石川忠雄の発言 (政治改革に関する特別委員会)
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○参考人(石川忠雄君) 衆議院議員選挙区画定審議会の会長を務めております石川でございます。
本日は、委員長の御許可を得まして、私自身がまだ退院数日後でございますので、どうも体力も余り回復しておりませんので、座ったまま御報告をさせていただきたい、この点、御了承をいただきたいと存じます。
審議の経過についてまず申し上げますが、この審議会は、衆議院議員選挙区画定審議会設置法に基づきまして、去る四月十一日、内閣総理大臣から私ども七人の委員が任命され、その日をもって発足したものでございます。この審議会に与えられました任務は、当面、今回の公職選挙法改正の施行の準備のために衆議院議員小選挙区選出議員の選挙区の画定に関し調査、審議し、委員が任命された日から六カ月以内にその画定案を策定して、内閣総理大臣に勧告を行うことにあります。小選挙区の区割りは、衆議院議員選挙のいわば土俵づくりとも言うべきものでありまして、厳正公正な区割り案の作成という当審議会に課せられました責任を十分自覚いたしまして、その責任の重さを痛感いたしておるところであります。
さて、この審議会は、去る六月二日に「区割り案の作成方針」を取りまとめました。この間、九回にわたって審議を行ってまいりましたが、平成三年六月、第八次選挙制度審議会が今回と同様の三百の小選挙区の区割りについて審議し、答申されておりますので、まず第八次審議会の区割り案及び区割り基準についてその考え方を知っておくということが効率的に審議を進める上に必要ではないか、そう考えまして、これらについて勉強もいたしました。それと並行して、区割り案の区割り基準の定め方及び具体的な区割り案について各都道府県知事の意見を聞くことにいたしました。都道府県知事は各都道府県の行政、地勢、交通等広く全般に通じ、区割りについて都道府県全体を総合的に判断し得る視点を持っているというふうに考えたからであります。
区割り基準に関する知事意見は、そのほとんどが第八次審議会の区割り基準を念頭に置きながら述べられたものでありました。人口基準に関しては、その緩和あるいは弾力的取り扱いを求める意見がありました。また、市区の分割に関しては、その分割はなるべく避けて、分割する場合はそれぞれを独立の選挙区として他の自治体と併合することは避けるべきであるとする意見が一方にありますが、他方で、人口基準にかかわらず、地域の実情により分割することができるとする特例も設けるべきである、そういう意見もありました。指定都市については、他の市町村と同一の選挙区とすることなく行政区の組み合わせのみで選挙区とするべきであるとの意見や、離島の取り扱いについて他とは異なる事情を考慮すべきであるとの意見等もありましたが、総じて申せば、第八次審議会の区割り基準がおおむね妥当と考えられている知事が多かったように受けとめております。
そこで、区割り基準についての議論を御紹介申し上げたいと思います。
この審議会におきましては、こうした都道府県知事の意見も踏まえ区割り基準の検討を進めることといたしましたが、論議の主な点は次のとおりであります。
第一に、人口基準についてであります。
人口基準については設置法第三条第一項において、各選挙区の人口の均衡を図り各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上とならないことを基本とする、そういうことが規定されております。また他方で、第二項におきまして、都道府県に対する定数配分として一議席ずつ均等配分する方式をとっており、都道府県間格差が既に一・八二倍となっているという現実があります。そこで、人口格差が二倍以上とならないことを基本とするという規定を具体的にどう実現するか、その方法をめぐって熱心な論議が交わされたわけであります。
この点につきましては、大別して一つの大きな議論は、人口格差が二倍以上とならないことを基本とするということからは、議員一人当たり人口が最低の島根県の議員一人当たり人口を下限とし、その二倍を上限とする方式をとるべきではないか、こうした方式をとっても、設置法は格差が二倍をある程度超えることも許容していると考えられることから、一定のアローアンスを認めることにより現実的な案をつくることは可能であるという意見がありました。
これに関連して、全国の議員一人当たりの人口をもとに上下三分の一の幅におさめるといういわゆる偏差方式では、島根県と福井県はその平均人口が既に下限を下回っており、基準としては適当ではない、こういう意見が述べられました。
こういう意見に対しまして、諸外国の例を見ても平均人口をもとに一定の幅を設ける偏差によって区割りの基準を定める方式をとることが一般的であり、第八次審議会と同じように偏差方式をとることが適当ではないか、議員一人当たり人口が最も少ない選挙区を基準とする方式をとると、結果によって基準を設けるというような形になって、平均人口により自動的客観的に上下限が決まる偏差方式に比べて分割される市区側から納得が得られにくいのではないか、また下限をもとにその二倍を上限とする方式をとっても一定のアローアンスを認めるということになれば結果は余り変わらないのではないか、偏差方式をとった上で最後に再点検、見直しを行うことによって法の趣旨に沿った区割り案をつくることができるのではないか、そういう意見が述べられました。
また、人口基準の緩和あるいは弾力的取り扱いを求める知事意見に関しましては、設置法では二倍以上とならないことを基本とするものとされておりました人口基準について、弾力的な条項を置くことは適当ではないのではないか、そういう意見が述べられました。
こうした論議の結果、人口基準については、設置法に定められた二倍以上とならないことを基本とするとした上で、具体的には全国の平均人口をもとにその上下三分の一以内とする偏差方式をとることといたしました。
次に、行政区画等についての論議を申し上げます。
市区町村の区域の分割につきましては、行政区画を尊重し分割しないことを原則としながら、人口基準との関係から一定の場合には分割もやむを得ないこととされ、一体どのような場合に分割することにするのかをめぐって議論が交わされました。
この点につきましては、地域の実情に応じて市を分割することができるものとすべきであるとの知事意見があり、また人口基準を厳格に守るために必要な場合には平均人口の三分の四以下の市区であっても分割できるものとすべきであるとの意見が述べられました。
その反面で、市区町村は基礎的自治体であり、地域の一体性ということを考えるとその分割については慎重であるべきであり、一定の事由に該当する場合に限定すべきであるという意見がありました。それとともに、分割に対しいたずらに不安、不信を持たれないようにするためにも分割する場合は明確に列挙することが望ましいとの意見が述べられ、その結果、市区の分割は一定の場合に限定することとされました。
次に、郡の分割についても、郡は行政単位ではないからその分割については余り厳格に考える必要はなく、必要に応じ分割できることとしてよいのではないかという意見もありましたが、その反面、郡の区域は歴史的、沿革的にまとまりがありできるだけ尊重すべきであるとの意見が述べられ、その結果、一定の場合に限って分割できることとされました。
次に、飛び地の取り扱いにつきましては、飛び地を設けないに越したことはないけれども、このために市区の分割が避けられないような場合には慎重な対応が必要である、こういう意見が述べられる一方で、選挙区の隣接性、連続性の観点、選挙民の情報の共有という観点から飛び地は設けるべきではない、市区が連檐して生活圏の一体性があれば市区を分割しても合理性があるのではないかとの意見が述べられ、その結果、飛び地は設けないこととされました。
このほか、考慮要素としての自然的社会的条件をより具体的に示すべきかどうか、作業の手順をどのようにすべきかなどについても意見が交わされております。
次に、区割り案の作成方針の概要について申し上げます。
こうした論議の結果、今後具体的な選挙区の画定を行っていくに際しての方針を示した「区割り案の作成方針」を取りまとめたところであります。お手元に配付しております資料の区割り案の作成方針をごらんいただきたいと存じます。
この作成方針は、「区割り基準」と「作業手順」の二つから成っております。
まず「区割り基準」について御説明いたしますが、人口に関する基準については、設置法第三条の人口格差が二倍以上とならないことを基本とすることを区割りを行う際の基準としております。法律で定められたこの基準を踏まえ、具体的な区割りに当たっては次の方針により行うことといたしております。
まず、各選挙区の人口は、全国の議員一人当たり人口の三分の二、二十七万四千六百九十二人から、三分の四、五十四万九千三百八十二人までとしております。この場合に、全国の議員一人当たり人口の三分の四を上回る選挙区は設けないものといたしました。全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区はできるだけ設けないものとすることにいたしました。
次に、各選挙区の人口は、当該都道府県の議員一人当たり人口の三分の二から三分の四までとすることといたしました。これは、各都道府県内におきましても選挙区間の人口の均衡を図ろうとするものであります。
次に、都道府県の議員一人当たり人口が全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る都道府県にあっては、格差の縮小を図る観点から、各選挙区の人口をできる限り均等にするものにしております。
次に、市区町村の分割に関する基準でありますが、この基準は、市区町村の区域は分割しないことを原則とするとしておりますが、人口基準等との関係から例外的に一定の場合には分割するものとしております。
すなわち、市区の人口が全国の議員一人当たり人口の三分の四を超える場合には分割することとしております。
また、市区の人口が当該都道府県の議員一人当たり人口の三分の四を超える場合においても、都道府県内の人口の均衡の観点から分割することとしております。
さらに、全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区をできるだけ少なくする観点から、県内の人口最大の市を単独の選挙区とした場合に全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区が生じる場合には、当該市の区域を分割するということにしております。
また、今回、飛び地の選挙区は設けないことといたしましたので、飛び地を避けるために必要な場合は、市区の区域は分割することといたしました。
次に、郡の分割についてでありますが、郡の区域は分割しないことを原則とすることとし、一定の事由がある場合には分割することができることとしております。
すなわち、(一)の人口基準に沿った選挙区を設けるために必要な場合には分割できるということとしております。
また、市区の分割と同様、選挙区が飛び地となることを避けるために必要な場合、郡の区域が現に他の郡市により分断されている場合、または郡の区域に離島を含む場合にも、郡の区域は分割できることとしております。
次に、(四)でありますが、先ほど申し述べましたとおり、選挙区の連続性の観点などから選挙区は例外なく飛び地にしないものといたしております。
最後に、(五)でありますが、(一)から(四)の基準に従った上で、地勢、交通、歴史的沿革その他の自然的社会的条件を総合的に考慮して区割りを行うことといたしておるわけであります。
次に、「作業手順」について御説明をいたします。
作業手順は、これまで述べました区割り基準に沿って具体的に区割りを行っていく際のいわば作業の流れを示したもので、二つの項目がございます。
まず(一)は、区割りに当たって都道府県の区域を幾つかの地域に区分する場合には現行の衆議院議員の選挙区を手がかりとすることとしたものであり、その地域に選挙区を設けるときは地理上の周辺部から順次選挙区を設けるものとしたということであります。
また、(二)は、区割り作業の結果得られた区割り案が合理的かつ整合性のとれたものになっているかどうかについて最後に総合的な検討、再点検を行うこととしたものでありますが、当然ながら、人口の基準の範囲内において行うものであります。
以上が「区割り案の作成方針」の審議経過及びその概要であります。
当審議会といたしましては、厳正公正な区割り案の作成に向けて全力を尽くしたいと考えておりますので、御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。