清水湛の発言 (法務委員会)

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○清水(湛)政府委員 堪航能力というのは、船が航海において通常遭遇するような危険にたえて安全に航海を終了できるような状態にあることと一般的には言われているわけでございます。この堪航能力を保持するということにつきましては、委員御指摘のように、いわば行政と申しますか制度面からのチェックの問題と、運送契約に伴う運送人の責任という面での二つの面があろうかと思います。
 まず、そのうちの行政面と申しますか、船舶制度面と申しますか、そういう面から申しますと、これは私どもの所管外ではございますけれども、船舶安全法という法律がありまして、この法律によりますと、国際航海に従事する通常の貨物船の船舶所有者は、船舶を初めて航行の用に供するときには、船体とか機関とか排水設備、操舵設備などについて定期検査を受けなければならない、こういうことになっているようでございます。この検査は国が行うこととしておりますけれども、実際には船舶検査を目的とする公益法人である日本海事協会が船舶技術に関する多数の専門家を抱えて行っておるということでございます。
 それから、この検査を受けますと、国から船舶検査証書が交付されまして、この船舶検査証書なしに船舶を航行の用に供するということになりますと、船舶所有者、船長は刑事罰を科せられるということになっております。
 それから、この定期検査は四年ごとに行われるということでございまして、この期間が満了しますとまた検査を受けなければならない。しかも、この有効期間内に毎年簡易な中間検査が行われるというようなことになっているようでございます。その他、臨時検査とか特別検査というような形でかなり綿密な行政的な検査体制が組まれているというふうに承知いたしております。
 それからまた、船長については、船員法八条で、発航前の航行の安全にたえ得るかどうかというような検査を義務づけておるというようなこともございます。
 こういうふうに、船舶制度上、船舶安全法あるいは船員法によりまして、船舶が常に安全な航海ができるような状態にするということが行われているわけでございますが、運送契約上は、運送人は発航の当時、船を出す当時、船舶をそういった意味での航海にたえ得る状態に置くことについて荷送り人に対して責任を負う、こういうことになっているわけでございます。この国際海上物品運送法上はそういう状態に置くことについて注意を尽くす義務が定められているわけでございますが、内国船については無過失責任が課せられている、こういうことになります。もし、この堪航能力について十分な注意を尽くさない、注意を怠って船舶が航海の途上においていろいろな事故を起こすということになりますと、これは航海上の過失であっても運送人は免責されない。一般に航海上の過失については運送人は免責されるわけでございますけれども、堪航能力を確保するための注意義務を怠るということになってそのような事故が起きるということになりますと、運送人も損害賠償責任を負う、こういうことになってくるわけでございます。
 それからもう一つの御質問は、船荷証券というようなものを統一することの意味についてでございます。
 船荷証券というのは、運送人が荷物を船積みしあるいは荷物を受け取ったときに、荷送り人の請求に基づいて発行する証券でございまして、この船荷証券が発行されますと、以後、積み荷についての権利は証券に化体されると申しますか、証券上の権利になる、つまり積み荷の売買は船荷証券の裏書譲渡という形で売買が行われるということになるわけでございます。そういう意味では手形が金銭債権を表示して、表章して、これが有価証券として転々流通するというのと同じように、貨物の請求権が船荷証券に表示されて、これが転々と流通する。そういう意味で、金銭と物という違いはございますけれども、ひとしく有価証券であるということにおいては変わりはないわけでございます。
 そこで、国際間においてこのような証券が流通をするということになりますと、例えば手形・小切手につきましてはジュネーブ条約という条約がございまして、これに基づいて各国が同じ内容の手形・小切手法というものを現在整備しているわけでございますが、国際海上の運送につきましても、国際間の問題でございますので、そういった船荷証券の効力についての内容の統一を図る必要がある。国際間の取引におきましては、そういう統一がございませんと、国によって法律が違うということになりますと国際運送も非常にトラブルに巻き込まれてしまうというようなことがございまして、このような条約が既に早くからつくられてきたというような経過になっているわけでございます。

発言情報

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発言者: 清水湛

speaker_id: 6478

日付: 1992-05-26

院: 衆議院

会議名: 法務委員会