清水湛の発言 (法務委員会)
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○清水(湛)政府委員 確かに一九二四年の条約、これは当時、国際海運におきましてイギリスとかああいう海運国が非常に力を持っておりまして、船荷証券についてもいろいろな免責条項を特約として付すという形で運送人に非常に有利な海上運送契約が行われておったということがございます。そういう状況を踏まえながら、できるだけ運送人の責任を重くするという方向でいろいろな協議が持たれまして、でき上がったのが一九二四年条約でございます。
しかしながら、一九二四年条約でございますけれども、それもやはり運送人とそういう荷主グループと申しますか、そういうものを踏まえたそれぞれの国の一種の妥協の産物だったと言うことができると思います。そして、その時点におきましてはかなり運送人に有利な内容のものになっていたということが言えようかと思います。その後の世界の貿易情勢の変化を踏まえまして、一九六八年の議定書は運送人の責任を重くするという方向で作成された。先ほども申しましたけれども、例えば船荷証券の効力などにつきましてもやっと我が国商法並みの効力になったということになるわけでございます。
そういうようなヘーグあるいはヴィスビー・ルールの流れがあるわけでございますけれども、一つには、開発途上国の方から、このヘーグ・ヴィスビー・ルールというのは余りにも運送人に有利ではないか、自分たちの国は船は余り持っていない、専ら他国の船に頼って荷物の輸出なり輸入をしておる、こういうような国からもう少し荷主側の立場を考えた国際海上物品運送ルールをつくるべきであるというような動きがございまして、国連を中心としてこれについての条約がまとめられたということでございます。これはハンブルク・ルールと俗に言われておりますが、これがことしの十一月一日から効力を生ずるということになっております。現在このハンブルク・ルールに加入している国はほとんどアフリカ諸国の国でございます。
そういうようなヘーグ・ヴィスビー・ルールとは違うハンブルク・ルールというものが存在し、かつそれが効力を生ずる時期が近づいてきておる。そうなってまいりますと、ヘーグ・ヴィスビー・ルールの国とハンブルク・ルールの国といわば二つ存在するというような形になることが考えられるわけでございます。ただしかし、世界の主要海運国はヘーグ・ヴィスピー・ルールに従って現在国際貿易を行っておるという状況でございまして、これからハンブルク・ルールが効力を発して一体このルールに従う貿易というものがどの程度行われることになるかということになりますと、かなり量的には少ないのではないかというような見通しを述べる方もおられますし、まあしかしそれはどうなるかわからないというようなことを述べる方もおられます。しかしながら、いずれにいたしましても我が国はヘーグ・ルールに従い、ヘーグ・ルールの中身をさらに改善するためのヴィスビー・ルールというものが現にあるわけでございますから、その改善内容を取り入れるという形で世界の主要海運国が採用しているこのルールを一日も早く採用することが国際的にも重要なことであるというふうに思うわけでございます。
ただ、将来の問題として、ヘーグ・ヴィスビー・ルールという一つのルールとそれからハンブルク・ルールというものが混在して両者相拮抗するような状況が出てまいるということになりますと、これは世界の国際海上物品運送にいろいろな混乱が生ずることも考えられるわけでございます。その時点でどういうようなルールの統一が図られるかということ、これは私どもその見通しを述べる能力がございませんけれども、いずれにいたしましても、そういう問題を抱えている分野であるということは申し上げて差し支えないのではないかと思うわけでございます。
〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕