに私どもは考えております。今回の法改正は、あくまでも現在の実情に応じた国際ルールを取り入れるということを目的とするものでございまして、この改正法が今後日本の船舶総トン数の推移に直接影響を与えるというようなことは考えられないというふうに思います。むしろ逆に、国際的に広く受け入れられておりますヘーグ・ヴィスビー・ルールを取り入れるということが我が国海運界の国際的な信用を高めてより一層の発展に寄与するのではないかというようなことも考えられるわけでございます。
 それから、我が国の船舶の総トン数の考え方についてはいろいろな見方もあるわけでございまして、外国籍という形で船舶を所有している、つまり国籍を外国に置きながら実質的な所有は日本の船会社である、いわゆる便宜置籍船という言葉がございますけれども、そういう面からも考える必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。
 それから、今回の法改正は、一九二四年条約をヘーグ・ルール、それから一九六八年条約をヴィスビー・ルールと申しまして、ヘーグ・ルール、ヴィスビー・ルールを包摂する形で一九七九年条約ができているわけでございます。これに対しまして、実はこのヘーグ・ヴィスビー・ルールというのは運送人を有利に扱い過ぎているというような意見が出まして、主として運送人国ではなく荷主国のグループが、もっと荷主に有利な国際海上物品運送法制をつくるべきだということで、一九七八年にドイツのハンブルクで海上物品運送に関する国際連合条約というものが策定されたわけでございます。これは俗にハンブルク・ルールと言われているわけでございまして、今回の改正はハンブルク・ルールの採用を目的とするものではございません。
 ハンブルク・ルールについては、これは二十カ国の締約国等を得て本年十一月一日発効の予定でございまして、今回実質的に採用をお願いしておるヴィスビー・ルールとはかなり内容の異なったものになっております。ハンブルク・ルールというものが作成された経緯等から見ましても荷主国に有利な条約になっているわけでございます。例えば運送人の責任限度額についても、今回採用をお願いしているヴィスビー・ルールよりかは大体二五%高くなっているとか、あるいは先ほど来問題になっております航海上の過失免責を認めないとか、あるいは火災についても運送人は損害賠償責任を負うとかというようなもろもろの点があるわけでございますけれども、そういう意味では荷主側に有利な条約になっておるわけでございます。
 しかしながら、世界の貿易はヘーグ・ヴィスビー・ルールというものによって既に相当数が行われており、主要海運国、先進国はすべてこのヘーグ・ヴィスビー・ルールに加入をするという状況になっておりますので、私ども日本といたしましても、とにかくこのヴィスビー・ルールには加入する必要がある、こういうふうに思うわけでございまして、この点について船主の団体等も異論がないというふうに考えているところでございます。
この発言だけを見る →
小森龍邦#15
○小森委員 もう一、二点、ごく原則的なことをお尋ねしたいと思います。
 先ほど堪航能力という言葉が出てまいりまして、この堪航能力というものは免責規定と関係があってこういう概念が出てくるのでしょうけれども、この堪航能力を担保するというか、もちろん堪航能力が保証されなければ物事は前へ進まないわけですから、初めから沈没するような船ということは考えないわけですから、そのための船の、どう言いますか、その都度その都度の、自動車でいったら車体検査といいますか、そんなものはどういう状況で行われておるのでしょうか。それが一つ。
 それからもう一つは、先ほどの提案の中に船荷証券の統一というような言葉がございまして、私は、これほど入り乱れた複雑な貿易が行われておるのに、皆それぞれの自分の国の通貨があって、それをドルに換算するとかいろいろな形で便宜上やっておるが、この船荷を動かすということについてだけどうしてそういう特別なものが行われるのだろうか、そこにどういう便宜性があるんだろうか、この点もひとつお尋ねしたいと思います。
この発言だけを見る →
清水湛#16
○清水(湛)政府委員 堪航能力というのは、船が航海において通常遭遇するような危険にたえて安全に航海を終了できるような状態にあることと一般的には言われているわけでございます。この堪航能力を保持するということにつきましては、委員御指摘のように、いわば行政と申しますか制度面からのチェックの問題と、運送契約に伴う運送人の責任という面での二つの面があろうかと思います。
 まず、そのうちの行政面と申しますか、船舶制度面と申しますか、そういう面から申しますと、これは私どもの所管外ではございますけれども、船舶安全法という法律がありまして、この法律によりますと、国際航海に従事する通常の貨物船の船舶所有者は、船舶を初めて航行の用に供するときには、船体とか機関とか排水設備、操舵設備などについて定期検査を受けなければならない、こういうことになっているようでございます。この検査は国が行うこととしておりますけれども、実際には船舶検査を目的とする公益法人である日本海事協会が船舶技術に関する多数の専門家を抱えて行っておるということでございます。
 それから、この検査を受けますと、国から船舶検査証書が交付されまして、この船舶検査証書なしに船舶を航行の用に供するということになりますと、船舶所有者、船長は刑事罰を科せられるということになっております。
 それから、この定期検査は四年ごとに行われるということでございまして、この期間が満了しますとまた検査を受けなければならない。しかも、この有効期間内に毎年簡易な中間検査が行われるというようなことになっているようでございます。その他、臨時検査とか特別検査というような形でかなり綿密な行政的な検査体制が組まれているというふうに承知いたしております。
 それからまた、船長については、船員法八条で、発航前の航行の安全にたえ得るかどうかというような検査を義務づけておるというようなこともございます。
 こういうふうに、船舶制度上、船舶安全法あるいは船員法によりまして、船舶が常に安全な航海ができるような状態にするということが行われているわけでございますが、運送契約上は、運送人は発航の当時、船を出す当時、船舶をそういった意味での航海にたえ得る状態に置くことについて荷送り人に対して責任を負う、こういうことになっているわけでございます。この国際海上物品運送法上はそういう状態に置くことについて注意を尽くす義務が定められているわけでございますが、内国船については無過失責任が課せられている、こういうことになります。もし、この堪航能力について十分な注意を尽くさない、注意を怠って船舶が航海の途上においていろいろな事故を起こすということになりますと、これは航海上の過失であっても運送人は免責されない。一般に航海上の過失については運送人は免責されるわけでございますけれども、堪航能力を確保するための注意義務を怠るということになってそのような事故が起きるということになりますと、運送人も損害賠償責任を負う、こういうことになってくるわけでございます。
 それからもう一つの御質問は、船荷証券というようなものを統一することの意味についてでございます。
 船荷証券というのは、運送人が荷物を船積みしあるいは荷物を受け取ったときに、荷送り人の請求に基づいて発行する証券でございまして、この船荷証券が発行されますと、以後、積み荷についての権利は証券に化体されると申しますか、証券上の権利になる、つまり積み荷の売買は船荷証券の裏書譲渡という形で売買が行われるということになるわけでございます。そういう意味では手形が金銭債権を表示して、表章して、これが有価証券として転々流通するというのと同じように、貨物の請求権が船荷証券に表示されて、これが転々と流通する。そういう意味で、金銭と物という違いはございますけれども、ひとしく有価証券であるということにおいては変わりはないわけでございます。
 そこで、国際間においてこのような証券が流通をするということになりますと、例えば手形・小切手につきましてはジュネーブ条約という条約がございまして、これに基づいて各国が同じ内容の手形・小切手法というものを現在整備しているわけでございますが、国際海上の運送につきましても、国際間の問題でございますので、そういった船荷証券の効力についての内容の統一を図る必要がある。国際間の取引におきましては、そういう統一がございませんと、国によって法律が違うということになりますと国際運送も非常にトラブルに巻き込まれてしまうというようなことがございまして、このような条約が既に早くからつくられてきたというような経過になっているわけでございます。
この発言だけを見る →
小森龍邦#17
○小森委員 それでは次に経済企画庁の方にお尋ねをいたしますが、先ほど私ちょっと触れましたように、またこの資料の中にもあるようでありますが、日本の船舶保有量、船の数、隻数というのですか、一隻、二隻という隻数、それも随分減っておるが、総トン数からいっても随分減っておる。これは運輸省とか通産省とかとも深い関係があると思うのですが、私が尋ねるポイントは、日本の今日の経済力に対して自前の国際的に物を運送する能力というものがある程度照応関係になければ均衡のとれた経済力とは言えないという気持ちがしますので、日本とすればこの程度の船を保有しておくのが妥当だという指標が、ないのかもしれないが、私はなければならないと思うのであります。そんな観点から現在の傾向をどういうふうに経済企画庁はつかまれておるか、把握されておるかということをお尋ねしたいと思います。
この発言だけを見る →
柳沢勝#18
○柳沢(勝)政府委員 お答え申し上げます。
 我が国はもともと天然資源がございませんし、周囲を海に囲まれております。したがいまして、海外貿易に依存するところ大であるわけでございまして、そういった観点で我が国に海運力が必要であるということは言うまでもないところでございます。
 我が国におきます海運業の日本経済に占める比重といったものを見てみますと、近年我が国の経済規模というものは極めて大きなものになってきております。また産業構造も極めて高度化してまいっておりまして、そういう観点で申しますと、我が国の外航海運業の日本経済に占める比率というものは、昔と比べますと小さなものになってきているということがございます。
 数字で申し上げますと船員数一万人余でございまして、これは全体の就業者に対します比率で申しますとわずか〇・〇一五%でございます。運賃収入という点で二兆円ほどございますが、これもGNP比で申しますと〇・四八%にとどまっているところでございます。小森委員御指摘のように、我が国の保有船腹数は平成二年で二千四十万総トンということでございまして、ピーク時の約七〇%弱の規模にまで減少しているところでございます。この減少の原因は幾つかあろうかと思いますが、一番大きな問題は、いわゆる船員賃金の上昇、あるいは八〇年代以降の円高により我が国海運業の競争力が低下したために我が国の船を外国に売却するとか、あるいは船籍の海外登録が増加したということによるものと考えております。
 しかしながら、我が国全体の、船籍のいかんを問わず、我が国商船隊という形での積み取り比率の推移を見てみますと、現状でも輸出四七%、輸入六七%になっておりまして、この貿易量全体につきましての積み取り比率というものは従来とほぼ同様の水準を維持しているということでございまして、いわば海運の能力という意味におきましては以前とそう変わってないという現状にあろうかと思います。
 先生のお尋ねに関連するわけでございますが、我が国が望ましい海運力としてどの程度のものを経済規模との関係で持つべきであるか、こういったことに関しまして、なかなか説得的な理由はないものと存じます。かつて我が国は外貨獲得が主要な目的でございましたから、そのために、いわば外貨を獲得する手段としての海運輸送業の強化ということに取り組んでまいった時期がございます。しかしながら、今日におきましてはそういう必要性はなくなってまいりまして、そういう点で、いわば海上輸送の安全の確保でございますとか、あるいはナショナルミニマム論といったような考え方もあろうかと存じますが、そういうものを適切に示す指標というものは客観的に見て見出しがたいと存じます。したがって、我が国全体の外国の貿易量に占める積み取り比率ということが一つの基準となる比率がと存じますが、その点で申しますと一応従前の比率を維持しているというところだと存じます。
 いずれにいたしましても、海外貿易に大きく依存する我が国でございますから、今後とも安定的な海上輸送を確保するということは極めて重要なことと認識しているところでございます。
この発言だけを見る →
小森龍邦#19
○小森委員 かなり多角的に考えておられるようでありますが、私が問題としますのは、例えば我が国の鉱工業製品というものを外国に輸出する、しかしその反面農産物を輸入する、こういう構造というものがかなり顕著になってきておると思います。例えば小麦だけとってみても、相当以前から約六百万トンぐらい輸入しておるということを聞いております。結局船を外国に頼るということになると、いろいろな国際情勢の変化によって、決定的に戦争というようなことにでもなれば、これは外国から食糧を輸入しておったらなかなかうまくいかないのは目に見えたことなんでありますが、平時におきましても、何らかの状況によって外国船に頼ることができないというときに、例えば小麦の六百万トンを国内に持って帰るというようなこと、私もはっきりしたことはつかんでおりませんけれど、これは金額にして大変なもので、食料品の輸入というのは三兆数千億か四兆円近いのではないかと私は思っておりますが、莫大なものであります。
 我が国は世界最大の食糧輸入国で、それだけ国民の生命線というものをいわば海上の船に依存しておる。こんな角度から思うと、経済企画庁は我が国の船舶保有量というものに対する確固たる数字を持たれて、常にそれをにらみつつ我が国の経済構造全体との間におけるバランスというものを図ってもらわなければならぬのではないか。もちろんこれは通産省とかそこらも考えておることとは思いますけれども、言うなれば総合的な経済企画ということを担当される省庁が経済企画庁でございますから、そういう点で私は、そんなことを考えての経済指標が今ないならば、何らかの考え方を概念化したものに基づいて一定の指標をつくり出される必要があるのではないか、こういうふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
この発言だけを見る →
柳沢勝#20
○柳沢(勝)政府委員 お答え申し上げます。
 先生の御指摘のように、我が国経済の総合的な運営の責任にございます経済企画庁といたしましては、今後とも我が国経済の規模及びその産業構造、先生御指摘のような海外にかなりの食糧を依存しなければいけないといった構造、さまざまな問題を総合的に判断いたしまして、望ましい海運業の指標を見出すための努力を積み重ねていきたいと思っております。
 ただ、現状で申しますと、我が国の輸入貿易量全体に占めます日本船の積み取り比率と申しますのは、ピーク時に比べますとかなり低下しておるわけでございますけれども、それでも三、四割という水準を維持してございます。輸出につきましてはもっと低水準の積み取り比率になっておりますから、そのような点から申しますと、我が国の船腹量のかなりのものが輸入を担当するという形になってきているということを申し上げておきたいと思います。
この発言だけを見る →
小森龍邦#21
○小森委員 最後にもう一点だけ。
 いつも私、資料のことで申し上げますが、資料とかこういう議案書の説明とかで申し上げるのですが、今回はこれは国際的なことにかかわるから、どちらかというと西暦をたくさん使っておるわけです。ただ、法務大臣の説明書の三行目に、「一九二四年船荷証券統一条約に基づいて昭和三十二年」とにわかに昭和に戻ってきておるわけですね。これは、日本の国のことに関しては昭和を使うが、国際的な問題については西暦を使うという頭の中でのやや固まった法則性みたいなものでこんな使い方になっておるんだろうと思うのですけれども、しかしそれを逸脱して、時には大変てれこになったような使い方もしておる場合がありまして、これは民事局長担当の問題のみならず、この間もどこかの局長にお伝えして言うたと思いますが、やはり法則性をかっちりするということ。
 例えば一九二四年というと大正何年かなと思うのですね。大正何年かなと思うときに私はどこを計算するかといったら、一九二二年、大正十一年水平社創立ということを歴史的に知っておるから、だからこれは大正は何年だとわかるのですね。しかし、例えば私のおやじが今生きておって、何歳で、あれが明治三十九年だからこうだなというふうにやはり換算しなければいかぬのですね。余計なことを言うようなんですけれども、換算する間の時間は、日本人全体が毎日消費する脳みそのエネルギーといったら莫大なものですよ。
 だから、そこはやはり合理的にされるということが大事だと思うことと、もう一つは、やはりもう国際化の時代ですから、なるべく国際的な感覚で物が考えられたり、読むことができるようにするということが大事だということを申し上げておきますが、最後に一言そのことについて。
この発言だけを見る →
清水湛#22
○清水(湛)政府委員 大臣の提案理由説明の中で、一九二四年船荷証券統一条約とかあるいは一九六八年議定書、一九七九年議定書という西暦表示がございますけれども、これは一種の固有名詞でございまして、そういう年号で条約が特定されておるということから使わざるを得ないということでございます。「一九二四年船荷証券統一条約に基づいて昭和三十二年」というのは、これは国際海上物品運送法が昭和三十二年に制定されましたので、これは固有名詞ではございませんから昭和を使わせていただいた、こういう趣旨でございますので、お許しをいただきたいと思います。
この発言だけを見る →
田原隆#23
○田原国務大臣 小森先生のお話、閣僚の一人としてよく、まじめに承っておきます。
この発言だけを見る →
小森龍邦#24
○小森委員 それでは、終わります。
この発言だけを見る →
浜田卓二郎#25
○浜田委員長 鈴木喜久子君。
この発言だけを見る →
鈴木喜久子#26
○鈴木(喜)委員 引き続きこの法案の改正について伺いたいのですけれども、かなり専門的で、前の質問と重複する部分があると思いますが、お許しください。
 先ほどの趣旨説明の中にもありましたけれども、今回は、一九七九年の議定書、これは一九二四年のヘーグ・ルールというものに基づく、それの少しずつの改正といいますか、そういうのがあった流れの中での一九七九年の議定書を批准することに伴う国内法の改正だというふうに伺っています。
 これは、一九二四年のヘーグ、それから一九六八年のウィスビー・ルールというものも含めたような形で今回のこの七九年の条約、そのルールにすれば、六八年を批准してなくても、それも全部一応ひっくるめたような形で運用ができるというふうな形になっているというわけですけれども、今回のこの一九七九年の議定書というのは、何を二四年から段階的に改めてきたのか。明確でなかった点とか、そういったものをだんだんと明確にしていったんだろうと思うのですけれども、どういったことでこの二四年のものがだんだんと変わって現在に至っているのかという点について、簡単に説明していただきたいと思います。
この発言だけを見る →
清水湛#27
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。
 一九七九年条約というのは、実は損害賠償の限度について一万金フランとされていたものをSDR単位の六百六十六・六七SDR、こういうような形に形式的には改めたものにすぎないわけでございますけれども、同時にこの一九七九年議定書は、一九二四年及び一九六八年の議定書の内容をのみ込んだ形のものとしてこの議定書というものは存在しておるということになっているわけでございます。したがいまして、今回の改正でお願いしている点は、実質的には、このSDR単位を除きますと、一九六八年議定書で改正されたものであるということが言えようかと思います。
 大臣の方からの提案理由説明でも申し上げましたけれども、船荷証券の効力を強化するというような問題、これは具体的には、この法律案で申しますと第九条の改正の問題でございます。
 それから、責任の限度については、引き上げを図るということになっているわけでございます。実質的な引き上げというのは、一九二四年条約というのが、当時、一単位につきましてイギリス・ポンド百ポンドということになっていたわけでございますけれども、イギリスのポンドが金本位制でなくなったということを背景として、一九六八年にフランスの金フランというもので一万フランというふうに引き上げが図られた、こういうことになるわけでございます。これが、今度は七九年条約でSDRに変わったわけでございますけれども、実質的な引き上げは六八年議定書においてされておる、こういうことになるわけでございます。その中身を盛り込んだのが十三条の責任の限度に関する規定、この中にはコンテナとかパレット条項、その他いろいろなものがございますけれども、そういうものになっているわけでございます。
 それから、損害賠償の額につきましても、この国際海上物品運送法では、民法などと違いまして、相当因果関係のある損害全部ということではなくて、損害賠償の額を物品の価格によって決めるというふうに損害の額の法定化をしているわけでございますが、その点についての疑義を解消するという意味で、この法律案で申しますと十二条の二というような規定がやはり一九六八年議定書で定められておる。
 さらに、非常に大きな問題でございますけれども、運送人等の不法行為責任についての減免規定を設ける、こういうようなこと、あるいは責任追及の期間についての整備をする、こういうようなことになっているわけでございます。
 いずれも六八年議定書で定められたものでございますが、七九年議定書にいわば吸い込まれる形で七九年議定書の中身になっているものでございます。
この発言だけを見る →
鈴木喜久子#28
○鈴木(喜)委員 今私は、そのSDRの問題とか責任金額が上がったというようなことではなくて、それまで二四年のヘーグ・ルールからさまざまな海事紛争というものの存在を通じて、こういうところはもう少し責任を明確にした方がいいのではないか、かえって荷主にとってはかなり不利になるようなことであっても明確にした方がその後いいのではないかという意味で、かなりの点についてははっきりしたような形をとってきているというふうなことを考えていたわけですが、こういう形で、今回、二四、六八、六九というような形でルールが一応なされてきたのを全体として見ますと、いかに金額的には運送人に非常に重く課せられるというようなことが出てきているとしても、そのほかの免責の点等に関しますと、運送人、それからそこに働く船長以下の使用人、そういう人たちの責任については軽減または免除されている部分がかなり多くなっているのじゃないかと思うのです。
 一九七八年にこれとは別個のものとして、先ほども局長の方からもお話がありましたけれども、国連の新しいルールとしてのハンブルク・ルールと言われているものができ上がったというふうに聞いています。先ほどもお話がありましたけれども、これは、今我が国がとろうとしている一連の二つの議定書を初め条約、そういったものとの方向からいいますと、大分違った観点で、どちらかというと運送人に重く責任が課せられ、荷主に有利の方向でのものであるというふうに聞いているわけです。この荷主有利のこういったハンブルク・ルールというものについても、発展途上国が主となるとは思いますけれども既にもう二十カ国が調印されていて、それについて締約されたものについてことしの十一月から発効するという形をとられていると思うのですね。
 そうすると、こういう相対立するような二つのルールが、時も七八年と七九年ですから大体同じようなときにでき上がってきている、こういった状況について、このハンブルク・ルールの存在というものについて法務省また外務省どういうふうに考えておられるか、ほんの少しで結構でございますから教えていただきたいと思います。
この発言だけを見る →
清水湛#29
○清水(湛)政府委員 確かに一九二四年の条約、これは当時、国際海運におきましてイギリスとかああいう海運国が非常に力を持っておりまして、船荷証券についてもいろいろな免責条項を特約として付すという形で運送人に非常に有利な海上運送契約が行われておったということがございます。そういう状況を踏まえながら、できるだけ運送人の責任を重くするという方向でいろいろな協議が持たれまして、でき上がったのが一九二四年条約でございます。
 しかしながら、一九二四年条約でございますけれども、それもやはり運送人とそういう荷主グループと申しますか、そういうものを踏まえたそれぞれの国の一種の妥協の産物だったと言うことができると思います。そして、その時点におきましてはかなり運送人に有利な内容のものになっていたということが言えようかと思います。その後の世界の貿易情勢の変化を踏まえまして、一九六八年の議定書は運送人の責任を重くするという方向で作成された。先ほども申しましたけれども、例えば船荷証券の効力などにつきましてもやっと我が国商法並みの効力になったということになるわけでございます。
 そういうようなヘーグあるいはヴィスビー・ルールの流れがあるわけでございますけれども、一つには、開発途上国の方から、このヘーグ・ヴィスビー・ルールというのは余りにも運送人に有利ではないか、自分たちの国は船は余り持っていない、専ら他国の船に頼って荷物の輸出なり輸入をしておる、こういうような国からもう少し荷主側の立場を考えた国際海上物品運送ルールをつくるべきであるというような動きがございまして、国連を中心としてこれについての条約がまとめられたということでございます。これはハンブルク・ルールと俗に言われておりますが、これがことしの十一月一日から効力を生ずるということになっております。現在このハンブルク・ルールに加入している国はほとんどアフリカ諸国の国でございます。
 そういうようなヘーグ・ヴィスビー・ルールとは違うハンブルク・ルールというものが存在し、かつそれが効力を生ずる時期が近づいてきておる。そうなってまいりますと、ヘーグ・ヴィスビー・ルールの国とハンブルク・ルールの国といわば二つ存在するというような形になることが考えられるわけでございます。ただしかし、世界の主要海運国はヘーグ・ヴィスピー・ルールに従って現在国際貿易を行っておるという状況でございまして、これからハンブルク・ルールが効力を発して一体このルールに従う貿易というものがどの程度行われることになるかということになりますと、かなり量的には少ないのではないかというような見通しを述べる方もおられますし、まあしかしそれはどうなるかわからないというようなことを述べる方もおられます。しかしながら、いずれにいたしましても我が国はヘーグ・ルールに従い、ヘーグ・ルールの中身をさらに改善するためのヴィスビー・ルールというものが現にあるわけでございますから、その改善内容を取り入れるという形で世界の主要海運国が採用しているこのルールを一日も早く採用することが国際的にも重要なことであるというふうに思うわけでございます。
 ただ、将来の問題として、ヘーグ・ヴィスビー・ルールという一つのルールとそれからハンブルク・ルールというものが混在して両者相拮抗するような状況が出てまいるということになりますと、これは世界の国際海上物品運送にいろいろな混乱が生ずることも考えられるわけでございます。その時点でどういうようなルールの統一が図られるかということ、これは私どもその見通しを述べる能力がございませんけれども、いずれにいたしましても、そういう問題を抱えている分野であるということは申し上げて差し支えないのではないかと思うわけでございます。
    〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕
この発言だけを見る →
← 戻る