芦田甚之助の発言 (政治改革に関する特別委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(芦田甚之助君) 連合会長代行の芦田でございます。
本委員会におきまして意見を述べる機会をいただきましたことを心から感謝を申し上げるところでございます。
私は、政治改革四法案につきましては基本的には賛成である、そういう立場から意見を述べたいと思うわけでございます。
ただいまも鈴木さんからお話がありましたように、政治改革法案は自民党の海部内閣、宮澤内閣の二度にわたりまして国会に提案をされたわけでありますけれども、二回とも挫折してしまったわけであります。今回ようやく衆議院を通過いたしまして、この参議院の議を経て政治改革四法案が日の目を見ようとしているわけでございます。しかし、修正政府案が参議院に付託されまして五十日以上たつにもかかわらず遅々として審議が進まないことに対しまして、国民は大きないら立ちを持っているわけでございます。参議院の存在そのものが問われかねない、こういう状況に私は今あると思うわけであります。国民の期待にこたえるためにも、審議を促進いたしまして早期成立を図っていただきたいと思うわけでございます。
今次の政治改革四法案の柱とも言うべき小選挙区比例代表制については、政府案も自民党案も小選挙区比例代表並立制という面では一致しているわけでございますから、この前の小選挙区一点張り、比例代表なんというのはらち外だというような自民党の態度であれば、これは一致をさせようと思ってもなかなか難しいと思いますけれども、今回は小選挙区比例代表並立制という基本的なところにおいて一致しているわけですから、その上でもって議論をしていくならば私はこの合意も一致も可能だと思うわけでございます。
議員の定数の問題ですが、当初の政府案は小選挙区二百五十、そうして比例区二百五十でございました。自民党案は、小選挙区三百、そうして比例区百七十一でありました。これが衆議院で修正をされまして、小選挙区二百七十四、比例区二百二十六となりました。これは自民党が受け入れたわけではありませんけれども、この政府の修正案というものは、自民党の主張も大いに受け入れて、あるいはそれに歩み寄ってできた数字ではないかと思うわけでございます。そういう意味で、衆議院で通過した小選挙区比例代表の議員の定数というものは、私はこれで妥当だというふうに思っているわけでございます。
次に、選挙区の単位でございますが、比例区については政府案では全国単位でございます。自民党の主張は都道府県単位でございます。
都道府県単位ということになりますと、人口の少ない県、例えば鳥取、島根あるいは高知、福井等におきましては今でも衆議院の定数が四名であります。それが今度は、小選挙区から二つに割って二名出てくる。あともう二名ぐらいしか比例区の枠がないわけであります。比例区が二名の枠しかないということは、大変これは窮屈な話でございます。本来、小選挙区に対して比例代表並立ということは、小選挙区の中で多様な選挙人、有権者の意思なり意見というものが吸収できない、反映できない、そのために比例代表というものをあわせて持とうというのが今回の柱になっているわけであります。そうすると、もっと広い範囲の中から比例代表というものを選び出すことでなければ比例代表の意味が薄らいでしまうと思うわけでございます。
そういう意味で、私は広範囲の中から比例代表を選ばなければならない、比例代表というのは全国単位が私はやっぱりベターだというふうに思うわけであります。
都道府県単位というものは比例代表としての意味を持たないとは言いませんけれども、余り意味がない。そういう意味で、私は全国単位がベターだと思いますけれども、百歩譲って、今お話しがありますように参議院の比例区も全国でありますから、そういうような兼ね合いから考えるならば、ブロック制の導入ということを考えてもいいんではないか。第八次選挙制度審議会の答申におきましてもブロック制が答申された経緯があるわけでありますので、私は、ベターは全国単位である、しかしまあ次善の策としてブロック単位がよろしい、都道府県単位は論外であるというふうに思うわけでございます。
それから一票制か二票制がということでありますが、これは一票制には私はやっぱり無理があるなと思います。すなわち小選挙区と比例代表、一票でもって両方をカバーするということには無理があるんではないかというふうに思います。例えば小選挙区から無所属の人が出たとします。その場合、比例区における投票はではどうなるのかということの問題等もあり、学者の先生、きょう田中先生からも聞いたらいいと思うんですが、憲法違反の疑義があるということが言われておりますので、そういう疑念のあるようなものはやめた方がいい、二票制にすべきだと思うわけでございます。
次に、戸別訪問の問題でありますが、戸別訪問につきましては、ヨーロッパでは選挙運動の当然の姿として認められております。言うなれば選挙運動の中心は戸別訪問であります。これまで我が国におきましては禁止をされておりました。これが今度の政治改革法案の中におきましては戸別訪問を認めることになりました。これも私は賛成であります。
ただ、戸別訪問に懸念がないかというと、いろいろやはり行き過ぎがあるんではないかな、こういう懸念は私自身も持っております。しかし、その行き過ぎた戸別訪問、行き過ぎた行為というものが有権者の皆さんから受け入れられるのか。私はやっぱりそういう行き過ぎた行為というものは嫌われると思います。反感を持たれると思います。結果的には、そこの政党にとっても候補者にとってもそういう行き過ぎた戸別訪問をやるということは決してプラスにはならない。マイナスになると思うんです。そうすると、その政党にしてもマイナスになるような戸別訪問はしないように、私はやはりその政党が責任を持って運動員の教育をすると思います。したがって、それなりの節度のある戸別訪問になってくるのではないか。そうはいかなければ、その時点でやはり見直したらいいのではないかというふうに私は思うわけでございます。
したがって、いろいろ懸念はあるけれども、そう心配したことじゃありませんよということを私は言っておきたいと思うわけでございます。
次に、企業・団体献金の問題でございますが、この問題はやはり私は今度の政治改革の出発点であり、また柱であると思うわけであります。
政治家と金の問題、政治家と企業の癒着の問題、これがやはり国民の厳しい指弾を浴びているわけでございます。すなわち、リクルート、佐川急便、ゼネコン問題の一連の汚職事件が続発をいたしまして、国民の政治不信が高まってきたためにこの政治改革にさらに取り組まなければならないということになってきているわけでありまして、その取り組み方が、前二回改革法案ができて葬られてしまった、挫折してしまった、中途半端な扱いできたために昨年の大きな政変が起きたのではないかというふうに私は理解をしているわけでございます。
したがって、政治家と金のよくない関係を正すために、私は政治家に対する企業献金を廃止するのが妥当だと思います。
政府案では、政党に対する企業・団体献金を存続することになりましたけれども、これは過渡的措置としてやむを得ないことであり、そして五年後には見直すということになっておりますので、私はこれはこれでいいと思っております。
次に、政党に対する公的助成の問題でありますが、私は公的助成というものは必要だとは思いますけれども、これも過渡的措置という考えていくべきではないか。
民主政治にとってコストがかかるのは承知をしております。しかし、それは国民一人一人が自己の政治的信条に基づいてみずからの浄財によって政党を支援し、また政治家を支援していくべきものだと思うわけであります。
ただ、我が国の場合、そういう政治的風土というものが未成熟であります。したがって、個人の浄財によっていろいろ政党活動、政治活動をやろうと思ってもなかなか十分なことができないという状況にあるわけでありますので、したがって私は、当面、政党に対する企業・団体献金も認め、そしてまた公的助成も必要だと思うわけでございます。ただ、政党はそれに甘んずることなく、みずからの足で立てるように努力をしていくことが大切だと思うわけであります。
大変厳しいことだと思います。日本のこの政治的風土の中で、今私が言ったことを求めることは大変厳しいことではありますけれども、しかしそれに向けて一歩踏み出さなければ、私はやはり本当の政治改革にはならないだろうと思うわけでございます。
以上、政治改革の中の論点の一つについて意見を申し上げたところでございます。
もう一つは、法案そのものとは直接関係がありませんけれども、政治にお金がかからないようにするためには、私は、選挙の公営化を進めていくということがやはりこれからの重要課題だと思うわけでございます。そして、今回のこの政治改革四法案が片づいた後には、地方議員の問題、地方の首長の問題、さらには参議院の問題等についても論議を深め、取り組んでいただかなければならないと思うわけでございます。
最後になりましたが、冒頭申し上げましたように、政治改革四法案は衆議院を通過したわけであります。五年越しのこの問題が衆議院を通過したその重みを、やはり参議院におかれましてもしっかり受けとめて対応をしていただきたいと思います。衆議院において足らざる点をチェックし補正をしていくのが、私はやはり参議院の重要な役目ではないかと思うわけでございます。
今は、この政治改革四法案を早期に成立をさせまして、そして全力を挙げて当面する不況対策に力を入れてもらう、また、当面する内外の諸問題に取り組んでいただくことが参議院の任務ではないかということを申し上げまして、私の意見を終わらせていただきます。(拍手)