泉達夫の発言 (土地問題等に関する特別委員会)
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○泉参考人 おはようございます。
今御紹介いただきました、日本不動産鑑定協会の地価調査委員会の泉と申します。よろしくお願いをいたします。
本日は、最近の地価の動向につきまして、先般発表になりました平成五年の地価公示を中心にお話をさせていただきたいと思います。
お手元の資料、恐縮でございますが、「平成五年地価公示に基づく平成四年の地価動向の特徴について」というのがお手元にございます。まず、その四ページをごらんいただきます。
四ページをごらんいただきますと、平成五年の地価公示の概要でございますが、一口に申せば、平成四年一年間の地価動向は、大都市圏で著しい下落を示し、地方圏でも横ばいまたは下降局面を迎えております。したがいまして、この四ページの一番下のところを見ていただきますと、全国平均で住宅地ではマイナス八・七%、それから商業地でマイナス一一・四%ということで、住宅地、商業地ともに二年連続のマイナスということでございます。昭和五十年に一度地価が下がりましたが、戦後、二年続けて地価が下落するというのは初めてであろうかと存じます。
それで、平成五年度の地価公示の特徴でございます。私は、二つあると思っております。
一つは、住宅地でございますが、都道府県別に三つの地域にこれを分類できるということでございまして、三つとは何かといいますと、一つは、二けたのマイナスで下がった地域、それから一けたのマイナスのところ、それから若干でございますがプラスになっているという、全国を色で分けるなら三つの色に分けることができると思います。それから、二けたのマイナスというところは、東京、大阪。東京は、この表で見ていただきますが、一八・五%、大阪が一六%ということでございまして、大都市圏はおおむね二けたのマイナスを示している。一けたのマイナスのところはどういうところかといいますと、北海道のマイナス二・三%、それから宮城の三・四%、あとは岐阜、静岡、広島と続きます。若干ですがプラスの県を申し上げますと、青森が〇・二、岩手が一・八、長野、鳥取、佐賀、長崎等が若干ですけれどもプラスになっております。これは、東京にいますと、今どき地価が上がっているところがあるのかというような感じもするわけでございますが、実際は比較的価格水準が低い地域に住宅需要があったということと、再開発事業とか公共事業の進展を見て、そういうように部分的に上がった。これも昨年の秋以降は実質横ばいという状況になっております。
それから、もう一つの特徴は、昨年と異なりまして、商業地の下落率が大きいということでございます。昨年は住宅地の方が大きかったわけでございますが、ことしは住宅地が全国平均でも八・七、商業地が一一・四、これは三大圏でも同じような傾向で、商業地の方が下落率が大きい。この二つの特徴があるだろうと思っております。
それから、もう少し地域別に詳しく御説明をさせていただきますと、お手元の資料の五ページをごらんいただきます。
東京圏の地価の地域別変動率がございます。東京都ではこの一年間で二割前後の下落となっておりまして、特に区部では年間二割を超える。これは住宅地でございますけれども、そういう状況に
なっております。したがって、地域によって違うのですけれども、昭和六十二年の夏から秋がちょうどピークでございまして、そのピークの値段に比べてどうなっているかということになりますと、区部の都心部の港区、渋谷区、そういうところは五割を超えている。一言で言えば、半値以下になっているということでございます。また、区部南西部の世田谷、中野、杉並、それから多摩地区の武蔵野市、三鷹市、こういうところは四割ぐらい下がっている。これは累計でございます。そういう状況になっております。
その結果、東京圏の住宅地の下落率が大きいところでは、お手元の五ページの下のところに書いてございますが、港区が一年間で三〇%のマイナス、それから中央区が二九%、渋谷区が二八・九%。これはどんなところが下がっているかといいますと、第一住専とか第二住専といって、住宅以外への転用が難しい、ビル用地などには転用が難しいというようなところとか、道路幅員が狭いところだとか、総額が非常に張って、一つの物件が五億とか十億、こういうのは実際買い手がいないわけでございますね、そういうものが下がっているということでございます。
東京圏の商業地の下落は、埼玉県の入間市、それから世田谷、浦安等でございますが、ここはどちらかというと近隣商業地域、通常の日常店舗が構成されているような地域が大きく下がっているという状況でございます。
それで、次に大阪圏でございます。次ページの六ページをお願いいたします。
大阪圏も東京と同じような傾向でございますが、年間で二けたの下落となっておりまして、商業地についても、年間でほぼ二割を超える大幅な下落となっております。そして、大阪圏のピークというのは東京と違っておりまして、平成二年の夏ごろでございましたけれども、それに対して累積で、吹田市の住宅地で五割を超える、または豊中で四割を超える下落となっているという状況でございます。
東京と大阪の違いというのはどういうところにあるかといいますと、お手元の資料の、昨年の後半の七月から十月までと十月から十二月末、一月一日でございますね、この三カ月ごとに見ますと、東京は後半の方が下落の幅が大きくなっているというのに対しまして、大阪の方は、住宅地で見ますと若干下落の幅が小さくなってきているというような違いが東京と大阪ではございますが、下落の程度は同じでございます。それと、住宅地で見ますと、大阪は、平成四年の方の下落率が二二・九%、ことしが一七・一でございますから、昨年の方が大きかった、下落の幅がだんだん縮小してきているというようなことも言えようかと思います。
それから、次は、時間もございませんので簡単に御説明させていただきますが、名古屋圏でございますが、名古屋圏も、七ページでございます、ごらんいただきますと、名古屋市が、住宅でマイナス一三・七、商業地で一八・一と、やはり二けたのマイナスをしている。名古屋圏全体では、住宅地がマイナス八・六、商業地が一三・七でございます。
数字ばかりを並べて恐縮でございますが、もう少し御辛抱いただきます。
八ページ、見ていただきますと、ブロック中心都市でございますが、札幌、仙台は大体五%前後の下落。ただし、広島と福岡は商業地はやはり二けたのマイナスということで、冒頭申し上げましたけれども、かなり大幅な下落を示しているということが言えようかと思います。
これで一年間のことはわかった。じゃ、もう少しタームを長くして見た場合どういう状況になっているのだというようなことが当然問題になってくるわけでございますが、恐縮でございます、お手元の十二ページでございます、ごらんいただきます。
これは、十年間で地価がどのくらい上がっているんだというような、若干タームを長く見て、一年という単位ではございませんで、十年で見るとどうかということでございますが、これで見ますと、住宅地、東京圏、一番右側を見ていただきますと、昭和五十八年を一〇〇にいたしますと、五年では一九四、したがって、二倍を切っているというような状況でございます。大阪圏が一八九・三、それから名古屋圏が一六五・六という状況でございます。一昔前、郵便局の定額預金というのがありましたけれども、十年預けておくとほぼ倍になったという時期がございましたけれども、私、感覚的にはそんな感じではないかと思っております。
しかし、じゃ、適正な水準にあるのかということでございますが、名目のGNPとの関連性が地価とは非常に相関関係が高いわけでございますが、それが一七三でございます。したがって、一九四というのは若干まだ高いというようなことも言えようと思います。また、一部不動産業界では、いやいや、GNPの伸び率の一七三というのは全国だ、東京圏だけを考えると、一九四だから、まあほぼ底についているんじゃないのというような言い方もあるわけでございますが、この間の賃料、賃料というか給与でございますね、サラリーマンの給与の伸び率が大体五割でございますので、そういう意味からいっても、やはり下落の幅を小さくしながら当分下落が続くという見方が正しい見方ではないかと私は考えております。
それから、土地と株は違うわけでございますが、株の世界に大相場四倍高という言葉がございます。また一方、もう聞いたと思いますが、半値八掛け二割引きというのがありまして、株と土地を同じにするとおしかりをいただくかもしれませんけれども、今回の地価の高騰は、まさにこの格言どおりの動き方をしているわけでございまして、例えば目黒区の柿の木坂というところがございます。ここは、上がる前が坪で大体二百五十万でございましたが、ピークのときは一千万と言われております。四倍でございますね。このピークというのは非常に短い、二、三カ月の間でございますけれども、それにしても、同じような四倍に上がった。じゃ、今度下がる、下降局面はどうかといいますと、半値八掛け二割引きというのは、一千万の土地が五百万になって、そして八掛けでございますから四百万になる。またさらに二割引きというのは三百二十万になる。じゃ、今、柿の木坂というところはどのぐらいしているのということになりますと、現在はもう四百万ではなかなか売れないという状況に至っておりますので、まさにそういうことが言えるのかというように感じております。
それから、東京は、やはり東京区部のピークは六十三年でございましたが、神奈川、埼玉、千葉の方は平成三年がピークでございました。若干タイムラグがある。これは時計回りの地価と私申し上げておりますけれども、そんなことで、都心から端を発した、商業地から世田谷の方、または区部に移って、それから周辺部に波及をしていったということがこの表から読み取ることができるのではないかと思います。
それから次が、恐縮でございます、十三ページでございます。これは商業地でございます。じゃ、住宅地は二倍を切っているんだけれども、商業地はどうなのということでございます。
商業地は、これをごらんいただくとおり、東京圏では二五七・四、まだ二・六倍なんですね。まだまだ高いということで、最近の地価、商業地が下がるのじゃないかと一般的に言われておりますが、そのゆえんがここにもあるわけでございまして、最近、ビルの賃料が大幅に下がっているということからいけば、当然、地価も商業地については下がるのではないかというような考え方が一般的でございます。
地価公示は一月一日でございますので、その後どうなんだというような問題がございますが、一月から四月までの動向を申し上げますと、住宅地は下落の幅が縮小はしておりますけれども、大勢的にはまだ下がっております。一部の地域では横ばいの地域も出始めておりますが、まだそういう傾向は定着をしてない、まだ下がるという感触で
ございます。それから、商業地はどうかといいますと、今申し上げたような事情で、昨年の後半と同じような下がり方をしておりまして、全く底をついているという状況ではございません。
もう少し時間をいただきまして、それじゃ、地価の動きはわかった。あなた方、地価公示はどうやって調査しているのというような質問をいつも受けるわけでございますが、二、三分時間をいただいて御説明をさせていただきます。
御承知のとおり、我々やっておりますのは近傍類地の取引事例でございますね。取引事例から持ってくるのが、これは取引事例比較法と言っています。それから近傍類地のビルの賃料とか地代から算出する価格、これは収益還元法と言って、二つの方法で既成市街地はやっております。もちろん、あと埋立地の場合は原価法とかいうコストアプローチもございますけれども、既成市街地はこの二つでございます。いずれも近傍類地の取引とか、それから近傍類地のビルの賃料ということでございますから、最新、直近のデータを把握していかないとどうしても精度が落ちるわけでございます。そういう点、我々十分留意いたしまして、売買当事者からそういう事情を聞く、取引価格を聞くということのほかに、仲介情報を集約している大手の流通業者、または小手も入っている指定流通機構、レインズ、お聞きになったと思いますが、レインズから十二月の、昨年の末までの直近の事例をいただいて分析をしております。
またはビルの賃料についても、かなりビルが下がっておりますので、ビル脇を初めそういうところから事例を提供していただきまして分析をしている。または、さらに売り物件の取引がかなり少なくなっておりますので、売り物件の情報または買い情報、または属性分析なんというのをやっているのですね。属性分析というのはどういうことかというと、売り主と買い主が、どういう方が売ってどういう方が買っているんだ、特に最近言われているのが関連会社の売買なんか非常に多くなっているわけですね。正常の売買が少なくなってきている。ないわけではございません、当然あるわけでございますが、比率が高くなっているというようなことで、そういう分析をして市場の動向の的確な把握に努めているところでございます。
また、それをどういう体制でやっているんだと申し上げますと、せっかくの機会ですから一言で申し上げますと、地価公示の評価員というのは全国で千九百三十九名、大体二千名でやっておりますけれども、そこを百九十の分科会に分けまして、そこでいろいろ情報の共有化であるとか意見の交換、価格動向の共同検討というようなことを重ねて、五回も六回も会合を重ねるわけでございますが、そういう形で市場の動向を一層的確に把握しているという状況でございます。
いただいた時間、なくなりましたので、以上をもってひとまず説明を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)