鈴木永二の発言 (政治改革に関する特別委員会)

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○参考人(鈴木永二君) 御紹介にあずかりました参考人の鈴木永二でございます。
 本日は、参議院からのお声がかかりましてここへ出てまいりましたのでございますが、御承知いただいているとは思いますが、私は、政治問題につきましては今お話しの田中先生のように専門家でも何でもございません。政治を一般国民として見ている立場からの感じ方を申し上げて、政治改革の必要性についてどう考えるか、また国会審議のやり方等を見て私なりに感ずるところ、そういった点を意見として申し上げさせていただきたいと存じます。
 それで、まず第一に今回の政治改革法案の位置づけでございますが、この政府提案の四つの法案というものは、結論を先に申し上げますと、今の時局といたしましては何としてでも今国会で成立させていただきたいというのが私の率直なるお願いであり、結論でございます。
 国民の目から見ましていろいろ問題点はそれぞれにございましょうけれども、政治というものは最後は国民の意見を総括するということだろうと思いますので、ただ理屈だけでは通らないという点もあろうかと思いますが、この今回の政治改革法案というのは、与野党間の意見の相違はあるにしましても、大筋ではもう既に平成元年六月に自民党が政治改革推進本部を設置して、その検討の結果、小選挙区比例代表制の導入を提言して以来の考え方に沿ったものだと、このように国民は皆理解しております。
 それ以来、海部内閣、宮澤内閣、そして今回の細川内閣と五年越しの三回目の挑戦であるということはよく理解していただかなけりゃならぬと思います。これ以上国会での審議を遅延させるということは国民の政治不信というものを高めることになりますので、政治改革の実行は国民の強い希望であり、これにこたえることは与野党の重大な責務であるとすら考えていただきたいというのが私のお願いでございます。
 この意味から現在の状況を見ますと、衆議院の選挙制度改革を衆議院で可決したものを参議院が審議拒否というような形になっているのはどういうことでございましょうか。また、そもそもこれらの中選挙区制度の抜本改革を発議し、並立制の導入を党議決定したのは、平成元年のことでございますが、自民党であったと記憶しております。
 今国会で審議されております政治改革政府法案は、これはいろいろ問題も提起されるのかもしれませんけれども、かつて海部内閣当時提出された政府法案とうり二つだとも言われております。これを野党になったからということで今は認められないというふうに国民には映ずるのでございますが、国民から見て、この点は不可解というほかはございません。政府案と自民党の主張との差は埋めることのできない溝があるものとは、実は私ども国民の目からは考えられないわけでございます。十分妥協可能なものであると思われます。そういうようなことで、ぜひ一日も早く国会での論議を尽くし、修正すべき点は修正して国会での成立を図っていただきたいというのが私の切なるお願いでございます。
 一部にいろいろ提案もあり、政治腐敗防止のみにしてはどうかというような問題と、あるいは衆議院と参議院との選挙制度をセットにして考えなければいろいろふぐあいが出てくるんじゃないかということも言われますが、それもそれなりの理由はあろうとは思いますけれども、しかし、こうした意見は国民の立場から見ますと、改革を先送りしようとしているのではないかという疑念をぬぐうことができないというのが正直な感じでございます。仏の顔も日に三度と申しますが、国民のこれ以上の政治不信を招くことのないように、政治改革つぶしと言われないように改めて諸先生方の御認識をいただきたい。私は、今、国民の立場から申し上げております。
 それから、なぜ政治改革が今必要かという点について今さら私が申し上げるのも失礼でございますが、東西冷戦構造が崩壊し、また五五年体制と言われた体制が終えんという歴史的な転換期にありまして、日本の政治は国内外に山積する課題に直面しておりながら、その対応はなかなかできない。結論的に申し上げますと、私も行政改革を三年担当させていただきましたけれども、結局、政治の力なくして行政改革もできるものじゃございません。私が得ました三年間の結論はそういうことでございまして、政治がしっかりしてくださいということでございます。
 私ども十本の提案を提出しまして、それなりに意味を持っておると私は今も自負いたしておりますけれども、この規制緩和と地方分権の問題、国際貢献の問題、我が国が二十一世紀の世界の大国として、公正で透明な社会である、そして自律自助の社会である、そしてこれは私のつけ足しになるかもしれませんが切に思っておりますことは、やはりこういった透明公正、自律自助の世の中でも、思いやり、こういう精神がなくなった日本というものは先がない、こんなふうに思っておりますし、また国際社会から尊敬される国にならなきゃならぬということも常に言われながらなかなか十分には達成されていないと思いますが、そういったことのためにはいかに多くの改革が必要であり、そのためには公正で透明な自律自助に基づいた政治力というものが中心になって動いていただかなければ実際問題として世の中は動いてこないということを痛感いたしておりますので、この際、先生方に特にこの点について御留意をいただくようにお願いしたい次第でございます。
 そういったことで、政治改革が政治のあり方を審議する入り口で立ちどまっているということはまことに残念なことでございまして、理由はともかくとして、やはり政治改革を断行して、そしてすべての社会秩序というものが政治の力で新たな対応を示すようにしていただくということが先決じゃないか。そういうことで、いろいろ御意見はあろうとは思いますけれども、やはり日本の置かれている立場、国民の望んでいる状況から判断していただいて大同についていただくということを努力していただくことが必要じゃないか。大変差し出がましいことを申し上げますが、そういったことでございます。
 したがいまして、景気対策ということを一刻も早くやってもらいたいということは、もう皆様方と、私も経済界に身を置いてきました者として痛感するわけでございますが、しかしこれからはただ単に景気を刺激することだけではなく、それを通じて日本の産業構造、非常に難しい問題でございますが、新しい環境に即応した経済構造というものを打ち立てなければなりません。それには、また繰り返しになりますけれども、よほどの政治力をもって今までの慣習、システム、それから枠組みというものをぶち壊していただかなきゃならぬ、私は経済界におりながら、痛みを覚悟しながらそう申し上げておるわけでございます。そういうことで、くどくなりますけれども、株価対策とか公共事業、不況対策等いろいろな問題がございますが、こういったことも今のような立場からお考えいただきたい。
 もう一つ、これは蛇足かもしれませんけれども、今の不況をつくづく考えますと、やはり一番底の深いところにありますのは政治の先行きに対する不透明さ、政治に対する見通しが立たないということが第一でございます。その次が、信用システムの状況がはっきりしない。どれだけ赤字があるのか、損失があるのか、どういうところが土地でひっかかっているのかということもはっきりされておりません。それから、経済対策の見通しというものがどこまで行われるかということもはっきりしません。その三つがこの不況を極めてあいまいに不透明にして長引かせている原因の、全部とは申しませんが、非常に大きな部分であるということも御理解いただきたい、こう思っております。
 東西冷戦構造の崩壊、五五年体制の終えんというときにかかわらず、率直に申し上げますと、日本の政治行政体制は依然として官主導の最適工業社会を目指しました昭和十六年体制のままだと申し上げてもいいと思います。規制緩和とか地方分権とか個々の問題について言われます、またゼネコン汚職とかいろんなことが言われますが、その根底には何があるかというと、やはりこの政治行政のシステムの枠組みというものが、そのまま昔の追いつけ追い越せ型のままに置かれているということが一番の基本であるということを、私はもう心からそう確信いたしております。
 そういうような意味におきまして、この枠組みというものを世界の環境に適応した枠組みに直していただくということをお願いしたいわけでございまして、それは先ほど来申し上げております戦時中に行われました東京一極集中の政策、そして規格による大量生産、大量輸出という発展途上国型の政策というものが根底にそのまま残されておる、個々のことを一々いろいろ言われておりますけれども、その点は本当に私は先生方に十分理解をしていただければと、このように思っております。
 それでは次に、参議院審議のあり方について感じたことを申し述べさせていただきます。
 何と申しましても、参議院に送付されてから審議が、まあ数日は審議されたと聞いておりますけれども、それらしきいい審議が五十日余りの期間行われなかったということはまことに遺憾であり残念だと思います。国民の多くも、参議院のこの問題の取り扱いについては戸惑いを覚えておると私は思っております。法案が参議院での政争の具に供されているんじゃないかという印象をぬぐい切れないわけでございます。
 憲法上の要請から言いましても、参議院は良識の府として、重要法案の審議に当たっては慎重審議の末に必要な修正をつけ加えて対応していただくということが憲法の期待しているところではないでしょうか。政争の具として重要法案を人質にとったりこれを廃案もしくは継続審議にするというようなことが国民の間では心配されております。それは、失礼なことかもしれませんけれども、非常に問題であると言わざるを得ません。参議院自体の存在意義を危うくするものです。こういったことは、議論がいろいろ行われるだろうと思いますけれども、私はやはり参議院というものの存在意義を問うためにはこれは軽視できない問題だろう、こう思っております。
 それから、憲法五十九条の適用の問題が言われておりますが、みなし否決ということは簡単に申し上げますと憲法上何ら障害があるものとは思われませんが、しかし、この規定の存在自身が憲法上の要請に基づいておるものでございますし、参議院はこの規定を発動させないような事態に、私が先ほど申しましたように、六十日以内に慎重審議してそして良識の府としてこれに結論をつけて判断をしていただきたい、こういうことでございます。
 もう一、二、言葉でしますが、政治改革法案の審議は参議院の自主性と独自性を遺憾なく発揮する絶好のチャンスだったと思います。今回の国会審議を通じて、衆議院での与野党の熱のこもった議論に比べて、参議院の議論は国民の目で見ますとなかなか届かないもので終わっているように思っております。どうか憲法の想定する六十日以内での効率的で充実した審議を尽くして、ぜひ政治改革を政治家自身の手によって決着させていただきますことをお願い申し上げまして、私の御説明にかえさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 112814575X01019940111_004

発言者: 鈴木永二

speaker_id: 10113

日付: 1994-01-11

院: 参議院

会議名: 政治改革に関する特別委員会