中村喜四郎の発言 (建設委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○中村国務大臣 建設行政の基本方針及び当面の諸施策について、私の所信を申し述べます。
 建設行政の基本的な使命は、住宅・社会資本の整備などを通じて、国土の均衡ある発展を促進し、活力ある経済社会と安全で快適な国民生活を実現することにあります。
 「生活大国五か年計画」で示された「国民一人一人が等しく豊かさとゆとりを実感できる社会」を実現していくためには、十年先、二十年先を見据えて国土の均衡ある発展を図り、東京への一極集中構造を是正することが何よりもまず基本であります。
 全国の各地域がその活力を十分に引き出し、そこに住む人々が誇りと生きがいを持ちながら豊かさを実感できる地域社会をつくるため、国と地方がそれぞれの役割と責任を踏まえ一丸となって取り組むことが肝要であると考えております。改めて、地方の創意工夫と自主的な努力が問われていると言えますが、国においても、国土政策としてこれを支援し、地域の持つ潜在的な活力を開花させるための根幹的な基盤施設の充実や大都市地域における広域的な居住環境の整備等を強力に推進するための具体的取り組みが強く求められていると痛感しております。
 国の公共事業の約七割を所管する建設省は、生活大国を実現するために、最も基幹的な行政分野を預かり、重要な役割を果たしていくべき大きな責務を負っているものと考えております。
 私は、この責務を真正面から受けとめ、建設省、関係公団一体となって、多極分散型国土の形成と地方の活性化、ゆとりある住生活の実現、豊かな環境の創造等を特に重点とし、二十一世紀の世代に引き継ぐべき社会共通の財産としての住宅・社会資本の整備に全力を挙げて取り組んでまいります。
 現在、我が国の経済は、極めて厳しい状況に直面しており、一日も早く景気の回復を図ることが必要となっておりますが、公共投資基本計画の着実な実施を通じて住宅・社会資本の整備を推進することは、経済を活性化させ、内需を中心とした持続可能な成長を実現していく上でも極めて重要であります。
 このため、今年度当初予算の可能な限りの前倒し執行を実施するとともに、総合経済対策に基づき、補正予算による追加事業を含め、所管事業の円滑な実施に尽力しているところであります。さらに、こうした努力に引き続き、平成五年度の政府予算案における建設省関係の一般公共事業について、厳しい財政事情のもとでの景気対策にも十分配慮し、生活関連重点化枠、財政投融資資金の積極的活用などにより、公共投資基本計画の着実な達成に向けて必要な規模を確保いたしました。
 以下、当面の諸施策について申し述べます。
 第一に住宅宅地対策であります。
 住宅は、家族の団らんの場であり国民生活の基礎となるものであります。このために、ゆとりある住生活の実現を目指し、第六期住宅建設五カ年計画に基づき、良質な住宅ストックと良好な住環境の形成、大都市地域の住宅問題の解決、高齢化社会への対応など総合的な施策を展開してまいります。
 特に、大都市地域においては、住宅宅地の供給に関する基本方針及び供給計画に基づき、国、地方公共団体等が一体となって、住宅宅地供給のための広域的な取り組みを進めてまいります。特に、住宅・都市整備公団による中堅勤労者向けの住宅宅地供給については、地方公共団体との連携のもとに引き続き積極的推進を図っていく考えであります。
 さらに、「生活大国五か年計画」に掲げられた居住水準の向上と勤労者世帯の平均年収の五倍程度で良質な住宅取得が可能となることを目指し、土地対策の着実な推進や多極分散型国土の形成とあわせ、住宅取得能力の向上のための住宅金融公庫の融資、住宅関係税制の拡充などの施策を推進してまいりたいと考えております。また、国民の良質な賃貸住宅に対するニーズに的確に対応し、特に中堅所得者に対する供給を促進するため、新たに特定優良賃貸住宅供給促進事業制度を創設することとしております。
 良好な住環境を備えた住宅を確保するためには、総合的な宅地対策を推進していかなければなりません。このために、計画的な宅地供給に必要となる関連公共公益施設の整備の促進と開発許可制度の適切な運用等に努めつつ、住宅・都市整備公団などによる公的宅地開発や住宅金融公庫融資などを活用した優良な宅地開発の促進を図るとともに、市街化区域内農地の良好な住宅市街地への転換、既成市街地における低・未利用地の有効利用などを図ってまいります。
 第二に、地方の活性化であります。
 国民が生活の豊かさとゆとりを等しく実感できるようにするためには、一極集中を是正し、国土の均衡ある発展を図ることが基本であります。これまでも、多極分散型の国土の形成を図る観点から、一万四千キロメートルの高規格幹線道路網の整備に積極的に取り組んできているところでありますが、これとあわせて、さらに、地方定住の核となるべき地方都市の育成と周辺地域との連携の強化により、地域全体として活性化を図ることが重要であります。
 このため、新たに施行された地方拠点都市法に基づき、都市機能の増進と居住環境の向上を促進する措置を講じることなどにより、活力と魅力のあふれる地方拠点都市地域の重点的な整備を推進してまいります。また、地方定住の促進と良好な地域社会の形成に資する住宅宅地の供給を進めるとともに、地域の連携強化を図るよう、地域高規格道路を軸とした幹線道路ネットワークの充実などに取り組んでまいります。
 第三に、環境対策であります。
 近年、地球規模の環境問題に対する国民の関心が高まりつつある中で、環境対策への取り組みは、建設行政の推進に当たって、大変重要なものとなっております。
 このため、環境との共生を基本として、住宅・社会資本の整備や適正な土地利用、建築規制等を実施し、安全快適、潤いのある居住環境の積極的な形成を図ってまいります。また、町づくりにおける環境計画の策定を推進するとともに、省資源、省エネルギー化、生態系の保全、良好な景観の形成保全などに配慮した諸施策の充実強化に取り組んでまいります。
 第四に、都市政策であります。
 本格的な都市化社会を迎えている中で、東京圏を中心とする大都市地域においては、地価の下落傾向は見られるものの、住宅問題、交通渋滞、都心部の空洞化等が一層深刻化する一方、地方においては、人口の減少等の問題が依然として続いております。また、国際化、情報化、高齢化等の経済社会の大きな潮流変化の中で、都市の居住環境に対する国民のニーズは、さらに多様化、高度化してきております。
 このため、街路、公園、下水道等の都市基盤施設の計画的な整備の推進、土地の有効・高度利用の促進を図る市街地再開発事業、土地区画整理事業等の一層の拡充、改正された都市計画法及び建築基準法の適正な運用とともに、大都市地域において都市高速交通網の拡充、住宅宅地供給の促進のための土地区画整理事業制度の見直しを図ることなどにより、総合的、計画的な都市整備を推進してまいります。
 さらに、近年強く求められている駐車場の計画的な整備の推進、魅力とにぎわいのある商業市街地の整備振興、物流形態の変化に対応した流通業務市街地の整備を促進するとともに、民間都市開発事業への積極的な支援、都市の防災構造の強化を推進してまいります。
 また、行政需要に即応し、都市環境の形成に寄与する官庁施設を計画的に整備してまいります。
 第五に、道路の整備であります。
 道路はあらゆる国民生活、社会経済活動を支える根幹的な社会資本でありますが、その整備は依然として立ちおくれた状況にあります。
 このため、総投資規模七十六兆円から成る第十一次道路整備五カ年計画を策定し、「生活者の豊かさの向上」、「活力ある地域づくり」、「良好な環境創造」の三つを主要な課題として、緊急かつ計画的な道路整備を推進してまいります。また、その際、一般財源の投入拡大とあわせて、道路特定財源制度を堅持充実するとともに、均衡ある国土を形成し、地域間の交流を促進するため、高規格幹線道路と地域高規格道路の整備を積極的に推進してまいります。
 また、新渋滞対策プログラムを策定し、総合的な渋滞対策を推進するとともに、幅の広い歩道、駐車場、駐輪場省との整備、道路緑化の促進により、都市生活の安全性、利便性の向上などを図ってまいります。
 さらに、道路整備五カ年計画とあわせ、第十次積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画と第八次奥地等産業開発道路整備計画を策定し、雪国における冬季交通確保のための道路の整備と山間、奥地などの産業開発の基盤となる道路の整備を推進することとしております。
 第六に、国土の保全と水資源の確保であります。
 我が国の国土は、洪水、土砂災害などに対して極めて脆弱であるにもかかわらず、治水施設の整備水準は依然として低く、毎年のように全国各地で激甚な災害が発生している状況にあります。
 このため、五カ年計画に基づき、大規模治水事業、地域の活力を支える治水対策、海岸保全対策等の着実な推進を図ってまいります。また、新たな総投資規模を一兆千五百億円とする第三次急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を策定し、がけ崩れ災害のない安全で安心できる生活基盤の確保などに努めてまいります。
 さらに、豊かな生活を支える水資源の計画的な確保に努めるとともに、潤いのある美しい水系環境の創造に努めてまいります。

 また、異常災害に備え、地域社会における高い安全性を確保するために、高規格堤防の整備、異常渇水対策、火山噴火対策等を積極的に推進するとともに、災害復旧などの災害対策の着実な実施に努めてまいります。特に、雲仙・普賢岳の噴火災害については、現在なお二千名を超える方々が避難生活を強いられているところでありますが、砂防対策などを国の直轄事業として進めるほか、今後とも地元地方公共団体などと十分に連携をとりながら、将来の防災地域づくりと地域の振興に向けて的確に取り組んでまいります。
 第七に、建設産業、不動産業の振興であります。
 建設産業は、国土建設の重要な担い手であり、若者が魅力を感じる活力ある産業として健全な発展を図るとともに、技術と経営にすぐれた企業の育成を図っていく必要性があります。このために、第二次構造改善推進プログラムに基づき、雇用労働条件の改善と人材の確保育成、生産性の向上、不良不適格業者の排除等の諸施策に具体的に取り組んでまいります。
 とりわけ、建設工事の安全確保につきましては、これまでも、さまざまな対策を講じてきているところでありますが、去る二月一日、東京都江東区内の水道工事現場において四名のとうとい命が失われるという重大な事故が発生いたしましたことは、まことに残念なことであります。お亡くなりになりました方々に対し衷心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、改めて安全対策の徹底の必要性を痛感したところであります。直ちに同様な事故の未然防止のために緊急点検を行うよう指示いたしましたが、さらに、工事発注における安全の配慮、建設業者の施工管理体制の充実など、きめの細かい安全対策を一層強力に推進してまいります。
 不動産業については、国民生活に密着した重要な産業として、その健全な発展を図るために、引き続き宅地建物取引業者の資質の向上と業務の適正化等を推進するために、新不動産業ビジョンに基づき、不動産流通市場の整備などの諸施策を推進してまいります。
 また、公共用地の取得を円滑に進めるために、引き続き土地の先買い制度、特定公共用地等先行取得資金融資制度などを積極的に活用することにより、総合的な公共用地対策を推進してまいります。
 さらに、建設事業の円滑な執行を図るために、省エネルギー化、施工現場の無人化、省人化や、建設副産物の発生抑制、再利用化などの技術開発を重点的に推進するとともに、新しい技術を直轄事業の中で積極的に活用してまいります。また、労働力、資材力の需給動向などを的確に把握し、適正な積算、工期設定に努めてまいります。
 近年、国際社会における我が国の果たすべき役割がますます重要となっていく中で、建設省としても、開発途上国への国際協力、国際機関や諸外国との国際交流の推進に積極的に取り組んでいるところでありますが、今後とも、経済技術協力や海外研修生の受け入れを一層推進していくとともに、地球環境問題や建設市場の国際化に的確に対応していくこととしております。
 以上、私の所信を申し述べましたが、その推進に当たっては、所管行政の簡素化、効率化を図るとともに、綱紀の保持に努め、国民の信頼と期待にこたえる所存であります。
 委員長を初め委員各位の御指導と御鞭撻とをお願いいたします。(拍手)

発言情報

speech_id: 112604149X00219930217_002

発言者: 中村喜四郎

speaker_id: 23424

日付: 1993-02-17

院: 衆議院

会議名: 建設委員会