田中善一郎の発言 (政治改革に関する特別委員会)
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○参考人(田中善一郎君) お答えします。
選挙制度について、特に比例代表と小選挙区の功罪について私の考えを述べよ、こういうような趣旨だというふうに受けとめさせていただきまして述べさせていただきます。
私は、関根先生がおっしゃるように、選挙には一方ではやはり民意の反映というのが必要である。しかし他方では、まさに先生が言われたとおり、政権をつくる、強固な政権をつくるという任務もある。だから、単に正確な民意を反映しただけでは選挙としての役は立たないし、また単に強い政権だけで民意がかなりの程度無視されるというのも、これは望ましい制度ではないと私は理解しております。
そうしますと、小選挙区と比例代表というのは今言ったようにそれぞれ大体は対応しているわけでありますが、そこで私がこういうことを言うのは何を言っておるのかと言われるかもしれませんが、その意味で私は現行の中選挙区制というのは非常にいい制度だというふうに理解しているわけであります。
先ほど先生からお話しもありましたが、中選挙区制というのはかなりの程度比例代表に近い。だけれども、今までの衆議院の選挙を見てもおわかりですが、自民党に、つまりあの当時は自民党ですが、大政党にやや有利な形の議席を与えるようなシステムになっているということで、後で詳しいことはもう一度申し上げますが、制度としては中選挙区制というのが今言った二つの課題にこたえる上でベストに近い形態であろうというふうに私は理解しております。これは私だけでなく、恐らく自民党の諸先生方あるいは社会党の多くの先生方も内心では、本音のレベルにおきましてはそうだというふうに私のことを多分理解していただけるものであろうと私は理解しているんです。
じゃなぜ中選挙区制は評判が悪いのかというと、それが私が最初の十五分でお話ししましたところの学問的根拠のない議論が中選挙区制について言われ過ぎている。既にもうお話しいたしましたが、中選挙区制は金がかかるということを言いましたが、それはもう関係ない。それから、例えば中選挙区制においては政策が行われないというようなことを言われていますが、まさか社会党の支持者が自民党の先生方に投票するはずはないわけで、自民党の支持者が共産党の先生方に投票するはずはないわけで、中選挙区制でもちゃんとれっきとした政策選挙が行われているわけであります。また、政権交代がない、これも言われましたが、これも現に起こったわけであります。
というように、今まで中選挙区制について一見言われていた幾つかの命題というのは学問的批判にたえない命題でつくられているわけでありまして、そういう誤解を解けば中選挙区制のよさというのが多くの方にわかっていただけるのではないか。
なぜこれまで昭和の初年から、厳密には大正の一番最後の年ですが、中選挙区制がここまでとられたか、一時、占領軍の制度で一回ばかり大選挙区制が採用されましたが、ここまでつながったのかというのは、もちろんそれは代議士の方々のそういう住み心地のよさというのがありましょうけれども、やはり国民がなじんできた制度であるということにあるんではないかと私は思っています。
ただ、なぜ中選挙区制が問題だったのかというのは、一番大きなことは先ほど言いましたように定数の是正が全然図られていないということです。これは、国権の最高機関のここでこんなことを言っていいのかわかりませんけれども、一番の問題点はやはり最高裁が毅然たる態度をとらなかったことなんですね。三倍などという何か全然、これも私も勉強しましたんですけれども、なぜ三倍なのかというのは、最高裁は実は三倍自体も明確には言っていないんですが、三倍程度であろうということなんですが、三倍という数も根拠がないままに示されて、三倍なら合憲であるというようなことを言われているわけですが、これはおかしいわけでありまして、戦後を除きました中選挙区制のときでも一・五倍を一応目安に組み立てられている制度でございます。
というわけで、やはり中選挙区制が私が申しました最初のような活力を持つためには、今言いました一・五倍ないしはどう見ても二倍未満の格差のもとで行われるようにすればすぐれた制度として今後もまだまだ十分通用していくものであるというふうに私は確信しておるわけです。
それから、もう一つ。
比例代表でもいいと思っているわけですが、やや問題点を感じているのは、先生が御指摘になった点で、選挙のときに全く関係ない、全然違った、我々は別に政権をとるよと言っていたのが、終わったら突然連立政権を組むというようなことがあり得るわけです。例えばこれがいい例がどうか知りませんが、さきの総選挙で社会党に投票した有権者の多くは、社会党が新生党と組むということに対して非常な抵抗を持っていたと思うんです。それが実際には組んでしまったということで、多分社会党あるいは新生党に投票した人は裏切られた気を持っているのではないか。
そういうことで、もしそういう比例代表が行われるならば、なるたけ連立政権ができたときの形を最初に国民に提示する形で選挙戦が戦われるということが望ましいと私は考えております。