芳賀一太の発言 (政治改革に関する調査特別委員会)

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○芳賀一太君 福島県の芳賀一太でございます。
 最後に意見を述べさせていただきますが、まず最初に、地方の声を聞くこういう機会をつくっていただいたことに、心から感謝を申し上げたいと思います。
 それぞれの立場から今意見が述べられたわけでありますけれども、いろいろ重複する点もございますが、私なりの立場で意見を申し上げたいと思います。
 まず、その前に、私は昭和四十年代から五十年代の初めまで、自民党の代議士の秘書として国会で約十年ほど働かせていただきました。また、地方の県会に出させていただいて三期十一年目になったわけでありますが、そういうみずからの体験を踏まえながら意見を述べたいと思います。
 代議士の秘書をしておりましたときには、福島県の二区は定数五人に自民党が五人当選をしておった時代でありまして、中選挙区のすさまじい同士打ちの姿を身をもって体験をさせていただきました。何とか政策本位の選挙や政治ができないものだろうか、政治や選挙にお金のかからない方法はないものだろうかというようなことを、秘書同士でお互いに、ライバルの代議士の秘書とも話し合いながら過ごしてきたわけであります。
 自民党が、三十八年間、いろいろなことがありましたけれども、とにかく政権をずっと維持し続けてこられたその背景は、やはり日本の中選挙区の制度、これが大きな功を奏しておったのではないかというふうに感じられます。よほどのことがない限り、中選挙区の制度が続く限り、政権交代は行われない。
 今回は、相次ぐ不祥事件があって、国民の政治に対する不信というものがかつてない高まりを見せた時期でありますし、また、それが自民党の長期支配に対する一つのうみとして、これに自民党の中からも大きな批判があって今度の政権交代が行われた。小選挙区の方が政権交代が可能だ、中選挙区は可能でない、いろいろな意見がありますけれども、私は、中選挙区の場合には、今回のような大きな事件がない限り、自民党の中で政権が交代していけばいいわけですから、よほどのことがない限り自民党は永久政権だろうと思います。
 いろいろなことを感じながら地方議会に出させていただきました。福島県は、人口が二百十万、また県土は岩手県に次いで全国で第二位の大きな県土でありまして、多極分散型の県土を有しております。したがいまして、政治に対する住民のニーズというものも多様化しておりまして、これを住民サイドに立って県政に反映させるという、この地方政治は極めて大事なものであるというふうに、身をもって感じているところであります。
 また、私の選挙区、県会議員の選挙区のことをちょっと申し上げたいと思うのですが、栃木県と群馬県と新潟県に県境を有しておりまして、面積だけは神奈川県と同じ面積がございます。定数が二名でずっとやっておりましたが、過疎になりまして、十年ほど前から定数一名になった選挙区であります。私は、定数二名のときにも県会の選挙を経験しましたし、また、定数一名になってからこの十年間、いわば小選挙区の中で県会に選ばれているわけであります。
 そういうことを考えますと、例えば、小選挙区になったから政策本位、あるいはお金のかからない選挙ができるかというと、これは候補者にもよりけりでありますが、必ずしも制度だけでお金がかからなくなったり、政策中心に行われるものではないということを、みずからの体験をもって感ずるわけであります。
 したがって、どんな制度をつくっても、先ほどどなたかおっしゃいましたように、やはり政治に取り組む姿勢、そういうものが基本でありまして、制度だけではどうにもならないというふうに思います。
 また、広大な選挙区の中で、定数一名で議席を維持しようとしますと、大変な日常の政治活動、選挙活動というものが必要とされるわけであります。そういう意味で、国政の場合にも、小選挙区になった場合に、そういったような懸念がいろいろ出てくるのではないかというふうにも思います。
 いずれにいたしましても、伊東正義先生が出た私の地域でありますから、総理を断ってまで政治改革に情熱を燃やした伊東先生の精神を、我々としては、何とかこの政治改革実現という形で生かしたいなというふうに率直に地元としては考えているわけであります。
 五年間議論に議論を重ね、また、かつてない国民の政治不信の中ででき上がったこの改革法案でありますから、与野党ともにその案を拝見させていただきましたが、大筋においてはそんなに違いがない。小選挙区並立制でいこうということなんですから、大筋においては違いがないと思います。
 そういうことで、地方の声もお聞き取りをいただきながら、またさまざまな議論を土台にして、どんなことをしても今国会中にその実現を図っていただきたい。やらなければ与野党ともに国民から見放されてしまう。多少の妥協はやむを得ないと思いますが、大筋においては絶対この議会において通していただきたいということを申し上げたいと思います。
 また、最近の連立政権の中で、例えば小選挙区にして政策中心に選挙をする、公約を掲げて国民から選んでもらう。その後、首班指名を経て内閣ができ上がるわけですけれども、率直な疑問は、各党の皆さんが、選挙のときにそれぞれの党の考え方を公約として国民に示して投票を得たにもかかわらず、その後連立政権ということになると、自分の主張してきた、選挙のときに主張してきた公約と、連立政権の合意のもとにまた違った内容の政策が出てくるということに対しては、これが仮に小選挙区になって政策中心の選挙ということを言っても、果たして、こういう連合政権というものも初めての経験でありますからわかりませんけれども、有権者としては何となく裏切られたような感じがあるのではないでしょうか。
 例えば、今東北では米の自由化反対ということを言ってきておりますけれども、微妙に連立内閣の中でそれが使い分けをされて国会で答弁されるということには、我々はどちらの意見を信じたらいいのか。もう一回、選挙のときに、私どもは当選したらこういう政党の枠組みで政権をつくるのですよということをお示しいただいて、我が党の政策とは違うけれども、連合政権になったらこういうふうに自民党の政治を継承してやりますよということをお示しいただいて連合政権ができるのだったら納得するわけですけれども、非常にその辺があいまいだ。
 ということを考えますと、小選挙区にしても、制度ですから一長一短はあるわけですけれども、多党化していくということには、確かに国民の民意は多様化はしているわけですけれども、やはり政党政治をやっていく場合には大きく二大政党が望ましいのではないか。そして、政権が交代をしていく、緊張感を持って国民のために責任のある政治を断行するということでは、やはり小選挙区に比重を置いた定数の配分が望ましいのではないかというふうに思います。
 したがって、第八次選挙制度審議会の考え方にもありますように、総定数四百七十一というのはおおむね妥当な線ではないか。しかも、小選挙区に比重を置くとすれば、むしろ三百以上の小選挙区をつくるべきでないかというふうに思います。非常にあいまいな形で参議院の選挙が行われているわけですから、そちらで補完していただいて、衆議院はできるだけ小選挙区に力を入れて議席配分をすべきだというふうに思います。
 地方議会は、定数がありますけれども、いずれも一割、二割減の定数で、厳しく定数を削減してやっております。国会だけが許されるものではないということで、総定数四百七十一、小選挙区は三百以上で考えるべきだというふうに思います。
 それから、比例代表選挙の単位でありますが、これはやはり、先ほどどなたかおっしゃいましたように、全国単位では顔の見えない選挙になってしまう。したがって、都道府県ごとに配分をすべきではないかというふうに思います。
 さきの総選挙で福島県を見てみますと、自民党が八人、元自民党が四人、社会党は五議席あったわけですけれどもいずれも惨敗ということで、自民党が八で元自民党が四人という議席配分になっているわけです。これか今度の案ですと、定数が四か五人に分かれてしまいますから、地方の議員が、福島県に所属する議員というものが結果的には削減されていくということになるわけで、やはり比例代表選挙の単位は都道府県ごとにするのが望ましいのではないかというふうに思います。
 それから、投票の一票制か二票制かという問題ですが、これはやはり、小選挙区の本当のねらい、政権交代を可能にする、あるいは一つの政権を責任を持って選択するということを考えますと、投票は一票制が望ましいというふうに思います。
 戸別訪問については、これはなかなか日本の政治、あるいは地方の政治の場合特に言えることですけれども、いきなり戸別訪問を解禁してしまったら大変な混乱が生じる。戸別訪問の弊害の点の方がむしろ強調されてくるのではないかということで、戸別訪問は今までどおり禁止した方がいいというふうに思います。
 それから、小選挙区の区割りでありますが、衆議院でやるか、あるいは総理府でやるというような案になっておりますが、私は、やはり都道府県ごとに第三者機関の区割り委員会みたいなものをつくって、例えば福島県が五という定数であれば、その区割りについては福島県の区割り委員会にお任せするというような方法で決めた方がいいのではないか。ただ町村の人口とかそういうことで機械的に決められますと、歴史的な経過やいろいろさまざまな背景があるわけですから、むしろ都道府県に区割りはお任せした方がすっきりした形が出るのではないかというふうに思います。
 それから、政治資金の関係でありますが、政府案では企業・団体献金を政党に限定しているようでありますけれども、これは先ほどお話があったように、例えば地方議会を構成する議員の八割ないし九割は無所属議員である。これも非常に大事な地方の政治を担っているわけでありまして、地方だからお金がかからない、中央だからお金がかかるということではありませんので、政党に限定をするということはいかがなものかなというふうに感じます。
 それと同時に、国会議員の公費助成の問題ですが、これもどうも、政府案にしても自民党案にしても、この金額に対する根拠がどうも薄い、どうもお手盛りじゃないか。歳費のほかにさらにまた国民の税金からいただく。それで、仮にこの法律が通っても辞退しますという政党もあるわけですから、そうすると、自分が支持しない政党にも例えば税金を差し上げることになるということからしても、公平さに欠けるのではないか。
 これは全く個人的な意見ですけれども、例えば政治に何がしかのコストがかかるということを国民に理解していただけるならば、普通の一般の財源からではなくて、そういう政治資金を拠出するという国民の任意の資金を集めてプールして、その中から政党の頭数とかいろいろな方法によって配分をしていくという方法もあるのではないかと思うのです。国民から助成をするということを法律で決めて、それは要りませんという政党があったら、私は、それではいただきたい政党でみんなで山分けするのかということもおかしな話だと思うので、その辺はやはりもう少し考える余地があるのではないか。
 さらに、そのことに関連して、地方議会に所属する議員の公費助成の問題については明確な文言がないわけですけれども、それはどうするのかという問題ですね。その辺もあわせて検討していただきたいと思います。
 政治腐敗防止については、最も有効的な、最も厳しい法規制をしながら、二度と政治が汚れないような方法を各党間で工夫をしていただければいいのではないかというふうに思います。
 いずれにしても、絶対的な制度というものはないわけで、やはり政治家の政治に取り組む姿勢、モラルの問題が非常に重要だと思います。我々地方議会にいて強く感じるのは、やはり名実ともに地方分権というものを果たしていかないとだめじゃないかと。特に、国会議員の場合にはインターナショナルな、国政に専念をしていただく。地方議会は、道路や橋やいろいろな住民に身近な問題は地方議会が中心になってやっていけるようにしなければだめだ。
 福島県なんかは、百二十年前に戊辰戦争で会津藩が敗れてから、中央には大変冷たくされてきまして、本当に陳情政治というものに、もう何といいますか、依存してきたような地域でありまして、まさに何でもかんでも中央に行かなければ物が解決しないというような今日の状況を打破して、やはり地方重視の地方分権を一層推進していただく。地方のことは地方議員がやる、国政に関する、国の根幹にかかわることは国会議員の皆さんが専念をしていく、そういう役割分担が、今度の政治改革を通じていい方向で確立できないものかなということを切に感じているところであります。
 まとまらない話になりましたが、率直に感想を申し上げて、意見とさせていただきます。

発言情報

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発言者: 芳賀一太

speaker_id: 18452

日付: 1993-11-12

院: 衆議院

会議名: 政治改革に関する調査特別委員会