政治改革に関する調査特別委員会

1993-05-25 衆議院 全322発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成五年五月二十五日(火曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 田邉 國男君
   理事 大島 理森君 理事 北川 正恭君
   理事 中西 啓介君 理事 野田  毅君
   理事 浜田卓二郎君 理事 左近 正男君
   理事 堀込 征雄君 理事 伏木 和雄君
      石井  一君    佐藤謙一郎君
      自見庄三郎君    島村 宜伸君
      武村 正義君    津島 雄二君
      戸塚 進也君    葉梨 信行君
      深谷 隆司君    細田 博之君
      増子 輝彦君    阿部未喜男君
      池田 元久君    大畠 章宏君
      菅  直人君    小林  守君
      鈴木喜久子君    田並 胤明君
      土井たか子君    早川  勝君
      細川 律夫君    松原 脩雄君
      井上 義久君    北側 一雄君
      渡部 一郎君    木島日出夫君
      川端 達夫君
 出席政府委員
        自治大臣官房審
        議官      谷合 靖夫君
        自治省行政局選
        挙部長     佐野 徹治君
 委員外の出席者
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  松尾 徹人君
        自治省行政局選
        挙部管理課長  中野 正志君
        自治省行政局選
        挙部政治資金課
        長       大竹 邦実君
        特別委員会第二
        調査室長    田中 宗孝君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十九日
 辞任         補欠選任
  阿部未喜男君     松原 脩雄君
  岩垂寿喜男君     早川  勝君
  後藤  茂君     小澤 克介君
  土井たか子君     鈴木喜久子君
  川端 達夫君     小平 忠正君
同月二十四日
 辞任         補欠選任
  小平 忠正君     川端 達夫君
同月二十五日
 辞任         補欠選任
  小澤 克介君     阿部未喜男君
  鈴木喜久子君     土井たか子君
    ―――――――――――――
五月十八日
 企業・団体等の政治献金の禁止等政治資金規正法の改正に関する請願(鈴木喜久子君紹介)(第二一六八号)
 公職選挙法、政治資金規正法の抜本改正に関する請願(佐藤恒晴君紹介)(第二一六九号)
 小選挙区制の導入反対に関する請願(小沢和秋君紹介)(第二二〇七号)
 同(金子満広君紹介)(第二二〇八号)
 同(木島日出夫君紹介)(第二二〇九号)
 同(児玉健次君紹介)(第二二一〇号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第二二一一号)
 同(菅野悦子君紹介)(第二二一二号)
 同(辻第一君紹介)(第二二一三号)
 同(寺前巖君紹介)(第二二一四号)
 同(東中光雄君紹介)(第二二一五号)
 同(不破哲三君紹介)(第二二一六号)
 同(藤田スミ君紹介)(第二二一七号)
 同(古堅実吉君紹介)(第二二一八号)
 同(正森成二君紹介)(第二二一九号)
 同(三浦久君紹介)(第二二二〇号)
 同(山原健二郎君紹介)(第二二二一号)
 同(吉井英勝君紹介)(第二二二二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
五月十八日
 小選挙区制導入反対に関する陳情書外二件(第二五八号)
 女性の国政進出の推進と選挙制度改革に関する陳情書(第二五九号)
 政治改革の早期実現に関する陳情書外十三件(第二六〇号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法の一部を改正する法律案(梶山静六君外二十三名提出、衆法第六号)
 衆議院議員選挙区画定委員会設置法案(梶山静六君外二十三名提出、衆法第七号)
 政治資金規正法の一部を改正する法律案(梶山静六君外二十三名提出、衆法第八号)
 政党助成法案(梶山静六君外二十三名提出、衆法第九号)
 公職選挙法の一部を改正する法律案(佐藤観樹君外二十四名提出、衆法第一〇号)
 衆議院議員小選挙区画定等審議会設置法案(佐藤観樹君外二十四名提出、衆法第一一号)
 政治資金規正法の一部を改正する法律案(佐藤観樹君外二十四名提出、衆法第一二号)
 政党交付金の交付に関する法律案(佐藤観樹君外二十四名提出、衆法第一三号)
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
この発言だけを見る →
田邉國男#1
○田邉委員長 これより会議を開きます。
 梶山静六君外二十三名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員選挙区画定委員会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案並びに佐藤観樹君外二十四名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員小選挙区画定等審議会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党交付金の交付に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、各案審査のため、去る五月十九日から二十日まで、第一班北海道、第二班新潟県、去る五月二十日から二十一日まで、第三班愛知県、第四班福岡県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員から、それぞれ報告を求めます。第一班大島理森君。
この発言だけを見る →
大島理森#2
○大島委員 北海道に派遣された委員を代表して、団長にかわり、私から概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、田邉國男委員長を団長として、自見庄三郎君、増子輝彦君、左近正男君、大畠章宏君、小林守君、渡部一郎君、木島日出夫君と私、大島理森の九名でありました。このほか、藤原房雄議員が現地参加されました。
 会議は、五月二十日午前九時三十分より札幌市内のホテルニューオータニ札幌において開催いたしました。まず団長からあいさつ、会議運営の説明、派遣委員及び意見陳述者の紹介を行い、次いで意見陳述者から意見を聞き、その後これに対する各委員からの質疑が行われました。
 意見陳述者は、北海道議会議員岩本允君、全道労協センター議長相原敬用君、株式会社自由広報センター社長大場信吾君、北海道大学法学部助教授山口二郎君、株式会社アイエスティ北海道取締役社長佐々木宣君及び北海道大学法学部教授田口晃君の六名でありました。
 意見陳述者の意見について、簡単にその要旨を御報告申し上げます。
 まず、岩本允君からは、今国会で抜本的な政治改革が実現することを強く念願するとともに、自民党案に賛成の立場から、政権交代が可能な政策中心の金のかからない政治を実現するため、単純小選挙区制の導入、政党を中心とした政治資金制度の確立、節度ある企業・団体献金の存続と政治的自由の保障、政党に対する公的助成等を行うべきだとの意見が述べられました。
 次に、相原敬用君からは、政治腐敗を断つため政治改革関連法案の今国会での成立を期するとともに、社会党、公明党案に賛成の立場から、企業・団体献金の禁止と個人献金中心の制度の確立、政治資金規正法違反への連座制の導入、政党交付金制度の創設、政治資金の透明性の確保、政治倫理の確立と政治倫理法の制定等を行うべきだとの意見が述べられました。
 大場信吾君からは、自民党案に賛成の立場から、小選挙区制の導入、政治資金に関する公私の峻別、企業・団体献金の存続等についての意見が述べられました。
 山口二郎君からは、選挙制度については社会党、公明党案の併用制に賛成であり、また、企業・団体献金については過渡的措置を設けた上で一定期間経過後は禁止するべきだとの意見のほか、腐敗防止対策、国会の活性化と野党の強化についての意見が述べられました。
 佐々木宣君からは、自民党案に賛成の立場から、単純小選挙区制の導入、政治資金の流れの透明化と公私の区分の明確化、節度ある企業・団体献金の存続、さらに政治改革と並行して行政における規制緩和を行うべきだとの意見が述べられました。
 最後に、田口晃君からは、選挙制度について、国民の政治不信の一つの柱である不公平感を是正し、多様な民意が直接議会に表明される制度として比例代表制をとるべきだとの意見が述べられました。
 次いで、各委員から、政治改革に関する国会での論議や各党の姿勢についての評価、政治改革関連法案の今国会での一括処理、企業・団体献金の是非、衆参両院の選挙制度のあり方、地方選挙のあり方との関係、民間政治臨調の連用制についての評価、各党の妥協の必要性、国会改革など多岐にわたる質疑が行われました。
 以上が概要でありますが、会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれにより御承知願いたいと存じます。速記録は、本日の会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。
 なお、会議の開催に当たりましては、地元の関係者初め多数の方々に御協力をいただきました。ここに深く謝意を表しまして、報告といたします。
この発言だけを見る →
田邉國男#3
○田邉委員長 第二班浜田卓二郎君。
この発言だけを見る →
浜田卓二郎#4
○浜田(卓)委員 新潟県に派遣された委員を代表して、私から概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、石井一君、武村正義君、細田博之君、堀込征雄君、池田元久君、細川律夫君、井上義久君、小平忠正君と私、浜田卓二郎の九名でありました。このほか、小渕恵三議員及び星野行男議員が現地参加されました。
 会議は、五月二十日午前九時三十分より新潟市内のホテルイタリア軒において開催いたしました。まず私からあいさつ、会議運営の説明、派遣委員及び意見陳述者の紹介を行い、次いで意見陳述者から意見を聞き、その後これに対する各委員からの質疑が行われました。
 意見陳述者は、新潟県議会議員三富佳一君、新潟県評センター顧問宮下弘治君、見附市議会議員三本進一君、新潟大学教養部助教授吉田和比古君、自由民主党新潟県支部連合会婦人部長滝沢佳子君及び日本労働組合総連合会新潟県連合会会長滝沢剛君の六名でありました。
 意見陳述者の意見について、簡単にその要旨を御報告申し上げます。
 まず、三富佳一君からは、政治に緊張をもたらすとともに安定した政策遂行ができる単純小選挙区制の採用、小選挙区の区割りに当たっての各地域の歴史や風土への配慮、政治倫理の確立、政治資金の節度や公正、公開の確保等を行うとともに、政治改革関連法案の今国会での一括成立を期するべきだとの意見が述べられました。
 次に、宮下弘治君からは、政治浄化を実現するため、企業・団体献金の禁止、パーティー収入の寄附扱い、株や不動産等による寄附の禁止、政治資金の収支の透明性の確立、罰則の強化等を行うとともに、政治改革関連法案の一括処理がどうしてもできない場合は政治腐敗防止の問題について一歩でも前進するようにすべきだとの意見が述べられました。
 三本進一君からは、単純小選挙区制及び企業・団体献金等について自民党案を支持するとともに、政治資金に関する規制及び助成について地方議員の政治活動に十分配慮するべきであり、さらに、政治改革関連法案の今国会での一括成立がぜひとも必要だとの意見が述べられました。
 吉田和比古君からは、本委員会での活発な論議の展開についての積極的な評価が表明されるとともに、選挙制度については小選挙区併用型比例代表制を支持するとの意見及び政治改革関連法案は一括して決着をつけるべきだとの意見が述べられました。
 滝沢佳子君からは、単純小選挙区制の採用、政党における公認手続と女性議員の誕生、地方選挙の選挙区のあり方、公職の候補者等の寄附禁止の緩和、政治改革関連法案の今国会での一括成立等についての意見が述べられました。
 最後に、滝沢剛君からは、選挙制度については併用制を支持することを明らかにしつつ、政治への信頼回復のためには政治改革関連法案の今国会での一括成立が不可欠であるので、各党は妥協のための決断をするべきだとの意見が述べられました。
 次いで、各委員から、民間政治臨調の連用制についての評価、国会議員の役割、民意の反映、候補者選定手続、企業・団体献金の是非、政党助成のあり方、地方選挙のあり方、政治改革関連法案の一括処理など多岐にわたる質疑が行われました。
 以上が概要でありますが、会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれにより御承知願いたいと存じます。速記録は、本日の会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。
 なお、会議の開催に当たりましては、地元の関係者初め多数の方々に御協力をいただきました。ここに深く謝意を表しまして、報告といたします。
この発言だけを見る →
田邉國男#5
○田邉委員長 第三班中西啓介君。
この発言だけを見る →
中西啓介#6
○中西(啓)委員 愛知県に派遣された委員を代表して、私から概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、北川正恭君、深谷隆司君、佐藤謙一郎君、戸塚進也君、小澤克介君、鈴木喜久子君、松原脩雄君、伏木和雄君と私、中西啓介の九名でありました。このほか、今枝敬雄議員、久野統一郎議員、田辺広雄議員、網岡雄議員、佐藤泰介議員及び塚本三郎議員が現地参加されました。
 会議は、五月二十一日午前九時三十分より名古屋市内の名古屋観光ホテルにおいて開催いたしました。まず私からあいさつ、会議運営の説明、派遣委員及び意見陳述者の紹介を行い、次いで意見陳述者から意見を聞き、その後これに対する各委員からの質疑が行われました。
 意見陳述者は、歯科医師河合俊輔君、名城大学商学部教授水田洋君、弁護士・愛知県議会議員梅村忠直君、名古屋市立大学教養部教授伊藤光利君、会社役員小林功君及び椙山女学園大学人間関係学部教授山口利男君の六名でありました。
 意見陳述者の意見について、簡単にその概要を御報告申し上げます。
 まず、河合俊輔君からは、選挙制度については単純小選挙区制の導入を支持するとともに、政党中心の政治資金制度の確立、節度ある企業・団体献金の存続、政党に対する公的助成についての国民の十分な理解の確保、連座制等制裁の強化、さらに、政治改革関連法案の今国会での一括決着を図るべきだとの意見が述べられました。
 次に、水田洋君からは、政治腐敗を根絶するためには政治家の金に対するモラルを正し、政治に金がかかる原因は政治家自身がなくす努力をすることが必要であるとともに、企業献金をぜひ禁止すべきだとの意見が述べられました。
 梅村忠直君からは、政治改革関連法案の今国会での一括成立を期待するとともに、単純小選挙区制に賛成するが、これが困難な場合の妥協案としては小選挙区比例代表並立制を検討すべきであり、これとあわせて、衆議院議員総定数の削減、地方議会議員の選挙区割りについての第三者機関の設置、節度ある企業献金の存続、国会改革、地方分権等が必要であるとの意見が述べられました。
 伊藤光利君からは、単純小選挙区制と小選挙区併用型比例代表制の特徴を比較しつつ、小選挙区併用型比例代表制が現在の我が国にふさわしい制度であり、また、企業・団体献金は禁止すべきだとの意見が述べられました。
 小林功君からは、小選挙区制の導入と地方分権、節度ある企業献金の存続と政治資金の透明性の確保が必要であり、政治改革関連法案は大胆な妥協を行ってでも今国会でぜひ成立させるべきだとの意見が述べられました。
 最後に、山口利男君からは、政治改革特別委員会がリーダーシップを発揮して、政治改革関連法案を一括して今国会で一歩でも実現に近づけるべきであり、選挙制度については、国民が政策をコントロールしやすく候補者もフェアな競争が可能な比例代表制に小選挙区制を組み入れた社会党、公明党案を基軸として各党が合意形成に努力すべきだとの意見が述べられました。
 次いで、各委員から、民意の反映と集約、選挙制度改革と地方分権の推進、単純小選挙区制における死票、併用制における超過議席、企業・団体献金の是非、個人献金の拡大のための方策、政党に対する公的助成、地方選挙のあり方との関係、政治改革関連法案の一括処理と妥協のあり方など多岐にわたる質疑が行われました。
 以上が概要でありますが、会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれにより御承知願いたいと存じます。速記録は、本日の会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。
 なお、会議の開催に当たりましては、地元の関係者初め多数の方々に御協力をいただきました。ここに深く謝意を表しまして、報告といたします。
 以上であります。
この発言だけを見る →
田邉國男#7
○田邉委員長 第四班野田毅君。
この発言だけを見る →
野田毅#8
○野田(毅)委員 福岡県に派遣された委員を代表して、私から概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、大原一三君、衛藤征士郎君、津島雄二君、穂積良行君、菅直人君、田並胤明君、早川勝君、北側一雄君と私、野田毅の九名でありました。このほか、麻生太郎議員、古賀誠議員、塩川正十郎議員、西岡武夫議員、三原朝彦議員、松本龍議員、小沢和秋議員が現地参加されました。
 会議は、五月二十一日午前九時三十分より福岡市内のホテル日航福岡において開催いたしました。まず私からあいさつ、会議運営の説明、派遣委員及び意見陳述者の紹介を行い、次いで意見陳述者から意見を聞き、その後これに対する各委員からの質疑が行われました。
 意見陳述者は、福岡県議会議員板橋元昭君、田川市長滝井義高君、甘木市長中島茂嗣君、西南学院大学教授大内和臣君、福岡県医師会長櫻井日出生君、日本婦人会議福岡県本部議長大町多喜子君の六名でありました。
 意見陳述者の意見について、簡単にその要旨を御報告申し上げます。
 まず、板橋元昭君からは、選挙制度については衆議院議員選挙への単純小選挙区制の導入と参議院議員選挙の比例代表制のみへの変更、政治資金については節度ある企業・団体献金の必要性と収支の透明性の確保、公私の峻別、政党への公的助成の必要性等について意見が述べられました。
 次に、滝井義高君からは、選挙制度改革の目標は政権交代可能な制度をつくることであるとの前提に立ち、かつ、我が国の現状から考えると、当面の措置としては小選挙区比例代表併用制を採用すべきであり、また、企業・団体献金の禁止、連座制や罰則の強化、さらに、政治改革関連法案の今国会での一括成立を図るべきだとの意見が述べられました。
 中島茂嗣君からは、単純小選挙区制が最もよい制度であるとしながらも、選挙制度の改革を必ず実現するべきだとの立場から、妥協の可能性のある案として小選挙区比例代表並立制が望ましいとの意見、さらに、選挙公営の充実、地方分権の徹底等についての意見が述べられました。
 大内和臣君からは、日本人の民族性、野党の健全育成、民意の多面性、すぐれた人材の育成等の観点から、多くのメリットを持つ連用制が妥当な案であるとの意見が述べられました。
 櫻井日出生君からは、現行中選挙区制が有する問題点を指摘しつつ単純小選挙区制の導入に賛成するとの意見が述べられ、さらに、妥協ができない場合の緊急避難の措置として中選挙区制のもとでの連記制の採用を提唱するとの意見が述べられました。
 最後に、大町多喜子君からは、汚職構造や金権腐敗の体質について国会としての自浄能力を高めることが重要であり、また、政治資金について企業献金の禁止、選挙制度について女性の政治参加を促す比例代表制を希望するとの意見が述べられました。
 次いで、各委員から、各党の妥協の可能性、連用制の評価、戸別訪問の是非、女性の政治参加、政治家の倫理観、政党の成熟度、クロスボーティング、地方議会の選挙制度など多岐にわたる質疑が行われました。
 質疑を通じて各意見陳述者から、今国会での一括成立を目指すこと、選挙制度について小選挙区制と比例代表制の長所を生かして妥協を図ることの必要性が述べられました。
 以上が概要でありますが、会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれにより御承知願いたいと存じます。速記録は、本日の会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。
 なお、会議の開催に当たりましては、地元の関係者初め多数の方々に御協力をいただきました。ここに深く謝意を表しまして、報告といたします。
この発言だけを見る →
田邉國男#9
○田邉委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。
 お諮りいたします。
 ただいま報告のありました第一班、第二班、第三班及び第四班の現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →
田邉國男#10
○田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    —————————————
    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕
    —————————————
この発言だけを見る →
田邉國男#11
○田邉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十時二十三分散会
     ————◇—————
  〔本号(その一)参照〕
    —————————————
   派遣委員の北海道における意見聴取に
   関する記録
一、期日
   平成五年五月二十日(木)
二、場所
   ホテルニューオータニ札幌
三、意見を聴取した問題
   公職選挙法の一部を改正する法律案(梶山
   静六君外二十三名提出)、衆議院議員選挙
   区画定委員会設置法案(梶山静六君外二十
   三名提出)、政治資金規正法の一部を改正
   する法律案(梶山静六君外二十三名提出)
   、政党助成法案(梶山静六君外二十三名提
   出)、公職選挙法の一部を改正する法律案
   (佐藤観樹君外二十四名提出)、衆議院議
   員小選挙区画定等審議会設置法案(佐藤観
   樹君外二十四名提出)、政治資金規正法の
   一部を改正する法律案(佐藤観樹君外二十
   四名提出)及び政党交付金の交付に関する
   法律案(佐藤観樹君外二十四名提出)につ
   いて
四、出席者
 (1) 派遣委員
   座長 田邉 國男君
      大島 理森君    自見庄三郎君
      増子 輝彦君    大畠 章宏君
      小林  守君    左近 正男君
      渡部 一郎君    木島日出夫君
 (2) 現地参加議員
      藤原 房雄君
 (3) 政府側出席者
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  松尾 徹人君
 (4) 意見陳述者
        北海道議会議員 岩本  允君
        全道労協センタ
        ー議長     相原 敬用君
        株式会社自由広
        報センター社長 大場 信吾君
        北海道大学法学
        部助教授    山口 二郎君
        株式会社アイエ
        スティ北海道取
        締役社長    佐々木 宣君
        北海道大学法学
        部教授     田口  晃君
     ————◇—————
    午前九時三十一分開議
この発言だけを見る →
田邉國男#12
○田邉座長 これより会議を開きます。
 私は、衆議院政治改革に関する調査特別委員会派遣委員団団長の田邉國男でございます。
 私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いを申し上げます。
 この際、派遣委員を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様御承知のとおり、本委員会におきましては、政治改革関連諸法案の審査を行っておりますが、各法案の審査に当たり、国民各界各層の皆様から御意見を聴取するため、御当地におきましてこの会議を開催することにした次第でございます。
 御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。忌憚のない御意見をお述べいただくようお願いを申し上げます。
 まず、この会議の運営につきまして御説明を申し上げます。
 会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、座長の許可を得て発言をしていただきたいと存じます。
 次に、議事の順序につきまして申し上げます。
 最初に、意見陳述者の皆様から御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願いをいたします。なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
 出席委員は、自由民主党の大島理森君、自見庄三郎君、増子輝彦君、日本社会党・護憲民主連合の左近正男君、大畠章宏君、小林守君、公明党・国民会議の渡部一郎君、日本共産党の木島日出夫君、以上でございます。
 なお、現地参加議員として藤原房雄君が出席されております。
 次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。
 北海道議会議員岩本允君、全道労協センター議長相原敬用君、株式会社自由広報センター社長大場信吾君、北海道大学法学部助教授山口二郎君、株式会社アイエスティ北海道取締役社長佐々木宣君、北海道大学法学部教授田口晃君、以上の方々でございます。
 それでは、岩本允君から御意見をお願いいたします。
この発言だけを見る →
岩本允#13
○岩本允君 まず、衆議院議員の政治改革にかかわっている先生方に対しまして、敬意を表させていただきます。
 それでは、私の方から意見を述べさせていただきます。
 まず、政治改革の必要性でございます。
 既に御承知のように、ソ連、東欧などの社会主義体制が崩壊しているということでございまして、現在の東西の冷戦は終結をしているわけでありますが、このことは、また逆に西側諸国において政治、経済、社会体制の変革を求める結果を招いているのではないか、こう存じているわけであります。またアメリカは、冷戦時代が清算され、現政権による国の再生に動き出しつつあります。またフランスは、社会党が大惨敗をし、保革まだらな模様の政権を余儀なくされているわけであります。さらにまたイタリアは、戦後から現在に至る構造的な腐敗が国家的な規模で明るみに出ている現状であります。
 世界は今、新たな世界協調の体制に移行しようと試行錯誤している時代に突入したと私は認識しているわけでありますが、我が国も例外ではございませんで、今日まで政治と金をめぐる腐敗、行き過ぎた中央集権、政治構造に対して、国民の政治不信は極限に達していると言っても過言ではない、こう思います。現在の政治不信は、冷戦時代からの制度疲労、言いかえますと、自民党の長期単独政権下ではぐくまれてきた構造的な政治腐敗と、政権の獲得を放棄し単なる批判政党に甘んじてきた野党に対する政治不信ではないかと考えております。
 ことし三月、ある全国紙でございますけれども、世論調査によりますと、政界再編を前提とした政治の枠組みの変更を求める声が七割以上に達している。このことは、政権交代可能な政治制度の一日も早い実現を国民は切実に待望していることを示すものであると思います。
 特に、我が国の政治の現状について、昨年十一月の民間政治臨調の政治改革に関する緊急提言で、「政治が真面目な市民の営みとは無縁な裏側の世界の営みであり、社会倫理の破壊者であるかのような印象さえ与えている。」と厳しく指摘をされているのでありますが、一連の政治と金の不祥事件を目の当たりにした大多数の国民は、同様に受けとめていると思います。したがって、今求められております政治改革とは、政権の交代を可能にする政策中心の金のかからない政治の実現ではないかと私は考えております。
 今回の政治改革は、国民の政治に対する不信を解消し、国民の、国民による、国民のための政治をいかにして確立し、世界に対応し得る政治システムを構築していくのかという、まさに我が国の政治史上画期的な作業ではないかと存じます。今国会で是が非でも抜本的な政治改革を実現し、国民の希望と活力を反映した、内外に開かれた我が国の政治を確立されますことを、まず心から念願するものであります。
 そこで、政治改革四法案のことにつきまして意見を述べさせていただきますが、現在国会で論議されております政治改革法案について、私の意見を申し上げます。
 結論として、自民党の提出した四法案に賛成するものであります。その理由は、現在求められている政治改革とは、さきに述べましたように、政権の交代を可能にする政策中心の金のかからない政治の実現ではないかと思います。現在、一部に、与野党間で考え方の開きがある選挙制度改革は後回しにして、政治資金規正法の改正や政治腐敗防止法の制定を優先して処理すべきとの意見があるようでありますが、政治に金がかかり、利益誘導など腐敗の温床が現行の中選挙区制度そのものにある以上、政治資金規正法の改正だけでは不祥事件の再発防止にはならない、選挙制度と政治資金の問題は切り離して議論のできないものであると考えます。四法案は不離一体と考えますので、一括処理して初めて総合的な抜本的政治改革が実現するものと考えております。
 次に、選挙制度の改革についてであります。
 政治改革の最大の問題、現在の中選挙区制度について、共産党以外は小選挙区制について一応理解を示されていると承っております。この中選挙区制の弊害は、今日まで、まず政権を目指す政党は同一選挙区に複数の候補者を立てる、結果として同士打ちが避けられない。さらにまた、内容によっては個人本位の選挙になる、政党の公約や政策より有権者に対するサービス合戦、また地元への利益誘導中心になることではないかと承知しております。そういたしますと、当然に選挙には資金が必要になる、必然的に派閥が存在する、結果として活発になり、さらに選挙後は党内に主導権確保のための派閥を維持するためにも、膨大な政治資金を必要とすることが現在の中選挙区の制度ではないか、このように思います。また、このほかにも、中選挙区制度は、政権交代の可能性を阻害しているとか、地方分権や行政改革の障害になっているなど、さまざまな問題が指摘されております。
 したがって、これにかわる選挙制度として、私は、自民党が提案しております単純小選挙区制の導入を積極的に支持したいと思います。その理由は、この制度が政権交代を可能にする政策中心の金のかからない政治の実現に最も手の届くところに位置すると思うからであります。単純小選挙区制は、一票でも多くの票を獲得した者が当選するという現在の知事選また首長選など、国民に最もわかりやすい選挙制度であると思います。同時に、政党による政策の違いが鮮明になり、政策中心の選挙になります。したがって、政権の選択について、有権者の意思が明確な形で示されると思います。時代の変化に的確に対応する能力と先見性が政党に要求され、おごりや怠けは許されない厳しい競争原理が働く制度でありますから、安定した政策遂行能力と不断の緊張感を政党に与える単純小選挙区制が最もふさわしい制度であると考えております。
 小選挙区比例代表併用制に対する私の意見を若干述べさせていただきます。
 併用制は、基本的には比例代表制であると存じます。各党の得票率に応じて各党の総議席数が決まります。現在の各政党の勢力を議席に反映できる反面、政権交代の場合、連立政権が避けられないのではないかと思います。連立政権というのは本来、もう御承知のように、国民が政権を任せようと考えていた政党に、キャスティングボートを握った政党の力が加わることになるということで、結果として国民の審判を経ない政権が誕生することになりはしないか。しかも、多数党よりそれと連立する小数党の方が、政権に対する大きな影響力を持つこともあるのではないかということであります。私は、併用制では政権の不安定は否めないのではないか、今の我が国の政治状況下では、併用制の導入については強い危惧を抱く者の一人というふうに申し上げたいと思います。
 次に、政治資金制度についてであります。
 自民党の改正案では、政治と金にまつわる不祥事件、つまり金権スキャンダルに対する厳しい反省から、選挙制度を政党中心とした仕組みに改めることに合わせ、政治資金制度についても、政党が中心となって政治資金を調達するようになっております。例えば、企業・団体献金は政治家が指定する資金調達団体に対する少額のものを除いて、政党に対してのみ行うことができるというふうに伺っております。また、政治家個人は、政党から受けるものや選挙運動に関するものを除き、金銭などによる寄附を一切受けられないことになっており、政治資金における公私の峻別が徹底されています。これに関連して、政治家が指定する資金調達団体が関与する政治団体間の資金提供も禁止をされています。さらに、政治家が持てる資金調達団体も二つに制限され、企業、団体はこの資金調達団体に年間二十四万ということにされております。
 現在、政治資金制度の改正で最大の問題となっておりますのは、企業・団体献金を自民案のように一定限度の範囲内で認めるか、それとも全面禁止するかであると思います。私は、現在の自由主義社会において、企業も個人も同様に社会的存在であり、政治に一定の考えを持ち、政治参加の一形態として節度ある献金を行うことは当然であると考えます。つまり、企業は納税者で、また経済運営や政治運営の仕方によって重大な影響を受けるわけでありますから、したがって支持する政党、政治家を応援する政治的自由も保護されているべきであると思います。
 次に、政党助成法について少し意見を申し述べさせていただきます。
 今回の四法案のうち、政党助成法は、選挙制度と政治資金制度を個人本位から政党中心に改める、政党の財政基盤の確立、強化の観点から、政党に対する公的助成を導入するというものであります。当然必要な措置であると考えます。ただ、政党への公費助成は、何よりも納税者である国民一人一人の理解が必要であります。つまり、国民が納得のいく抜本的な政治改革の実現が前提であると存じます。政治資金の調達をめぐって国民の不信を生まないようにする上でも、このことを国会の場でさらに明らかにする必要があると思います。
 以上、ざっくばらんに、雑駁な意見でありましたが、政治改革に関する私の意見を申し述べさせていただきました。政治改革は、政党のための政治改革ではないと思っております。将来、二十一世紀に向けて、国民の納得いく抜本的な政治改革が、今国会において国会議員の皆さん方の責任と英断をもって実現されますよう重ねて要望いたして、私の意見を終わらせていただきます。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →
田邉國男#14
○田邉座長 ありがとうございました。
 次に、相原敬用君にお願いをいたします。
この発言だけを見る →
相原敬用#15
○相原敬用君 ただいま御紹介をいただきました意見陳述人の相原でございます。特別委員会の各議員の皆さん方には、大変御苦労さまでございます。
 このたびの公聴会に当たりまして、私は、政治資金、政治倫理にかかわる事柄を中心にして意見を述べさせていただきたいと思います。なお、問題によっては、選挙制度の部分にも関連して付言することがあるかと思いますが、あらかじめ御了解をいただいておきたいと思います。
 さて、初めに総論的に、今国民が政治改革に関して何を最も期待しているのか、望んでいるのかということであります。別な角度から言えば、何に不満を持っているのか、不信を感じているのかということであります。それは、政治と金の関係を明朗にしてほしい、政治資金、政治献金など金の流れについて透明にしてほしい、政治と金の関係で、利権、つまり腐敗の根を断ってほしいということだと思うのであります。政治家に金を見せるなという極言をする人さえおるのであります。
 一九八〇年代から九〇年代にかけて、リクルート、共和、佐川急便問題、そして、個人の名前を挙げて大変恐縮でございますが、金丸前議員の脱税や資金調達の仕組みや方法が明らかになるにつれまして、国民の政治と金に対する怒りと不信は頂点に達していると言っても過言ではないと思うのであります。もし、このたびの政治改革の審議において、政治資金に関する改革がなおざりにされ、選挙制度とも相まって改革が見送られることにでもなったとすれば、すべての既成政党と政治家は国民、有権者から絶縁状をたたきつけられると思うのであります。したがって、今次政治改革法案の審議によって、必ず政治資金規正法の改正を初め政治改革に関連する法案の成立を図り、政治腐敗を断つ断固たる結果を求めたいと思うのであります。
 こうした国民、有権者の願いと思いを前提に、以下幾つかの点について意見を述べたいと思います。
 まず第一に申し上げたいのは、政治資金の寄附、いわゆる政治献金の主体者をどこに置くのかということであります。もともと政治というものを議会制民主主義という制度で見た場合、政治の当事者は主権者である個々の有権者であります。そして、その有権者から負託を受けたそれぞれの議員であります。また、議会制民主主義のより健全な発展と充実のためには、政党政治の完熟が必要であることは定説でありますから、一方で、政党もまた政治の直接の関与者であります。
 今さら言うまでもありませんが、議会制民主主義と議院内閣制をとっている我が国において、有権者は選挙時における投票行為を通じて議員あるいは政党に政治を負託し、議員と政党は、その投票の結果を受けて有権者、国民の負託にこたえなければなりません。このような中で、政治活動に必要な費用は、議員にあっては支給される歳費、調査費、秘書費等々を主に、政党にあっては政党構成員による党費、党事業収入などを中心に賄うべきが本来であります。一方、有権者個々は、みずから負託した政治についてその実現を図るため、政治の当事者として議員、政治家、政党の行う政治活動に対して、ボランティアあるいは政治活動に必要な費用について個人として寄附、献金を行ってしかるべきと考えます。すなわち、政治資金の寄附、献金の主体者は、政治の当事者としての個人とすることが本来的に妥当と考えるものであります。
 しかし、現状はどうかといえば、本来的な個人からの寄附、献金は微々たるものでありまして、企業、団体も含めまして企業献金が我が物顔に大手を振ってまかり通っておるのが実態であります。しかも、政治団体数については制限がないことから、庶民感覚にとって気の遠くなるような金額の政治献金が行われております。そして、この企業献金が政治家と金の関係を不明朗にし、腐敗の大もとになっていることは明らかであり、昨今の出来事から見ても、何人も否定のできないことであります。したがって私は、政治腐敗の根を断つため、この際、企業及び団体からの寄附、献金を一切禁止し、政治資金の寄附、献金は個人からのみに限るべきと思います。文字どおり個々人からの浄財によって政治活動が行われることになるものであり、このことを断行することこそが国民、有権者の意にかなうことであります。
 これに対して、企業も立派な社会的存在であるし、企業にも政治活動の自由が保障されるべきであるとして、企業献金を存続する意見があります。私は、企業の社会的存在や企業、法人の政治活動について否定をいたしません。しかし、献金の伴わない陳情、要請などのロビー活動、企業、法人の政治理念や政策などについて国民、有権者に向けての宣伝、啓蒙活動など、政治献金の伴わない政治活動は幾らでもその方法があるのであります。それを、あえて企業、団体の政治献金の存続に固執するというならば、率直に言って、そこに利権や特別な関係のにおいを感ずるのは、果たして私だけなのでありましょうか。決断を促す次第であります。
 第二に、政治資金の寄附、献金の主体者は個人であるとしても、その寄附の対象者、その寄附の方法の問題について、幾つか意見を述べたいと思います。
 まず、寄附を行う対象として、政治家個人をその対象から外すことであります。政治家個人への寄附、献金は、今までも公私混同の温床となっておりました。場合によっては、政治家個人の蓄財に利用されるおそれが十分にあり、現在もそうした事例で司直の調査を受けていることがあります。したがって、政治家個人への寄附は禁止すべきものとし、また政治家、議員と一心同体の秘書による政治資金規正法違反については、議員本人の監督責任を明確にし、公民権停止の連座制の対象にすべきものと考えます。国民は、それは秘書の行ったことという弁明を二度と聞きたくないのが本心であります。
 また、政治家が指定する資金調達団体への寄附、献金は、結果として政治家個人への献金に転化をいたします。ましてや、企業献金が存続される中での指定資金調達団体への寄附、献金は、現在の利権絡みの腐敗の種をそのまま残すこととなり、とるべき方策ではないと考えます。
 次に、個人の寄附の方法についてであります。これについては、直接的な方法と間接的な方法の二つがあると思います。直接的な方法は、文字どおり個々人が政党や政治資金団体、あるいは政治活動を行う政党以外の者に直接寄附する方法であります。間接的方法については、政党交付金という形での方法であります。
 企業、団体の寄附、献金を禁止し、個人の寄附、献金のみによるものとすると、現状では総体として、政治資金の寄附、献金は減ることになるでありましょう。政治活動資金が減ることは、政治活動が弱まることに連動いたします。寄附、献金が減少する中で政治活動を強めるとすれば、裏献金などというよからぬことを考え、腐敗の新しい種も生まれる可能性があります。したがって、正常な政治活動を行うために必要な政治資金の確保策として、政党に対する公的助成金の交付、つまり政党交付金制度を創設することが肝要であります。個人からの直接的寄附と政党交付金を車の両輪として、政治活動資金の確保と腐敗防止を図らなければならないと考えます。
 公的助成金の交付は、当然のごとく国の財政からの支出を必要といたします。国の財政は租税を中心として成り立っていますから、国民は納税という形で、間接的に政治資金の寄附を行うこととなるのであります。政治活動資金を税金から支出することについて、さまざまな意見があろうかと思います。しかし、有権者が投票行為を通じて負託したはずの政治が、現状の政治資金規制のざる法状態の中で政治腐敗が進行し、深化し、我が国の議会制民主主義が危機状況になっていることを考えるとき、抜本的な腐敗防止策がとられるならば、政治浄化という意味で、国の財政を通しての間接的寄附は受忍でき得る事柄だと考えます。いやむしろ、耐え忍んででも、企業献金や資金調達のための政治団体の野放し状態をなくし、政治腐敗の根を断つことが有権者の責務とさえ考えるものであります。
 さらに、政治の活性化という意味で、政党と政治家にとっては、直接的な個人献金、間接的な政党交付金という方法で有権者個々からの寄附をいただいたことにこたえるためには、政治姿勢として、有権者ひいては国民全体に基盤を置いた、しっかりした政治と政治活動を実行しなければなりません。なぜならば、もし有権者や国民に背を向けた政治と政治活動を行ったとすれば、支持を失い、個人献金も減り、政党交付金の交付割合も減ずることとなり、政党、政治家の存立そのものが危うくなるからであります。議会制民主主義のより健全な発展にとって、政党政治の完熟は不可欠であります。したがって、我が国の民主政治の充実を図る意味からも、政党交付金制度の制定を図るべきと考えます。
 なお、政党交付金の交付対象となる政党の基準については、憲法で定める結社の自由のかかわりから、ミニ政党の取り扱いについては慎重にしなければなりません。今、国会で審議されている法案のうち、国会議員三人以上か、国会議員を有する得票率一%以上得た政党とする社会、公明案が、現状ではベターと考えます。
 さらに付言させていただきますならば、直接個人献金と政党交付金制度は、選挙制度とのかかわりで申し上げると、民意の反映が図られることと政党選挙の徹底が図られることと密接な関係があります。そうした意味で、選挙制度に当たっては比例代表制の導入が極めて重要であり、その実現を求めたいと思います。
 第三に、情報公開に触れて意見を申し述べます。
 この世の中で最もわからないこと、それは政治資金の出入りという笑えない小話があります。これが国民の率直な気持ちであります。現在は、政治家、政治団体とも、百万円未満のものは公開の義務なし、しかも献金受け入れの政治団体の数は制限なし、だから百万円未満に小分けをして公開しない、入りがわからなければ出るのもわからない。これがリクルート、共和、佐川急便事件など腐敗の土壌にもなっており、国民の不信を募らせております。とにかく有権者、国民は、政治資金の流れをガラス張りにしてほしいというのが一致した考えであり願いであります。したがって、この出入りの公開基準は単純化し、基準額も思い切って引き下げることによって、だれでもなるほどと納得のできるものにすることが肝要であります。
 社会、公明案によりますと、入りの公開基準は一律一万円を超えるもの、出の方は一件三万円を超えるものとしております。このぐらい単純化し、基準額を引き下げるならば、情報公開として納得ができると思います。一万円というのは余りにも低いではないかという意見もあるやに聞いております。しかし、政治資金の寄附と情報公開の先進国の一つと言われるアメリカでは、贈答品も含めて百ドル以上と仄聞をしております。今の為替相場から考えて、一万円というのは国際的にむちゃな数字ではないと思うのであります。また仮に、一万円では一々面倒だ、煩雑だという意見があるとすれば、それはもってのほかの話であります。寄附という浄財を受け取るわけでありますから、どんなに面倒でも、どんなに煩雑でもそれを受忍して、政治資金の流れをガラス張りにすることこそ政治腐敗根絶の第一歩であり、政治改革のスタートであると考えます。
 最後に、政治倫理の確立にかかわって意見を述べます。
 現在、一九八五年に、国会において政治倫理綱領と行為規範について議決をしております。しかし、現実は全くこの議決が生かされておりません。贈収賄容疑で起訴され裁判中でも恬として恥じることなく、道義的責任はどこ吹く風、議席にしがみついている議員、暴力団関与が指摘され、多くの自治体から辞職意見決議が出されても、強弁を繰り返して、これまた道義的責任を果たさない議員、こうした議員が存在し、国会自体が自浄作用・能力を果たさないまま今後も推移するとするならば、国民、有権者の政治不信はますます募るばかりであります。
 国権の最高機関たる国会に籍を置く政治家の皆さんは、李下に冠を正さずとのことわざにもあるとおり、疑惑には最も敏感でなければなりません。もし一たん疑惑に包まれたならば、みずからその道義的責任を果たすことこそ、政治を負託された者としての倫理観でなければなりません。しかし、前述したように、現状はそうした政治倫理の確立がされておりません。とするならば、この際、政治倫理にかかわって法制度の中で行動規範を明示し、もって政治腐敗の根絶と政治倫理の確立を図るべきと考えます。政治倫理法の制定を求めるものでございます。
 以上、政治資金規制、政治倫理に関連じて幾つかの意見を述べました。重ねて強調いたしますが、このたびの政治改革の審議が論議のための論議に終始し、結果として政治改革が実行されないということがあってはならないと思います。どんなに困難性があっても、ハードルが高くても、それを克服をいたしまして、各政党、各議員の皆さんには必ず選挙制度、政治資金、政治倫理にわたる一括した政治改革を断行するよう強く訴えまして、私の発言を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →
田邉國男#16
○田邉座長 ありがとうございました。
 次に、大場信吾君にお願いをいたします。
この発言だけを見る →
大場信吾#17
○大場信吾君 特定のメディアの名を挙げて大変恐縮でございますが、「NHKスペシャル」というテレビ番組があります。一九八九年七月のこと、イギリス議会史にスポットを当てて、「かくして政治はよみがえった」という番組を電波に乗せました。この放映に注目したイギリスのマスコミはこれをニュースに取り上げて、今や日本は一八八三年にイギリスの首相だったグラッドストーンに熱い視線を向けていると伝えたそうであります。一八八三年、それはイギリスの議会史上特筆すべき腐敗行為防止法制定の年であります。この法律こそ、瀕死のイギリス議会を蘇生せしめ、世界の政治改革史に刻まれる金字塔となりました。今、一部の人々は、腐敗が進行し、金権がばっこする日本の政治の現状を評して、百十年をさかのぼるイギリスの状態そのままだと述べております。それだけに、この法律制定の経緯と影響を無視することができないのは当然であります。
 現在、国会で御審議中の四法案は、自民党案も社会党、公明党案も、基本的に政治倫理の確立を第一義とし、選挙制度や政治資金の仕組みの改革を行う中で腐敗行為の防止を図り、政治に信頼を取り戻すことが目的だと承っております。したがって、それぞれ議論の余地はあるとしても、まず提案されている四法案について十分双方の所見を述べ合い、整合を図りながら、必ず成立に持ち込み、政治改革へ大きく一歩を踏み出していただきたいと心から願ってやみません。
 そこで私は、このたび拝見した原案の段階で二つの四法案に対する私見を総合いたしまして、自民党提出の四法案がベターであるとの判断に立ち、その理由を申し上げたいと思います。
 冒頭にイギリスの腐敗行為防止法に触れましたが、この法律は、実は成立の二年後に制定された議席再配分法と言われる小選挙区制によって大いに実効を上げることになったと伝えられております。それまでほとんど二名区だった国内の選挙区を再編し、小選挙区に改めた結果、一挙に政党の比重が高まったと言われます。しかも、厳しい罰則を打ち出した腐敗行為防止法との相乗作用により、買収、供応を逐次一掃し、選挙の浄化へ前進することになったと報告されています。つまり、政治改革の手本として注目された腐敗行為防止法は、たとえ時代と国情の違いがあるとはいえ、小選挙区制によってその効果を高め、次第に定着を果たした事実に着目をしたいと思うのであります。
 そこで、小選挙区制を可とする主な論拠を挙げたいと思います。
 第一に、政権が国民の意思によって直接選択される道が開かれます。自民党の小渕恵三議員は、去る四月十三日の代表質問でマックス・ウェーバーの言葉を引いて、政治とはまさに政権へ近づくことだと述べ、単純小選挙区制は野党にとっても政権の獲得を十分可能にする制度であると指摘をしました。一選挙区一議員の小選挙区制は、その候補者が政権を託すに足る政策と見識を持ち合わせているかどうかを前提に投票が行われ、その行動を通じて有権者は、国家の意思の形成に参画したとの意識をはぐくむことになります。既にマスコミ関係の試算によると、平成元年の参院選の結果を分析すれば、定数五百の単純小選挙区制に当てはめた場合、野党第一党の社会党は圧倒的な議席を獲得できると試算されており、それは政権交代の可能性を示唆するものだと受け取られています。このことは、当然政権に緊張感をもたらす要因を生み、ふだんから国民の意思にこたえ、政策の立案、実行に努める姿勢が求められるようになりましょう。
 また、小選挙区制は、政治活動を進める上で大幅に金の負担を軽減するに違いありません。同一政党に所属する者同士の競合がなくなり、個人的な後援会の拡大競争やサービス合戦は影を潜めると予想をされます。勢い、所属する政党と一体になった政治活動は、議員として国政に集中できる案件を整えることになりましょう。もちろん、これまでの中選挙区制にあっても多くの長所を認めるにやぶさかではありませんが、むしろ制度疲労による欠陥が色濃くあらわれ、政策に対する取り組みの甘さが目立つ以上、この制度の改革は当然の成り行きであります。
 今や日本は、国内的には停滞する経済の打開を急がねばならず、一方、世界の安定に寄与するため、名実ともに果敢な国際貢献を求められております。その局面を開くためにも、国の制度的な枠組みについて、速やかに論議と改革を加えなければならないでしょう。政権を託された政党が、国民多数の支持を背景に先見性に富んだ政策を前面に打ち出し、堂々とリーダーシップを発揮して活動できるように、小選挙区制に基づく改革への歩みに大きく期待を寄せたいと思います。
 ちなみに、小選挙区併用型比例代表制についてでありますが、これは基本的に比例代表選挙の得票数に応じて総議席数を配分することとしており、かつて海部内閣が提案した並立制の趣旨とは異なり、比例代表制の短所をそのまま持ち込む結果になると判断いたします。すなわち、小党分立を招いて連立政権を生みやすいこと、連立政権となれば政権を担当する政党が国民によって直接選択されたことにならないこと、国の意思決定がおくれて政権が不安定になるおそれがあること、超過議席を生ずる場合があること、候補者が小選挙区で落選、比例で当選という甚だわかりにくい現象もあらわれること、これらはいずれも看過できない問題点であります。
 ところで、この併用制はドイツで採用されている方式だと言われますが、ドイツでは、小党乱立を回避するため、三議席五%阻止条項を加えていると聞いております。これは、第一投票で選挙区議席を少なくとも三議席獲得できない政党、あるいは第二投票で有効投票の五%以上獲得できない政党は、比例による議席配分に参加できないこととしたものであります。この条項は、実際に併用制を採用するに当たって浮上した問題点に対する緊急避難措置だったと解釈されるのでありますが、社会党、公明党案ではそのことに触れておられません。ただし、この種の条項が付加されたとしても、憲法上の疑義が伴うという心配があります。
 以上の理由に基づき、大変僣越な点をおわびいたしますが、併用制については、単純小選挙区制にまさる提案であるとは申し上げにくいのであります。
 次に、政治資金について申し上げます。
 ある著名な学者の言葉として、権力は腐敗する、絶対的な権力は絶対的に腐敗すると書かれた文章を目にとめました。その腐敗を抑止するためには、絶対的な力をお持ちになる政治家みずからがみずからを厳しく制御する、自制の精神を発揮していただかなければなりません。国民の素朴な疑念は、なぜそんなに金がかかるのか、一体どこから政治献金を受けているのかなどに集約されましょうか。そんな疑念にこたえるかのように、自民党所属国会議員が連名で、政治資金に関する公私の峻別についてみずからを戒める基準を明らかにしたことは注目に値します。
 その声明によれば、みずからを改革する断固たる姿勢を国民に示さなければならないとし、両院で定められている政治倫理綱領及び行為規範、並びに党倫理憲章及び党所属国会議員倫理規程を遵守することを宣誓し、一つ、すべての政治資金を政治団体で取り扱うこと、二つ、政治家個人による政治資金の収受と保有を一切禁止すると申し合わせております。この声明の直後に四法案の提出となっておりますから、いかにも毅然とした決意のほどがうかがわれた次第であります。もちろん、政治資金は民主政治を支えるコストとして不可欠でありますが、金にまつわる政治腐敗が極度にあらわれている現状では、これまでの慣行を打ち破る英断が必要であります。その意味で、鋭く実態に切り込んだ自民党案にも、社会党、公明党案にも、基本的に双方に対し敬意を表します。
 問題は、企業や団体からの献金について、社会党、公明党案では全面禁止を打ち出しておられるのでありますが、これは四月十四日の代表質問で自民党の加藤紘一議員が述べておられるように、個人献金システムが熟成していない現在、規制を施しながら経過的に存続を図る方がより現実的と言えるのではないかと判断をいたします。また、政党枠の限度を二倍とした点は、現在の社会情勢に見合う措置として認知できる程度であると判断をいたします。さらに、政治家個人の政治資金調達団体を二つに絞り、資金の流れをわかりやすくする措置を講じたことは、有権者の信頼を回復するために適切だと思います。
 最後に、政党助成制度でありますが、特に今回の抜本改革に当たっては、選挙制度や政治資金制度を個人本位のものから政党中心に改めるため、政党の財政基盤の確立強化が絶対に必要となってまいります。しかも、それが議会制民主主義を守る不可欠の費用であるとの判断に立ち、政党に対する公的助成を導入することに踏み切ったと説明されております。その対象となる政党は、一定の資格要件を備えなければならないことは当然ですが、その収支報告の適切な処理と相まって、公正な政治活動を支える役割を果たしてほしいと思います。
 以上、選挙制度の改正に附帯する選挙区画定委員会設置法案を含め、自民党の提案による政治改革関連四法案に対し賛成の意を表し、意見の陳述を終わります。拍手
この発言だけを見る →
田邉國男#18
○田邉座長 ありがとうございました。
 次に、山口二郎君にお願いいたします。
この発言だけを見る →
山口二郎#19
○山口二郎君 山口でございます。
 政治改革の中で、特に選挙制度や政治資金の問題に一般の議論は集中しておりますが、私はまずここで、腐敗はなぜ起こるのかということを広い視野から考えて、政治改革の本当の課題は何かということについて少し考えてみたいと思います。
 今の日本の統治の仕組みを見ておりますと、よほどの聖人君子でない限り、どうしてもこの腐敗に陥りやすいわながある。そのわなというのは何かといいますと、行政府、中央政府の官僚機構における巨大な権力や許認可権限や情報の集中ということであります。そしてもう一つ、日本の行政機構は非常に大きな裁量を持っておりまして、許認可や補助金の箇所づけ、さらには建設公共事業における指名競争入札の指名といったような、さまざまな場面で大きな裁量を持って利益の配分や利害の調整を行っております。この裁量の大きさと資源の集中という二つを前提とすれば、どうしても行政から特別な恩義や便益を受けたいと思う業者が、政治的な手づるを使ってその資源にアクセスしようとするのも当然であります。
 まさに金丸前自民党副総裁の建設スキャンダルが教えることは、そういった肥沃な腐敗の土壌の中で、特定の企業が行政からの便益を求めて自民党の有力な政治家にアクセスをする、それが今や日常化しているということであります。国民の税金であります建設公共投資のお金が、不正なやみ献金という形で特定の政党の政治家にキックバックされるということは、大変ゆゆしい問題であります。
 もちろん、選挙の仕組みや政治資金に関するいろいろなルールづくりも大事ですけれども、国会議員が一体何をするのかということを根本的に考えることなしに政治改革はできないと私は思うわけであります。その意味で、行政の過程におけるさまざまな利害調節や利益配分の中から政治家が引っ込む、そして政治家は国会において広い見地から国全体の政治的な課題について討論をするという本来の政治家のあり方に戻るということが、私は究極的な政治改革の課題ではないかと思います。そういった観点から、選挙や政治資金の問題も考えられるべきだと思います。
 それで、やや本題からはずれるのですけれども、政治改革の中でそういった腐敗の土壌というものにどうやってメスを入れるかということもあわせて議論していただきたいと思うわけであります。つまり、選挙や政治資金の問題を変えたら即腐敗がなくなるということではありませんで、いかにして先ほど申し上げた中央の官僚機構における権力の集中や閉鎖性にメスを入れるかという制度の改革も必要であろうと思います。今、政府は行政手続法をこの国会に提出しようとしておりますが、こういった新しい法制化によって、まず利害調整のプロセスを透明化するということが第一歩であろうと思います。それから、参議院で議員立法によって情報公開法の素案がこれから提出されようとしておりますが、こういった法制化もまた政治腐敗の防止にとって極めて重要な意味を持っております。そういった法制化に加えまして、中央権力の分権化ということもあわせて政治改革の中で議論されるべきだろうと思います。
 今、与党、野党は政治改革のいろいろな案についてお互いの相違点を盛んに力説しておられますけれども、私は、国権の最高機関である国会を構成する議員として、共通の基盤というものを発見することの方が大事ではないかと思います。実際の日本の政治のあり方を見ておりますと、基本的な政策の主導権というものは、残念ながら中央官庁の官僚機構がまだまだ持っていると言わざるを得ないわけであります。何と申しましても、議員立法というのはほんのわずかでありますし、また、重要な政策問題について政府の中でさまざまな法制度の原案をつくり、それに対して国会で質疑とか行いますけれども、これも極めて形骸化している、国会の討論の中で新しい制度や政策が生まれてくるということは極めてまれであります。
 それから、国会議員、政治家という一つの職業集団の中で、国権の最高機関を構成するという自覚がどこまであるかということも一つの疑問であります。つまり、弁護士であれ医者であれ、社会から尊敬を受けております一つの専門的な職能集団というものには、必ず職能集団の自己規律、内部自治というものが存在するわけでありまして、その職能集団の名誉や威信を傷つけるようなことがあれば、それは例えば弁護士会の懲戒処分といったような形で、いわば内部的に一定の水準を確保するというメカニズムが存在するわけであります。まさに国会議員というものは、今こそ国権の最高機関を構成する一員であるという自覚を持って、政治倫理の問題やあるいは政治資金のコントロールに関する仕組みをつくっていくべきではないかと思います。その意味で私は、政治資金のコントロールにしても、行政府の中に監査機関を設けるのではなくて、国会の附属機関としてそういった政党のお金の面に関する監査やチェックの機関というものを設けることがどうしても必要なことではないかと思います。
 そういうことで、腐敗の土壌についてこれからさらなる制度化が必要であるということを申し上げた上で、少し具体的な今の政治改革の議論について私の意見を申し上げてみたいと思います。
 しばしば自民党の方から野党に対して、政権交代の意欲を持てということがこの一連の議論の中で言われております。実際、今の国会というものは全く政権交代を前提としていない議会の運営であり、政党の行動様式というものが存在しております。例えば、野党というものは、先ほどどなたかのお話にもありましたように、自民党が政権をとるという前提でいわば揚げ足取り的な質問を行う。あるいは予算の提出をいつにするかとか、審議日程をどうするかといったような、政策の本体とは全く関係ない手続の次元で自民党に抵抗し、影響力をつくり出すということで、議会の運営を日々行っているわけであります。
 他方、野党が政治腐敗の防止や政治責任の追及のために、例えば国政調査権を発動して証人喚問や資料の提出を求めようとしても、疑惑の張本人がかつて所属していた自民党が、そういった国政調査権の積極的な発動に抵抗するという形で、国会としての積極的な腐敗の追及活動が十分できないという問題もあります。つまり、自民党の側も野党の側も、まさに国会という一つの共通の基盤で活動する共通の感覚というもの、共通性というものを意識していないわけであります。自民党が将来野党に回るかもしれない、そのときに野党としてどうやって議会活動をしていくのか、あるいは野党が将来政権をとった場合、どういう形でその政権を担っていくのかということを、いわば立場をかえて考えるということも、政権交代を本当に可能にするためにどうしても必要なステップであります。
 その意味で、これも今の政治改革の本題とは余り関係ありませんけれども、例えば国政調査権の発動に関する要件をもっと緩和して、これを日常的に発動する、そのかわり、例えば予算委員会で予算を人質にとって自民党から譲歩を引き出すというような、いささか不健全な議会運営のルールというものも考え直す、そして今政治改革特別委員会で展開されておりますような、与野党間のそれぞれ自分の意見や案というものを持った両方向的な討論というものを日常化していくというような工夫を行うことも、重要な課題ではないかと考えております。
 次に、本題であります選挙や政治腐敗に関する具体的な制度の検討に移っていきたいと思うのであります。
 私は、基本的には社会、公明両党提出のいわゆる併用制というものに賛成であります。しばしばイギリスの例を引き合いに出して、小選挙区制にすれば二大政党が生まれ、政権交代が起こるという議論がされておりますが、それはいささか議論の飛躍であります。イギリスの場合、六百の選挙区がありますけれども、保守党、労働党というものがそれぞれ極めて強い地域的な基盤をある程度持っております。そして、その中間に草刈り場的な選挙区があり、その帰趨が政権の行方を決めるということになっておりまして、いわば二つの政党がたまたま歴史的、地理的な偶発的な要因によって安定した基盤を持っているから二大政党制がある、決して小選挙区制が二大政党制を生んだわけではないと私は考えております。
 今の日本の小選挙区制の議論で、政権交代というもののイメージは、要するに勝った政党が四百とって負けた政党が百しかとれない、そういう極めてドラスチックな議席の移動というものが小選挙区制の最大の効用であるという議論があります。しかし、そういった四百対百というドラスチックな変化が選挙のたびに起こるということで本当に安定した政党政治が営めるのかというのが、大きな疑問と言わねばなりません。つまり、百しかとれない政党が次の選挙までどうやって生き延びていくのかというのは、これは結構大きな問題であります。その意味で、イギリスの例を単純に引き合いに出して、小選挙区制にすれば政権交代、二大政党制、安定した政権というふうに結びつけるのは短絡だと思います。
 それから、私は、二大政党制というものをそんなに理想化してよいのかということについても疑問を持っております。つまり、今国民の意識は非常に多様化しておりまして、安全保障、経済、教育、福祉、いろいろな争点についてさまざまな意見を持っておりますが、それを無理やり二つの政党の中に押し込めるということがよいのかという問題であります。つまりある人は、自民党の経済政策には賛成であるけれどもこの安全保障についてはどうか、あるいはある人は、社会党の福祉政策には賛成だけれどもこの安全保障についてはどうか、そういう形の、いわば留保を持って政党の政策を今見ているわけであります。無理やり二大政党制をつくり出していって選択肢を二者択一にするということは、いささか国民に対してその選択肢を制限するということになるのではないかと思うわけであります。その意味で私は、やはり多様な民意を反映するための比例代表制というものを選挙制度の基本的な前提として支持したいわけであります。
 比例代表制にすると小党分立、連立政権で不安定になるという批判も多々ありますけれども、これも、二大政党制が安定で小党分立は不安定だ、あるいは連立政権は不安定だというのは事実の裏づけを欠いたドグマであります。つまり、ヨーロッパの各国を見れば、スウェーデンやドイツやオランダやオーストリアや、いろいろな国で安定した連立政権というものがあります。私は、今の日本の政党システムを前提として小党分立、連立政権不安定という危惧を抱かれる議論については、理解はできますけれども、だからといってこの比例代表制というもの自体を欠陥品だと言うことはできないと思います。要するに、比例代表制の導入とあわせて政党そのものの変革、つまり、党内における候補者選定過程にかかわる党内民主主義の徹底でありますとか、あるいは連合政権論議に臨む政党としての基本的な論議の仕方、マナーというものを身につけていく、そういった政党そのものの自己変革と相まって比例代表制というものが日本の政治風土に定着し得るのではないかと考えます。
 それから、選挙制度のあり方を考える上でどうしても重要な論点は、選ぶ側と選ばれる側の距離という問題であります。今の日本においては、選ぶ側と選ばれる側の距離が余りに近過ぎる。したがって、国会議員であっても、選挙区のさまざまな公共事業でありますとか補助金でありますとか、そういった非常に小さな利害にかかわる調整を地元の支持者から要請され、そういった小さな争点にかかわる日常的な世話をやっていないと次の選挙では危ないという構図があります。私は、政治腐敗を正す、あるいは政治家をして国全体の問題について広い見地から議論をさせる自由を与えるためには、少し国民と国会議員との距離を広げる必要があるのではないかと思います。
 小選挙区制は全く逆でありまして、人口二十五万程度の小選挙区でもって国会議員を選挙いたしますと、例えばこの札幌市では一つの区が単位となります。この区を単位に国会議員の選挙をいたしますと、今以上の細々した争点や利害をめぐる選挙が戦われる危険が非常に大きいだろうと思います。比例代表制というものはその意味で、政治家をいわばそういった地域の矮小な利害から解放し、国全体の大きな課題について広い視野から高い見識を持って議論させることにふさわしい制度であります。その意味でも、これからの二十一世紀の日本には、比例代表制こそ必要とされていると私は信じております。
 それから政治資金の問題でありますけれども、これは私は自民党案も社公案もそれほど本質的な違いはないと思います。私は、個人的には企業献金というのは廃止した方がよいと思います。企業というのは自然人と違いまして、要するに実体がないわけであります。そういった実体がない、いわばフィクション、擬制が政治に対して大きな影響力を持つということは、要するに国民主権、つまり実在する自然人が政治に参加するという憲法の原理からしても、大きな疑問と言わざるを得ません。
 ただ、現実問題として、先ほどのどなたかの話にもありましたように、今すぐこれを全廃するかといえば、それはやはり自民党の側も反対するわけで、将来的に時間を区切って、例えば十年後には企業献金を全廃する、それに備えた新しい政治資金の調達方法を考えるといったような過渡的な措置を講じた上で、当面企業献金も必要悪として認める、しかしそのお金の流れについて徹底した透明化を行い、また違反があった場合は厳しい罰則を科すということが最も現実的な対応ではないかと考えます。その意味で、政治資金の面については、自民党と野党との間で早急な妥協をし、速やかな制度化を行うことを心から念願したいと思います。
 いずれにいたしましても、政治改革というのは極めて大きな課題でありまして、さまざまな論点が含まれております。このさまざまな複雑な論点について、一度の対応でもって全部処理をするということは不可能であります。これから必要なことは、政治改革、特に選挙制度について試行錯誤を重ねてよりよい制度を求めて、これから当分我々は模索をしていくという心構えではないかと思います。その意味で、政治改革を求める国民世論の高まりは大変歓迎すべきことではありますけれども、しかし今の政治改革論議に余り過度な幻想を抱くべきではない。国会議員の方々も、いわばこの国会の議論というものを出発点として、これからさまざまな論点に関する着実な改善の試みを続けていくことを心から期待したいと思います。
 以上で私の話は終わります。拍手
この発言だけを見る →
田邉國男#20
○田邉座長 ありがとうございました。
 次に、佐々木宣君にお願いをいたします。
この発言だけを見る →
佐々木宣#21
○佐々木宣君 アイエスティ北海道の佐々木でございます。
 私は、経済に携わっておりますので、その立場で政治改革四法案に関して意見を申し述べさせていただきたいと存じます。
 国民生活の安定向上とこれを支える福祉政策を初めとする諸政策の実現のためには、経済の安定成長が基盤となるものであります。そして、この経済の安定成長には政治の安定が必要不可欠なものであります。このところ引き続いていろいろな事件が起きたことによりまして、政治不信が高じ、国民の意識と政治との乖離が大きくなっていると言われておりますが、国民の意識が政治に無関心となり離れている状態は、根本的な意味で政治が最も不安定であるものと考えられます。幸い議会におかれましては、このことを重大視され、政治改革を最優先課題として取り組み、推進されておりますが、これに対しましては心から敬意を表しますとともに、早急に実現の運びとなり、国民の信を取り戻し、国民とともに歩む政治となりますことを強く期待申し上げるところでございます。
 私は、為政清明、政をなすには清く明らかなれということでありますが、これが重要なキーワードになろうかと考えております。清くは、本来政治家個人の志にかかわることでありますが、制度としても清からざることを行う余地がないよう配慮、整備することが必要であろうかと考えております。明らかにつきましては、いろいろな意味がありますけれども、ここでは政治が国民の立場から見てわかりやすいものにするということに考えたいと思います。かつては、よらしむべし知らしむべからずなどという時代もありましたけれども、今はそんな時代ではありませんし、また専門の立場で緻密に詰めていけば詰めていくほど制度の構造が複雑になり、一般的にはわかりにくいものとなりがちであります。少なくとも基本的なこと、原則的なことなど、制度の大もとに関しては、国民の観点からしてわかりやすいもの、単純明快に理解できるものとしなければならないと考えております。この辺の兼ね合いについても、十分御配慮いただきたいものと思います。
 具体的な問題に入りますが、まず選挙法の改正につきましては、中選挙区制は戦前戦後を通じて長年我が国の風土になじんできた制度として続いてまいりましたが、ここに来て諸問題の根源はこの中選挙区制にあるのではないかとの認識が大方のものとなってきております。
 第一の問題点は、中選挙区制の選挙では、このところ何回やっても、多少の消長はあっても各党の大勢は変わることなく、政権交代の可能性がほとんどないと言っても過言ではない実情にあります。政権交代という国民の最大のチェック機能が働かないようになっているところであります。
 第二には、政権を目指すためには、同一選挙区に一政党から複数の候補を立てざるを得ず、政党間の戦いではありますが、それ以上に候補個人の戦いという面が強くなっている現実であります。その結果、国政選挙であるにもかかわらず、国政の枢要な問題をさておいて、どちらかというと手近な問題が取り上げられ、争点が矮小化されており、場合によっては利益誘導にもなりかねませんし、また国民の国政に関する意識を高めることにマイナス効果となっているとも考えられます。
 したがって、是正の方法としては、大方の皆様のお考えのとおり、小選挙区制を採用し、政党間の国政に関する争点を明確にし、政権交代の可能性を高くすることが肝要であると考えております。また、政権交代の可能性が高くなりますと、政権の行使に当たって持続的に緊張感を持つこととなって、政界浄化の機能を果たすことも大きく期待できるものと考えます。また、小選挙区制の採用に当たりましては、国民から見て最もわかりやすく、国民の最大のチェック機能が端的に行使できる、政権交代の可能性が一番高い単純小選挙区制の採用に賛成いたします。
 政治資金規正法の改正につきましては、政治資金の流れを透明なものとすることと、公私の区分を明確にするなど基本的な問題について、これも国民にわかりやすいものとなるよう制度の整備をすることが必要と考えております。
 もう一点、企業、団体など法人の献金につきましては、企業、団体も法人格を有する社会的存在であり、納税などの義務を課され、それを果たしている以上、個人と同様、政治的行為の自由を基本的に有しているわけでありますから、節度を持って社会的役割を果たす範囲内での寄附、献金は認められてしかるべきものと考えられます。
 衆議院議員選挙区画定委員会設置法案、政党助成法案につきましては、特に意見はございません。
 なお、政治改革に深い関連がある事項として一点申し上げたいと存じます。行政における規制の緩和につきまして、政治改革と並行して行政改革のメーンテーマとして検討されておりますが、この規制緩和は、今回の政治改革の実際の効果を裏打ちする面もありますので、ぜひとも早急に取り進めていただきたいと思います。現在のように、国際的にも開かれている成熟した我が国の経済社会におきましては、規制は公共の利益を損なうもの、自由競争を阻害する行為などの排除に関するものに限定し、できるだけ少なくし、公正なる自由競争によってその活力を十分発揮できるようにすべきものと考えます。また、規制が少なくなりますと、これに関連するいわゆる利権の発生する機会も少なくなることになります。
 最後に、この政治改革に当たりまして、国民の常識に基づく国民の視点からの政治改革を断行されますよう重ねて要望申し上げまして、私の陳述を終わります。拍手
この発言だけを見る →
田邉國男#22
○田邉座長 ありがとうございました。
 次に、田口晃君にお願いをいたします。
この発言だけを見る →
田口晃#23
○田口晃君 田口でございます。
 私はヨーロッパ政治史の研究をしておる者でございまして、その立場から、議会制民主主義の制度と運用の経験という点からいえば、これが最も豊富なのはヨーロッパでございますので、そこから今でも多くを参考にできるのではないかと思い、一言意見を述べさせていただきます。
 限られた時間でございますので、ここでは与野党の違いが最もはっきりしている選挙制度についてだけお話しすることにしたいと思います。それも、細かい技術的な問題は議員の先生方が知恵を絞って詰めていただけると思いますので、その制度の持っている意味というようなことに力点を置いてお話をしてみたいと思います。
 この間の日本の国民各層の政治不信、これはいろいろな柱があると思うのですが、その政治不信の柱の一つとして、今の政治制度は不公平ではないか、そういう柱があるかと思います。この不公平もしくは公平さという観点からこの選挙制度を見ますと、これは国民各層の意見が公平に反映されているかどうかということでございますから、小選挙区制の場合には死票が多いということになりまして、比例代表制の方が望ましいという結果になります。現にヨーロッパの場合は、大部分の国が過去のいろいろな経験を踏まえながら、そういう比例代表制を採用しているわけです。もちろん、小党乱立とかその他比例代表制に伴う欠点も指摘されているわけであります。
 そこで、ここでは御参考までに、ドイツの選挙制度の成立過程について御紹介したいと思います。ドイツの選挙制度については、いろいろな方が議論されていますので皆様よく御存じかと思いますけれども、どうしてそれができてきたかということですね。実は、現行の制度の原型は北部の州、一番現行に近いものはニーダーザクセン州のものと言われておりますが、この州の選挙法は一九四七年の初めにできたものです。これはどうしてできたかというと、この地域はイギリスが占領していた地域でございまして、イギリスが占領の中で改革を進め、その一環として選挙制度の検討もしたわけですけれども、イギリス占領軍の側から見ますと、それ以前ドイツで行われていた比例代表制というのは、政権が不安定になって、それからもう一つは選挙民と議員の距離が大き過ぎる、つまりリストのメンバーの選択を政党の幹部がやるという形になっているということで望ましくない、したがってイギリス型の小選挙区制を導入しようということで、そういう制度改革をしようとしたわけですね。
 ところが、これに対しては、占領されているドイツ人側が非常に強く反発しました。つまり公平さを欠くということです。非常に頑強に抵抗しまして、その結果出てきたのが四七年の北部の州の選挙法であります。結局、一つには議席の半分を小選挙区で選び、残りは全体が比例代表制になるように配分するということです。しかしながら、それでは小党乱立のおそれがありますので、それを避けるためにパーセント条項を入れるという現行の制度ができたわけであります。ですから、これはドイツ型というよりは、ドイツの制度とイギリスの制度を合わせた、公平さを保証しながら比例代表制の欠陥を補うという、大変よく考え抜かれた制度であろうと思います。
 ただ、もう少し突っ込んで考えますと、そういうドイツ型の選挙制度をヨーロッパのほかの国が全部採用しているわけではありませんで、それぞれいろいろなタイプの比例代表制を導入しているわけです。ですから、もう少し考えますと、比例代表制が持っている欠点と言われるものが本当にそうかどうかということも、問題として各国の事例に照らして見る必要があろうかと思います。
 巷間非常によく言われる議論として、比例代表制では政権が不安定になるという議論がございますけれども、これはもう少し突っ込んで考える必要がある。これは二つの段階を区別して考える必要があろうかと思います。一つの段階は小党乱立ということですが、小党乱立の一番極端な形を政治学では原子化多党制、原子のようにばらばらになってしまう、そういうふうに呼んでおりまして、これは二つの特色があります。一つは、政党の数がやたら多くなって、しかも小さい党ばかりになってしまうということですね。それからもう一つは、対立が非常に激しい。そうしますと、これは議会での多数派形成が非常に困難になりまして収拾がつかなくなってしまう。
 こういう事例は一つだけありまして、これは第一次世界大戦後のポーランドでありました。ポーランドの場合はそこから独裁体制にいってしまうわけですが、それ以外の国について見ますと、大部分はそうはならないわけですね。なぜかといいますと、それは、それ以前に存在していた政治勢力が大体そのまま出てくるわけであります。例えば、これは小国ですから余り知られてないかと思いますが、オランダの場合ですと、これは言ってしまえば全国一区でパーセント条項を持たないという完全な比例代表制ですけれども、選挙をやりますと議会にせいぜい政党は十ぐらいで、しかもそのうち五つの党で議席の八〇%を占めるというようなことですから、極めて安定的な議会ができる。こういうふうに見ますと、日本の場合にも、比例代表制を導入したとしても原子化多党制になるおそれはほとんどない、政党が五十にもなって連合が組めないというおそれは全くないということです。
 それから、比例代表制が政権を不安定にするかどうかという問題を考える場合に必要な二番目の段階としましては、連立政権というのはそもそも不安定なのかということでございます。連立政権あるいは連合政権というような呼び方をしていますが、といってもこれは実にさまざまなやり方が各国で行われておりまして、それを安定させるというのは、まさにプロの政治家の先生の腕の見せどころになっております。全体としては実は極めて安定しておりまして、不安定なケースの方が少ない。これはちょっと手前みそになりますけれども、十年ほど前に私どもで共同研究をしまして、「連合政治」という研究をしましたので、そちらを見ていただけると、具体的などういう連合の、連立のやり方があるかということはおわかりいただけるかと思います。
 それからもう一つの、ちょっと離れますけれども、連立政権は国民の意思を直接に反映しないのではないかという議論がございますが、これは連合政権協定というのを政権を構成する政党が結ぶわけでして、その過程はどこの国でもよくわからないのですけれども、出てくる協定そのものははっきりしている。任期中に一体何と何を行うということを国民に責任を負うか、これは非常にはっきり出されるわけです。そうしますと、それがやられたかどうかということは事後的には判定できるわけでありまして、したがって国民に隠されたところでその政策決定が行われるということでは必ずしもないということです。
 というわけで、話をもとに戻しますと、比例代表制のもとでは政権が不安定だという言い方は、第一段階で確率が十分の一、第二段階でも確率が十分の一としますと、せいぜい確率が百分の一というのがこれまでの経験則だと言ってよろしかろうと思います。
 それから最後に、この全般的な政治改革は、今当面の問題はもちろんありますけれども、将来的にこれからどういう政治社会を日本の中でつくっていこうとするのかという視点がやはり必要かと思います。その点から申しますと、価値観の多様化というようなことが言われますが、単に価値観だけではなくてさまざまな意見それから利害、こういったものがますます多様化していく可能性がかなり高い。そしてさまざまな少数グループが、現在では自分たちを少数グループというふうに自覚していないグループもいずれ自覚してくるというようなことが出てくるわけでありまして、そういうさまざまな多様化に対応していくためには、しかもそれを議会という場で非常にオープンな形で表明していくためには、別な言葉で言えば、もっと自由な政治社会を構成していくためには、やはり比例代表制の性格の強い制度の方が望ましいのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。拍手
この発言だけを見る →
田邉國男#24
○田邉座長 ありがとうございました。
 以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。
    —————————————
この発言だけを見る →
田邉國男#25
○田邉座長 これより委員からの質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島理森君。
この発言だけを見る →
大島理森#26
○大島委員 冒頭に簡単に質問させていただきますが、陳述者の岩本さんと相原さんにちょっと一言だけお尋ねさせていただきます。
 きょうは各陳述者の皆様方、大変御苦労さまでございました。私は、中身の議論じゃなくて、まさに皆様方が日ごろ接しておられる国民の皆様というのでしょうか道民の皆様、そういう方々が今の政治改革の論議、政治改革に対する御注文あるいは政党に対するいろいろな御意見、私どもが接している部分とまた違った意味で接しておられるのだろうと思います。
 特に、岩本陳述者は我が党の道議会議員で大変重要な職、幹事長というお職でもありますし、相原陳述者は労働組合の組合員の皆さんとお会いをしている。そうしますと、ずばりお尋ねしますけれども、例えば岩本陳述者の場合は我が党の支持者の皆さんと会うことの方が多いのだろうと思います。そういう中にあって、今の自民党に対して、この政治改革を進めている姿をどういう目で見ているのか。また一方、相原陳述者は、むしろ社会党さんを中心に労働組合員の方々やそういう方々とお会いをしておられる。既存政党というのでございましょうか、そういうふうな社会党を含めた御支持されているそれぞれの政党、そういうものとこの政治改革というものに対してどういう目で見ておられるか。
 漠然とした質問でございますが、率直な御意見、道民の声、そういうものを率直にお聞かせ願いたい。非常に総論でございますが、まずそういうことをお聞きしたいと思っております。
この発言だけを見る →
岩本允#27
○岩本允君 では私の方から先に、今の質問に対して率直に意見を申し述べたいと思っております。
 私も、地方の立場でいろいろな多くの人たちと会う機会があります。その中で言われますことは、国会の運営、また諸課題、諸政策について、その陰に大きななれ合いがあるのではないか、このことが私ども道民という立場からいえば、やはり道民からの今の政治に対する大きな不信につながっていると私は思っております。特に今、意識の問題がありましたが、やはり最近の自民党の諸問題、このことは非常に大きくあります。そしてまた、現在の自民党に対して本当に信頼を持つことができるかどうかということを言われれば、非常にそういう状況にはなっていない。こういう場でこういうことを申し上げていいかどうかわかりませんが、やはり北海道の場合、佐川急便、身近な問題がありましたし、それから共和問題というのが北海道内にあったという事実もございます。
 そういうことで、日常の活動の中での政治に対するとらえ方、その中に生まれていた信頼というのは今全く逆になっているということでございまして、どのような形であってもいいから今回、各政党の皆さん方が本当に真剣になってこの政治改革を決着をつけてほしい、決断をしてほしいというのが何よりもの願いではないか、私はそう思っております。
 自民党という立場で先ほど意見を申し上げましたが、それより以上にやはり政治改革は、政党のための政治でもありませんし、また今既成政党がいろいろなことを言われておりますが、多くの意見が一つになっていただければ、結果としてそれを謙虚に受けとめ、それに対して我々は全力で意識を持って理解をして取り組まさせていただきたい、私はこう思っております。
この発言だけを見る →
相原敬用#28
○相原敬用君 大島さんから御質問がございました。
 私は労働組合という仕事についているわけでありますが、仕事柄、単に労働組合員だけではなくて、多くの市民の方々ともいろいろ話をする機会があるわけであります。政治改革やるやると言うけれども本当にやるのだろうか、率直に言って各市民の方々の気持ちを一言で要約すると、今そういう気持ちなんだろうと思うのです。どうせまた、何だか知らぬけれども国会の中でごちゃごちゃ議論やって、結果として何もやらないのではないだろうかという気持ちをどうやって、これは自民党であるとか社会党であるとかあるいは公明党さんであるとかという、いわゆる党の主義主張を超えてまず今しなければならないのは、つまり戦後約五十年間、今の選挙制度や政治資金制度のありようの中で今問題が問われ、政治改革が問われているわけですから、各政党、各議員の皆さん方は、今までどおりではだめなんだということで、まずきちっとした共通認識に立っていただいて政治改革を断行するということが必要なんだろうと思います。
 これは、現に国会に議席を持ち、政権政党である自民党さんはまず大きな責任を負うべきだろうと思います。あわせてやはり、それぞれ多くの議員を擁している社会党あるいは公明党さん初め野党の皆さんも、これは従前の方法ではだめなんだということで、新しく改革をしようではないか、この一点だけはぜひ守っていただいて、もしそれをでき得ないとすれば、既成政党というふうに私は先ほど申し上げましたが、既成政党の皆さんに国民から絶縁状が本当にたたきつけられて、日本の政治というものについて日本国民は本当に信頼をしない、二十一世紀に向けて我が国の政治は、そういう意味では大変な状況になってくるのではないのかなと思います。
 そういう意味では、先ほども私最後に申し上げましたが、確かにいろいろな問題で困難性があると思います。ハードルの高い部分も多々あると思うのです。しかし、政治改革ということで今までどおりではいけないんだという前提に立つならば、必ずや各政党、議員の皆さん方の話の中で一定の接点というものはおのずから見出されてくるのではないだろうか。その努力をこれからどれだけ行って、国民が期待をしている、やるやると言うけれども本当にやるのだろうかという不信や不満というものは、そうではなかったという結果が出れば、そこから政治の信頼というものが出てくるのではないかということで、各政党の皆さん、議員の皆さんに、政治改革についてまずそこにすべての基本を置いて議論をし、結果を出していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
この発言だけを見る →
大島理森#29
○大島委員 大変ありがとうございました。
この発言だけを見る →
← 戻る