松田岩夫の発言 (世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会)
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○松田委員 もっと割り切って、もっと強力に、各省と連携してしっかりやっていただきたいということです。ぜひお願いをしておきます。
さて次に、時間がなくなってきましたけれども、途中飛ばしまして、今、内外価格差、けさもまたこれは食料品以外の内外価格差のことが新聞で報道されていましたが、米の内外価格差というのはまさにどんどん拡大してきた。米はますます、先ほど言った言葉では、国際競争力はもう日本の米はありません。生産者価格で、対米国比、八五年、三・八倍でした。九三年には八倍。タイと比べますと、タイの国と比べますと、八五年、九・七倍、九三年には十四・八倍、完全にこういう価格なわけですね。これは農林省の資料であります。
この原因は何か。一つはもちろん、今まで議論してきましたように、米の生産や流通、近代化がおくれた、合理化がおくれた、コストが高い、そういうことだ。しかしこれは、過去ずっと見てみると、日本もそれなりに努力してきておる。アメリカもそれなりに努力してきておる。タイもそれなりに努力してきておる。努力の度合いを見ますと、それほど余り違いはない。努力の違いが大きかったから、努力の差の結果、あるいは近代化、合理化がおくれたからこれだけの価格差が、内外価格差がさらに広がったというよりも、むしろ円高なんですね。この円高。一番大きな理由は、大幅な円高が進行したことであります。
今度の計画で、生産コストを今後六年間に三割以上引き下げることを目標としておられるようでありますが、合理化を進め、コスト削減にそれこそ額に汗している間に、あっという間に為替が大きく動くというようなことがありますと、あるいは円高がちょっとでも動くというようなことになりますと、コスト削減はまさに吹き飛んでしまうわけであります、内外価格差という意味で見れば。国内的にはあれですが、対外的にはそういうことですね。
今度、米以外のものは関税化ということで、関税化いたしました。ほかの工業製品、繊維だ、いろいろありましたが、それぞれ関税を下げる。その下げる努力、しかしそういう中で、影響があるものはできるだけひとつ小幅にとどめてくれという厳しい折衝の中で、それなりの関税率を確保いたしました。しかし、確保いたしましたけれども、これも今の話で、はい円高ですなどといえば、一遍に吹っ飛んじゃうわけであります。私は、そういう意味で、為替ができるだけ安定しているということが、まさに農業の生産活動にとっても極めて大事だ、ほかの産業にとっても大変大事だと思うのです。
しかし、そういう意味では、為替に対して、今の政府、十分にお気をつけになっておられるというようにとても思えない言動が幾つがあった。きょうは総理大臣がおられませんのであれですが、総理大臣以下、担当大臣、大蔵大臣もおられます。為替の安定ということについては、ぜひしっかりとやっていただきたい。そのためには、まさにこの経常余剰をどう解決していくか。マクロ経済政策についてしっかりと対応していただきたい。今度の税制改革一つとっても、私は、中途半端そのものだ、こんなことではいけないと思いますし、また、多国間のマクロ経済運営についての協議に当たってもしっかりやっていただきたい。そういうことがなければ、今こうして、コストを削減するとか内外価格差を縮めたいなどといったって、一遍に吹っ飛んじゃうわけでありますから、ぜひ御努力を賜りたい。
もう時間がありませんので、ちょっと急ぐわけでありますが、さて、そういう円高のために、例えば清酒業、米が生産コストの三、四割を占めております。まさに米の値段の動きというのが深刻な影響を清酒業に与えるわけであります。この数年間、大関、月桂冠、どこでもいいのですけれども、白鹿でもどこでも、このほとんどが米国に進出しました。もちろん、この海外進出の理由というのは、言うまでもありません、米の内外価格差が拡大する中で、一にも二にも安い米を求めて行かれたわけであります。まあ清酒といえば、まさに日本の酒でありますが、それがいずれ安いメイド・イン・USAの清酒として日本の店頭にたくさん並ぶ日もそんなに遠い先ではないかもしれません。
あるいは、せんべいやあられ、こういったものも現地加工が今急速に進んでおります。あられは、言うまでもありません、モチ米です。モチ米は、例えば国産モチ米、あられの原料、今幾らですか、四十万前後ですか。タイ米、同じようなものが六、七万というわけですから、それは向こうへ行ってつくった方がはるかにいい、こういうわけです。せんべいやあられのタイヘの進出企業は、九四年七月現在八社、こういう状況です。
海外進出は米加工業ばかりではございません。海外で米づくりを計画する農家も出始めております。当然だと思います。これだけの内外価格差、これだけの環境の悪さ、条件の悪さ。お百姓を一生懸命やろう、米農業を一生懸命やろうと思う人であれば、もっと広い天地で自由にやろう、そう思うのも無理からぬことでありましょう。オーストラリアン・ライス生産者組合によりますと、日本からの稲作視察は、稲作経営をしたいというので視察に来る人たちは、ウルグアイ・ラウンド農業合意直後から急増し始め、わずか半年の間に農家、農協、米穀流通関係者など含めて約五千人訪れた、こういうわけであります。
さあ、こうした状況について、農林大臣、もう時間がなくなってまいりました、どう思われますか。私は、段々思うにつれて、日本の農業、冒頭申しました特に米作農業、これに従事する人たちが本当に確保できるんだろうか。確保しなかったら、冒頭申し上げたように、主食たる米を国内で自給することはできなくなる。しかし、この米作に従事する若い人たちを確保することは、今の状況から判断して、私は極めて難しい事態ではないか。やる、やる、やる、やると言って、結果としては、とうとうあの昭和一けた代が去って、がさっと人口が減って、ほかの作物や果樹や花にはいろいろな人がやってみえる、しかし米だけは余りいないよという状況が来るのではないかとおそれるものであります。
もしそういうことだとすれば、我々政治家の役割は、一方で徹底した対策をとって、国内の農業を近代化するために、さっき言ったように、農業政策、経済政策としてやれる分野を徹底的にやる、中山間地を徹底的にやる。しかし、中山間地のことは、もう地域政策として位置づけ、しっかり地域を豊かにしていくということではないか。
さらにそれを突き詰めて言えば、豪州へそんなにも行って、豪州が環境条件がいいというのであれば、我らが命は、防衛はアメリカにゆだね、日米安全保障条約のもとに我らが平和を維持していただいている、我らが主食の米の食糧安全保障、例えば日豪食糧安全保障条約といったものを考えていくといったようなことも、もし政治は百年の計を考えることにありというのであれば、そういったことも我々は一方において真剣に考えていかなければならぬ事態ではないか。
しかしまた、そういうことを言うのは不見識だと言われるかもしれませんが、そういう事態に至らないためにも、冒頭申し上げ、それぞれお答えいただきました、絶対にそういう事態にはさせない、六年後今の米作農業が健全に、しかも明るい姿で維持されておる、こういう姿を必ず実現するとおっしゃいました。ぜひ実現されますよう心から願って、御答弁をいただく時間がなくなりましたが、また次回よろしくお願いしまして、質問を終わります。