弥富啓之助の発言 (内閣委員会)

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○説明員(弥富啓之助君) 人事院は、去る八月三日、国会と内閣に対し、公務員の給与、勤務時間等に関する報告及び給与に関する勧告を提出いたしました。本日、その内容について御説明申し上げる機会が与えられましたことを厚く御礼申し上げます。
 以下、その概要を御説明いたします。
 初めに、職員の給与に関する報告及び勧告の内容について御説明いたします。
 公務員の給与の改定に当たりましては、人事院は、従来から社会経済情勢全般の動向を踏まえつつ、公務員の給与を民間給与に均衡させることを基本として臨んでまいりました。本年も、公務員給与に関する判断材料を得るため、民間企業の給与を的確に把握するとともに、厳しい経営環境のもとにおける企業の対応についても調査を行い、また、広く各界から御意見を拝聴し、これらをさまざまな角度から検討いたしました。
 本年の調査結果によりますと、民間企業の給与の伸びは厳しい経済環境を反映し昨年のそれを下回っているものの、なお官民の給与の間には相当の較差か生じていることが認められました。これを踏まえ、諸事情をも総合的に勘案した結果、本年も、職員の給与について所要の改定を行うことが必要であると認め、勧告をいたしました。
 本年四月時点における官民相互の給与を比較したところ、民間給与が公務員給与を一人当たり平均六千二百八十六円、率で一・九二%上回っており、この六千二百八十六円を給与改善原資として俸給の改善に五千五百三十八円、諸手当の改善に七百四十八円配分いたしました。
 改定の内容につきまして順次御説明をいたしますと、まず、俸給表については、中堅層職員の改善に重点を置きつつ、全俸給表にわたって改定を行うこととしております。なお改定に当たっては、昨年に引き続いて看護婦の処遇改善に配慮するとともに、これまで同様、刑務官、少年院教官、若手研究員等に配慮しております。
 次に、手当につきましては、扶養手当について、民間の支給状況や高校生、大学生等の子を扶養する職員の家計負担の実情等を考慮し、配偶者以外の扶養親族のうち三人目以下の支給月額を引き上げるとともに、満十六歳の年度初めから満二十二歳の年度末までの子に対して新たに加算措置を講ずることとしております。また、住居手当について所要の改善を行うほか、単身赴任手当について遠距離赴任者の費用負担の実情を、初任給調整手当については離島・僻地等に勤務する医師の実情等を、それぞれ考慮し、所要の改善を行うこととしております。
 また、期末・勤勉手当については、本年四月までの一年間における民間の賞与等特別給の支給割合との均衡を図るため、支給月数を引き下げることとしております。これは、昭和五十三年以来十五年ぶりのことであります。
 なお、超過勤務手当及び休日給については、労働基準法の改正に対応した所要の改正を行うこととしております。
 このほか、民間における中途採用者の賃金動向、公務における多様な人材の確保の必要性等を考慮して、中途採用者の初任給決定方法を改正することとしております。
 実施時期につきましては、本年四月一日からとしておりますが、超過勤務手当及び休日給に関する改正並びに中途採用者の初任給決定方法の改正については平成六年四月からとしております。
 次に、職員の勤務時間等の報告の内容について御説明いたします。
 昨年五月より、完全週休二日制が実施されたところでございますが、完全週休二日制実施後の勤務時間・休暇制度の方向に関して、本年の報告におきましては、第一に、総実勤務時間の短縮の一環として、週四十時間勤務制の原則を法律上明らかにすること、第二に、土曜日、日曜日等の週休日に勤務した場合に既に措置されている代休制度を、祝日や年末年始の休日に勤務した場合にも導入する必要があること、第三に、高齢化の進展、核家族化等により家族による介護が求められる場面が多くなってきていること、これに対応して、民間企業における介護休暇制度の普及の伸びが著しいこと等を総合勘案し、介護休暇を新設することなどを表明しております。
 これらに関しましては、昨年の勤務時間等に関する法制の体系的な整備についての報告の趣旨をも踏まえ、別途、立法措置について、国会及び内閣に意見の申し出を行うことといたしております。
 次に、公務における高齢対策の報告の内容について御説明いたします。
 来るべき本格的な高齢社会を明るく活力のあるものとするために、官民を問わず、六十歳代前半層の雇用を促進していくことが求められております。
 このような状況のもとで、公務における六十歳代前半層の雇用のための方策として、現行六十歳定年年齢は維持しつつ新たな再任用の仕組みを導入すること、短時間勤務の仕組みをも検討することが適当であるという考えを表明しております。また、公務の高齢対策は、雇用と年金の適切な連携という視点を踏まえて進めるべきことにも言及しております。
 ところで、行政環境が大きく変化する中で、公務員が省庁の枠や既存の慣行にとらわれない柔軟な発想を持って行政課題に対応することが重要になっています。幅広い視野、豊かな国際感覚などを備えた人材を育成するため、人事院は、全省庁職員を対象とする合同研修の一層の充実を図っていく所存であります。また、公務員が多様な経験を重ねるよう、省庁間その他の人事交流を促進していく必要性についても触れております。
 人事院は、本年も勧告に向けて、公務員の勤務条件に関し、中央地方を通じて、広く各界から意見を聴取しました。表明されたところによりますと、公務員給与を民間給与に準拠して決定する方式は既に定着したものであって、公務に有為で多様な人材を確保するためにもこの方式のもとで給与を始めとする勤務条件の改善を進める必要があるとする意見が大勢を占めております。同時に、これまで以上に職務や能力に応じた処遇を推進していく必要があるとの指摘や、中途採用、人事交流等の促進により組織を活性化すべきであるとの意見も見られました。
 以上、給与、勤務時間等に関する報告及び給与に関する勧告の概要を御説明申し上げました。
 人事院勧告は、申し上げるまでもなく、公務員が労働基本権の制約を受け、みずからの勤務条件の決定に直接参加できる立場にないことの代償措置として行われるものであり、公務員にとってほとんど唯一の勤務条件改善の機会となっております。
 人事院といたしましては、職員を適正に処遇することが、その士気の高揚を図り、職場の労使関係の安定に寄与するとともに、公務が必要とする有為な人材の確保を可能にし、将来にわたって国の行政運営の安定を図るために必須の条件であるものと考えます。
 内閣委員会の皆様におかれましては、人事院勧告制度が果たしている役割、職員が真摯に職務に精励している実情、さらには、給与勧告の内容が情勢適応の原則に従い一般職国家公務員の給与を民間給与の水準に追いつかせるものであることに深い御理解を賜り、この勧告のとおり速やかに実施していただきますよう衷心よりお願い申し上げる次第でございます。

発言情報

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発言者: 弥富啓之助

speaker_id: 6182

日付: 1993-09-16

院: 参議院

会議名: 内閣委員会