小森龍邦の発言 (決算委員会)

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○小森委員 一昨年から昨年にかけて、地対財特法の延長をめぐる時期でもございましたので、国会の論議というものがかなり集中的に各委員会、本会議でも議論をされたところでありますが、その際に、同和対策審議会の答申というものを尊重するとかその精神を踏まえるとかということは、しばしば閣僚の答弁からもあるいは事務当局の答弁からも聞かせてもらったわけであります。しかし、私はこれは、かなり国会の議論というものが詰まってきたからこの時点でまた、同和対策審議会の答申を尊重するかのごとき答弁をもらうような雰囲気となったのでありますが、ひところは、ああ同対審答申は古くなった、こんな言い方で全面的に否定しようというような態度が総務庁あたりで見られたし、法務省の中にも人権担当の官僚の方が、そういう言動に走られる人もいたわけであります。
 相当これは苦労して、ちょうど憲法がうたっておりますように、この憲法が国民に保障する基本的人権というものは、人類のというか国民不断の努力によってこれを維持しなければならないというあの精神がぴったり当たると思いますが、勘定してみると、一年余りの間に同和問題及び人権に絡む議論というのは、通算すると実に百四十回も行われておるのであります。そういうことで、私は、やっと同対審答申というものはもう一度腰を据えた、こういう評価をしておるわけであります。
 そこで、もう一度法務省の人権擁護局長にお尋ねをしたいと思いますが、つまり社会啓発というものは、先ほど荒賀室長が読まれました同和対策審議会の答申の中の一番終わりごろのところの「このようなわが国の社会、経済、文化体制こそ、同和問題を存続させ、部落差別を支えている歴史的社会的根拠である。」ここのところをしっかり踏まえて人権擁護行政を行うということになれば、あなた方が行う啓発あるいは事件の解決に向けての取り組みというものは、そういう同和問題を存続させる社会の基盤というものに対して人間が能動的に働きかけていくというような解決の方向に向かわなければ、ただ事件が起きた、ちょっと注意したというようなことでは問題は解決つかないのであります。
 広島県の尾道市で起きた差別事件で、これは確信犯的なところがあるのですけれども、要するに部落の者と結婚するなということを私は子供に堂々と言うということを、家庭内で話をしただけでなくて、あちこちへ電話をかけまくるというような、そういう事件が起きたことがありますが、七年か八年たって法務省人権擁護行政はどういうことをやったかというと、七年も八年もかけて、あれはちょっと注意をしておきましたからと。正式には事件処理の規程でどういう言葉を使うのか、ここではっきり覚えておりませんけれども、民間的に言ったら、ちょっと注意しておきましたというようなことで、意識を変えることはもちろんできないが、その意識が次第に社会の習慣を改革していく、あるいはその時代の差別的思想とか差別的文化、そういう差別に対して――文化という言葉を使うのはもったいないですけれども、広義な意味においてそれは私は一つの文化の形態だと思いますが、そういうものに働きかけなかったら意味ないでしょう。
 その点やや救われるのは、つまり人権思想とかあるいは近代における自由の思想とかというものを定着させるということが人権擁護行政の、いろいろある中の一つの重要なポイントだということを先ほど局長は言われましたので、それは多少救われますけれども、しかし一番インパクトがあるのは、事件と取り組むときに、法務省人権擁護行政の中で、その考え方が間違っておると言うことと同時に、逆にそれは間違っておるということがわかったら、古い前近代的な社会の習慣その他を改革していくような、そういう方向に人間の姿勢が向かうような啓発でなければ私はいかぬと思いますけれども、その点はどうですか。

発言情報

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発言者: 小森龍邦

speaker_id: 9784

日付: 1993-04-16

院: 衆議院

会議名: 決算委員会