加藤寛の発言 (大蔵委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○加藤参考人 お答えさせていただきます。
順々に申し上げて、要点だけになりますがお許しいただきます。
第一は、景気対策をどれだけ考えたかということでございます。これは御承知のとおり、既に去年の十二月に成立しました大型補正予算、これがもちろんいろいろな効果を持つのでございます。
しかし、私ども非常に心配しておりますのは、日本の今の不況は単なる循環的不況ではございません。循環的不況ではないということは、不況になったから財政で効果を出すかというと、この効果は間接的になります。したがって、循環的でない構造的不況でございますから、構造を直さなければいけないわけです。対策にかかわらずなかなか効果を発揮しませんのは、現在のこの不況が、それは構造的に不良資産を抱え込んでいる今の状況でございます。その対策をどうするかによって決まるわけでございまして、それは単なる財政政策ではできないと考えておることが一つでございます。
それから、二番目の問題でございますが、重税感の問題でございます。
これは、確かにおっしゃるとおり、今、次第に負担感がふえておりまして、その意味では上昇しておりますけれども、しかし日本の場合は課税最低限は決して低くございませんし、同時にまた、その意味ではこの前も抜本改正で段階を変えたわけでございます。これを将来どう変えるかということは、もう私ども頭の中に描いていなければいけないのでございますが、そういうことを描いて考えますと、今急にそれをやるというぐあいにはいかない。やはりこれは慎重に審議して、そして私たちが答えを出すべき問題だろう、こういうふうに思っておりますので、現在の税制のところでは、それが予算のところで出なかったということでございます。
そして、同時に重税感の問題でございますけれども、これもさっき申しましたように構造的問題がここに重なっているわけでございます。したがって、私が先ほど政策的な判断と申し上げましたのは、それは一つのことを実行いたしますときには、それに対する歯どめをどう考えるか、つまり作戦的に、前進したときには、いつとまっていつ後退するかということも必ず頭の中に入れた考え方をしないと、政策は投げやりになってしまうという危険がございます。そういうことを考えますと、私どもとしては中長期的にこの問題に対して対処すべきであって、御承知のように税制の抜本改革があったところで、まだ負担感は数字的にも若干低いところがございます。ただ、これはいろいろな統計がございますから答えを一義的に出すことはできませんが、そういう議論があるということは、結果的にこれを検討する余地がまだ残されているということでございます。
それから三番目でございますが、これは御承知のとおり源泉と申告の問題がございます。これはこれからどういうふうな税制体系に変えていくかということが非常に重要なんでございますが、先ほども大田参考人がおっしゃいましたけれども、これから消費に重点を置くのか、あるいは資産に置くのか、あるいはそのほか所得に重点を置くのか、いろいろとございますが、二十一世紀を考えたときには、ちょっと早過ぎるかもしれませんけれども、支出税という考え方が世界的に広がってくるだろうと私は思っております。そのようなときには、バランスの問題についてはこの支出税で解決することが可能になってまいりますので、そういう方向を今頭の中に置きながら、私どもは十年後の税制をどうしたらいいかというふうに考えているところでございます。
それから四番目には、おっしゃいましたような資産所得の課税でございますが、これは御承知のように総合課税の方向を今検討しているところでございまして、本当にできるかできないかということを前提にした上でこれから論じていくところでございますので、またいろいろと御指導いただきたいと思っております。
それから五番目でございますが、消費税の問題でございます。欠陥消費税、こうおっしゃったのでございますけれども、私どもから見ますと、これは欠陥があることがわかっておりますから、欠陥があるというと間違っていたかということになりますが、そういう意味の欠陥ではなくて、余り完全に把握はできないことは初めからわかっているわけです。そこで三%にしたのだということです。つまり、五%という案があのときもありましたけれども、しかし三%の方がなるべく大きな抜け穴ができないという意味で三%になっております。その意味で、これをこれから直していくとすれば、インボイス方式を考えなければいけないし、あるいはいろいろな抜け穴がございますからその抜け穴を押さえていかなければならぬ。こういうことで、もし消費税を国民の皆さん方が全部納得してくれれば、私は、これは将来の支出税に結びつけていくための一つの重要な布石だと考えています。しかし、それにもかかわらず私は、まだそこまで踏み切って考えでいいのかどうか、もっと視野を広くして直間比率をどういうふうに考えたらいいかというふうに問題を進めるべきではないかと思っております。
それから、地価税の問題でございます。先ほどちょっと申し上げましたけれども、地価税というのは、地価が上がっているからこれを下げるためにやったものではございません。したがって、地価税というものは、ある意味で構造的な不均衡を直すため、つまり不良資産のようなものが発生いたしましたのは、そこに集中的に過剰信用が流れ込んできたためでございますね。その過剰信用が流れ込んでくる、そういう金融構造、信用構造を直さないとこれを直すことができないというわけでございますから、その意味で、地価税を導入したということは、これは大変よい方法であったと私は思っております。
ただ、これにつきましては、当初一%などという案もございましたし、かなり厳しい案がございました。しかし逆にまた、それでは厳し過ぎるから大変だという案もございました。きょう発表されました新聞で見ますと、先ほども大田参考人がおっしゃったように非常に偏っているような感じがございますが、逆に申せば、そういう偏ったところがあるように、日本の資産というものが非常に不均衡になっていたということでございますね。そういうものを直すためにこの地価税は非常に有効な方法になったのではないか、こういうふうに考えております。
そして、さらにつけ加えますと、この地価税とは別に、先ほどのお話の中に消費税を高齢化社会のための目的税にすべきではないかという御意見がございましたが、私は、目的税化ということに対してはちょっと慎重でございまして、目的税になったことによって財政が硬直化することが危険でございます。その意味では、むしろ高齢化ということに対する対応は、何も社会保障だけではなくていろいろな政策があるわけであります。例えば少子、子供が少なくて、少産少子というああいう状況もございますね。こういうこともやはり高齢化社会の一つの原因になるわけです。
そういうことを考えますと、そこら辺も含めた広い意味の財政が必要になってまいりますので、目的税化を考えていくことはむしろ望ましくない、正しい消費税というものが決しておかしいものではない、これはむしろ将来の日本の税制の当然の方向であるということを国民に何とか理解してもらうことが第一条件ではないか、私はこう考えております。
以上でございます。