小野晋也の発言 (決算委員会第三分科会)

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○小野分科員 羽田内閣がこの四月二十八日に発足を見ましてからきょうまで、約一カ月を経てまいりました。新政権の行方が必ずしも明確になっていない現状でございますので、本会は決算委員会ではございますけれども、主にこれからの通産行政のあり方ということを中心に御質問をさせていただきたいと存じますが、よろしくお願い申し上げたいと存じます。
 なお、先ほどお伺いをいたしますと、金子政務次官におかれましては、本日のこの席が初答弁の席になられるそうでございますが、どうか適切なる御答弁を賜りますと同時に、通商産業政策と申しますと、日本の産業を引っ張っていかれる機関車の役目を果たされる役所でございます。どうか清新なる気風を持たれまして通商産業政策をお導きを賜りますように、まずここでお願いを申し上げたいと存じます。
 早速質問に入らせていただきたいと思うわけでございますが、最初は少し通産省の皆さんの耳に痛い話になるかと存じますが、私は昨年の七月、この永田町に初当選させていただいて、来させていただいたわけでございますけれども、その中で、通産省という省庁が随分今迷っておられるような気持ちを持ってならなかったわけでございます。
 以前の通産省と申しますと、敗戦の中でこの国が焼け野原になった中を新しい国づくりのために経済を復興し、そこから日本の未来を切り開いていく中央省庁として、中心的な役割を果たす省庁として、非常に意欲にあふれ、また力強いお仕事をしておられる省庁だと感じていたわけでございますが、このしばらくの政策的な迷走ぶりを見ておりましても、また役所の職員の皆さん方の顔色と申しましょうか御姿勢を見ておりましても、何かしらはっきりとされない、もやもやとしたものをお持ちになっているような気がしてならないのでございます。
 私どももいろいろな企業家の方とお話をさせていただきますけれども、もっともだなと思いましたのは、以前は、例えば海外に輸出するような企業がありました場合に、たくさんの品物を輸出して外貨を獲得すれば、通産省のサイドから表彰状をいただいた。ところが、このごろは輸出を一生懸命やると、逆に通産省はブレーキをかけに来るんだというようなお話でございまして、今まで自分たちがとっていたその政策の逆のことをやらなくてはならないような社会情勢に置かれているということも、一つあるだろうなというような気持ちがいたします。
 また、世間一般の風潮といたしまして、かつては、官尊民卑という言葉はいい言葉ではないかもしれませんが、この日本の国のさまざまな問題は官の皆さん方が中心になって政策を立案し、そして民、皆さんが豊かになるように引っ張っていくということを評価するような気風が強かったかと思いますが、このごろは何かにつけて規制緩和というようなことが言われ、官庁の指導に対して、むしろそんなものは要らないということが言われるわけでございますから、どういう形で産業政策を行っていけばいいのか、この点にも迷いがございますでしょう。
 またさらに、先日の話でございますけれども、ある局長が通産省内を暗くするからというような理不尽な理由で大臣から辞任を迫られて、そして辞職をされましたけれども、こういうことも、今まで私ども通産省を外から見てきた者といたしましては、通産省というのは、筋の通らないことがあれば大臣に直言をしてでも何をしてでも、そんな理不尽なことを通さない省庁だということを私どもは感じながらやってまいったわけでございますが、この一事を見てみましても、何かしら今までと通産省は変わってきたなと言わざるを得ないところがあるわけでございます。
 先日ある雑誌、「ボイス」という雑誌でございますけれども、この雑誌を見ておりましたところが、このようなタイトルの対談記事が出ているのです。「通産省はもういらない 冴えない「一流官庁」の口出しはもはや余計なお世話」というようなものでございまして、これを対談しておりますのは、国際日本文化研究センター教授の飯田経夫先生、そして三菱総合研究所相談役をしておられます牧野昇先生、両名とも日本の経済政策に関して一家言を持っておられる、論壇でも有名な方でございますが、この方が通産省の有効性ということについて大きな疑問を投げかけているのですね。
 もちろんこういう雑誌ですから、タイトルはショッキングなタイトルをつけているわけでございますが、その一部内容を御紹介させていただきますと、その牧野さんが言われますのに、
  バブル時代では、エチレンプラントの増設を通産省が優先的に許可したのが、三菱油化。巷では「社長が通産省から来たからだ」とうるさく噂された。しかしその後なしまし的に今度は次々に許可したために、国内プラントはオーバーになって、中国に売ろうとしている。
 国内のことについては、もう余計なお世話だよと。対外問題においては、ある程度しようがないけれども、国内問題にまで役人が口出ししてくるのは、干渉しすぎるということはあるだろうね。しかし、日本人自身がお上のいうことだと、「はいはい」と聞くということもある。
こういうふうに問題提起されますと、今度は飯田さんの方が受けてこう答えるんですね。
  通産省の役人のほうも一生懸命やっておられるのでしょうが、私はだんだん通産省のやることが冴えなくなってきたなという感じがするんです。たとえば、通産省は十年ごとに通産政策ビジョンを出している。たしか六〇年代が重化学工業化で、七〇年代が知識集約化、八〇年代が創造的知識集約化だった。しかし、九〇年代は人間的価値をつくると書いてあった。もうこれは万国不易の真理で、中身がほとんどないようなものだと思うのです。
 私はそれを見たとき、ああ通産省はこんなことしかいえなくなってしまったのかと思った。六〇年代、七〇年代、八〇年代は、それなりにビジョンを提示する役割を果したのですが、とうとう通産省もやることがなくなったかという感じがします。
それでまた、これは牧野さんが、ちょっと長くなって申しわけないのですが、答えて言うんですね、そういうことはありますねと。
 発展途上国が先進国並みに成長してくると、だんだん通産省的役割を果す官庁の必要性が少なくなってくる。規制緩和、行政改革の対象になる。ただ、役所にとっては、仕事の削減は自分の首がかかっているから必死だ。いまの通産省は半分でいい。あとは民間が自分たちで考える。自分たちで血を流せといった方がいい。通産省におんぶにだっこする必要はまったくない。指導能力も民間レベル程度。昔の通産省の出したレポートにはいいものがあったけれど。
というようなことを、こうとうとうと議論されまして、結論的にこの議論で言っておりますのは、
  通産省はいまでも一流官庁ということになつていて、優秀な人間が集まっていますが、あれはもういらないのではないかと思うんです。もっとほかのところへ行ったほうがいい。
非常に痛切な言葉でございまして、もちろんこれは評論家が語ることでありますから、責任ある立場の方がしゃべっているというわけではないわけでございまして、このあたり引き算をしてとらえなきゃならないところがあるだろうと私は思いますが、それにいたしましても、恐らく長い間通産省に御奉職されてこられた皆さん方にとってみれば、こういう指摘を受けながら内心じくじたる思いを持っておられる方も多かろうかと思うんですね。
 そこで、もう率直にこれはお尋ねを申し上げたいのですけれども、このしばらくの間、通産省は一体どうなってしまったんでありましょう。そして、このような事態を迎えてきているということに対して、一体どこに問題があると内部の皆さん方は御認識をされておられるのか。問題認識から次の展開が開けるというようなことを考えましたときに、この点についてぜひ率直な御答弁をお願いを申し上げたいと存じます。

発言情報

speech_id: 112904119X00219940527_011

発言者: 小野晋也

speaker_id: 14105

日付: 1994-05-27

院: 衆議院

会議名: 決算委員会第三分科会