井上孝の発言 (建設委員会)

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○井上国務大臣 国土行政の基本方針及び当面の諸施策について、私の所信を申し上げます。
 我が国は、第二次世界大戦後、国民のたゆまぬ努力により他の先進国に類を見ない高い経済成長を遂げ、その経済規模や一人当たり国民所得は世界有数のものとなりました。
 しかしながら、このような我が国の経済的発展にもかかわらず、大都市を中心とした低い居住水準、交通の混雑等の問題や、高い物価水準、長い労働時間、住宅・社会資本整備のおくれ等国民生活に直結する諸問題を背景に、国民は真の豊かさ、ゆとりを享受していないのではないかとの認識が広まっております。また、我が国経済は、現在極めて厳しい状況にあります。こうした中で、一日も早く景気の回復を図るとともに、国民一人一人が真の豊かさとゆとりを実感できる生活大国の実現を図っていくことが強く望まれております。
 このような状況を踏まえ、今後、生活大国の実現を図る上でますます重要な役割を果たすと考えられる国土行政を、一層総合的かつ強力に推進するために、私は次に述べる諸施策を積極的に推進してまいる所存であります。
 第一は、第四次全国総合開発計画、いわゆる四全総の推進であります。
 四全総の着実な実施により東京一極集中を是正し、多極分散型の均衡ある国土の発展を図っていくことが極めて重要であります。このため、多極分散型国土形成促進法に基づく振興拠点地域の開発整備、本社機能を持つ事務所の東京都区部からの分散、高速交通体系の整備等の諸施策の一層の推進を図ってまいります。
 また、公共事業の一層効率的かつ整合的な執行を図るとともに地域振興プロジェクトなどの公共事業を積極的に推進するため、国土総合開発事業調整費の活用を図ることとしております。さらに、グローバリゼーションの一層の進展、出生率の低下等の経済社会情勢の変化を踏まえ、長期的視点からの国土政策の対応方向を明らかにするため、四全総の総合的点検を引き続き推進してまいる所存であります。
 第二は、総合的な土地対策の推進であります。
 土地対策は、生活大国の実現を図る上で重要な課題の一つであり、これまでも土地基本法にのっとり今後の総合的な土地政策の基本指針として平成三年一月に閣議決定した「総合土地政策推進要綱」に従い、各般の施策を総合的に実施してきたところであります。
 最近の地価動向については、大都市圏においては顕著な下落を示しており、また、地方圏でも、下落または横ばいの傾向にあります。しかしながら、大都市圏の地価は、勤労者世帯が平均年収の五倍程度を目安に良質な住宅の取得が可能となるにはなお高い水準にあります。このような状況を踏まえ、二度と地価高騰を生じさせることのないよう、土地神話の打破、適正な地価水準の実現、適正かつ合理的な土地利用の確保等を図るため、引き続き「総合土地政策推進要綱」に従い、需給両面にわたる総合的な土地対策を着実に推進してまいります。
 第三は、大都市圏整備の推進であります。
 大都市圏における良好かつ安全な都市環境の整備と圏域全体の秩序ある発展を図るため、大都市圏整備計画等の実施の積極的な推進を図り、大都市地域の総合的居住環境の整備、低・未利用地等の有効・高度利用の促進、事務所、工業、大学等の適正配置を進めてまいります。
 また、東京圏における多核多圏域型の地域構造を形成するための業務核都市の整備を進めるとともに、筑波研究学園都市の総合的な育成整備、関西文化学術研究都市の建設、琵琶湖総合開発事業の計画的な実施、関西国際空港関連施設の整備等各圏域における主要プロジェクトを推進してまいる所存であります。
 さらに、大阪湾ベイエリアの開発整備につきましては、前国会で成立しました大阪湾臨海地域開発整備法に基づき、関係省庁等と協力し、基本方針の策定等その推進を図ってまいります。
 国の行政機関等の移転につきましては、平成三年十月の国の機関等移転推進連絡会議の申し合わせに基づき、その促進に努めるとともに、特に埼玉県大宮・与野・浦和地区への国の地方支分部局の集団的移転についてはその具体化を図るなど、今後も着実にその実施を図ってまいります。
 また、首都機能の移転問題につきましては、前国会において国会等の移転に関する法律が成立したところであります。国土庁としては、今後、同法に基づく国会等移転調査会の早期発足及び調査会における調査審議の円滑な推進に努めてまいりたいと考えております。
 第四は、地方振興の推進であります。
 地方の積極的な振興により、人工の地方定住と多極分散型国土の形成を推進することは内政上の重要課題であり、生活大国への前進に重要な役割を果たします。
 このため、各地域の個性を生かしつつ、都市と農山村が一体となった地方の積極的な振興を進めることとし、昨年制定されました地方拠点法の円滑な施行を初めとする各種の施策を推進してまいります。
 また、人口減少、高齢化の進展等により農林地の保全、地域社会の維持が困難となっている中山間地域を中心として、地域の特性に即した農林業等の事業の振興及び豊かで住みよい農山村の育成を図ってまいります。
 さらに、各地方開発促進計画に基づく振興施策及び地方産業振興のための各種の施策を推進するとともに、総合保養地域につきましては、地域振興への寄与、自然環境の保全の徹底等を図り、地域の特色豊かな国民に真に望まれるリゾートの整備を進めてまいります。
 自然的、社会的に厳しい状況にある過疎地域、半島、山村等につきましては、各般の振興施策を推進し、特に、豪雪地帯及び離島につきましては、昨年の法律改正を受けました新たな振興対策を積極的に実施してまいります。また、奄美群島及び小笠原諸島に関する特別措置法が平成五年度末に期限を迎えるに当たり、今後の両地域の振興開発方策について検討を進めるとともに、各般の振興対策を推進してまいります。
 第五は、災害対策の推進であります。
 災害から国土を保全し、国民の生命と財産を守ることは、国の重要な責務であります。
 このため、関係省庁との緊密な連携のもとに、各般にわたる災害対策を総合的かつ計画的に実施し、災害に強い国土づくりに努力してまいる所存であります。
 このうち震災対策につきましては、東海地震対策を引き続き推進するほか、南関東地域直下の地震対策に関する大綱の推進など震災対策の一層の充実に努めてまいります。また、火山対策や土砂災害対策等についても、総合的な対策を推進するとともに、防災無線網の充実強化、防災情報の有効活用、防災訓練等を通じた国民の防災意識の高揚等に努めてまいることとしております。
 この中で、雲仙岳噴火災害につきましては、二十一分野にわたる被災者等救済対策を強力に推進し、地元地方公共団体とともに地域の再建復興を進めてまいります。また、釧路沖地震につきましても、関係省庁一丸となって、災害発生後直ちに現地調査を実施し、応急対策及び被災地の早期復旧等に全力を挙げております。能登半島沖地震につきましても、適切に対応してまいります。
 第六は、総合的な水資源対策の推進であります。
 水需給の安定を図るため、全国総合水資源計画及び各水資源開発基本計画に沿い、水源地域対策の充実を図りつつ積極的に水資源開発を推進してまいります。
 また、国民の水資源に対する意識の高揚を図るとともに、地下水利用の適正化、雑用水利用の促進などの水資源の有効利用及び水資源の保全に努めてまいります。
 最後に国際協力の推進であります。
 我が国が国際社会に貢献していくためには、国土庁といたしましても、所管の行政分野で積極的な国際協力を実施していく必要があります。このため、国連が定めた一九九〇年から始まる国際防災の十年について、明年に日本で開催される世界会議を初めとして、六十年の活動に積極的に取り組んでいくとともに、居住や防災分野での開発途上国に対する支援などを推進することとしております。
 以上、国土行政に関する所信を申し述べましたが、これらの施策の強力な推進に全力を挙げて取り組んでまいりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

発言情報

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発言者: 井上孝

speaker_id: 21875

日付: 1993-02-17

院: 衆議院

会議名: 建設委員会