橋本龍太郎の発言 (世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会)
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○橋本国務大臣 たまたま先般のAPEC、インドネシアの総会の際に、インドネシアの経済界の方々にお話を申し上げる機会がありました。私は、今委員が環境問題から議論をされましたが、実は先進国がよく取り上げます偽装された保護主義に転化しやすいテーマとして、労働の問題がございます。低賃金労働あるいは婦女子の労働といったとらえ方の問題がございます。そして、それはそれなりに理のあるところではありますが、同時に、それを強調することは途上国の産業をつぶしてしまう危険性のあるテーマでもあります。
ちょうど私は、ジャカルタでインドネシアの経済人の方々にお話をいたします際に、昭和四十年代前半、日本が公害に非常に苦しみ、これを解決するために四十年代の半ばにわざわざ環境庁というその先端の役所をつくってこれに取り組んだ。二十年たった後に、これを費用対効果の面で分析をした。そして、非生産的経費でありながら経済成長にマイナスを起こさなかったのみならず、むしろ新たな産業の育成、創造というものにもこれはつながった。そして、それを翌年の環境白書でなお追跡調査をし、企業行動にこれがどう反映したかを分析した。我々は、かつて非常に苦しんだその体験を、いわばマイナスの情報として各国に提供する用意がある。そして、それを解決するためにどのような努力を払い、それがどういう結果を生んだかということについても情報提供の用意がある。我々は、日本がかつて繰り返した失敗をこの地球上において他の民族が繰り返すことを決して好まないという趣旨のお話を申し上げました。非常に素直に聞いていただき、そうした面からの協力というものに期待する声をいただきました。たまたまこれはジャカルタの経験でありますが、他の地域でも私は同じような体験をいたしております。
日本は、むしろ積極的に意思疎通を途上国との間に図りながら、これは資金ももちろん必要でありましょう、しかし資金だけではなく、技術協力を含め、あるいは制度を含め、かつてのお互いの経験の中から学んでいただくための失敗の情報も含めて提供していくことにより、こうした問題の解決に相当な役割を果たし得る、そのように考えております。