長谷川徳之輔の発言 (土地問題等に関する特別委員会)
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○長谷川参考人 建設経済研究所の長谷川でございます。
私の立場を最初から申し上げたいと思いますが、この土地問題、住宅問題についての見方について、私は職業あるいは立場の見方で随分変わってくると思います。おおむねの議論は、実は会社というかビジネスにとっての視点でございます。会社にとって損か得かというのが判断のベースになります。私はそれではいけないかと思います。やはり住宅土地政策というのは国民の生活の質を上げる視点でございますから、最終的には国民の生活というか消費者というか、そういう視点でもって論議すべきだというふうに思いますが、まあ残念ながら世の中の論議というのは専らビジネス、経済、会社にとって損か得かという点が論議になっているというのは私は大変まずいかと存じ上げます。
私の立場は以上でございますが、数点についてその政策的なお話を申し上げたいと思います。
まず、地価の動向については今、泉参考人からお話がございましたが、私の方は細かく御説明しませんが、七ページをごらんいただきたいと思います。
私のペーパー「バブル後の土地政策」ということでございますが、七ページでございますが、この図の示すとおり、実は昭和六十年を境として、地価に構造的変化が起こっているという点をまず私たちは認識しなければいけないだろうと思います。この図は非常に単純な図でございまして、上の線が六大都市の市街地の地価の指数でございます。下の線が名目のGNPでございます。昭和三十年から昭和六十年まで三十年間で地価は五十六倍に上昇しました。GNPは三十七・七倍に上昇しました。この間、地価の上昇も非常に激しかったわけでございますが、高度経済成長の中で経済がそれに追いついていったということがございました。ですから、ある時点の地価は何年かするとGNPがキャンセルしてくれるということで、地価はGNPが必ず払ってくれるという一種の土地神話が生まれたベースになっておりました。
しかしながら、これは六十年以降構造変化を起こしております。六十年から平成三年まで地価は五十六二倍から百七十二・二倍に上昇しました。ほぼ三倍に、この問わずかの間に三倍に上昇しました。しかしながら、GNPは三十七・七倍から五十三・五倍、一・四倍に近い上昇をしておりましたが、地価とGNPの間に大きな開差ができました。この開差を埋めるには一体がつてのように短い時間でこの開差が埋まるかというと、そうはまいりません。で、百七十二・二というそのピークでもって横ばいになったとしまして、この五十三・五のGNPが四%程度の成長でこれに追いつくのに何年かかるかと申し上げますれば、単純に計算すれば二十五年かかるわけでございます。二〇一五年にならないと実はGNPは地価水準に追いつかないわけでございます。
したがって、実は今バブルの崩壊によって地価の方がGNPに接近するという状況にならざるを得ないということで、バブルは崩壊しているわけでありますので、ソフトランディングというのは、実はこのGNPの成長を待つということでございますが、ソフトランディングを待っておったんでは経済も生活も回復しないということをまず私たちは認識すべきだろうと思います。こういう構造変化を認識すべきでございますが、現在の政策はこの構造変化については目をつぶりまして六十年以前の段階での状況を考えておりまして、時間が物を解決する、こういうふうに思っている政策が多うございます。それでは私は不況あるいはこういう状況、不動産不況というのは長引くだけだというふうに認識しております。
さて、お手元のレジュメでございますが、そういう構造変化の中で、私はこれからの地価というのは、土地神話が崩壊し、経済と地価が均衡した、収益に応じた地価が形成されるというごく当たり前の経済に持っていくんだというふうに思っております。こういう構造変化の中で私たちはどういう視点で土地問題を見るべきかという点については、私はその土地政策の目標というのは個人の生活の質の向上、住宅と住環境の改善、これに尽きるというふうに思います。
しかしながら、昨今のバブル崩壊に伴う後遺症の厳しさから、最近ミニバブルを起こしたいとか、あるいは今の地価を何とか底支えしたいという空気がないわけではございません。その場合に、経済か生活か、あるいは景気か土地かという選択を迫られますが、しかし、それは私は誤りだと思います。やはり経済も、それから生活もでありましょうし、景気も地価も同時に解決すべきだろうし、本質的には、土地問題の解決なくして経済の解決もあり得ないと思います。それから、生活の改善なくして景気の回復もあり得ないと思います。その二者択一を迫るというのは、大変私は近視眼的だというふうに思っております。
土地政策についても、私は今回の地価高騰に絡めて土地政策はかなり進んだというふうに思っております。土地政策というのは御案内のとおり、
総合性、整合性が必要でございますが、それはやっぱり短期、中期、長期に位置づけられた政策が総合的に連動して行われる。そういう意味で、一年か二年の短期では監視区域の設定あるいは不動産金融による緊急で避難的な公的介入、こういうことで仮需を抑制という点が私は求められると思いますし、これは今回の対策では一応の役割を果たしたと思います。そういう意味では、監視区域あるいは不動産金融についての機能は一応終了した。それから中期的には二年から五年の間だと思いますが、土地税制、土地制度の枠組みをつくることでございますので、今回の土地税制の改革で、実は大きな枠組みができました。土地の資産としての有利性を縮減して有効利用を促進するという枠組みができました。これは今後着実に実行していくべきものだと思います。
それから、五年以上の長期にわたる政策として都市計画、それから住宅宅地の計画的供給がございます。こういう長期にわたる計画が一遍にできるわけがございません。一つのニュータウンをつくるのに三十年はかかるわけでございまして、供給対策というのは短期的な視点じゃなくて長期的な視点で計画的に行っておくべきだと思いますし、今まさにその時期だと思っております。
さて、個別の話でございますが、土地税制につきまして申し上げます。
地価税の問題が論議されております。これについてやめろという意見もあるし、やれという意見もございます。世の中のおおむねの意見は地価税について批判的な意見が多うございます。しかし私は、地価税というのは土地税制の改革の象徴的な存在でございますし、それから土地の資産としての有利性を縮減し、有効利用を促進するという点については極めて大きな機能を果たしていると思います。
最も大きな機能は、実はこれは非常に皮肉な話でございますが、地価が一元化された、地価公示の一定程度内に課税標準が一定になったということで、これが言ってみればバブルに課税をしてバブルを消すという機能を果たしております。もともと今の地価水準そのものは投機等によって成立しましたバブルによって成立した地価でございますから、これが課税標準として課税されれば、これに対して収益では払えません。収益で払えなければ結果的に実は収益で払う水準に下がらざるを得ないということになると思います。その機能は企業に対しては地価税が、個人に対しては相続税が果たしておるわけでございます。確かに苛斂誅求な課税だと思います。苛斂誅求な課税だからこそ、地価が下がらなければ問題は解決しないということを意味しております。〇・二%程度の、あるいはことしから〇・三%でございますが、課税でもって企業が払えないというのはいかに実は土地の収益性がないか、地価が高過ぎるかということを証明しているわけであります。
これからは地価税の問題いろいろ論議があると思いますが、これは私の理解では固定資産税の改革が進むまでのつなぎ役だと思っておりますが、一日も早く固定資産税が適切に評価され、評価が公開され、この地価税の機能が固定資産税にバトンタッチされていくということが必要だと思いますが、当面のところ、固定資産税の機能からしますと地価税がその代役を果たさざるを得ないというふうに考えております。なおまた、地価税は、これは資産、消費、所得の均衡を図るという意味での税制改革の大きな課題がございますので、減税財源等に充てるべき筋合いだろうと思っております。
それから、不良資産の問題でございます。私はこの不良資産の流動化、有効利用がなくして資産デフレ、ローンデフレの解決はあり得ないというふうに思います。不良資産の額、どのくらいかわかりませんが、銀行が公表しない限りわかりませんが、不良在庫は百兆から百五十兆でしょう。不良債権というのは、大蔵省の発表では十二兆から、回収不能で四兆円、こう言われております。百兆円の規模としますと、これは九州全土の宅地資産に相当します。百兆円と申しますと、一戸四千万円のマンションで半分が土地代としまして、この百兆円の在庫を処理しようと思えば五百万戸の住宅を売らなければ回収できない巨大な在庫でございます。この在庫についてこのまま放置しておけば私は虫食い、不整形、高地価、非採算性、こういうことで、使えずにほっておけば腐ってしまうというふうに思います。これが流動化され、有効利用することが最も実は土地政策の解決にとって重要なことだと思いますが、残念ながらこの点については今の政策は大変後ろ向きだ。地価の低落を下支えしたいあるいは帳簿づらだけ整理をしたいということで共同債権買取機構ができておりますが、これ自体は大変私は後ろ向きだと思います。
さらに積極的に、私はこの有効利用のために何らかの形で公的介入をせざるを得ないだろうというふうに思います。いろいろ提案ございますが、ゼロクーポン債のようなもので買い取り、財政資金の投入によって有効利用を図っていく、金融機関の損失は長期で分割償却する、こういう対応が必要だと思います。
五番目の住宅宅地の計画的な供給については、これまで年収の五年分で大半を土地代に使っておりました。これを、これからは、よりたくさん建築費に使う、建築効果をふやす方に使うのが筋だと思いますね。従来は、四千万円の住宅をつくれば二千五百万円を土地代に使い、一千五百万円を建築費に使っておりました。これからは土地代を一千五百万円にし、建築費を二千五百万円にすれば付加価値は倍になりますし、それから、需要の喚起が行われます。
こういう、年収五年分という水準をよく目標として設定し、これが単に住宅取得の能力を示すだけではなくて、一つの政策目標として地価水準の、言ってみれば望ましい水準としてこれを活用していくということが必要だと思います。
次に、優良の賃貸住宅事業の推進がこれから行われますが、私は、これは大変いいことだと思います。賃貸住宅が余りにも従来無視されておったというか、政策的に軽視されておったと思いますね。これについて、やはり地価を反映させないという意味でも、優良賃貸住宅事業を進めてほしいと思います。
それから最後に、市街化区域農地の問題でございますが、これは三万五千ヘクタールの市街化農地、これが供給に向かうことは大変な供給圧力になります。そして、物の解決、土地住宅問題の解決に大きく資すると思いますが、残念ながら絵ばかりかきますが、どうやって具体的に促進するという財源問題とか体制とかというものがまだ十分見えておりません。
お願いでございますが、宅地並み課税というのは税収が上がるわけでございますので、その上がった税収、固定資産税あるいは相続税というものを、あるいは地価税も含めまして、こういったものを基金化しましてインフラへ投入し、宅地開発を進めていくということがこの宅地並み課税の最も大きな目標でございましょうし、全体の趣旨に合うというように理解いたします。
時間がないものですから私の話は、一応今のところでございますが、後ほどまた御質問がございますれば数字等のお話を申し上げたいと思います。以上でございます。