嶋崎譲の発言 (予算委員会)
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○嶋崎委員 それで、これは僕は大問題だと思えます。平和維持活動の世界の経験に基づいて、停戦監視要員というのはどんな人間を配置するか、大臣、御存じですか。停戦監視団員の資質と特性というのは、日本のかつての軍隊と同じで、最強精鋭の人たちでなければいかぬのですよ。
ちょっと要件を言いましょうか。軍事監視団員に求められる資質は次のとおり。御存じでしょう。すごいんですよ。もう他の国籍の将校と行動できる順応性から始まって、積極性、協調性、信頼性、耐久力、情熱、情報力、すぐれた人が配置されるんです。ですから、自衛隊の中の恐らく最高エリートでしょうね。その人たちがやっている情報活動というのは、ここでポル・ポト派の動きがどうなっておるか情報を全部つかんで報告するわけですよ。それは田村さんからお聞きしました。
さあ、これは凍結、我が国の言う軍事的活動の一環にならないか。個人だからないといっても、身分は二つであっても、やめて個人で行ったのならいざ知らず、日本の自衛隊の中から選ばれた人が個人の意思で行ったんでしょう、個人参加ですから。しかし、その論理、そういう理屈が通用するかどうか。これは問題点の一つだと思う。私はできぬと思います。これは今後の検討課題の一つ。
次に、そこで問題になるのは、先ほどの委任の問題と、これからコマンドとの関係等々の問題になるのです。
昨年の国会では、あのPKO国会では、先ほども委員の御質問がありましたけれども、国連の指図に基づいて我が国は独自な指揮権があると主張してきた。我が国の指揮権を発動する際には、PKO法に基づいて、必要なときに、状況変化、武装解除が行われない危険な地域にいたときには、休止、中断、時には撤収ということを日本の判断でできることになっていた。ところが、現地でやっている仕事は、委任された仕事が、隊員に委任された仕事の業務が、どうもUNTACの指図による業務の中身であって、我が国の指揮権の中で位置づけられている業務ではない。これはもう実態調査をして明々白々なんです。
そうなると、我が国のいわゆる独自な指揮権という総理の指揮権は今日の状況で通用しないのではないでしょうかというのが、私が記者会見のときに、今のPKO法を前提にして本来できるとおっしゃっていた政府側の答弁が、実際には現地に行ってみると、違った指揮のもとで、違った与えられた業務以上のことをやらされているのに、こっちで判断して引き揚げるんだと言ってみたって現実はできなくなっていると言うたら、僕は撤収反対の政治家であるかのごとくうちの内部でも批判されましたけれども、まあそんなのはどうでもいい。
僕がここで問題にしていることは、国会で議論してきた我が国の指揮権とそれから指図との間がうまくいく場合はいいが、問題の停戦合意並びにその後の武装解除が進行しない過程において、ついにここで議論されていたことは観念論になっちゃったと断定せざるを得ないというのが私の現地調査の結論です。
その意味でもう一度、この指図、コマンド並びに我が国の指揮権というものを国際協力という中で検討してみる必要がある。
ここで本当は時間があれば、柳井さんが村田大臣の後に行かれて、そして調査されて、いろいろな要望を出している。さっき聞きました。しかし、要望は出したが、どんな結果になるか。例えば、一番大事なのは文民警察の再配置なんです。再配置は、私は明石さんと話してきましたが、それは日本だけそんな判断をするわけにまいりませんと言っていますよ。だから、指揮権はないのです。そういう意味の指揮権はないのです。その意味で、国会でのこの議論は改めて見直しの際に議論し直さなければならぬ、これが次の課題。与えられた時間、あと五分ですから、ポイントは二重の指揮権というふうに要約しておきましょう。
そして、我が国の要領の変更に当たっての手続と、現地の文民警察や派遣された人たちの任務の変更がどのような手続で、どのような判断でもって行われたか、これを今後議論の焦点にしていかなければならぬというのが現地調査の判断です。
さてそこで、今度は少し政府に頑張ってもらうお話をしましょう。
今度の選挙終わりますね。これは何とかして、今順調にいくような気が僕もしました。そして、結果、選挙が終わって三カ月です、次の勝負は、制憲議会ですから。制憲議会があって新政府ができる。そのときに、選挙にはポル・ポト派は参加していない。その意味で、UNTACから見れば、これを排除して政権つくったって構わないという民主主義の論理が一方にあります。
ところが他方では、第二段階以降の停戦合意ができないままカンボジアの情勢が進行したために、UNTACと現地の動向との間に矛盾があらわれていて、SNCに残っているポル・ポトが選挙に参加してないという矛盾になっている。
さて、ここだ。そうすると、SNCを基礎にして次の政府を考える場合の民族統一、和解という政治の問題と、それから選挙の結果を尊重するという民主主義の問題、これが現地カンボジアでは車の両輪のごとく課題になるという判断をして、我が国の対応を考えていく必要があるというのが私の判断です。
そこで大事なのは、UNTACに最初物すごく期待を持っていました。UNTACには物すごいメリットもあって、選挙ができました。プラスはあります。デメリットは何かというと、UNTACのおかげでインフレが進みました。カンボジア人民は一日に三十ドル、四十ドルの生活です。UNTACの人たちは、日本の文民警察その他見たって、二千ドル、三千ドルの報酬でしょう。こんな格差。UNTACに働いているカンボジア人は二百ドル、四百ドル、七百ドルもらうのです。何と生活の格差がすごいことか。家賃の値段が高騰したというような状況です。そのために、UNTACが果たしたメリットに対して、カンボジア人民からすると非常なデメリットがぎりぎり来ている。だから、選挙が終わったら早う引き揚げざるを得ない、そういう事態に僕はなり得ると思います。
そこで大事なことは何か。今のカンボジア人民の貧困と、それから非常に厳しい生活条件に対して緊急に我が国としてやるべきこと、UNTACを通じて何をしたらいいか。選挙後三カ月間が一つの勝負。これは緊急援助です。そしてUNTACの任務が終わってポストUNTAC、次の段階へ来ますと、国連のプレステージをもらって何かの形で継続することになると明石さんは言っています。なるかもしれない。しかし、その段階でいよいよ宮澤総理の出番になるわけ。我が国が議長を務めております例のICORCの役割が前に出てくるわけですね。
そこで、いよいよ中長期の経済再建について我が国が何をやるか。これは選挙が終わった段階で、我が国は国際的に働きかけてでも夢をカンボジア人に僕は与えなければいかぬと思う。そういう課題を背負ってポストUNTAC問題というものを 今のような一面正常なような選挙だが、カンボジア人民から見ると不正常に見える。野党はもう全部選挙延期と言っているのですから、最後まで。参加しているけれども延期と言っているのですよ。そして、民族和解と言っているのです。与党のCPPだけですよ、力でやっちまうというのは。
そんな状況と、カンボジアの民族統一の新たな課題に向けて、私たちは、SNCの一員であることを我が国は重要視してきているわけですから、それを頭に置いて今後我が国の外交を展開すべきであるということを調査の結果強く感じましたので、今後の皆さんの課題にさせていただきたいと存じます。
あと一問だけ。
さて、ガリさんの、事務総長の提案、新たな去年の一月以来の提案の中で、既に本会議で私の質問に対して総理は、強制、つまり戦うPKO部分といいますか、執行部隊、これは我が国の憲法では、討議に参加しても、我が国の憲法上許されない、こう言いましたね。
そこでもう一度、ガリ事務総長が提案した予備的段階、それから平和創造の段階、その後に今度は開発計画というその三段階全体の中で、我が国が平和憲法のもとで協力できる部分とそうでない部分を明確に仕分けして、そして世界に向けて日本の、私たちの言う非軍事・民生・文民という主張が、たくさんやらなければいかぬことがあります。だからそういう意味で、その主張とともに、問題を整理し直す時期に来ている。特にカンボジアの経験は、モザンビークよりもっと事態は複雑です。それだけにこの経験を生かして我が国の外交をどう展開するかということについての総理の感想を最後にお聞きしまして、質問を終わります。