池田元久の発言 (政治改革に関する調査特別委員会)

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○池田(元)委員 政党制というのは、各国のまさに全体のあらわれ、伝統、文化、社会、経済、そういったものを映しているんじゃないかと思うのです。イギリスでは、有産階級と労働者階級という社会内溝、クリビッジと言うらしいのですが、それによって保守党と労働党という二大政党が形づくられているわけです。
 現在の日本では、こういった階級、宗教といった深い溝はほとんどないことは御承知のとおりです。しかも、冷戦の終結によって、政党間の観念的な対立軸はもう意味を失ったのではないかと思います。それにかわって、最近よく言われますが、生産者サイドか需要者サイドか、中央か地方か大きな政府か小さな政府が、さまざまな政策対立軸があるわけです。それに加えて、環境とか人権問題等で新しい対立の軸が生まれているわけです。このように多様な対立軸が生まれているわけですから、政党はどうしても多党制、マルチパーティー・システムにならざるを得ないのではないかというふうに考えます。
 第一に、脱イデオロギーの時代には、従来の対立型ではなくて、コンセンサスの形成に当たって十分な納得を必要とする協調型の、よく言いますね、自民党内閣でも、対話と協調とかね、そういう協調型の政治が望まれるわけです。対立を際立てる二大政党制よりも、ヨーロッパの主要国を見ても実際は四つぐらいの政党配置が多いのですが、我が国では五つですが、そういった多党制の方が、こうした点ではよりよいのではないかというふうに考えます。
 そしてさらに第二には、わずか二つの政党では多様な国民の意見を吸収することは難しいことは、これは明白です。イギリスでは、社会自由党というのが出現しました。また去年のアメリカの大統領選挙では、ペロー現象なども起こりました。こういったことから、二つの政党でくくるというのはなかなか、なかなかといいますか、現状にマッチしないということが言えるのではないかと思います。
 第三に、二大政党の対立のもとでは、政権交代のたびにスイングするわけですね。第一党が相対多数で連立を組むことで、むしろ国民のコンセンサスの幅を広げることができるのではないかと思うわけです。こうした多党制にふさわしい選挙制度が何かというふうに皆さんにお尋ねすれば、答弁を求めなくても、多くの党の中から支持政党を選択して議会に代表を送り込める比例代表制であることは明白ではないかと思います。
 さて次に、選挙制度の比較を若干してみたいのですが、これまで私は小選挙区制は政権交代の可能性を高めるとか、比例代表制では政権が不安定になるというのは神話にすぎない、こうしたことはもうこれまでの議論で明らかになったと思います。こういったことから離れて、それぞれの選挙制度を客観的に比べますと、まず小選挙区制は、比較第一党に極めて有利に作用する制度だというふうに言われております。逆に言うと、第一党に得票率以上に議席を与えるかわりに、第二党以下に多くの死に票が出ることは明らかです。
 その甚だしい例が、お手元に配ってあるのですが、この資料の上の方を見てください。イギリスでは、一九五一年の選挙では、労働党に投票した者は保守党の支持者より〇・八%多かったのですが、議席は逆に、保守党三百二十一に対して労働党は二百九十五でありました。一九七四年にも、得票率と議席数が逆転して、労働党の議席が保守党を上回ったということがあります。こうしたことが今世紀になって、イギリスの選挙では二十六回の選挙のうち四回も起きている。また、カナダやニュージーランドでも起きておりまして、ニュージーランドでは、こうした逆転現象が併用制の選挙制度を変えようというきっかけになっているわけです。小選挙区制では、全国民の多数意見の方が死に票になって少数意見の方が政権を担当することになることが時々起こるというわけです。
 ただ、小選挙区制の欠点はいっぱいあるんですが、そればかり言わなくてもいいと思うんですが、小選挙区制にも、候補者の顔がよく見えて候補者の人を吟味できるというメリットがあると思います。ですから、非常に自民党の皆さんみたいに単純な、短絡的な思考ではなく、両方をよく考える必要があるのではないかと思います。比例代表制は、得票率と議席数の開きがなく、現代社会の多様な民意を正確に反映する制度と言っていいのではないかと思います。しかし、比例代表制も、比例選挙区を大きくすればするほど候補者の数が多くなって、顔が見えにくくなる。
 そういった点を、両者を冷静に判断して、やはり選挙制度に完全無欠ということはないんですけれども、私は、民意を正確に反映する比例代表制を基本に、候補者の顔が見える小選挙区制を併用した社公提案の形が、今ある中で一番いいというふうに考えるわけです。
 この点について端的に、小渕さん、いかがでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

発言情報

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発言者: 池田元久

speaker_id: 27942

日付: 1993-04-20

院: 衆議院

会議名: 政治改革に関する調査特別委員会