中川宏一の発言 (大蔵委員会)

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○中川参考人 おはようございます。連合の中川でございます。限られた時間ですので、三点ばかり申し上げたいと思います。
 第一点は、景気対策及びサラリーマンの重税構造の是正の観点から大型の所得減税、教育や住宅などの政策減税をぜひ実現していただきたいということであります。
 この点は、既に二十二日の予算委員会公聴会で私どもの山田事務局長が申し上げておりますので、細かいことは質問等でさせていただくということにして省かせていただきますが、二十四日に社会党、公明党、民社党三党が共同で自民党に提出しました予算修正要求を私どもも積極的に支持しております。ぜひ今国会で実現をしていただくようにお願いをしたいと思います。消費不況の中で国民の方は、先ほども連合は春闘で余り頼りにならぬ、こういうふうに言われましたけれども、決してそうではありませんで、我々も頑張ります。国会でもひとつ頑張っていただきたい、こういうふうに思っております。
 第二点は、居住用買いかえ特例制度の問題についてでございます。
 私ども連合は、勤労者、サラリーマンの立場から政策、制度の取り組みをかなり重視しておりますし、その実現に向けて努力をしておりますが、この制度の復活を喜ぶ声はほとんどありません。ある面で言えば、望んでもいない制度が声高に出てくるのはどういうことかな。やはり地価をこれ以上下げさせないでやろうとする諸政策の一環ではないだろうかというふうに感じているわけであります。確かに、地価は下落傾向にありますけれども、まだ依然として高いということであります。あるいは首都圏ではまだバブル以前に比べて約二倍の水準になっています。こうなりますと、御承知のように、「生活大国五か年計画」で明らかにされている、東京など大都市でも年収の五倍程度の持ち家という目標にはほど遠い現状にあるというふうに見ております。
 私どもは、中長期的に見て、地価の下落傾向を一層促進し、バブル高騰以前の地価まで段階的に引き下げていくべきだ、そういう土地政策が求められていると考えております。日本の土地資産の総額がアメリカの三・六倍、単位面積当たりで九十倍という異常な現状は、何としても早く改革をしていかなければなりません。その意味では、土地政策は景気対策的視点よりも構造的な視点を重視すべきであろうというふうに思っております。
 確かにここ数年、政府は、十分とは言いませんけれども、国民の声に押されて、土地政策について随分構造的な視点から諸対策をとってこられだと思います。土地基本法の制定を初め、地価税の創設や土地譲渡益課税の強化あるいは三大都市圏における市街化区域での生産緑地の指定を受けない農地に対する宅地並み課税など、土地税制や供給対策あるいは都市計画法の改正などで土地神話
を打ち砕く諸改革がなされたと思います。その際、この買いかえ特例は、地価高騰を東京都心の商業地から全国に波及させた元凶あるいは象徴的な制度として、原則として廃止ということになったわけであります。
 しかしながら、最近の新聞報道などを見ておりますと、政府の最近の動きは、どうも地価下落、これ以上地価を下げさせない、あるいは下支えを図ろうとしている動きに見えます。例えば国土庁でも、監視区域での上限規制を一部の区域では今後弾力的に対応するやに伺っていますし、また地価の上昇トレンドをGNPの上昇トレンドと見合いで考えていくというふうなことも聞かされています。また、大蔵省でも地価が鎮静化したという判断で国有地をこれから売ろうじゃないかというふうなことを検討しているという記事を読んでおります。
 このように見ますと、地価上昇の象徴的な制度として廃止された買いかえ特例の復活も、こうした一連の動きと無縁ではないのではないだろうかというふうに考えているわけであります。私どもは、なぜこの時期にという疑問はぬぐい去れないわけであります。また、この制度自身、これは私の個人の意見ですが、この制度は地価が上昇することを前提にしない限り成り立たないのではないだろうかというふうに感じているわけです。
 確かに、いろいろな条件がついております。しかし、そうはいっても、既に現行の三千万の控除と軽減税率があります。これによって、既にこれを適用している人が大体八七%というふうに聞いておりますので、そういう意味では現行制度で十分ではないだろうか。買いかえ特例を復活させることは我々としては反対であり、問題があると思っております。
 また、この制度は、社会的公平性の観点からいってどうだろうかという問題があります。
 この制度自身は既に住宅を持っている人たちの制度ですから、これから家を持とうとする人たちあるいは賃貸住宅居住者との資産格差がますます拡大するのではないかという点であります。第一次住宅取得者に対するハンディをどういうふうにするのかというふうな意味で公平性が欠けるのではないかというふうに思っております。そういう意味で、この制度は選択制を一応出しているわけですが、税制は簡素を旨とするというのが基本ですが、選択制であること、あるいは課税の繰り延べですから帳簿を持たない個人に対して取得価格を将来に引き継ぐという形になります。そういう意味では、税の執行上も問題が出てくるのではないかというふうな感じを持っております。
 さらに、二年間の時限立法という関係ではどうなのかというふうなことも考えるわけであります。地価高騰のおそれが生じたときは見直すというふうに言われていますが、これまでの我が国の土地政策が機動的に発動されたことは余りありません。
 いずれにしても、この制度自身は廃止、復活を繰り返してきました。八八年にこれまでの土地税制の反省から廃止された経緯に立ては、復活させるべきではないのではないかと思っております。土地政策は、中長期的に適用されて初めて実効が上がります。景気対策のための復活は朝令暮改と言わざるを得ないと思います。鎮静化し始めた地価を政府みずからが再上昇させることで、土地政策への国民の信頼を大きく損なうことのないように強く要請をしたいと思っております。
 第三点は、財形貯蓄の非課税限度額の一千万円までの引き上げについてであります。
 今回五十万円引き上げられまして五百五十万円までが非課税となりました。老人マル優と横並びで五十万円引き上げられたのですが、若干理解に苦しんでいるところであります。この非課税限度額については、一九七四年に五百万円に引き上げられて以来ほぼ二十年間据え置かれたままであります。
 財形貯蓄は、御承知のように住宅取得と老後のために勤労者がそれぞれ毎月の給料から積み立てて、自分たちの努力で将来の支出のために、住宅とか年金のために、支出のために貯蓄しているものであります。
 そもそも財形貯蓄自身は、西ドイツの戦後復興のための社会労働政策の柱の一つとして成立した労働者の財産形成促進法を見習ったものでしたが、ドイツの法律が数次にわたって改正され、さまざまな政府の援助で制度的にも充実し、今日のドイツの住宅政策の基盤になっていたものであります。ドイツでは住宅政策から株など資本参加にも政策の重点が移っていますが、すべての制度に税制の優遇措置があり、割り増し金や付加金が政府や州から出されております。
 しかし、十年おくれてできた日本のこの制度は必ずしも十分なものになっていません。加えて住宅政策そのものも、日本の場合は勤労者にとっては生涯ローンに追われるというふうな現状であります。そういう意味で、我々の方はドイツの制度に比べても、せめて非課税限度額を五百万から一千万まで上げてもらえないだろうか、本来ならばもっと財産形成に関する充実した制度が必要なのでありますが、せめてものささやかなお願いであります。
 そういう意味で、我が国の税制を見ますと、勤労者は源泉徴収制度のもとにほぼ全部捕捉されております。先ほどの買いかえ特例の問題では急速復活してまいります。しかし、我々が二十年来要求しているこの問題については一顧だにされない。わずか五十万円でいいというふうな形になっております。そういう点で、ぜひとも御検討いただきながら、勤労者がゆとりと豊かさを感じられる日本の社会にしていただければというふうに思っております。
 既に、財産形成審議会では、公労使三者一致で九〇年、九二年と二回にわたって非課税限度額の拡大、一千万円までの引き上げを答申しておりますことを申し上げまして、若干時間が延びましたが、私の意見陳述とさせていただきました。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 中川宏一

speaker_id: 9064

日付: 1993-02-26

院: 衆議院

会議名: 大蔵委員会