土地問題等に関する特別委員会

1993-04-20 衆議院 全72発言

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会議録情報#0
平成五年四月二十日(火曜日)
    午前九時三十二分開議
出席委員
  委員長 玉城 栄一君
   理事 狩野  勝君 理事 中谷  元君
   理事 萩山 教嚴君 理事 前田 武志君
   理事 前田  正君 理事 和田 貞夫君
   理事 吉井 光照君
      井奥 貞雄君    大塚 雄司君
      太田 誠一君    佐田玄一郎君
      佐藤 守良君    坂本 剛二君
      長勢 甚遠君    真鍋 光広君
      村井  仁君    柳本 卓治君
     宇都宮真由美君    菅  直人君
      小松 定男君    輿石  東君
      仙谷 由人君    常松 裕志君
      近江巳記夫君    薮仲 義彦君
      佐藤 祐弘君    伊藤 英成君
 委員外の出席者
        参  考  人
        日本不動産鑑
        定協会理事   泉  達夫君
        地価調査委員
        会委員長
        参  考  人
       (建設経済研究 長谷川徳之輔君
        所常務理事)
        参  考  人
        (東京大学社会 稲本洋之助君
        科学研究所教
        授)
        特別委員会第三 平川 陽三君
        調査室長
    —————————————
委員の異動
四月二十日
 辞任         補欠選任
  長田 武士君     薮仲 義彦君
同日
 辞任         補欠選任
  薮仲 義彦君     長田 武士君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 土地問題及び国土の利用に関する件(我が国の
 経済・社会構造と今後の土地対策)
     ————◇—————
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玉城栄一#1
○玉城委員長 これより会議を開きます。
 土地問題及び国土の利用に関する件について調査を進めます。
 本日は、本件、特に我が国の経済社会構造と今後の土地対策について調査のため、参考人三名に御出席をいただき、参考人に対する質疑を行うことになっております。
 ただいま御出席願っております参考人は、日本不動産鑑定協会理事、地価調査委員会委員長泉達夫君、建設経済研究所常務理事長谷川徳之輔君及び東京大学社会科学研究所教授稲本洋之助君の方々であります。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 各参考人には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。各参考人には、我が国の経済社会構造と今後の土地対策につきまして、それぞれのお立場から、忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げますが、泉参考人、長谷川参考人、稲本参考人の順序で、御意見をお一人十五分程度お述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、参考人は委員長の許可を得て発言をしていただき、また、委員に対しては質疑できないこととなっておりますので、御了承いただきたいと思います。
 それでは、泉参考人にお願いいたします。
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泉達夫#2
○泉参考人 おはようございます。
 今御紹介いただきました、日本不動産鑑定協会の地価調査委員会の泉と申します。よろしくお願いをいたします。
 本日は、最近の地価の動向につきまして、先般発表になりました平成五年の地価公示を中心にお話をさせていただきたいと思います。
 お手元の資料、恐縮でございますが、「平成五年地価公示に基づく平成四年の地価動向の特徴について」というのがお手元にございます。まず、その四ページをごらんいただきます。
 四ページをごらんいただきますと、平成五年の地価公示の概要でございますが、一口に申せば、平成四年一年間の地価動向は、大都市圏で著しい下落を示し、地方圏でも横ばいまたは下降局面を迎えております。したがいまして、この四ページの一番下のところを見ていただきますと、全国平均で住宅地ではマイナス八・七%、それから商業地でマイナス一一・四%ということで、住宅地、商業地ともに二年連続のマイナスということでございます。昭和五十年に一度地価が下がりましたが、戦後、二年続けて地価が下落するというのは初めてであろうかと存じます。
 それで、平成五年度の地価公示の特徴でございます。私は、二つあると思っております。
 一つは、住宅地でございますが、都道府県別に三つの地域にこれを分類できるということでございまして、三つとは何かといいますと、一つは、二けたのマイナスで下がった地域、それから一けたのマイナスのところ、それから若干でございますがプラスになっているという、全国を色で分けるなら三つの色に分けることができると思います。それから、二けたのマイナスというところは、東京、大阪。東京は、この表で見ていただきますが、一八・五%、大阪が一六%ということでございまして、大都市圏はおおむね二けたのマイナスを示している。一けたのマイナスのところはどういうところかといいますと、北海道のマイナス二・三%、それから宮城の三・四%、あとは岐阜、静岡、広島と続きます。若干ですがプラスの県を申し上げますと、青森が〇・二、岩手が一・八、長野、鳥取、佐賀、長崎等が若干ですけれどもプラスになっております。これは、東京にいますと、今どき地価が上がっているところがあるのかというような感じもするわけでございますが、実際は比較的価格水準が低い地域に住宅需要があったということと、再開発事業とか公共事業の進展を見て、そういうように部分的に上がった。これも昨年の秋以降は実質横ばいという状況になっております。
 それから、もう一つの特徴は、昨年と異なりまして、商業地の下落率が大きいということでございます。昨年は住宅地の方が大きかったわけでございますが、ことしは住宅地が全国平均でも八・七、商業地が一一・四、これは三大圏でも同じような傾向で、商業地の方が下落率が大きい。この二つの特徴があるだろうと思っております。
 それから、もう少し地域別に詳しく御説明をさせていただきますと、お手元の資料の五ページをごらんいただきます。
 東京圏の地価の地域別変動率がございます。東京都ではこの一年間で二割前後の下落となっておりまして、特に区部では年間二割を超える。これは住宅地でございますけれども、そういう状況に
なっております。したがって、地域によって違うのですけれども、昭和六十二年の夏から秋がちょうどピークでございまして、そのピークの値段に比べてどうなっているかということになりますと、区部の都心部の港区、渋谷区、そういうところは五割を超えている。一言で言えば、半値以下になっているということでございます。また、区部南西部の世田谷、中野、杉並、それから多摩地区の武蔵野市、三鷹市、こういうところは四割ぐらい下がっている。これは累計でございます。そういう状況になっております。
 その結果、東京圏の住宅地の下落率が大きいところでは、お手元の五ページの下のところに書いてございますが、港区が一年間で三〇%のマイナス、それから中央区が二九%、渋谷区が二八・九%。これはどんなところが下がっているかといいますと、第一住専とか第二住専といって、住宅以外への転用が難しい、ビル用地などには転用が難しいというようなところとか、道路幅員が狭いところだとか、総額が非常に張って、一つの物件が五億とか十億、こういうのは実際買い手がいないわけでございますね、そういうものが下がっているということでございます。
 東京圏の商業地の下落は、埼玉県の入間市、それから世田谷、浦安等でございますが、ここはどちらかというと近隣商業地域、通常の日常店舗が構成されているような地域が大きく下がっているという状況でございます。
 それで、次に大阪圏でございます。次ページの六ページをお願いいたします。
 大阪圏も東京と同じような傾向でございますが、年間で二けたの下落となっておりまして、商業地についても、年間でほぼ二割を超える大幅な下落となっております。そして、大阪圏のピークというのは東京と違っておりまして、平成二年の夏ごろでございましたけれども、それに対して累積で、吹田市の住宅地で五割を超える、または豊中で四割を超える下落となっているという状況でございます。
 東京と大阪の違いというのはどういうところにあるかといいますと、お手元の資料の、昨年の後半の七月から十月までと十月から十二月末、一月一日でございますね、この三カ月ごとに見ますと、東京は後半の方が下落の幅が大きくなっているというのに対しまして、大阪の方は、住宅地で見ますと若干下落の幅が小さくなってきているというような違いが東京と大阪ではございますが、下落の程度は同じでございます。それと、住宅地で見ますと、大阪は、平成四年の方の下落率が二二・九%、ことしが一七・一でございますから、昨年の方が大きかった、下落の幅がだんだん縮小してきているというようなことも言えようかと思います。
 それから、次は、時間もございませんので簡単に御説明させていただきますが、名古屋圏でございますが、名古屋圏も、七ページでございます、ごらんいただきますと、名古屋市が、住宅でマイナス一三・七、商業地で一八・一と、やはり二けたのマイナスをしている。名古屋圏全体では、住宅地がマイナス八・六、商業地が一三・七でございます。
 数字ばかりを並べて恐縮でございますが、もう少し御辛抱いただきます。
 八ページ、見ていただきますと、ブロック中心都市でございますが、札幌、仙台は大体五%前後の下落。ただし、広島と福岡は商業地はやはり二けたのマイナスということで、冒頭申し上げましたけれども、かなり大幅な下落を示しているということが言えようかと思います。
 これで一年間のことはわかった。じゃ、もう少しタームを長くして見た場合どういう状況になっているのだというようなことが当然問題になってくるわけでございますが、恐縮でございます、お手元の十二ページでございます、ごらんいただきます。
 これは、十年間で地価がどのくらい上がっているんだというような、若干タームを長く見て、一年という単位ではございませんで、十年で見るとどうかということでございますが、これで見ますと、住宅地、東京圏、一番右側を見ていただきますと、昭和五十八年を一〇〇にいたしますと、五年では一九四、したがって、二倍を切っているというような状況でございます。大阪圏が一八九・三、それから名古屋圏が一六五・六という状況でございます。一昔前、郵便局の定額預金というのがありましたけれども、十年預けておくとほぼ倍になったという時期がございましたけれども、私、感覚的にはそんな感じではないかと思っております。
 しかし、じゃ、適正な水準にあるのかということでございますが、名目のGNPとの関連性が地価とは非常に相関関係が高いわけでございますが、それが一七三でございます。したがって、一九四というのは若干まだ高いというようなことも言えようと思います。また、一部不動産業界では、いやいや、GNPの伸び率の一七三というのは全国だ、東京圏だけを考えると、一九四だから、まあほぼ底についているんじゃないのというような言い方もあるわけでございますが、この間の賃料、賃料というか給与でございますね、サラリーマンの給与の伸び率が大体五割でございますので、そういう意味からいっても、やはり下落の幅を小さくしながら当分下落が続くという見方が正しい見方ではないかと私は考えております。
 それから、土地と株は違うわけでございますが、株の世界に大相場四倍高という言葉がございます。また一方、もう聞いたと思いますが、半値八掛け二割引きというのがありまして、株と土地を同じにするとおしかりをいただくかもしれませんけれども、今回の地価の高騰は、まさにこの格言どおりの動き方をしているわけでございまして、例えば目黒区の柿の木坂というところがございます。ここは、上がる前が坪で大体二百五十万でございましたが、ピークのときは一千万と言われております。四倍でございますね。このピークというのは非常に短い、二、三カ月の間でございますけれども、それにしても、同じような四倍に上がった。じゃ、今度下がる、下降局面はどうかといいますと、半値八掛け二割引きというのは、一千万の土地が五百万になって、そして八掛けでございますから四百万になる。またさらに二割引きというのは三百二十万になる。じゃ、今、柿の木坂というところはどのぐらいしているのということになりますと、現在はもう四百万ではなかなか売れないという状況に至っておりますので、まさにそういうことが言えるのかというように感じております。
 それから、東京は、やはり東京区部のピークは六十三年でございましたが、神奈川、埼玉、千葉の方は平成三年がピークでございました。若干タイムラグがある。これは時計回りの地価と私申し上げておりますけれども、そんなことで、都心から端を発した、商業地から世田谷の方、または区部に移って、それから周辺部に波及をしていったということがこの表から読み取ることができるのではないかと思います。
 それから次が、恐縮でございます、十三ページでございます。これは商業地でございます。じゃ、住宅地は二倍を切っているんだけれども、商業地はどうなのということでございます。
 商業地は、これをごらんいただくとおり、東京圏では二五七・四、まだ二・六倍なんですね。まだまだ高いということで、最近の地価、商業地が下がるのじゃないかと一般的に言われておりますが、そのゆえんがここにもあるわけでございまして、最近、ビルの賃料が大幅に下がっているということからいけば、当然、地価も商業地については下がるのではないかというような考え方が一般的でございます。
 地価公示は一月一日でございますので、その後どうなんだというような問題がございますが、一月から四月までの動向を申し上げますと、住宅地は下落の幅が縮小はしておりますけれども、大勢的にはまだ下がっております。一部の地域では横ばいの地域も出始めておりますが、まだそういう傾向は定着をしてない、まだ下がるという感触で
ございます。それから、商業地はどうかといいますと、今申し上げたような事情で、昨年の後半と同じような下がり方をしておりまして、全く底をついているという状況ではございません。
 もう少し時間をいただきまして、それじゃ、地価の動きはわかった。あなた方、地価公示はどうやって調査しているのというような質問をいつも受けるわけでございますが、二、三分時間をいただいて御説明をさせていただきます。
 御承知のとおり、我々やっておりますのは近傍類地の取引事例でございますね。取引事例から持ってくるのが、これは取引事例比較法と言っています。それから近傍類地のビルの賃料とか地代から算出する価格、これは収益還元法と言って、二つの方法で既成市街地はやっております。もちろん、あと埋立地の場合は原価法とかいうコストアプローチもございますけれども、既成市街地はこの二つでございます。いずれも近傍類地の取引とか、それから近傍類地のビルの賃料ということでございますから、最新、直近のデータを把握していかないとどうしても精度が落ちるわけでございます。そういう点、我々十分留意いたしまして、売買当事者からそういう事情を聞く、取引価格を聞くということのほかに、仲介情報を集約している大手の流通業者、または小手も入っている指定流通機構、レインズ、お聞きになったと思いますが、レインズから十二月の、昨年の末までの直近の事例をいただいて分析をしております。
 またはビルの賃料についても、かなりビルが下がっておりますので、ビル脇を初めそういうところから事例を提供していただきまして分析をしている。または、さらに売り物件の取引がかなり少なくなっておりますので、売り物件の情報または買い情報、または属性分析なんというのをやっているのですね。属性分析というのはどういうことかというと、売り主と買い主が、どういう方が売ってどういう方が買っているんだ、特に最近言われているのが関連会社の売買なんか非常に多くなっているわけですね。正常の売買が少なくなってきている。ないわけではございません、当然あるわけでございますが、比率が高くなっているというようなことで、そういう分析をして市場の動向の的確な把握に努めているところでございます。
 また、それをどういう体制でやっているんだと申し上げますと、せっかくの機会ですから一言で申し上げますと、地価公示の評価員というのは全国で千九百三十九名、大体二千名でやっておりますけれども、そこを百九十の分科会に分けまして、そこでいろいろ情報の共有化であるとか意見の交換、価格動向の共同検討というようなことを重ねて、五回も六回も会合を重ねるわけでございますが、そういう形で市場の動向を一層的確に把握しているという状況でございます。
 いただいた時間、なくなりましたので、以上をもってひとまず説明を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。拍手
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玉城栄一#3
○玉城委員長 ありがとうございました。
 次に、長谷川参考人にお願いをいたします。
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長谷川徳之輔#4
○長谷川参考人 建設経済研究所の長谷川でございます。
 私の立場を最初から申し上げたいと思いますが、この土地問題、住宅問題についての見方について、私は職業あるいは立場の見方で随分変わってくると思います。おおむねの議論は、実は会社というかビジネスにとっての視点でございます。会社にとって損か得かというのが判断のベースになります。私はそれではいけないかと思います。やはり住宅土地政策というのは国民の生活の質を上げる視点でございますから、最終的には国民の生活というか消費者というか、そういう視点でもって論議すべきだというふうに思いますが、まあ残念ながら世の中の論議というのは専らビジネス、経済、会社にとって損か得かという点が論議になっているというのは私は大変まずいかと存じ上げます。
 私の立場は以上でございますが、数点についてその政策的なお話を申し上げたいと思います。
 まず、地価の動向については今、泉参考人からお話がございましたが、私の方は細かく御説明しませんが、七ページをごらんいただきたいと思います。
 私のペーパー「バブル後の土地政策」ということでございますが、七ページでございますが、この図の示すとおり、実は昭和六十年を境として、地価に構造的変化が起こっているという点をまず私たちは認識しなければいけないだろうと思います。この図は非常に単純な図でございまして、上の線が六大都市の市街地の地価の指数でございます。下の線が名目のGNPでございます。昭和三十年から昭和六十年まで三十年間で地価は五十六倍に上昇しました。GNPは三十七・七倍に上昇しました。この間、地価の上昇も非常に激しかったわけでございますが、高度経済成長の中で経済がそれに追いついていったということがございました。ですから、ある時点の地価は何年かするとGNPがキャンセルしてくれるということで、地価はGNPが必ず払ってくれるという一種の土地神話が生まれたベースになっておりました。
 しかしながら、これは六十年以降構造変化を起こしております。六十年から平成三年まで地価は五十六二倍から百七十二・二倍に上昇しました。ほぼ三倍に、この問わずかの間に三倍に上昇しました。しかしながら、GNPは三十七・七倍から五十三・五倍、一・四倍に近い上昇をしておりましたが、地価とGNPの間に大きな開差ができました。この開差を埋めるには一体がつてのように短い時間でこの開差が埋まるかというと、そうはまいりません。で、百七十二・二というそのピークでもって横ばいになったとしまして、この五十三・五のGNPが四%程度の成長でこれに追いつくのに何年かかるかと申し上げますれば、単純に計算すれば二十五年かかるわけでございます。二〇一五年にならないと実はGNPは地価水準に追いつかないわけでございます。
 したがって、実は今バブルの崩壊によって地価の方がGNPに接近するという状況にならざるを得ないということで、バブルは崩壊しているわけでありますので、ソフトランディングというのは、実はこのGNPの成長を待つということでございますが、ソフトランディングを待っておったんでは経済も生活も回復しないということをまず私たちは認識すべきだろうと思います。こういう構造変化を認識すべきでございますが、現在の政策はこの構造変化については目をつぶりまして六十年以前の段階での状況を考えておりまして、時間が物を解決する、こういうふうに思っている政策が多うございます。それでは私は不況あるいはこういう状況、不動産不況というのは長引くだけだというふうに認識しております。
 さて、お手元のレジュメでございますが、そういう構造変化の中で、私はこれからの地価というのは、土地神話が崩壊し、経済と地価が均衡した、収益に応じた地価が形成されるというごく当たり前の経済に持っていくんだというふうに思っております。こういう構造変化の中で私たちはどういう視点で土地問題を見るべきかという点については、私はその土地政策の目標というのは個人の生活の質の向上、住宅と住環境の改善、これに尽きるというふうに思います。
 しかしながら、昨今のバブル崩壊に伴う後遺症の厳しさから、最近ミニバブルを起こしたいとか、あるいは今の地価を何とか底支えしたいという空気がないわけではございません。その場合に、経済か生活か、あるいは景気か土地かという選択を迫られますが、しかし、それは私は誤りだと思います。やはり経済も、それから生活もでありましょうし、景気も地価も同時に解決すべきだろうし、本質的には、土地問題の解決なくして経済の解決もあり得ないと思います。それから、生活の改善なくして景気の回復もあり得ないと思います。その二者択一を迫るというのは、大変私は近視眼的だというふうに思っております。
 土地政策についても、私は今回の地価高騰に絡めて土地政策はかなり進んだというふうに思っております。土地政策というのは御案内のとおり、
総合性、整合性が必要でございますが、それはやっぱり短期、中期、長期に位置づけられた政策が総合的に連動して行われる。そういう意味で、一年か二年の短期では監視区域の設定あるいは不動産金融による緊急で避難的な公的介入、こういうことで仮需を抑制という点が私は求められると思いますし、これは今回の対策では一応の役割を果たしたと思います。そういう意味では、監視区域あるいは不動産金融についての機能は一応終了した。それから中期的には二年から五年の間だと思いますが、土地税制、土地制度の枠組みをつくることでございますので、今回の土地税制の改革で、実は大きな枠組みができました。土地の資産としての有利性を縮減して有効利用を促進するという枠組みができました。これは今後着実に実行していくべきものだと思います。
 それから、五年以上の長期にわたる政策として都市計画、それから住宅宅地の計画的供給がございます。こういう長期にわたる計画が一遍にできるわけがございません。一つのニュータウンをつくるのに三十年はかかるわけでございまして、供給対策というのは短期的な視点じゃなくて長期的な視点で計画的に行っておくべきだと思いますし、今まさにその時期だと思っております。
 さて、個別の話でございますが、土地税制につきまして申し上げます。
 地価税の問題が論議されております。これについてやめろという意見もあるし、やれという意見もございます。世の中のおおむねの意見は地価税について批判的な意見が多うございます。しかし私は、地価税というのは土地税制の改革の象徴的な存在でございますし、それから土地の資産としての有利性を縮減し、有効利用を促進するという点については極めて大きな機能を果たしていると思います。
 最も大きな機能は、実はこれは非常に皮肉な話でございますが、地価が一元化された、地価公示の一定程度内に課税標準が一定になったということで、これが言ってみればバブルに課税をしてバブルを消すという機能を果たしております。もともと今の地価水準そのものは投機等によって成立しましたバブルによって成立した地価でございますから、これが課税標準として課税されれば、これに対して収益では払えません。収益で払えなければ結果的に実は収益で払う水準に下がらざるを得ないということになると思います。その機能は企業に対しては地価税が、個人に対しては相続税が果たしておるわけでございます。確かに苛斂誅求な課税だと思います。苛斂誅求な課税だからこそ、地価が下がらなければ問題は解決しないということを意味しております。〇・二%程度の、あるいはことしから〇・三%でございますが、課税でもって企業が払えないというのはいかに実は土地の収益性がないか、地価が高過ぎるかということを証明しているわけであります。
 これからは地価税の問題いろいろ論議があると思いますが、これは私の理解では固定資産税の改革が進むまでのつなぎ役だと思っておりますが、一日も早く固定資産税が適切に評価され、評価が公開され、この地価税の機能が固定資産税にバトンタッチされていくということが必要だと思いますが、当面のところ、固定資産税の機能からしますと地価税がその代役を果たさざるを得ないというふうに考えております。なおまた、地価税は、これは資産、消費、所得の均衡を図るという意味での税制改革の大きな課題がございますので、減税財源等に充てるべき筋合いだろうと思っております。
 それから、不良資産の問題でございます。私はこの不良資産の流動化、有効利用がなくして資産デフレ、ローンデフレの解決はあり得ないというふうに思います。不良資産の額、どのくらいかわかりませんが、銀行が公表しない限りわかりませんが、不良在庫は百兆から百五十兆でしょう。不良債権というのは、大蔵省の発表では十二兆から、回収不能で四兆円、こう言われております。百兆円の規模としますと、これは九州全土の宅地資産に相当します。百兆円と申しますと、一戸四千万円のマンションで半分が土地代としまして、この百兆円の在庫を処理しようと思えば五百万戸の住宅を売らなければ回収できない巨大な在庫でございます。この在庫についてこのまま放置しておけば私は虫食い、不整形、高地価、非採算性、こういうことで、使えずにほっておけば腐ってしまうというふうに思います。これが流動化され、有効利用することが最も実は土地政策の解決にとって重要なことだと思いますが、残念ながらこの点については今の政策は大変後ろ向きだ。地価の低落を下支えしたいあるいは帳簿づらだけ整理をしたいということで共同債権買取機構ができておりますが、これ自体は大変私は後ろ向きだと思います。
 さらに積極的に、私はこの有効利用のために何らかの形で公的介入をせざるを得ないだろうというふうに思います。いろいろ提案ございますが、ゼロクーポン債のようなもので買い取り、財政資金の投入によって有効利用を図っていく、金融機関の損失は長期で分割償却する、こういう対応が必要だと思います。
 五番目の住宅宅地の計画的な供給については、これまで年収の五年分で大半を土地代に使っておりました。これを、これからは、よりたくさん建築費に使う、建築効果をふやす方に使うのが筋だと思いますね。従来は、四千万円の住宅をつくれば二千五百万円を土地代に使い、一千五百万円を建築費に使っておりました。これからは土地代を一千五百万円にし、建築費を二千五百万円にすれば付加価値は倍になりますし、それから、需要の喚起が行われます。
 こういう、年収五年分という水準をよく目標として設定し、これが単に住宅取得の能力を示すだけではなくて、一つの政策目標として地価水準の、言ってみれば望ましい水準としてこれを活用していくということが必要だと思います。
 次に、優良の賃貸住宅事業の推進がこれから行われますが、私は、これは大変いいことだと思います。賃貸住宅が余りにも従来無視されておったというか、政策的に軽視されておったと思いますね。これについて、やはり地価を反映させないという意味でも、優良賃貸住宅事業を進めてほしいと思います。
 それから最後に、市街化区域農地の問題でございますが、これは三万五千ヘクタールの市街化農地、これが供給に向かうことは大変な供給圧力になります。そして、物の解決、土地住宅問題の解決に大きく資すると思いますが、残念ながら絵ばかりかきますが、どうやって具体的に促進するという財源問題とか体制とかというものがまだ十分見えておりません。
 お願いでございますが、宅地並み課税というのは税収が上がるわけでございますので、その上がった税収、固定資産税あるいは相続税というものを、あるいは地価税も含めまして、こういったものを基金化しましてインフラへ投入し、宅地開発を進めていくということがこの宅地並み課税の最も大きな目標でございましょうし、全体の趣旨に合うというように理解いたします。
 時間がないものですから私の話は、一応今のところでございますが、後ほどまた御質問がございますれば数字等のお話を申し上げたいと思います。以上でございます。
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玉城栄一#5
○玉城委員長 大変ありがとうございました。
 次に、稲本参考人にお願いをいたします。
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稲本洋之助#6
○稲本参考人 私は、東京大学で法律学を研究している者であります。そのような観点から、多少ともお役に立つと思われる事柄を述べたいと考えております。
 お手元の書面に六点ほど書きましたが、時間の許す範囲でそのうち何点がお話をしたい、こう考えている次第であります。
 我が国の土地問題、これはしばしば諸外国と比較されますが、私たちは、全体の状況を見ますと、どうも土地所有権の観念自体に諸外国とはかなり違うものがあるのではないだろうか。ここに「建築の自由」という、これはドイツ語の翻訳でありますけれども、こういう言葉をまず掲げまし
た。平たく言えば、自分の土地は自分のものだという考え方です。
 この考え方自体は何の不思議もないように思いますが、自分の土地が自分のものであれば、使っても使わなくてもよい、利用するとしても利用の仕方も自由である。ただ、現に存在している法律に反してはならないから、その限りでは制約は受けるが基本的に自由で、法律は例外的にそれを制限しているので、建築は本来自由だ。
 こういう考えなんですが、これが例えば一九六〇年代においてはまだドイツで信じられていましたが、六〇年代の後半から七〇年、もう最近に至れば、ドイツ、フランス、いずれの国におきましても建築は都市において不自由である。ところが、我が国については、まだ基本的に自由なんだが法律にひっかかるからやむを得ない、こういう考え方があるように思います。
 第二は、土地の値段が上がれば自分の財産がふえた、こう考える、これもまた無理のない考え方でありますが、これを簡単に「増価の取得」というように書きました。言いかえれば、開発利益は自分のもの、こういう考え方なのでありますけれども、この点でやはり諸外国の認識と我が国のそれとの間にはまだ差があるように思います。
 私は今ここに二点目を書きました。三番目をあえて書きませんでしたが、この三番目は、平たく言えば、税金を払っていれば怖くない、この三つなのです。要するに、自分の土地は自分のものだ。土地の値段が上がれば自分の財産がふえた。税金を払っていれば怖くない。さあ、この三点いずれを考えましても、土地についてそれはやはり社会、公共のものだという意識が我が国においては非常に薄いのではないだろうかと思います。
 この点で、平成元年に制定されました土地基本法はかなり大きな考え方の変更をもたらすものでありまして、その前提として憲法二十九条がございます。二十九条の一項では「財産権は、これを侵してはならない。」二項においては「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」と言っています。三項は省略をいたしますが、この一項があくまでも原則であって、財産権は不可侵である、二項によって例外的に制限されるのだという、これが憲法二十九条の一般的な意味、内容でありました。このこと自体に間違いはありません。しかし、これが事土地に関してそのまま無条件に適用されるようになる場合、しばしば思わぬ結果に至ると思います。
 土地基本法は、第二条において「土地については、公共の福祉を優先させるものとする。しという規定を設けました。このような土地基本法が憲法二十九条のもとで成立し、施行されているということを考えますと、憲法二十九条一項、二項と土地基本法二条は矛盾する関係にはない、むしろ二十九条の趣旨を土地に関しては土地基本法二条が補完した、より具体化した、こう考えるのが正しいのではないか。
 この公共の福祉の優先の中身をさらに分けて考えていけば、まず第一には、土地は計画に従って利用されなければならないということで、すなわち建築の自由に対するという考え方に対してそれを改めるべきだということを三条で述べたものと私は考えます。
 さらに、これに先立つ土地臨調の答申などに見られました国民の基本認識、あのような宣言的文書に立ち戻れば、土地の所有には利用の責務が伴う。だから、使うか使わないかは私人の自由とは言っていられない。基本的に使うべきである。さあ、どう使うべきか。勝手に使うのではなくて、例えば一つの地域、一つの市町村においてどのように使ったら最適かということを示す計画がなければならない。これがこれから新たな意義を持ってあろう土地利用計画であり、また都市計画法を初めとする諸法律の定めるところでございます。
 また、他面、この受益に応じた負担ということを第五条でうたいましたが、これこそその開発利益の一部を社会、公共に還元すべきであるということになりましょう。
 以下、この二点を三、四においてパラフレーズして若干お話をしたいと思います。
 昨年六月に都市計画法の改正がなされました。皆さん方の大変な御努力の結果というように考えまして、私はこの改正を大いに支持したいし、歓迎したいと考えております。昭和四十三年の都市計画法以来二十数年ぶりの大改正でありましたが、私はその中でもマスタープラン、それから詳細計画という組み合わせになった都市計画のあり方が今回の改正によって抜本的に強化された、内容を豊かなものにされたというように考えております。
 まず、都道府県知事が定める都市計画、これは言ってみれば国の事務の委任を都道府県知事が行うのでありますけれども、マスタープランとして整備、開発または保全の方針を大いに充実させようということになります。そのもとで、御承知のように用途地域を八種から十二種にふやす改正が行われました。用途地域の詳細化といいますが、言葉を多少かえで言えば、用途の純化ということでありました。この地域にはこういうものしか建てられない、そういうものを建てればよりよい都市になるという積極的な方向を示す用途地域制度が、今回の改正でより輪郭を明確にしたと言えると思います。
 他方、市町村には独自の都市計画権限があっていいはずだという考え方が今回の改正で打ち出されました。市町村のマスタープラン、これは都市計画法上の言葉では別の表現でありますけれども、一般には簡単に市町村のマスタープランと言っていいでしょう。これを定めるものとするというように市町村に対する義務づけを法律で行ったことは御承知のとおりでございます。そのもとで、そのマスタープランに従って地区計画を、これも市町村の権限でございますが、地区計画の策定を促進しようということであります。
 従来の我が国の都市計画の考え方は、原則自由、例外禁止でありますから、してはいけないことだけを定めて、それ以外は自由、こういう考え方の枠がありましたが、今回の改正によりまして、例えば地区計画においては積極的にすべきことを定める、考え方の方向が変わってきたと言えるんではないかと思います。
 他方、開発利益の還元については、これは大変難しい問題でありますし、どのように利益が、どの所有者に生じ、それをどのように還元をさせるべきか、難問だらけでありますけれども、やはりこの際、そういう考え方が真っ当なんだ、すなわち、公共的な資金によって社会資本の整備が行われ、そのおかげで自分の土地の価格が二割上がった、五割上がったというとき、それを全部自分のものとしないで、何らかの還元、見返りを行うべきだ、少なくともそういう観点に立って物事を見ていこうというわけであります。
 ただ、これを、受益があるんだから、それから当然に開発費用を一部出せという、ぎしぎしやりますと、我が国の財産制度全体に影響を与えますから、そこは、しばらくの間は、多様な方法で考えていくべきだろう。私の考えでは、社会資本整備の費用をそこから回収するということを前面に出すよりは、ある人に特に、その人の働きによらずに財産がふえ、他の者にはふえていない、こういう場合に生ずる社会的な不公正、不公平の観念をなくす、薄める方向でのさまざまな申し出があっていいだろう。そのような、申し出という平たい言葉を使いましたが、都市環境の整備への貢献を評価するシステムをつくるべきであろうと私たちは考えているのであります。
 さらに、もうちょっとよろしいようでございますので、第五点、第六点についても述べたいと思います。
 第五点、年収の五倍以内での住宅の取得という、よく言われていることですが、私たちは、初めはこういうことはどこかでスローガンとして言われることであって、余りこう言うと不遜でありますけれども、学者がこれをまじめに検討課題とするというようなことは先の課題であろうと思っていましたが、やはりそういいかげんな態度をとっているわけにもいかなくなりました。
 他方、私たちが、昨年施行されました借地借家法の中の諸制度、この年収五倍以内の住宅取得の考え方に合わせて、その活用の方法を組み立てることができないかということを検討を始めました。東京大学における私の主宰する研究会において幾つもの具体的な試算ができていますが、その一部、ごく簡単に御紹介いたします。
 定期借地権という方法で用地を確保してその上にマンションを建てた場合、これには年限の制限があることは否めませんけれども、そのような場合に、大体東京でいえば、三鷹市、武蔵野市あたり、通勤の電車の時間で三十分、前後合わせて一時間以内でというところで年収の五・一倍という数字が出ています。ただし、この場合の平均年収はやや高目にとってありまして、年収八百三十万円という線で計算をしました。しかし、これが同じようなところで、土地を所有権として取得してマンションを建てた場合、七十平米のマンションを取得するためには八・三倍の用意がなければならない。このように、定期借地権を活用すれば大体四割方土地に関する費用を節減できるということになれば、こういう制度を大いに促進するための努力を、またしてみたいというように私たちは思います。
 もとより、東京の郊外の元農家、土地を所有しておられる方々はなかなか土地を提供してくれませんが、これにも私たちの側でなすべき努力がまだまだあるように思います。私の考えでは、用途規制をもう少しやや強めて、その上でさまざまな優遇措置、奨励措置、具体的な例えば地区計画という枠組みにおさめた上での規制の緩和、このようなことを組み合わせていけば、現在の土地所有者が宅地並み課税のもとで安心して土地を提供するであろう。所有権で難しければ、先ほど言いました借地権、定期借地権の道が十分にあるのであります。
 最後に、今日の地価の動向を見ておりますと、公共用地の取得または公共事業のための代替地の取得という点で、この十数年ない、そういう意味では好条件に今恵まれているように思われます。既に、国においても地方自治体においてもこのような計画を立てておられることは十分に承知をしておりますが、常に財源の問題がございます。先ほど長谷川参考人は、国民への減税に充てよと言われまして、これも識見の一つだと私は思いましたが、私は、この地価税をむしろ公共用地の取得の、もちろん適正な価格における取得でありますけれども、その資金の一部にすべきではないか、このようにして土地をある意味では大法人企業から国へ移転するということになるのかもしれませんけれども、それでも、それは重要なことではないだろうか。
 さらに言わせていただければ、都市計画税についてその使い方を再検討せよということを臨調答申で言っておりますし、今日に至るまでそれが重要な課題ですが、このような地価税や都市計画税をもってやはり公共用地を取得し、公共事業を大いに展開していくような条件づくりをすべきではないかというように思います。ただ、最初にお断りしましたように、私は経済学に暗い、ただの法律の研究者でございますので、それ以上のことはここでは、最初の発言としては控えさせていただきたいと思います。拍手
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玉城栄一#7
○玉城委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
    —————————————
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玉城栄一#8
○玉城委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村井仁君。
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村井仁#9
○村井委員 自由民主党の村井仁でございます。各参考人には、大変示唆に富むお話をお伺いいたしましたことを心から御礼を申し上げたいと存じます。
 時間の制約もございますので、主として、これからの政策展開につきましてお触れございました長谷川先生に中心にお伺いをさせていただきたいと存じます。
 地価税につきまして、確かに先生もお触れになりましたけれども、いささか世間では苛斂誅求ではないかという議論がある。言ってみますと、自分の責任ではなくて上昇をしてしまったその地価のために、例えば先祖伝来の家業を、東京の下町で続けることができなくなってしまうというような状態、あるいは、企業がともかく今まで何とか営々とやってきたその場所で経営を続けられないような状態になってしまう。これは少し厳し過ぎるのではないかという議論があることもよく承知しておりますし、それからまた、このあたり、バブルが非常に急激なものでありましただけに、これをまた解消する過程も大変急激であった。
 そういう意味で、そこで大変トラブルが大きかった、これは一つの事実だと思うのでございますが、ただ、私は地価税の導入にかかわった一人といたしまして、やはり税という中長期的に効果を期待すべきものにつきまして、余り朝令暮改のそしりを受けるようなことをするべきではない、やはりここのところでしばらくは歯を食いしばってもしのぐべきであろう、このように思っている一人でございます。
 しかしながら、問題は、やはり何といいましても不動産を担保にとって信用形成が行われてきたことも一つの事実でありまして、そして、先ほど先生大変遠慮ぎみな推測をなさいましたけれども、相当大きな信用不安の材料があるということも、これはやはり推測にかたくないことだと思います。そこで、そういう推測を我々やっているゆとりはないわけでありまして、どういうふうにこれを解決していったらいいかという問題に私どもは関心を集中するべきであろう、このように思うわけでございます。
 そういう観点からぜひお伺いをいたしたいと存じますのは、先生のレジュメで二ページ目でございますが、「有効利用のために公的介入こというところでございます。大変思い切ったお話がいろいろ並べてございまして、ゼロクーポン債券による買い取り、あるいは「財政資金投入」、それから「金融機関の損失」につきまして、「長期分割償却」、あるいはそれに対する税の面での配慮というような感じでございます。このあたり、大変恐縮でございますが、少し詳細に御説明をちょうだいできませんでしょうか。ヒントをいただければありがたいと存じます。
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長谷川徳之輔#10
○長谷川参考人 お答え申し上げます。
 私、実は、バブルの後の経済正常化へのシナリオが最も大事だと思います。残念ながら、この正常化へのシナリオが見えておりません。大部分の政策は、六十年以前の段階の前提に立ちまして、時間稼ぎ、こういうことになっておるかと思います。私は、時間稼ぎはかえって事態を悪くするだけだろうというふうに理解をしております。
 さらに、一番のポイントは、不良資産、これは百兆円とか百五十兆円とか二百兆円とか言われておりますが、これをどういうふうにして有効利用するかということがバブル崩壊の後の経済政策の最も大きなかぎだと思います。
 今のデフレは資産デフレといいますが、むしろローンデフレ、借金の大きさでつぶされている、こういう状況だと思います。この借金を処理しない限りはどうしようもないわけでございます。この借金を、今の政策では、共同債権買い取り会社が持って、右手から左手へ移しまして、とりあえず部分的に償却しましょう、こういうことだけでございまして、これを有効利用する手だてがございません。その手だてが本質的に必要だというふうに私は理解しております。
 その点、なぜ公共でなければならぬかといいますと、一つは、規模が非常に大きいという点でございます。二つ目は、実はこの土地はほとんどが虫食いでございます。多分、地上げの最中にいわば放置されたということでございまして、このままではとても使えないだろうと思います。そういう意味で、これは区画整理をするなり交換分合をするなり、何らかの対応をしなければならないだ
ろう。こうなれば、民間企業ではできないわけでございますから、どうしても公的な機関が何らかの対応をせざるを得なくなるだろうというふうに考えております。
 その場合に、有効利用するときに、これは企業の救済あるいは銀行の救済という点で出るのではなくて、もう少し、ここで年収五年分で住宅供給ができるという、その政策の方向としてこういうものを活用していくべきだろう。都心に住宅ができるのは大変結構なことだと思いますが、それができないのは地価が高過ぎるからであります。その地価が高過ぎるという点では、今、高い地価のために逆に有効利用が進まないわけでございまして、最終的にはアフォーダブル、使える水準になってこそ初めて使えるというふうに私は思います。
 この買収に当たっては、やはり今のような後ろ向きの方法ではなくて、ゼロクーポン債というのは要するに金利ゼロでもって買えるということでございます。金利ゼロで買いますれば、これは公団債とか開銀債とか債券でもって買えば、金利ゼロであればかなり長期で有効利用の計画はできると思いますね。その上に財投資金を投入するなりして住宅を建設したらいいじゃないか。そうしますと、今度は金融機関に金利が入ってきません。現在でも、実は金融機関は元本どころか金利も入ってこない状況でございますから、いずれにしても、これはほっておけばますます事態は悪くなるのです。最小限、ゼロクーポン債で買えば、金融機関にとっては元本だけは返ってくるわけでございます。
 こういうことで、公共が土地を確保できれば、これは、あとは公共がその目的に従って年収五年分で提供できる住宅を供給するなら、そこに財投資金を入れて公営住宅をつくってもいいでしょうし、公団住宅をつくってもいいと思うのですね。有効利用の手だては何ぼでもあると思います。
 地上げした土地は最もいいところにあるわけでございます。それはなぜ使えないかといえば、高いから使えないわけでございます。それで、不整形だから使えないわけでございます。高い地価を合理的な水準に戻し、不整形な土地を整形にし、有効利用を進め、都心に住宅をつくっていくということが物の本質的な解決になるというふうに理解しております。現在の状況では、それが時間稼ぎで先に先に延ばされて、負債をどんどん大きくしていって、ますますそういうことをやりにくくしているという状況でございますので、ぜひこのあたりは、いろいろな形があると思いますが、公的な介入をせざるを得ないし、しなければ解決できないというふうに私は理解をしております。
 以上でございます。
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村井仁#11
○村井委員 さらにお尋ねいたしますけれども、私は今のお話をお伺いしておりまして、一番問題といいますか、難しいのじゃなかろうかと思いますのは、ここでは、地上げをされた土地が虫食い、不整形、高地価、非採算、こう幾つか並べておられますが、それで使いにくい形になっておる。それは、近隣との権利関係の調整などが大変難しい。それこそ、あのブームの時代に商売を目当てにして一生懸命やってなお難しかった、こういう土地だと思うのでございますね。それを果たして公的機関がやるというと、どういう形でできるのでしょうか。私、そのあたり、ぜひ御専門の長谷川先生の御高見をお伺いしたいわけでございます。
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長谷川徳之輔#12
○長谷川参考人 私はかねてから、地上げというのは公共の仕事だと思っておりまして、都市計画法というのはまさに地上げの法律でございますし、都市再開発法も地上げの法律でございます。言葉の表現は憩うございますが、土地をまとめて有効利用するという法律でございます。
 この法律の執行というのは、これは現在では公的機関もしくは組合等の公的なものに限られておりますが、こういう機関が出ざるを得ないと思うのでございます。むしろ、今のまま民間が虫食い状況の土地を処理するという方がはるかに難しい。公的機関であれば、区画整理法なり、これは新しい法律が要るかどうかわかりませんが、交換分合するなり、あるいは区画整理をするなりして集約することも可能だと思います。新しい制度が場合によっては要るかと思いますが、虫食い地を買収し、あるいは虫食い地を整理して整形な土地に直していくということは、これは本来、区画整理の本当に重要な機能でございますし、こういう機能を従来の区画整理にプラスして、加えて、都なり公団なりが実施していくということにするというか、それ以外に方法はないというふうに理解しております。
 民間に任せていく方が、実は、はるかに事態は、先行き不整形の土地がそのままずっと長い間そういう状況になってしまうということでございまして、これは選択として、公共団体が区画整理法あるいは新しい制度をつくるなりして、不良資産の処理をするための特別な立法でもして実施するということだろうと思います。
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村井仁#13
○村井委員 確かに、公的な機関がやるべきことだということはわかるのでございますけれども、今の法律でございますと、強制力において少し弱いところがあるのではなかろうか。さらに言えば、先ほどこれは稲本先生からのお話にあったことでございますが、あくまで、自分の土地の上に自分の建物を建てるのは自由だという観念はなお強いわけでございますから、幾ら土地基本法が変わったからといって、実際に裁判の場で所有者の権利というものが認められてきたという実績があり、あるいは裁判の遅延というものがありますと、法律上認められた強制執行権というものが、なかなかそのとおり動いていない。これは公的事業の推進においても、我々しばしば経験していることであるわけでありますが、今先生の御提案のような場合、その辺のところで補強をすべきポイントというのが法律面であるのではないか。そのあたり、さらに敷衍していただけませんでしょうか。
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長谷川徳之輔#14
○長谷川参考人 私も、都市再開発法あるいは区画整理法、いろいろな仕組みがあると思います。土地収用法もございます。住宅のために強制収用する方法もあると思います。
 しかし、現実問題として、実はこれはやらないということでございまして、長い間やらないということでこれが来てしまった。我々は、そういう強制的なものを使うことについて、これは公権力の問題だとかいって、それを言ってみればよくないことだというふうに理解をしてしまったと思います。実はこの考え方が大変都市再開発をおくらせるし、それから、こね得の風潮をつくるし、個人が土地に執着する風潮をつくってきたわけでございます。
 こういう機会に、実はそういう地上げも大事だ、最終的には地上げを完結させて土地を有効利用するということが大事だという認識を市民に持たせるということが一番肝心だと私は思います。決して法律を執行することがいわば悪代官というふうな、そういうイメージを払拭することが一番肝心かと思います。
 私も長い間こういうものを見てきましたが、公的機関の方はやりたがらないということは、実は世論がそれを支持しないからだと思います。私は、アメリカやヨーロッパのように、都市再開発、公共用地の収用等についてはもう少しドライに考えて、大事なことをまず優先し、それから問題等は裁判所で争う、こういうふうなものにすべきでしょうし、これを契機にそういうふうな風潮が醸成され、制度が改革されることを期待するわけであります。
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村井仁#15
○村井委員 さらにお尋ねしたいと存じますのは、そのようにしてこの不良資産の流動化が行われて、公権力が介入して有効利用を図ろうとする土地でございますね。どちらかといえば、いわゆる三大都市圏の中心部、そこになると思うのでございますが、このあたりの担うべき機能といいますか、どういう使い方をするべきであると長谷川先生はお考えか。
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長谷川徳之輔#16
○長谷川参考人 ただいまの、実はオフィスビルの問題が一つあると思いますが、私の見通しで
も、オフィスビルについてはかなりのオーバービルディングになっておりますし、これが将来の経済成長で償却するには相当の時間がかかるというふうに見ております。もともと、都心に住宅がなくなったことが不思議でございます。オフィスビルのために都心から居住者を追い出して、その後もオフィスビルができないというのは何とも間尺に合わない話でございます。東京の二十三区部、あるいは東京の山手線の中でも、居住条件を改善して、当然人が住めるべきものでいいわけであります。
 私も渋谷の近くに住んでおりますが、人が住んで一向に構わない。ですから、商業ビルの上に住宅を附置するなりして、公営住宅でも公団住宅でもおつくりになったらいいのだろうと思います。商業地で買収したものをビルにつくる必要だけではございませんで、むしろ積極的にそういうところを住宅地にして、職住接近で安い住宅が供給できるような対策を講じていくべきが本来の行政の目的かと存じます。
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村井仁#17
○村井委員 大変示唆に富むお話をお伺いしているわけでございますが、もう一点だけ、大変細かい点になりまして申しわけございませんが、ゼロクーポン債で、元本で、元本は保証されるというようなお話がございました。これは、元本割れといってはなんでございますけれども、金融機関が確保している債権より当然相当低いところで、担保価値が既に下がっているわけでございますから、相当低いところで債権化される、要するに流動化されるということになるんだろうと思うのでございますが、ですから、金融機関の損失というのは単に金利の分だけではなくて、当然のことながらその減価の分がずばり出てくる、これは当然だと理解します。この点もそれでよろしゅうございますね。
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長谷川徳之輔#18
○長谷川参考人 簿価でそのまま買い取りますと、これは金融機関の救済になろうかと思います。むしろ、市場価格と申しますか、私は、できれば入札みたいなことをしたらいい、いわば、条件を全部オープンにして、各金融機関が全部持ち込んで、その持ち込んだ中で、公平にというか、条件のいいものから逐次購入していく、そういうガラス張りの状況にしたら、価格も形成されるし、それから競争条件も確保されると思います。その場合に、確かに今のバブルの崩壊の後、金融機関の損失は大きいと思います。金利も入ってこない、それから元本割れするということになれば、当然損失が出ますが、その損失を一時に償却しないで、ここに書きましたように十年とか二十年の分割償却していくということを認め、税法上の特例をこうむれば、金融機関の一時的な償却の困難性はなくなるわけでございますから、やはりここのところは少し時間稼ぎをしたらどうか、損の償却は時間稼ぎしたらどうか、使う方は早く使ったらどうかというのが私の提案でございます。
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村井仁#19
○村井委員 最後にもう一点だけお伺いしたいわけでございますが、市街化区域農地の宅地化につきまして、これは大変大きな供給のソースになる、その具体的なプログラムを早く整備するべきである、こういう御示唆がございました。これに関連しまして、宅地並み課税で得た税収を基金化するという御示唆がございましたが、この基金化というのは、私ちょっとよく理解できないのでございますが、このあたり、先生、少し御説明いただけませんか。
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長谷川徳之輔#20
○長谷川参考人 宅地並み課税というのは、これはもともと税収の増収になります。どのくらい増収になるかというのは、これは行政しかわからないわけでございますが、少なくとも東京都の管内で宅地並み課税をしないために減収になっている部分は八十億と私は理解しております。そうすると、三万五千ヘクタールの宅地化が進みますと、少なくとも二百億ないし三百億の財政収入は確保できるはずだと思います。それを特別会計にする必要はございませんが、それをもう一度戻して宅地並み課税を徴収したところの宅地化に使っていく、いわば一段戻って、行政を通じてそのお金が戻ってインフラ整備に回っていきますから、結果的にそれは、言ってみれば市街化区域農地の負担で実は宅地化をしたと同じことになります。
 そういう意味で、基金化をするということでなくて、そういうものを目的的に利用してプログラムをつくっていくということで、資金の見通しが立てられれば市街化農地のプログラムも絵そらごとにならないだろう。やはり、これから自治体がいろいろ市街化農地のプログラムをつくると思うのですが、そのときにしっかりした財政的なバックをしてそういうものをつくらせませんと、結局絵にかいたもちになってしまうというふうに思いまして、固定資産税、都市計画税、場合によっては相続税でもいいと思いますが、そういったものを目的的に使ってほしいということでございます。
 基金化というのは、これは仕組みだけでございまして、別に基金化する必要はございませんで、目的に使えればそれで結構だと思います。
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村井仁#21
○村井委員 どうもありがとうございました。大変将来の土地対策を、現在の非常に難しい状況に照らしまして御示唆に富む御見解を承りました。心から御礼を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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玉城栄一#22
○玉城委員長 和田貞夫君。
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和田貞夫#23
○和田(貞)委員 参考人の先生方、御苦労さんでございます。限られた時間でございますので、一、二の点をお伺いしたいと思うわけでございます。
 まず稲本先生にお尋ねしたいと思いますが、先生、一点の点で三つの土地の所有者の意識をお話しいただいたのですが、それとともに四番目にうたわれている、従来公共事業を行うことによって、特に道路の問題ですが、道路の買収を受けた者が損をして、そして残って道路にかぶりついた土地が、残った者が得をした、こういう意識が、もう長い間の公共事業の推進の中で非常に不公平な意識を持っておられるわけですね。そういうことでございますので、これからの公共事業というのは画一的にいかないと思いますが、ぜひとも、土地はみんなのものだという意識を高めるためにも、土地区画整理の意識ですね、土地区画整理によって公共用地を取得していく、道路用地を取得していく、公園用地を取得していく、公共事業の基本をそこに据えていくことが必要じゃないのかなという気がするわけでございますが、どんなものでしょう。
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稲本洋之助#24
○稲本参考人 公共事業のため特に道路を買収すると、買収を受けた者にとってよりもその周辺の者に大きな利益が発生をする、先ほど申しました開発利益の問題であろうと思います。しかし、先ほど開発利益の還元は大変難しいということを申しましたが、ある土地にどのくらいの利益が発生したかということを個別に確定していくことが大変難しい。そのため開発利益の還元の全体の仕組みというのはなかなか作動しないのでありますが、今和田委員のおっしゃいました土地区画整理事業の手法を大いに活用をして、そして買収されるその土地だけではなくそのあたり、やや広い土地の整備を含めて区画整理事業を行い、その中から、いわば公共減歩ということでございましょうけれども、道路用地を生み出していく、こういう考え方を推進すべきだと、まさにそれが重要なことだろうと私は思います。
 昨今ですと、どうも土地区画整理というのは郊外の、これから改めて社会資本整備をしようというようなところでまず道路をどのようにつけていくかということに今まで重点がありましたが、近年では再び都心、特に主要な駅の周辺などで割に住民の協力を得て行われるようになってきているように思います。そういう点では、土地区画整理制度をここで法律面も含めて再検討する時期を迎えているのではないだちうか。
 さらにあわせて、土地だけを区画し直して地権者に換地として与えるというだけではなくて、常にその土地はどのような上物とともに利用するかという計画を立てて、これは土地区画整理法に立体換地という制度がございますが、ああいう思想
をもっと一般化していく必要があるのではないだろうか。そのような中で、今和田委員がおっしゃいましたようなあるべき公共用地の確保の方法が具体化していくのではないかと私も思っております。
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和田貞夫#25
○和田(貞)委員 さらに稲本先生と長谷川先生にお尋ねしたいと思います。
 この区画整理事業を行うに当たって、その地域が仮に公共用地取得の目的がある地域であれば、公共団体あるいは国がいわゆる管理費なりあるいは負担金を出してこの事業を行うことができるわけですが、そういうものがない場合には、どうしても土地の所有者だけでこの区画整理をやらざるを得ない、こういう状況になるわけですね。そうすると、非常に難しい面が出てくるわけなのです。
 したがって、そういう場合でも、その地域に何分かの公共用地があれば公共団体もその一員として加入して誘導していく、指導していくというようなことが可能になってくるわけでございますので、そういうような場合に公共用地を取得して、そして公共団体がその区画整理事業に直接介入して指導していく、誘導していくというような方法は、何かお気づきの点があったらお二人の先生にひとつお伺いしたいと思います。
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稲本洋之助#26
○稲本参考人 それでは先にお答えさせていただきます。
 区画整理事業といいましても、今御指摘のようにお金の方の問題が非常に大きいのでありますが、他方幾つかの事業計画、事業をこれからやろうという萌芽段階での計画どお考えいただきたいのですけれども、その間でどのようにプライオリティーをつけていくかということも大問題でありまして、住民の意思がまとまったからやろうというだけでできるものではありません。
 私はこの点においては、先ほどちょっと申し上げましたが、公共事業の代替地の取得を一方では進め、ある一区画のまとまりのあるところで、しかしそこには公共用地がないところで区画整理事業を行わせるためにはそことの土地の、ある意味では交換分合ということになりましょうか、そのような手続も含めて、そしてさらに道路が何といっても基幹でありますからなるべくそういうものへの公共減歩に対して地権者の理解を得られるようなシステムを一方で開発をする。そのように何か公共的な部分と民有地の再整備という部分と両方の要素がうまくマッチしたものから、プライオリティーというのはそういうことでございますけれども、優先的に進めていくようなそういう仕組みを考える必要がありますし、そういう時期に来ているように私は思っております。
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長谷川徳之輔#27
○長谷川参考人 区画整理は大変長い歴史があると私は思いますし、公共用地をつくるための区画整理、これは多分震災復興とか戦災復興でおやりになった区画整理です。それから杉並とか世田谷でもって、今立派な住宅になっておるところを実施しました井荻とかああいうところの区画整理は、当時の組合の区画整理あるいは自治体が支援した組合の区画整理。両方とも実はもう数十年の歴史があるわけでございます。これから必要になるのは、多分公共用地の整備の事業よりも、むしろ宅地を有効に利用するとか、ちゃんとした宅地をつくるとかという事業だと思います。これは利益が地主さんに行くわけですから、基本的には地主さんの負担でやるのが筋だろうと思うのでございますが、それに対してはしかるべきファイナンスなりあるいは技術的支援なり計画的な支援なりあるいは経営なり、それをサポートする必要があると思います。
 それは幾つかの制度、私つまびらかではございませんが、行政としても幾つかの支援の体制はできているわけでございますし、住宅金融公庫の貸付金であるとか、あるいは公共用地の負担のお金とかまずできておると思いますが、それをいかに拡充していくかということだと思いますし、さらにいえば、区画整理をする計画的な、技術的な問題について自治体なり、国、県等がもう少し支援をする体制をつくるべきだと私は思います。支援にはノウハウとともにファイナンスがございます。そのファイナンスは、せっかく宅地並み課税を取っておるわけですから、それをファイナンスして区画整理を進められたらいいんではないかというふうに思います。
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和田貞夫#28
○和田(貞)委員 長谷川先生にお尋ねしますが、市街地農地の宅地化。これは道路に面した活用が直ちにできるような農地もあれば、古い集落があるでしょう、その古い集落の周辺の農地というのは小さな区画の部分が非常に多いわけなんです。しかもその農地に行くためには村の中を通って、リヤカーも通れぬ、そういういわば農道のない道というかあるいはあぜ道というか、そういうところを通っていかなければいかぬという市街化農地というのは私らの方ではたくさんあるのです。そこで、そういうような市街化の農地が、単に市街化農地といっても、それを直ちに市街化農地として活用するにもできないし、課税だけが宅地並みの税金をかけるということは余りにも酷なんですね。
 私はそういうことを指摘して、それこそその集落を含めて区画整理を公共団体なり国の方が資金的な援助をやって、そして区画整理をやって、農地も住宅に直ちに活用できるようなつくりかえをやっていくような方策を立てて、その事業をやった後に宅地並み課税をするならするということが必要じゃないかということを前に議論したことがあるわけなんです。しかし、そのようなことはやらないままに今来ておるわけでございまして、これを直ちに、その市街化農地を住宅に活用しようと思いましてもできないままに、どうにもこうにもならぬというような現況が残っているわけです。
 これに対して、せっかく市街化農地の税金を宅地並みに課税していこうとするようになったんですが、何とか生かすような方法を、これはもう区画整理しか私はないと思うんですが、そういうようなところではまさに公共事業を起こすというようなこともないし、それから公共用地を取得するというような目的もその中にはないし、公共団体の、農地でございますから用地が全くないしというようなことでございまして、これはもう公共団体なり市の方が、国の方がかなりの資金投下をやらないとこれは生かせないと思うんですが、そのようなことについて何か効果的な方策というのはあるでしょうか。
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長谷川徳之輔#29
○長谷川参考人 あればもう既に実行されていると思うんでございますが、実は私は東京の郊外を見てますと、中野区と杉並区というのは町が非常に違います。中野区の野方の駅の周辺は、駅をおりてからバスに乗るまでに相当の距離を歩かなきゃならない。道路はめちゃめちゃだし、自動車は入らないしというところでございます。一方、井荻の周辺から荻窪にかけては、大変整然とした町並みになっております。この二つの違いというのは、七十年前に区画整理をちゃんとしたか、それとも切り売りしたかの差でございます。井荻の区画整理というのは、実はあそこ一町全体について一千ヘクタールの区画整理を実施しております。実はそれが今の杉並の高級住宅地を形成しておるようでございます。
 その歴史的な過程を我々もう少し認識すれば、どういうふうなチョイスをするのが一番賢明かということはわかってくるはずだろうと思うんでございまして、私は区画整理というのは、今公共用地を取得しなくても、区画整理すること自体に実は公共性があると認識しております。そういう意味では、区画整理のプログラムをつくりましてそれにファイナンスをする、あるいは技術的支援をする、これは私は政策としてやっていいことでしょうし、井荻の区画整理のときにも東京府は技術的支援をいたしました。それから、しかるべきその必要な事務費等の経費を補助したはずでございます。七十年前でもそういうふうにしたわけですから、宅地並み課税によって税収が上がるときにそういうプログラムができないはずはないと思いますし、それは宅地開発、区画整理の公共性をもっと高く認識して、これにたとえ公共施設がな
くても公共性を付与すべきだというふうに理解いたします。
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