政治改革に関する調査特別委員会

1993-04-20 衆議院 全215発言

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会議録情報#0
平成五年四月二十日(火曜日)
    午前九時三十分開議
出席委員
  委員長 田邉 國男君
   理事 大島 理森君 理事 北川 正恭君
   理事 中西 啓介君 理事 野田  毅君
   理事 浜田卓二郎君 理事 左近 正男君
   理事 堀込 征雄君 理事 伏木 和雄君
      石井  一君    衛藤征士郎君
      大原 一三君    奥野 誠亮君
      佐藤謙一郎君    坂本 剛二君
      自見庄三郎君    島村 宜伸君
      武村 正義君    津島 雄二君
      額賀福志郎君    葉梨 信行君
      深谷 隆司君    穂積 良行君
      細田 博之君    増子 輝彦君
      山本 有二君    阿部未喜男君
      池田 元久君    岩垂寿喜男君
      大畠 章宏君    菅  直人君
      小林  守君    鈴木喜久子君
      田並 胤明君    土井たか子君
      細川 律夫君    松前  仰君
      河上 覃雄君    北側 一雄君
      草野  威君    木島日出夫君
      川端 達夫君    小平 忠正君
 出席政府委員
        自治大臣官房審 谷合 靖夫君
        議官
        自治省行政局選 佐野 徹治君
        挙部長
 委員外の出席者
        議     員 伊吹 文明君
        議     員 石井  一君
        議     員 小渕 恵三君
        議     員 塩川正十郎君
        議     員 武村 正義君
        議     員 津島 雄二君
        議     員 西岡 武夫君
        議     員 額賀福志郎君
        議     員 深谷 隆司君
        議     員 小澤 克介君
        議     員 佐藤 観樹君
        議     員 早川  勝君
        議     員 細川 律夫君
        議     員 松原 脩雄君
        議     員 井上 義久君
        議     員 北側 一雄君
        議     員 日笠 勝之君
        議     員 渡部 一郎君
        衆議院法制局第 内田 正文君
        一部長
        衆議院法制局第 臼井 貞夫君
        一部副部長
        自治省行政局選 松尾 徹人君
        挙部管理課長
        自治省行政局選 中野 正志君
        挙部管理課長
        自治省行政局選
        挙部政治資金課 大竹 邦実君
        長
        特別委員会第二 田中 宗孝君
        調査室長
    —————————————
委員の異動
四月二十日
 辞任        補欠選任
  戸塚 進也君    山本 有二君
  後藤  茂君    鈴木喜久子君
  細川 律夫君    松前  仰君
  鍛冶  清君    草野  威君
  山口那津男君    河上 覃雄君
  川端 達夫君    小平 忠正君
同日
 辞任        補欠選任
  山本 有二君    坂本 剛二君
  鈴木喜久子君    後藤  茂君
  松前  仰君    細川 律夫君
  小平 忠正君    川端 達夫君
同日
 辞任        補欠選任
  坂本 剛二君    戸塚 進也君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 公職選挙法の一部を改正する法律案(梶山静六
 君外二十三名提出、衆法第六号)
 衆議院議員選挙区画定委員会設置法案(梶山静
 六君外二十三名提出、衆法第七号)
 政治資金規正法の一部を改正する法律案(梶山
 静六君外二十三名提出、衆法第八号)
 政党助成法案(梶山静六君外二十三名提出、衆
 法第九号)
 公職選挙法の一部を改正する法律案(佐藤観樹
 君外二十四名提出、衆法第一〇号)
 衆議院議員小選挙区画定等審議会設置法案(佐
 藤観樹君外二十四名提出、衆法第一一号)
 政治資金規正法の一部を改正する法律案(佐藤
 観樹君外二十四名提出、衆法第一二号)
 政党交付金の交付に関する法律案(佐藤観樹君
 外二十四名提出、衆法第一三号)
     ————◇—————
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田邉國男#1
○田邉委員長 これより会議を開きます。
 梶山静六君外二十三名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員選挙区画定委員会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案並びに佐藤観樹君外二十四名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員小選挙区画定等審議会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党交付金の交付に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 本日は、特にテーマ別質疑として、梶山静六君外二十三名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び衆議院議員選挙区画定委員会設置法案並びに佐藤観樹君外二十四名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び衆議院議員小選挙区画定等審議会設置法案の各案について質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。穂積良行君。
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穂積良行#2
○穂積委員 おはようございます。
 先週の衆議院本会議及び当特別委員会におきましてのまことに画期的な真剣な議論を通じまして、選挙制度に関しましてはほぼ議論が出尽くしつつあるのではないかと思います。特に派閥及び金権政治をもたらしたとされている現行の中選挙区制度について、これを改めるべきかどうかということと、それから、これを改める場合に、提案されている自民案、社公案のいずれをとるべきか。また、それぞれの長所と短所についてはどう見るべきかということについて議論がされたわけでありますが、その結果明らかになりましたのは、自民案、社公案いずれも双方が、それぞれみずからの提出案を最善案であると主張されて対立していると事実であります。
 私は、お配りいただいていると思いますが、質問要旨をごらんいただければおわかりいただけると思います。基本的立場は、こうした状況の中で自民案、社公案それぞれを固執して歩み寄らずに、いずれも不成立に終わらせてよいのか、それでは国民が納得しないのではないか。我々は今こそ、英知を結集して、真剣に検討を進めて、これを打開する、すなわち何とか合意を目指して検討を進めるということが必要だろうと思います。そうして、政治改革の柱としての選挙制度改革を実現すべきであると思います。こうした立場で私は質問をさせていただきます。
 なお、肝心なことでありますが、もし真剣に政治改革を考えるならば、政治日程をどうしても頭に置かなければなりません。もうわかり切ったことですが、来年二月には我々は任期切れとなります。待ったなしの期限であります。次の総選挙から新しい制度を実施しようとすれば、選挙区割りの法律措置やら周知期間やら、あるいは各党の候補者選定といったいろいろな難しい問題をクリアした上で選挙をしなければならない。そうした必要な期間を考えますと、今国会で成立させるとすれば、できるだけ早期に成立させなければならないと思います。そして、間に合わないということで、今度の選挙を新制度で行わずに次の次の選挙からやろうというようなことになったら、どうなるかわからない。現行制度のもとで選出された国会でどういう議論になるか。ここは、鉄は熱いうちに打てということわざを念頭に、真剣に早期に焦点を絞って、建設的な話し合いを進めるべきだと思います。
 それでは、まず確認的にお伺いしますが、自民党側は、自民党案を妥協なしに成立させる可能性は、私はこれまでの論議を通じてこれはないと思いますが、いかがでしょうか。仮に衆議院で自民党が多数決で通しても、参議院に送った場合に、参議院の現状からはこれは野党の諸君、これを同意して可決に持ち込むということはまずないのではないかと思います。これは、今お話がありましたけれども、常識だと思います。しかし一方、自民党側は、社会党、公明党が提出された案について、自分たちの党内をクリアしてこれに全くそのまま同意するという可能性はあるでしょうか。これはまた、全くないと私は思います。
 この辺について、まず塩川先生いかがでしょうか、簡単にお答えいただきたいと思います。
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塩川正十郎#3
○塩川議員 穂積さんには大変真剣に、深刻に考えていただいていることを感謝いたします。しかし、我々は自由民主党といたしまして、長年にわたりまして議論に議論を重ねまして、現在の案が最良の案として提出した法律案でございますので、そう簡単にあきらめないで、ひとつ真剣に野党の皆さん方もぜひこれに賛同してくれるように働きかけていきたいと思っておりますし、またその努力も重ねたいと思っております。
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穂積良行#4
○穂積委員 それでは、このことについて社会党さん、公明党さん、いかがごらんになっておられるでしょうか。
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佐藤観樹#5
○佐藤(観)議員 先週十二日に本会議で質疑を始め、当委員会としては二日間総括質疑をやったわけでございます。この時点で、私たちが党内的にもいろいろ議論を積み重ねてやってまいりました小選挙区併用型の比例代表制、最も私たちは合理的だと思っているわけでございます。自民党さんが六割とりたければ、小選挙区二百に比例代表戸とればちゃんと六割とれるわけでありますから、初めから六割を組み込むというようなそういう案ではなくて、その意味では国民の民意を極めて正確に反映をする案だということで、私たちは自信作でございますから、より論議を深めていただいて、ぜひ私たちといたしましてもこの最善策を実現させていくというのが、私たちに課せられた責任だと思っております。
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渡部一郎#6
○渡部(一)議員 お答えいたします。
 穂積先生の多年にわたる御所論につきましては、人づてに承っていたことはございましたが、きょうこうして直接お目にかかってお話を伺う。チャンスを得まして、初めて明快な形で承りました。御所論のほどに敬意を表するものでございます。
 私どもといたしましては、ただいま佐藤委員からお返事をいたしましたように、社公案につきましては一つの理想的な形で練り上げたものでございまして、これはなかなかのものであると実は自負をいたしているわけでございます。論議の途中で、単純小選挙区制というのは相当無理のあることもかなり率直に申し上げましたので、議会の中におかれる各議員におかれましても、相当その意見に賛同してくださる方もふえてきたという気分を持っているわけでございます。しかしながら、今穂積議員がおっしゃいましたように、私どもが旧来型の論議をいたすといたしますならば、衆議院と参議院で両方とももうつぶれてしまう、廃案になってしまう。そして、国民の一番怒っておられますところの政治不信というものがますます増幅することは明らかでございまして、そのような事態にならないように、私たちは全力を挙げて進む必要があるのではないかと考えているわけでございます。
 各党も、この席上で述べた御論議では、何とかして今国会中にまとめたいということは表明されました。強弱はいろいろございますが、表明されました。私は、この審議の最初にそうでございましたから、今もまたその決意をもう一回強固にいたしまして、今週の議論を進めていくのが正しいのではないか、こう思っている次第でございます。
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穂積良行#7
○穂積委員 今お聞きいたしましたように、それぞれが我が方の案が最善だと思う、入念に検討を重ねてきた結果だ、こういうお話でございますが、それでは、自分の方だけが最善の案だと言いましても、相手がそうでないと現に言っているわけですから、それは、まあ口は悪いが、片方はひとりよがりということになりかねない、そういう状況だと思います。
 そこで、重ねてお聞きしますが、この両案がそのまま成立しないとなった場合には、いわゆる自民、社公案が相打ちで、結果は現行の中選挙区制度が続く、こういうことでよろしいんでしょうか、こういうことでございます。
 実は、中選挙区制の方が実は本当はいいと思うんだという、本音でそう考えていらっしゃる国会議員がかなりいるのは事実であります。我が自民党の中でも、言うをはばかるかもしれませんが、元議長経験者の方とか有力な方もそういうことをしばしばおっしゃいました。野党の方でも社会党の、この社公案を了承するについては党内で激しい議論があり、根底には現在の中選挙区制度のままでそこそこいけるじゃないか、いいじゃないかという雰囲気があったと、これも人づてにお聞きしておりますがね。それ、いかがでしょうか。
 この中選挙区制度は、これは後ほど申しますけれども、長い歴史がございます。長い歴史の上にここまで行き着いてしまった。現在の金権腐敗と言われる政治状況を打開するために、心機一転この選挙制度そのものを変える、そうして政治資金規制や何やらを含めて政治改革を達成するという、いわゆる一括方式、そういうようなことが双方から言われておるわけですが、そういう意味で、この中選挙区制は少なくとも直したい。これは、先送りにして、資金関係等だけ一部食い逃げ的に成立させるかということではだめだというふうにお考えかどうか。そこを、双方からどうお考えかを、これも簡単にお答えいただきたいと思います。いかがでしょうか。
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石井一#8
○石井(一)議員 穂積議員は、我が党の選挙制度調査会にも大変熱心に御参加をされた、言うなれば超一流の議員でございまして、その間我が党でどれだけの議論をしたかということを、十分参画をされまして、御理解をされておる方でございます。
 そういう意味で、私、くどくどとここで御答弁をする必要もないと思うのでございますが、我が党におきましては、当然、これだけ長い間この制度が続きまして、その間議席を保持されてまいりました議員の立場としては、率直に申しまして、地元に対しますこれまでの貢献、評価、そしてなじみもございますし、後援会の組織もできております。知名度もある程度通っておるというような状況になっておる中堅以上の議員の方の立場からいたしますと、自分を生んだその制度というものを切り捨てるということは、何と申しますか、そこには非常に耐えがたい一つの気持ちを持たれるというのは当然でございまして、現在の制度を維持しようという議員が自民党の中にも相当存在しておるということは御承知のとおりでございます。特に当選五期、六期以上の中堅あるいは古手の議員の中に、中選挙区支持者が多いということも御承知のとおりでございます。
 しかし、若い議員の切実な声というのは、激しい同士打ち、また、昨今の経済情勢の中での厳しい資金の負担、過当な競争の中から、この制度を続けるということは大変大きな問題があるので、まあ新しい若い感覚もあると申してもいいと思いますけれども、非常に改革派が多い。言うならば、党内は新旧の構造の中にある程度そういう色分けもできるというふうな状況になっておることも確かでございます。しかしさらに加えて、最近の国民の中にあります政治不信等々のそういうふうな状況をも考えますと、この際、我々は個人の利害とか主張というふうなものをかなぐり捨てて、新たな角度から新しい改革を行わなければいけない。
 その場合にどの制度がいいのかということで、最終的に審議に審議を重ねた結果、党利党略ということでなく、現状を追認した、今の五党を中心にしたそのままの制度を存続するのでなく、未来を志向し、二十一世紀の政治が、政局の安定と政権の交代と政界の再編成をにらんだ場合にどの制度が最も正しいかという、そういう観点からあの結論を出してきたわけでございまして、その間の経緯というふうなものは十分御承知でございますけれども、幸い、これまで多少異論もございました野党のサイドにも、別の判断からも、また厳しい政局に対する認識からも、中選挙区制を打破しようという空気が出てまいりましたので、これはまさに有史以来初めての与党と野党との足並みのそろった行為であるということでございますから、この機会には、今議員がおっしゃいますようにつぶれたらどうなるのかということなぞは考えておりません。この際、必ず選挙制度の抜本的改正を断行いたしまして、国民の御期待にこたえるとともに、新しい立場に立ってひとつ政局の運営に当たりたいというのが我々の一貫した姿勢であるということを主張しておきたいと思います。
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佐藤観樹#9
○佐藤(観)議員 お互いに中選挙区制で出てきたわけでございますから、確かに新しい制度に移るということは、そこにはやはり恐怖感があったり、あるいはもう一期だけという気持ちがある議員もあるかとも思います。しかし、その出てくるべき議会そのものが、議会制度そのものが今もう大変な危機に瀕しておる、その根幹が中選挙区制にあるということは、お互いに国会に籍を置く者として既に私は理解に達していると思うわけでございます。
 議会制度の本来のあり方でございます政党本位に選挙制度あるいは議会の運営自体を変えていく、そこで初めて政治資金につきましても、政党交付金法あるいは政党助成法という法律によって政党自身を育成していこうということも生まれてまいりますし、また、腐敗行為をした者については公民権停となりあるいは立候補制限という厳しい罰則を科する根拠もまた出てくるわけでございますし、お互いに、皆さん方の方は、今石井委員言われましたように、同士打ち、うちの方が共倒れということで政権交代が起こりにくくなってくる。それ自体が社会そのものを大変硬直化さして、政財官の癒着構造というのは極めてかたいものになってしまっているというこの状況を打破するには、私たちがまず中選挙区制というもとから絶たなければ、今のこの厳しい国民の政治不信の払拭をすることはできないという危機感に立って臨んでおるということでございまして、もちろん中選挙区制度だけがすべてとは申しませんけれども、多くの原因が中選挙区制にある。そこで新しい、私たちとしましては、国民の民意を正確に反映をする比例代表制を中心とした、かつ自民党さんの言われますような小選挙区も四割含んだ、そういう案にしていこうということを提案しておるわけでございます。
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穂積良行#10
○穂積委員 このように、自民案と社公案が全くかけ離れて歩み寄りもないという状況の中では事は成らない、これはもうはっきりしていると思うのです。それぞれの党派が、選挙制度をどうするかというこの大事な問題についても、党利党略抜きに考えようというのは、これは人情に反する、不自然だと私は思います。党利党略はあってもいいけれども、その両方のかけ離れた党利党略の立場をどうやって歩み寄って成案を得るかというのが英知の結集、知恵の出しどころではないんでしょうか。
 過去の歴史を考えますと、戦後の小選挙区制の提案が何回か行われました。もう御存じのとおり、鳩山内閣のときは、これは絶対多数を獲得し、憲法改正まで意図をしての小選挙区制提案と言われております。これは、ハトマンダーということまで悪口を言われてつぶれました。それから田中内閣のときに、田中さんは再度、長期低落傾向にある保守政権の前途を案じたのでしょう、小選挙区導入を図りましたけれども、これも反対に遭って、これは提案に至らず終わった。次は私どもの海部内閣でございます。いわゆる小選挙区比例代表並立制を提案して、それが事成らず内閣退陣に追い込まれました。いずれもこれが事が成らなかったということの原因としては、自民党の党利党略案であるという国民の反発がかなり強かった。私ども自民党側は、これは遺憾な状況であったわけですが、結果はそういうような中で事が成らなかったということですね。
 片方で、それでは野党側は、これは本来は民主主義の原点に立って比例代表制が民意を正しく反映する制度であるという気分の方が多く、できるならば比例代表制を導入したいというのは一貫した主張だったんではないんでしょうか。しかし、これが今日まで導入できなかったのは、これは政権政党側がそうなれば損をする、政権を失いかねない、そんなことに乗れるかということが明らかな拒否反応の心情であったと思います。
 そうしたことについて、ここで党利党略は認めつつもお互いに譲り合うということこそが、これは当面事を成すに必要なことだと私は繰り返し申し上げたいと思うわけであります。そこで、こうした認識についてまず簡単に、私が今申したことについてそういうことだとお認めになるかならないか、それぞれお答えいただきたいと思います。いかがでしょうか。
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石井一#11
○石井(一)議員 ただいまの御指摘で私と意見を異にしますのは、自民党の党利党略で鳩山内閣時代、田中内閣時代、まあ海部内閣の方は多少政治改革という大きな基本的な哲学なり政策の遂行というものがございますが、前二回の場合に党利党略でそれをやったかと申しますと、私はそうではないと思うのでございます。
 党利党略ということを考えれば、中選挙区制を維持することによって党利党略の大半はその目的を達成することが当時でもできたのではないか。また、当委員会で私が大正八年の床次内務大臣の発言を引用したことがございます。これは繰り返して申し上げませんけれども、大正八年時代から七十数年間、我が党の悩みは、結局選挙に金がかかるという問題とか、同士打ちというものが避けられないというふうな問題等々、これは党内事情だと言われればそれまででございますけれども、これを頼ることによって政権を安定できたということでありまして、ただ、健全な民主主義の発展というふうなことを考えましたときに、それを繰り返すことがどうかというふうな反省の中から小選挙区制の導入というふうなものを打ち出してきたわけであって、あくまでも党利党略という観点からではなかった。やはり政治を進化せしめるには、世界に唯一無二の中選挙区制を堅持するよりも、小選挙区制なり、あるいはまた比例の国もございますけれども、そういう中に我が国の制度を前進せしめるという観点からこれらの改革案というふうなものを当時の内閣が議会に問うた、私はそのように判断いたしておる次第であります。
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渡部一郎#12
○渡部(一)議員 本委員会の討議を通しまして、私どもは小選挙区比例代表併用型を推進する立場から論議を進めたわけでございますが、少なくとも民意を反映する上では、小選挙区併用型比例代表制は最も優秀な制度であることは、論議の上でもう明らかになってきたと存じます。
 ただ、自民党側からの論議におきまして、政権交代ができないという議論がしばしば展開されたわけでございます。この政権交代がされないという議論はやはり論議の過程でだんだん後退してまいりまして、例えば中選挙区制におきましても、選挙区の区割りあるいは定数是正を完璧に行うならば政権交代が行われていたということが、数字的にも論議の上で明らかになってまいりました。また、併用制を採用いたしますならば政権交代はもう即時に起こりまして、現行の自民党の実力からいたしますならば過半数をとれない事情がある以上、政権から直ちに脱落しなきゃならないことまでが明らかになってまいりました。それに対しまして自民党側からは、その場合に連立を志向しなければならない、連立を志向しなければならないということは政権の不安定さを招くという議論が盛大に行われたわけであります。
 しかしながら、政権が不安定になるかどうかにつきましては、学者の多くの観察、特に西欧先進諸国の実例を挙げながら、これは不安定ではない、連合で行われている国の方がむしろ多い、七〇%ぐらいある、しかもその中で長期的な安定度を示すものはさらに多いということまでがるる述べられたわけでございます。したがいまして、民意反映の上では併用制がよし、政権交代という面についても単純小選挙区制の利点というものはない、それから政権交代の連立によるところの政権の不安定さというものは考えられないというところまで、だんだん論議が煮詰まってきたと思うわけでございます。
 そういたしますと、もう少し議論をいたしますとほとんど合意に達することができるのではないかという明るい展望を私は持ち始めているわけでございまして、しかもそれが、恐縮ではございますが、私どもの提案している議論の方が議論的にちょっと優位な立場に立っているのではないか、多少うぬぼれもございまして、こういうふうに見ているわけでございます。したがいまして、私は、もうこうなりますと、どの党が有利かなんという下品な話からは、お互い自制してはおりますけれども、どの党が有利かなどというレベルではなくて、国民、主権者にとってどれが民意を反映するか、そしてどういう形で政権交代が行われるかということをもう少し詰めて議論するならば、合意に達する素地ができるのではないか。
 穂積先生には恐縮でございますが、従来の委員会の運営と、あるいは予算委員会あるいは選挙制度委員会の討議とこの場所、雰囲気が大分変わっておりまして、何とか合意をつくろうと言いながらやっておるものですから、お互い譲るべきは譲り、聞くべきは聞き、よきものはとり、そして合意を見出そうという根底的意思が存在しているはずだと私は言い続けながら議論をしているわけでございまして、きっと自民党側の提出者におかれましても、同様の見解に最終的には立たれるのではないかと、ありがたく思っている次第でございます。
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穂積良行#13
○穂積委員 私は、明治以来の選挙制度をずっと振り返って、問題を二、三申し上げたいのです。
 一つは、金権腐敗をもたらすのはいずれの選挙制度かということについては、これはどの選挙制度になれば金権腐敗になり、どの選挙制度に直せば金権腐敗はなくなるというものとは言い切れないものがあると思うわけであります。
 ちょっと歴史を振り返りますと、明治時代まず大選挙区制がとられ、それから大正年間、有名な原敬平民宰相のもとで小選挙区制が導入されたわけであります。そのときに、これはもう明らかに、当時政友会の総裁として原敬首相は、与党に絶対有利な小選挙区制を実現するために心血を注ぎ、その結果、その小選挙区制のもとで、これは大正八年、一九一九年に導入されましたけれども、次の選挙で政友会が大勝した。ところが、その選挙ではまさに金権選挙、そうしてその後、原敬内閣は政治的腐敗にまみれ、疑獄事件が続出し、その中で原敬首相は大正十年に東京駅頭で暗殺されたわけでありますが、このときに、私は非常に今も感銘を受けたやりとりなんですが、原首相がある人にこう言われた。政治の腐敗する原因は選挙に金がかかるからだ、金の要らない政治を建設する必要がありましょうと、ある人が言いました。今と似たような状況ですね。それに対して原さんは、そんなばかなことがあるものか、みんな金を欲しがるだけだ、金を欲しがらない社会をこしらえてこい、そうしたら金のかからぬ政治をしてみせる、こう言ったそうであります。
 しかし、これではたまらぬという中で、一九二五年、加藤内閣のもとで普通選挙法、中選挙区制が導入され、戦後の一時期、約二年間を除いては中選挙区制で今日に至っている。そのあげくの果てに今日、中選挙区制のもとで派閥の弊害、金権絡みの話ということによって、あたかも中選挙区制が金権腐敗の元凶の責任の一端を担うべき制度というふうなことを言われて、この是正を求められるというような状況になってきた。まことに歴史の皮肉というべきでありましょう。これは、政治資金絡みの金権政治を是正するということについては、選挙制度はどうあろうが、全力を挙げて取り組まなければならないということは自明のことでありますけれども、しかしその金権政治打破のためには、これはもう選挙制度そのものも改めてみて、言うなれば人心一新、新しい制度のもとで、新しい考えで政治に当たるということしかないのではないかということがこの特別委員会での共通認識となれば、私は幸いだと思う次第であります。
 そうしたことを考えつつ、もう少し民主主義、政治機構の原点に立ち返って、選挙制度はどうあるべきかということについて原理、原論的なものを簡単に整理させていただきたいと思います。
 これはもう憲法の問題に戻ります。憲法第四十三条、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」となっております。全国民を代表する議員というのは、これは国民の中の特定の音あるいは集団、例えば私は官僚出身ですが官僚組織、それから資本家、企業、あるいは労働者、労働組合といったもの、あるいは選挙区の特定の地域住民といったものだけの利益を代表するものでなしに、我々は国民の全体の代表者として位置づけられ、そうした判断のもとに行動すべきものだ、我々はそうした代表民主制のもとでの議員である、こういう国民の代表者であるということで行動しなければならないし、また、選挙制度はそうした国民の代表者としての議員を選ぶというような制度でなければならないし、その場合には、選出母体あるいは地域、利害代表といったことでなしの議員が選ばれるような制度であることが望ましいということになると思います。そうして、何よりも肝心なことは、代議制度における国会が民意をできるだけ正確に反映する、そうした構成が望ましい、これは否定できないと思います。そうした中で、公明正大な、できれば自由な選挙で立派な議員を選ぶというシステムでなければならないと思うわけであります。そのような議論を進めますと、私は、やはり民意をできるだけ反映させるという意味からは、比例代表制というものは十分これは考えなければならないと思います。
 ということで、実は私自身は、海部内閣のときに並立制が提案されて、事が成らなかったわけですけれども、あの案ではやはり自民党にとって有利な、という意味では、野党側から党利党略的案だとそしられるような案ということで、これは通らないだろう、残念だ、こう思っておりました。それで、もし通すことをまじめに考えるならば、基本は比例代表制のもとでの併用制で、自民党も党利党略的にそう損はしないというような案が考えられるならばというふうな気持ちでおりました。私は、このことは海部総理にも直接申し上げましたが、同意はいただけませんでした。それから、当時の幹事長の小渕さんにも私はそういうことを申し上げに行ったことがございます。まあ、それは個人的な話ですけれども。
 しかし今回、私はこの自民党案の賛成者の一人になっておるのです。これは弁明をさせていただきますが、こうした自民党の案を国会に正規に提案し、議論の俎上にのせられ、土俵の上で議論することによって、まさにこの特別委員会の論議を通じて、本当に、先ほどから申しております民主主義政治の原点に立ってのあるべき選挙制度で折り合おうじゃないか。その場合、党利党略的なことはお互いあるんだから、かけ離れて自分たちが不利になるような案ということは同意しないはずですから、その辺を十分考えながら、多少は、落語じゃありませんが三万一両損というか、そういうふうなことで折り合う知恵が出るかどうかというようなことを、私は両方に問いたいわけであります。
 そのようなことについて、ちょっと長くなりましたけれども、再度双方のお考えをお話しいただきたいと思います。
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伊吹文明#14
○伊吹議員 穂積先生、いろいろ両提案の今の議論の現状を踏まえて、国民的な視野に立っての御意見だと思いますが、我々はこの案を党利党略という立場からは出したことはございません。もし自由民主党の立場ということだけを考えれば、私は現行制度が一番自民党にとっては有利だと思っております。
 しかし、そんなことで国民には許されないと思うから、自民党が政策を失敗し、あるいは自民党が緊張感を欠いた場合には政権を失うかもわからない。同時に、一つの選挙区でお互いに同じ政党の者が相争わなければ政権がとれない。相争う状況の中からいろいろな、政党本位の選挙ができず、個人がお金を集めねばならないというチャンスがあり、そのチャンスの中に結局人品骨柄というものがあらわれてきてスキャンダルが出てくるという制度は国民のためにやめようということであります。
 したがって、今憲法のお話がありましたが、比例制であっても小選挙区制であっても、いわゆる有権者というか全国民がこの選挙に参加をしておられるわけですから、適法に代表したという概念が、選挙のときに、つまり国民の意思があらわれて一人が選ばれるというふうに考えるのか、あるいは極端なことを言えば、全国の得票に合わせて代表を選んで、その最終的な国民の意思というものが国会にあらわれてくるという制度をとるのか、どちらが適法に国民の意思をあらわしているかという判断に私はなってくると思います。
 単純小選挙区制も比例制も、私は、先生がおっしゃるとおり、必ずしも万能な制度ではありません。どちらにも長所と欠点はあります。問題は、今の歴史の流れの中で、現在の日本という国あるいは国民の感情を踏まえた場合に、どの長所を大きく取り入れてどの短所をのみ込んでしまうかという、最後は政治的決断になるわけでありますから、私たちの歴史観、私たちの現在の国民感情の判断から見れば、小選挙区が私どもは一番いいと思って提案をしておるわけですから、もう少し議論をし、この議論を国民に聞いていただいた中から委員会の場あるいは各党の話し合いというものが始まるということは、私はあっていいと思いますけれども、それは現段階で、当然そのことを前提としながら法案の提出者になったとか賛成者になったというのは、私はいささか筋が外れているんじゃないかという気が率直にいたします。
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佐藤観樹#15
○佐藤(観)議員 穂積さんのお話を聞いておりまして、併用案というのを海部内閣のときに総理に進言をしたというお話をお伺いしまして、我が意を得たりという感がいたすわけでございます。
 確かに穂積さん御指摘のように、憲法四十三条の「全国民を代表する選挙された議員」というときに、今伊吹さんからもお話ございましたけれども、地域が小さくなればなるほど、全国民を代表するという性格、これがやはりだんだん薄れてきて、全国的な視野で物を考えようというのからいいますと、政党というものを媒介にして、なるべく高い広い視野、そして広い地域から選ばれた方が、より全国民を代表するという、そういうものにかなうのではないかというふうに私は思っているわけでございます。
 したがいまして、先ほど穂積さんから、どういう選挙制度が金権あるいは腐敗というものからだんだん距離が遠くなっていくのだろうかというお話がございましたが、私は、やはり小選挙区にした場合に、今度いろいろ公民権の停止や立候補制限、あるいはお金の面でもいろいろ厳しくはしてまいりますけれども、やはり小選挙区にした場合には、有権者数が限られてくるわけでありますから、そういった意味では、日常活動は極めて密着したものになってき、そして、そこにやはりお金というものが動きやすい。これはもう過去の日本の例あるいは現代の例を見、現在の中選挙区制をさらに地域を狭くした場合にどういう腐敗が起こるだろうかということは、私は大体想像がつくのではないだろうか。
 しかも自民党の皆さん方、本当に小選挙区制になった場合どうなっていらっしゃるかということを、私は不思議なんでありますが、地元の首長さんあるいは地元の県会議員、五百の小選挙区ということになれば、県会議員の選挙区、広いところでやっと二つになるか、あるいは一つ半ぐらいかというようになっていったときに、自分のところの足元は、次の候補者は、県会議員の方あるいは首長さんというのが絶えず皆さん方の候補者としてのポストをねらっておるというようなことで、一体、本当に全国的な視野、全世界的な、国際的な視野で国政が論じられるだろうか、できるだろうかということについて、私は大変疑問を持っておるわけでございます。
 そういった意味におきまして、今穂積さんが自問自答のような格好で言われましたけれども、私は、憲法四十三条のことから申しましても、やはり政党というものを媒介にし、できるだけ広くすればするだけ買収、供応というのは限界があるわけでありますから、腐敗にまみれない選挙制度ということを含めまして、私たちといたしましては小選挙区型の比例代表を提案しておる。
 ただ、この場合の私たちの言う小選挙区というのは、あくまで皆さん方の単純小選挙区制と性格が違う。つまり、その上には政党比例という、政党が主になっているという、そういう大きな網がかかっているわけでありますから、具体的な選挙戦というのは、それは個人と個人の戦いにはなりますけれども、そこではかなり政党というものは大きく前に出てくる、多分に皆さん方の単純小選挙区制とは違ってくる。
 しかも、私がかつて申しましたように、たくさんの派閥がある自民党さんの場合には、ロッキード事件は田中派のことだと。つまり、自民党の問題ではないのだ、田中派のことだということで置きかえてしまう。リクルートが起これば、これは中曽根派のことだと言う。五つか六つの顔を持って、悪いのはあそこだということになる。しかし、今度は政党が前に出ますから、そういう腐敗があった場合には、何派のことというふうに派閥に置きかえることはできなくなる、党自身の問題になってくる。このことが非常に私は重要なことだと思っておるわけでございます。
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武村正義#16
○武村議員 大変親しい穂積さんの御所見でありますから余り申し上げたくありませんが、ちょっと比例代表制について意見を異にしますので、御答弁をさしていただきます。
 御承知のように、小選挙区制という概念、言葉は世界にはないようであります。比例代表か多数代表かということでありますが、学者も言っておりますように、比例代表というのはどっちかといえば、野党の皆さんの御意見を聞いていましても、国民の意見をこの国会に縮図のようにきちっと議席で反映さすべきだ、縮図というか反射鏡といいますか、そういう状況であることが国会は望ましいんだという御主張のようにうかがえるわけであります。果たしてそれでいいのかどうか。
 抽象的な言葉をかりれば、我々は国民の代理者なのか代表者なのかという、代理か代表かという論議にもなってくると思うのでありますが、さまざまな利害が衝突し、価値観を持っている国民、有権者の皆さんの声を我々はそのまま素直に代弁して、代理をしてこの国会に反映させればいいというものではなしに、やはりそういうさまざまな利害、価値観の衝突を統合して、立体的であるか総合的であるか知りませんが、統合して一定の哲学なり思想なり、みずからの価値判断によって、そして一つの主張をまとめて代弁する、代表する、これが私は民主主義の基本だと思うのです。
 そういう意味では、我が自民党の多数代表制こそ、多数が全体の代表をさしていただくということでありますが、そこにはさまざまな意見を統合するという重い責任を背負った代表でありまして、単に国民の声をそのまま延長線上で国会に表現すればいいという考え方とは違うわけであります。代表か代理がという概念、そこにも目を向けていただいて、所属されている我が自民党のこの単純小選挙区制こそ民主主義の基本にかなっているということに御理解をいただきたいと思うのであります。
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穂積良行#17
○穂積委員 今、私への御質問ですからお答えしますけれども、それは明らかに代理じゃなしに代表なんですよ。これは明々白々、そういうことであります。
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渡部一郎#18
○渡部(一)議員 委員が自民党の議員であるという枠を超えて、また提出者のかなり拘束されている立場を超えて所論をお述べになりましたことに対して、敬意を表したいと存じます。といいますのは、私ども、ここのところで真っ二つの議論で論じているわけでは決してない。いろいろなニュアンスを持って議論しているわけであります。であるからこそ、討議の間に次の協調のための伏線が張られているものだと私は信ずるからであります。
 それで、私は、今委員がお話しになった代表、代理と多少議論が分かれている点についてひとつ申し上げておきたいと思うのでございますが、これは上智大学の西平先生あるいは慶応大学の小林先生等の御所論でありますので、ちょっとこれは受け売りのたぐいで恐縮なのでございますが、小選挙区制というものが原理的に国民を代表しないということにつきましては、既にフランスにおきましてコンドルセという人が二百年前に論及されて以来、その論議は破られていないのであります。
 それが、なぜ小選挙区制が欠陥であるかと申しますと、二遍にわたって二度にわたって代表というものを選ぶシステムにあるわけであります。一回目、例えば五一%であったといたしますと、もう一回その人たちが集約されて、代表制民主主義と称してもう一回投票いたしますと、五一%の五一%ということになるわけであります。そういたしますと、結局、機械的に計算いたしますと、もちろん五一%なんという低い場合はないのかもしれませんが、五一%という最低の場合が二遍続きますと、実に二度の投票によりまして二六%しか国民を代表しないということになるわけであります。これは、〇・五一を二乗してごらんになればすぐわかることでございます。こうなりますと、こういう形で選ぶ、つまり多数決型の選挙を代表を選ぶ際につくるといたしますと、こういう致命的な欠陥が生じてくるわけであります。
 したがって、保守党あるいは労働党等のイギリスの議会を見ていく場合に、しばしば全体の票数と逆転した政権が誕生してしまう。つまり、多数派の労働党に対する得票があるのに、少数党で少数得票の保守党の方が政権を握ったり、その道さが生じたりする。これは奇現象として、奇現象というのは奇妙な、奇怪なという意味でありますが、こういう現象があらわれることは認められてきたのであります。じゃ、どうしてその小選挙区制というのがはやったかというと、各国において明らかにイギリスの植民地政体というもの、イギリスの制度を無批判にまねした。そして、まねしてまた同じようなことが続々あらわれてきたという歴史的な考察が必要なのではないかと思うのであります。
 私どもは、今国民を正確に代表する、なるべく正確に代表するようにしなければならない。その正確に代表するという点について、委員はまことに率直に御理解を示されましたが、私は貴重な御意見ではないかと存じます。その点に立たれましてこの討議を考察していかれますならば、別の面のまた提案があってしかるべきだろうし、それに結びつくものと私は理解しているわけでございます。
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穂積良行#19
○穂積委員 とにもかくにも、自民党側は単純小選挙区制、これが最善だと言いながらも、これを成立させるめどが立たない。片や社公それから野党の皆さんは、この社公案に固執して、それで自民党側が衆議院で多数を占めている現状で、これを成立させるめどもない。そういう中で共通するのは、とにかく中選挙区制はもう今回人心一新のために改めようじゃないか、小選挙区制を導入しよう、それが一つ。それから野党の方は、民主制の根幹からしても、皆さん方等々の比例代表制というものをこの際導入しようじゃないか、これははっきりしているわけですな。この二つの接点をどこに求めるかということに私は絞られると思うのですよ。
 そのときに、これは野党の皆さん、この案のままじゃ、これは私も自民党員の一人としてイエスと言うわけにいきませんよ、それは。そういう党利党略的なことも踏まえて私は申していますからね。そうしますと、何らかの歩み寄りを野党の皆さんもひとつ考えていただかなきゃならぬだろうし、そのときにしかし、これは本当にここまで来た政治状況の中で、選挙制度を変えようというのは千載一遇のチャンスだと思いますよ、これは。そのチャンスをとらえる器量があるかどうか、私は野党の皆さん方にそこはお聞きしたい。
 それから自民党の方も、これはこのままで、先ほど言いましたように、両案相打ちでまあしょうがない、もとのもくあみの中選挙区制でというようなことで、自民党が将来政権政党として引き続き責任を果たしていくというようなことを考えた場合に、それでいいのでしょうか。その辺、歩み寄りの用意があるかどうか。
 これはそれぞれ今あると言えるかどうか。これはまことに見ものだ、国民も見ておられると思うのですが、お答えいただきたいと思います。
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深谷隆司#20
○深谷議員 穂積議員の御発言でございますが、率直に申し上げて、現在自民党から出している単純選挙区制と、野党から出されている小選挙区比例併用制とは本質的に違うということを、もう一回御認識いただきたいと思うのですね。
 私は、野党は小選挙区制とは言っているものの比例併用制の場合には、私はもう比例代表制と言った方が正しい、つまり最初の一票の党の支持票で総枠を決めるわけですから。ですから、そういう意味では、小選挙区制という言葉はついていますが、実際には比例代表制、我々の考えているのはあくまでも小選挙区制という制度そのものですから、基本的な立場が全く異なるわけでございますから、そういう点では、歩み寄りというのはなかなか容易なものではないというふうに思っていますし、我々は単純小選挙区制、小選挙区制という制度をとるという前提に立って物を言っているわけでありますから、そういう意味では、私はそう簡単に妥協ができるというものではないと思うのです。
 現在イタリアでも、国民投票という形で決着をつけようとしているわけであります。私は、ここの議会あるいはこの委員会での発言というのは、マスコミを通して国民の皆さんがずっと注目されておる。いずれはそういう国民の声を聞きながら結論を下していくという立場であって、その前に妥協をするといったような、そういう考えはないということを申し上げたい。
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穂積良行#21
○穂積委員 ちょっと時間がなくなりましたので、最後の質問で、お答えいただいて終わりにしたいと思います。
 あの海部内閣のときに、並立制に海部総理は命運をかけるとおっしゃいました。そして最後には、重大な決意をして取り組むということを、何といいますか言葉じりの関係もあって、重大な決意のままに辞職されたわけですね。
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田邉國男#22
○田邉委員長 時間が参りましたので、簡潔にお願いします。
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穂積良行#23
○穂積委員 宮澤総理については、私は、不退転の決意で取り組むとおっしゃるならば、これは本当にリーダーシップを発揮していただきたいと思うわけであります。そのときに、歩み寄りなしに、事ならずということでは、本当に大変な政治状況になると思います。総辞職か解散か、そういうことに必然的に転がっていくのではないのですか。
 そうでないようなことにするために、この委員会で与野党本当に理性的にこれから話し合いをすべきだと思いますが、そのときに、最近になっていわゆる運用案というようなものも出されましたけれども、ああいうものもいろいろ参考にしながら議論を進めるべきではないかと思います。そのような中で、本当に国民の期待にこたえられるような政治改革、その中核となる選挙制度の改革が達成されることを期待いたしまして、これはお答えいただく時間がなくなってしまったのですが、私の質疑を終わらせていただきます。
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田邉國男#24
○田邉委員長 簡単にお願いします。
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佐藤観樹#25
○佐藤(観)議員 自民党の深谷さんが答えて、うちの方が答えないのは均衡を欠くと思います。簡単に答弁させていただきたいと思います。
 宮澤首相も不退転の決意と言われておる。海部さんもかつて不退転の決意、重大な決意と言われて、責任をとってやめられたということは、議会制民主主義の中で私は大変立派なことだと思っておるわけでございます。
 今審議を通じまして、単純小選挙区制でできてくる内閣や政治というものがいかに弊害が多いかということは、さらにまだまだ言い足りないぐらいあるわけでございまして、渡部議員からも御説明ございましたように、だんだん自民党さんの中にも、おお、併用制というのも、あるいは比例代表制というのもなかなかいいところがあるのではないかというのが、だんだん私はしみ渡ってきたのではないかというふうに自信を深めておるわけでございますので、より審議を深めていくことが当委員会の責任であると考えて、お答えにさせていただきたいと思います。
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田邉國男#26
○田邉委員長 増子輝彦君。
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増子輝彦#27
○増子委員 自由民主党の増子輝彦でございます。
 限られた時間でございますので、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。また、いろいろ今日までの本会議やこの総括質問の中で、大分理念やあるいは多くの部分で議論をされましたので、私は若干細かい点に触れて、いろいろと御質問をさせていただきたいと思います。
 実は私、ある本で次のような記事を読んだことがございます。日本人というのはとにかく何でもまねをしてっくることが大変上手である、特にゴルフ場に一つ例をとれば、日本のゴルフ場、それこそ世界各地のすばらしいゴルフ場、全く変わらないでそのものを同じくつくる技術を持っている、これはすばらしいなということでございました。ただ、一つだけまねのできないものがある。私は余りゴルフをやりませんのでよくわからなかったのですが、そのゴルフ場をつくる際にも、セントアンドリュースだとか、すばらしいゴルフ場と全く同じ設計をして同じゴルフ場をつくることはできる。ただ、一つまねのできないものがあるのだ、それは何だということになりますと、実は風である。この風だけは自然の恵みでありまして、なかなかこれをまねをしようといっても、すぐれた日本人の英知であろうが技術であろうが、これだけはまねをできない。この風というものの重要性というものを、私はゴルフはやりませんが、スポーツを愛する者として、なるほどな、そういうふうに実は思いました。
 今回のこの政治改革、まさしくこれはもう国民の声として、制度をも含めた、本当に今日までの日本の戦後歴史の中の政治の中で、この選挙改革、政治改革、これはどうしてもやらなければならないというのは、まさしく私はこれは国民の声、すなわちまねのできない、国民が腹の底から出してきている風ではないのかな、そういうふうに実は認識をいたしているわけでございます。そういう意味では、この一連の議論の中で、両案とも、とにかく何かはやらなければならない、政治改革は天の声だ、待ったなしだ、そういう形の中でどういうふうにしてこの政治改革を進めていくか、我々政治にかかわる者が与えられた使命であり、責任だと認識をいたしているところでございます。
 たまたま先週の土曜日、私ども若手で政治改革を実現しようというグループがございまして、長野市で政治改革フォーラム・イン・長野というものをやってまいりました。その中で、国民の皆様方の声、率直にお聞きをいたしてまいりました。一つの例といたしますと、いろいろ議論も大事だ、制度も大事だ、資金も大事だ、しかしその前に国会議員の数を半分に減らしたらどうだ、そういうような大変厳しい声もお聞きいたしました。さらに、自由民主党の単純小選挙区は非常にわかりやすいけれども、実は社公のこの案はなかなかわかりにくいという声も一つ出たということも、お伝えをいたしたいわけであります。
 その中で、この休みの間地元に帰っているときに、一つの提言がなされました。それは、いわゆる民間政治臨調が新しい形の中で、小選挙区比例代表連用制という一つの提言をなされました。これは塩川先生初め自民党の関係の方々もまあまあの評価をされ、一つの検討するに値する案ではないのかなというようなコメントもいただいています。公明党の方からも、大変これは積極的に評価すべきであろうというようなお話もマスコミを通して伺っておりますが、社会党さんからはいま一つ、これというものが実は出ていないというような中で、今回民間政治臨調が発表いたしました小選挙区比例代表連用制について、それぞれの立場でどのようなお考えをお持ちになっているのか、まず最初にお聞きをいたしたいと思います。
 自由民主党の方からお願いいたします。
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小渕恵三#28
○小渕議員 民間政治臨調が政治改革に対しまして積極的に取り組んでおられること、また、特に国民運動を展開しておることについては、大変評価いたしておるわけでございますし、また今般、民間政治臨調といたしまして一つの案をお取りまとめていただいて発表いたしたことは承知をいたしております。
 私どもも、謙虚にこうした国民のそれぞれの意見というものは拝聴しなければならぬということで、勉強をいたしていきたいというふうに考えておりますが、現下、先ほど来お話しのように、各党とも公党としての責任において考え方を明らかにいたしておりますので、そうしたことを国民の皆さんに十分御理解をいただいていくことがまず前提ではなかろうかというふうに考えております。
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石井一#29
○石井(一)議員 総括的には小渕議員からお答えになったところでございますが、この案が非常に苦労をされ、民間、財界そして労働界、学識経験者等の長い議論のもとに英知を絞って出された、そういう御努力には私たちも敬意を表しております。
 また、小選挙区制の特徴、利点、比例代表制の利点、それからまた府県別等に配慮を与えるというふうな形から、今、自民、社公、そして民社等が真剣に出しております案に対しましても、それぞれの特徴を相入れられておる。そういうふうな意味では苦心の跡も見えるところでございますから、これから先議論をする、そういう中における一つの指針といいますか、そういうガイドラインを示した、こういうふうなところは十分評価できるわけでございますけれども、またさらに、ドント式にもプラスワンというふうなものを加えまして、多数政党に対する極端な有利さというふうなものを排除する等々、苦労の跡が見えます。
 しかしながら、問題点として言えることは、まだ議論が始まったときに、今ここでもうこれで落ちつきなさい、これは時期的にいささか早々といいますか早計といいますか、いかにも時期は不適切であるとまず申さなければいかぬと思うのでございます。できるものでもできなくする時期に出されると、これはどうしようもないやないかというような感じがまずいたします。
 それからその次に、やはり制度というのは妥協か、妥協というのは大正十四年にもやりましたし、昭和二十二年にもやったわけでございます。その結果、今日の状態が起こっておるわけでありまして、制度を変更するというのは現状を追認するのでなく、未来を志向すると。我々の主張は繰り返しませんけれども、二十一世紀の政治を見た場合には、政権交代可能な政界再編成を行い、新しい制度をつくろうという場合に、ただ単に妥協の点だけを求めるというのは、それは民間の臨調はそういう御姿勢であろうかと思いますが、我々政治家としては見識を持って進むべきではなかろうか、そういう感じがいたすわけであります。
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