栗田幸雄の発言 (税制改革に関する特別委員会公聴会)

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○栗田公述人 福井県知事の栗田でございます。
 諸先生方におかれましては、常日ごろから地方税財政に深い御理解を賜っておりまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。また、本日はこのような重要な場で発言をさせていただく機会を与えていただきまして、ありがたく存じているところでございます。
 さて、昨年来継続されてまいりました税制改革の論議が結実いたしまして、ここに成案が得られ、法案が国会に提出されたわけでございまして、まことに喜ばしいことでございます。
 今回の税制改革は、二十一世紀の高齢化社会の到来を控えまして、所得、消費、資産等の間でバランスのとれた税体系というものを構築することによりまして、高齢化社会を支える費用というものを社会全体で負担し合うようにする、そういう仕組みをつくり上げていくことを主眼として行われたものと理解いたしております。
 消費税につきましては、これまで各方面から指摘されておりましたいわゆる益税問題につきまして、制度の見直しか行われ、例えば簡易課税制度の適用上限を、現行売上高四億円から売上高二億円に引き下げるといったようなことがされているなど、国民にとりましてより公正な税制として受けとめられるのではないか、このように考えております。
 他方、今回の税制改革で特筆すべきことは、地方税源の充実にも目が向けられたという点でございます。従来、ややもいたしますと、毎年の税制改革の中で、地方税は国税の陰に隠れていたうらみがあったわけでございますが、高齢化社会の到来はすなわち地域社会の役割の増大であるということでございまして、その意味するところは、地方の住民にとりまして最も身近な地方公共団体が、これまで以上に重要な役割を担うことになるということでございます。こうした中で、時代の要請に沿うよう、今回、消費課税の見直しの中で地方消費税の創設が提案されましたことは、これからの地方公共団体の役割の増加に見合うよう、その税源を充実するという政治の強い意思のあらわれであり、大きな意義があるものと考えております。
 地方消費税の賦課徴収につきましては、当分の間税務署に委託することとされている点につきましては、さまざまな意見があるところでございます。本来、地方税につきましては、地方公共団体みずからが額に汗するというところに大きな意義があると考えられるところでございますが、私どもといたしましては、従来譲与税であったものが新税に組みかえられるという経緯の中にありまして、納税者の事務負担等を勘案いたしますと、地方消費税の導入に当たりましては、当分の間の徴収委託ということを行うのも一つの選択ではなかろうか、このように考えているところでございます。ただ、将来的には地方税本来の姿に戻していただきたいと考えております。
 ところで、地方公共団体にとりましては、教育、福祉、生活基盤の整備など、その遂行する仕事の性格上、より安定的な税収構造が望まれております。特に私ども都道府県にとりましては、法人関係税に偏った税収構造になっているわけでございまして、かねてからその不安定性が指摘されていたところでございます。地方消費税の導入は、その意味でも、都道府県の税収の安定化に寄与するものといたしましても意味があるもの、このように考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、私どもは、今回の税制改革は、昨年六月に衆参両院でそれぞれ行われました全会一致による分権決議の趣旨を直ちに具体化していただいたものである、このように感謝をいたしているところでございます。また、これは地方税制にとりまして本格的な間接税の導入を実現するものでございまして、シャウプ税制以来の大きな改革ではないかと考えております。そして、当然のことながら、今回の税制改革が最終目的ではなくて、今後の地方分権の流れに沿った地方税制の見直し、地方税源の一層の充実に向けての論議の始まりになるであろうと期待をいたしているところでございます。
 地方分権につきましては、外交、防衛、司法といったようなことは国で行われ、またそれ以外のことは地方公共団体に任せていただく、そういう意味での幅広い権限の移譲を我々期待しているところでございまして、その権限の移譲とあわせまして、地方財源の充実というものを期待いたしているところでございまして、今後、地方財源の一層の充実に向けて論議が高められることを期待しているわけでございます。
 一方、個人住民税でございますが、はっきり申し上げまして、これだけ地方財政が苦しい中での減税は厳しいものがございます。しかし、日本経済の実情を考えますと、当面の景気に配慮する観点から、個人住民税におきましても所得税と同様の措置を講ずることはやむを得ないものと考えているところでございます。ただし、減税先行に伴う地方債発行等につきましては、その負担につきまして、後年度適切に措置していただくことが何としても必要でございまして、今回の地方財政措置は、その点よく御配慮いただいたものと受けとめているところでございます。
 今回の税制改革につきましては、国民の各所得階層ごとの損得が云々されているわけでございます。この点につきましては、税制改革の影響を受ける個々の地方公共団体にとってみましても同じことでございます。しかし、およそ税制改革の議論にありましては、二十一世紀に向けての安定した税制を構築していく上で、あるべき税制とは何かという観点から、単なる目先の損得にとらわれることなく考えていくことが必要であると思われます。こうした観点からの税制改革論議が行われることを期待しているところでございます。
 ところで、税制改革に関連いたしまして、ぜひとも行政改革を推し進めなければならない、このように考えているところでございまして、このことは国・地方を通じて必要なことでございまして、行政改革が進められるということがこの税制改革についての国民の理解を深めることになるわけでございまして、そしてまた、行政改革の実施の状況を国民の前に明らかにし、行政改革についての国民の理解を得ることが大事ではなかろうか、このように考えているところでございます。
 なお、最後になりましたが、特別地方消費税につきまして、その存廃の議論が出ております。
 この税につきましては、平成元年度の抜本改革におきまして、課税対象とされている消費行為と個別の地方公共団体の行政サービスとの間に緊密な対応関係があること等から、地方の独自財源として存続し、税負担の調整を行った上で消費税と併課することとされたものでございまして、地方公共団体にとりまして重要な税収となっているわけであります。また、特に観光県さらには温泉所在市町村にとりましては大きな意味を持っているものでございます。
 こうした点を踏まえますと、何らの代替税源の検討なしに単に廃止という議論が行われるようなことにつきましては、我々といたしましても慎重な立場をとらざるを得ないところでございまして、今後地方消費税の実施時までに幅広い視点からよろしく御検討をいただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。
 今回の税制改正につきまして、法案審議の上、速やかに御決議を賜りまして、安定した地方税制の構築にも資していただきますように心から期待をいたしまして、私の発言とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 113104584X00119941107_006

発言者: 栗田幸雄

speaker_id: 20903

日付: 1994-11-07

院: 衆議院

会議名: 税制改革に関する特別委員会公聴会