岩本允の発言 (政治改革に関する調査特別委員会)

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○岩本允君 まず、衆議院議員の政治改革にかかわっている先生方に対しまして、敬意を表させていただきます。
 それでは、私の方から意見を述べさせていただきます。
 まず、政治改革の必要性でございます。
 既に御承知のように、ソ連、東欧などの社会主義体制が崩壊しているということでございまして、現在の東西の冷戦は終結をしているわけでありますが、このことは、また逆に西側諸国において政治、経済、社会体制の変革を求める結果を招いているのではないか、こう存じているわけであります。またアメリカは、冷戦時代が清算され、現政権による国の再生に動き出しつつあります。またフランスは、社会党が大惨敗をし、保革まだらな模様の政権を余儀なくされているわけであります。さらにまたイタリアは、戦後から現在に至る構造的な腐敗が国家的な規模で明るみに出ている現状であります。
 世界は今、新たな世界協調の体制に移行しようと試行錯誤している時代に突入したと私は認識しているわけでありますが、我が国も例外ではございませんで、今日まで政治と金をめぐる腐敗、行き過ぎた中央集権、政治構造に対して、国民の政治不信は極限に達していると言っても過言ではない、こう思います。現在の政治不信は、冷戦時代からの制度疲労、言いかえますと、自民党の長期単独政権下ではぐくまれてきた構造的な政治腐敗と、政権の獲得を放棄し単なる批判政党に甘んじてきた野党に対する政治不信ではないかと考えております。
 ことし三月、ある全国紙でございますけれども、世論調査によりますと、政界再編を前提とした政治の枠組みの変更を求める声が七割以上に達している。このことは、政権交代可能な政治制度の一日も早い実現を国民は切実に待望していることを示すものであると思います。
 特に、我が国の政治の現状について、昨年十一月の民間政治臨調の政治改革に関する緊急提言で、「政治が真面目な市民の営みとは無縁な裏側の世界の営みであり、社会倫理の破壊者であるかのような印象さえ与えている。」と厳しく指摘をされているのでありますが、一連の政治と金の不祥事件を目の当たりにした大多数の国民は、同様に受けとめていると思います。したがって、今求められております政治改革とは、政権の交代を可能にする政策中心の金のかからない政治の実現ではないかと私は考えております。
 今回の政治改革は、国民の政治に対する不信を解消し、国民の、国民による、国民のための政治をいかにして確立し、世界に対応し得る政治システムを構築していくのかという、まさに我が国の政治史上画期的な作業ではないかと存じます。今国会で是が非でも抜本的な政治改革を実現し、国民の希望と活力を反映した、内外に開かれた我が国の政治を確立されますことを、まず心から念願するものであります。
 そこで、政治改革四法案のことにつきまして意見を述べさせていただきますが、現在国会で論議されております政治改革法案について、私の意見を申し上げます。
 結論として、自民党の提出した四法案に賛成するものであります。その理由は、現在求められている政治改革とは、さきに述べましたように、政権の交代を可能にする政策中心の金のかからない政治の実現ではないかと思います。現在、一部に、与野党間で考え方の開きがある選挙制度改革は後回しにして、政治資金規正法の改正や政治腐敗防止法の制定を優先して処理すべきとの意見があるようでありますが、政治に金がかかり、利益誘導など腐敗の温床が現行の中選挙区制度そのものにある以上、政治資金規正法の改正だけでは不祥事件の再発防止にはならない、選挙制度と政治資金の問題は切り離して議論のできないものであると考えます。四法案は不離一体と考えますので、一括処理して初めて総合的な抜本的政治改革が実現するものと考えております。
 次に、選挙制度の改革についてであります。
 政治改革の最大の問題、現在の中選挙区制度について、共産党以外は小選挙区制について一応理解を示されていると承っております。この中選挙区制の弊害は、今日まで、まず政権を目指す政党は同一選挙区に複数の候補者を立てる、結果として同士打ちが避けられない。さらにまた、内容によっては個人本位の選挙になる、政党の公約や政策より有権者に対するサービス合戦、また地元への利益誘導中心になることではないかと承知しております。そういたしますと、当然に選挙には資金が必要になる、必然的に派閥が存在する、結果として活発になり、さらに選挙後は党内に主導権確保のための派閥を維持するためにも、膨大な政治資金を必要とすることが現在の中選挙区の制度ではないか、このように思います。また、このほかにも、中選挙区制度は、政権交代の可能性を阻害しているとか、地方分権や行政改革の障害になっているなど、さまざまな問題が指摘されております。
 したがって、これにかわる選挙制度として、私は、自民党が提案しております単純小選挙区制の導入を積極的に支持したいと思います。その理由は、この制度が政権交代を可能にする政策中心の金のかからない政治の実現に最も手の届くところに位置すると思うからであります。単純小選挙区制は、一票でも多くの票を獲得した者が当選するという現在の知事選また首長選など、国民に最もわかりやすい選挙制度であると思います。同時に、政党による政策の違いが鮮明になり、政策中心の選挙になります。したがって、政権の選択について、有権者の意思が明確な形で示されると思います。時代の変化に的確に対応する能力と先見性が政党に要求され、おごりや怠けは許されない厳しい競争原理が働く制度でありますから、安定した政策遂行能力と不断の緊張感を政党に与える単純小選挙区制が最もふさわしい制度であると考えております。
 小選挙区比例代表併用制に対する私の意見を若干述べさせていただきます。
 併用制は、基本的には比例代表制であると存じます。各党の得票率に応じて各党の総議席数が決まります。現在の各政党の勢力を議席に反映できる反面、政権交代の場合、連立政権が避けられないのではないかと思います。連立政権というのは本来、もう御承知のように、国民が政権を任せようと考えていた政党に、キャスティングボートを握った政党の力が加わることになるということで、結果として国民の審判を経ない政権が誕生することになりはしないか。しかも、多数党よりそれと連立する小数党の方が、政権に対する大きな影響力を持つこともあるのではないかということであります。私は、併用制では政権の不安定は否めないのではないか、今の我が国の政治状況下では、併用制の導入については強い危惧を抱く者の一人というふうに申し上げたいと思います。
 次に、政治資金制度についてであります。
 自民党の改正案では、政治と金にまつわる不祥事件、つまり金権スキャンダルに対する厳しい反省から、選挙制度を政党中心とした仕組みに改めることに合わせ、政治資金制度についても、政党が中心となって政治資金を調達するようになっております。例えば、企業・団体献金は政治家が指定する資金調達団体に対する少額のものを除いて、政党に対してのみ行うことができるというふうに伺っております。また、政治家個人は、政党から受けるものや選挙運動に関するものを除き、金銭などによる寄附を一切受けられないことになっており、政治資金における公私の峻別が徹底されています。これに関連して、政治家が指定する資金調達団体が関与する政治団体間の資金提供も禁止をされています。さらに、政治家が持てる資金調達団体も二つに制限され、企業、団体はこの資金調達団体に年間二十四万ということにされております。
 現在、政治資金制度の改正で最大の問題となっておりますのは、企業・団体献金を自民案のように一定限度の範囲内で認めるか、それとも全面禁止するかであると思います。私は、現在の自由主義社会において、企業も個人も同様に社会的存在であり、政治に一定の考えを持ち、政治参加の一形態として節度ある献金を行うことは当然であると考えます。つまり、企業は納税者で、また経済運営や政治運営の仕方によって重大な影響を受けるわけでありますから、したがって支持する政党、政治家を応援する政治的自由も保護されているべきであると思います。
 次に、政党助成法について少し意見を申し述べさせていただきます。
 今回の四法案のうち、政党助成法は、選挙制度と政治資金制度を個人本位から政党中心に改める、政党の財政基盤の確立、強化の観点から、政党に対する公的助成を導入するというものであります。当然必要な措置であると考えます。ただ、政党への公費助成は、何よりも納税者である国民一人一人の理解が必要であります。つまり、国民が納得のいく抜本的な政治改革の実現が前提であると存じます。政治資金の調達をめぐって国民の不信を生まないようにする上でも、このことを国会の場でさらに明らかにする必要があると思います。
 以上、ざっくばらんに、雑駁な意見でありましたが、政治改革に関する私の意見を申し述べさせていただきました。政治改革は、政党のための政治改革ではないと思っております。将来、二十一世紀に向けて、国民の納得いく抜本的な政治改革が、今国会において国会議員の皆さん方の責任と英断をもって実現されますよう重ねて要望いたして、私の意見を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 岩本允

speaker_id: 29501

日付: 1993-05-25

院: 衆議院

会議名: 政治改革に関する調査特別委員会