中川宏一の発言 (税制改革に関する特別委員会公聴会)
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○中川公述人 連合の中川でございます。
まず、私どもにこのような機会を与えていただきましたことに厚くお礼を申し上げたいと思います。
お手元に私どもの意見要旨を配付させていただいています。十五分間という時間的制約がありますので十分お話ができないかなと懸念しておりますので、不十分な点は意見要旨を御参照いただきたいと思います。
私どもの基本的な考え方は次のようなものであったわけです。連合は減税を要求してきましたが、景気対策としての減税を二、三年先行させながら、景気動向も見ながら、本格的な税制改革、とりわけサラリーマンの重税構造に抜本的にメスを入れながら高齢化社会の福祉や負担のあり方を含めて十分時間をかけて議論をし、国民的な合意を形成していくべきだ、そうした中で税制改革を実施すべきだというふうな考え方を我々は主張してまいりました。そのために、とりわけ、一体処理と言われ、あるいは財源を消費税率アップのみに焦点を当てていく、こういうふうな考え方には基本的には納得できないというふうに考えてきたわけであります。
ただ、お断りをしておきますが、連合は、今日の状況のもとで福祉のあり方その他を考えたときに、間接税に一定の比重を置くことに必ずしも反対ではありません。しかし、今国民が税制に対していろいろな不満を持っている、不公平税制と感じている多くの課題に結論を出すとか、あるいは方向性を明らかにするということがまず先ではないかという立場をとってまいりました。こういう観点から、連合として税制改革大綱や高齢化社会に向けての福祉と負担のあり方についても論議をしてまいりまして、一定の結論と組織内の合意形成を図っているところであります。そういう立場で旧連立時代にも、あるいは現在の与党政権にも、同じことを申し上げてきたわけであります。
以上の考え方、基本的な立場を申し上げまして、意見陳述の要旨を御参照いただきたいと思います。
その中に、年収別の税と保険料の負担割合の一覧表が出ております。これを見ておりますと、九四年度こそ負担は下がっていますが、九五年度から社会保険料なども上がって、九七年度からは間違いなくあらゆる年収でアップしていくわけであります。年収、年四%増を前提にしているわけですが、これに見合う可処分所得の増加が図られなければならないということであります。あるいは社会福祉など国民が払った負担に見合う社会的な還元、住みよい、暮らしよい社会が実現し、社会的公正と実質生活が向上しているという実感が国民に持てることが重要になってきていると思います。労働組合としての連合の役割もまた重要であるということを痛感する次第です。
さて、今回の税制改革について、総括的評価について申し上げたいと思います。
旧連立時代から通じて、確かに幾つかの前進面があります。減税の継続、それから消費税の益税の是正、さらには地方消費税の創設、税率区分を広げ大多数のサラリーマンが税率一〇%から二○%でおさまるということ、旧連立ては最高税率引き下げが検討されていましたけれども、据え置かれたということであります。また、寝たきり老人などへの配慮が見られるなど、村山政権の「人にやさしい政治」ということが若干は見られるというふうに我々も感じております。
しかし、行財政改革や福祉ビジョンの具体化が不明確になっていること、国民が一番感じている不公平税制などが先送りとなり、減税財源の担保として消費税五%アップなどが明らかになった、財源対策のみが先行しているという意味では、国民の期待には十分沿い得ていないと考えているわけであります。
そういう意味では、今回の税制改革の目的は、景気対策あるいは国際公約を最優先し、あるいは中堅所得者層、ここの点で政府は中堅を年収一千万円ぐらいを考えておられるようですが、我々の組合員、男子平均では五、六百万ぐらいです。そういう意味ではちょっと中堅所得者層というのについては若干の我々の感覚と違いがありますが、税負担の軽減といったものにしかなっていないと感じております。
また、二階建て減税方式について申し上げてみたいと思います。
先ほども申し上げましたように、減税財源の明記、担保という制約条件を前提にすれば、この二階建て方式も一つの選択肢であると思います。ただ、後述しますように、制度改正の中身を含めてこの問題について連合として納得しているわけではありません。特にこの制度改正の中身では、各種人的控除、配偶者特別控除、特定扶養控除の一律引き上げは女性の社会進出や税の公平、簡素化に逆行しているのではないかというふうに考えております。そういう意味で、基本的には、基礎控除、給与所得控除などを中心に課税最低限の引き上げを図る必要があるというふうに考えております。
四番目の消費税率の五%の引き上げについてでございますが、ここにありますように、また申し上げましたように、五%明記は若干急ぎ過ぎではないかというふうに考えているわけであります。当然、減税財源は、景気回復による税収増や、あるいはこれから抜本的な税制改正をやるために資産課税の適正化や総合課税化、あるいは少し前進しましたが消費税の益税是正、行政改革による歳出削減などで賄うべきであるというふうに考えているわけであります。そういう意味で、今後の検討を期待するところ大でございます。
五番目の地方消費税の創設についてでありますが、これは連合も強力に要求してきたことであり、一歩前進であるというふうに考えております。ただ、地域福祉の担い手である市町村の福祉財源への充当の明確化を連合は求めてまいりましたが、今回二分の一ということになりました。一歩前進として評価をいたしますが、さらに充実が必要であると考えております。
六番目の納税者番号制度の問題であります。これは連合がかねがねから要求してまいりました。今回、与党の税制改革大綱の中では、二十一世紀初頭をめどに導入に向け積極的な取り組みを行う、こういうふうに明記されております。従来より一歩踏み出した表現になっていることを評価をいたします。また、村山首相も導入に積極的な答弁を行っておられますので、政府としても、総合課税に向けて資産課税の強化など環境整備を促進していただきたい。しかも、二十一世紀初頭ということではなく、もっと早目に具体的な検討を進めていただきたいというふうに思います。
それから次に、我々が税制改革を、あるいはこの消費税アップの前提条件として行革や福祉ビジョン、ここにありますように、大変お世話になりましたが、基礎年金の国庫負担問題、こういった問題について明確にしていくべきであるというふうに考えております。
行財政改革の推進による歳出の抑制、これについては、これまでも強調しておりましたし、政府は行政改革推進方針を決定されていますが、その具体化を一層進めていただきたいというふうに思います。特に公共事業では、首都圏では七割が土地代だというふうに言われるように高い地価の引き下げ、この点では、地価税は定着強化という考え方を持っております。さらに公共事業費は、日米比較では三割ぐらい高い、こういうふうに言われています。こういったことについてもっとメスを入れていただきたい、こういうふうに思っております。
それから、福祉ビジョンの問題です。三月に出されました厚生省の福祉ビジョンはいまだ一懇談会の報告であります。政府の正式なビジョンになっておりません。政府としての福祉ビジョンの明示と財政計画の策定が必要であります。その点で、早急にビジョンの策定と、それに伴う財源措置の提起を求めてまいりたいと思います。
それから、基礎年金の国庫負担引き上げです。今後、年金保険料のアップに伴ってサラリーマンの保険料の負担は非常に多くなります。そういう意味で、公的年金制度の信頼と安定化に向けて、基礎年金の国庫負担の引き上げは重要な課題だと認識しております。連合は次期再計算までに二分の一に向けて段階的に引き上げることを要求しておりましたけれども、この点についての具体化を進めていただきたいというふうに思います。今回の年金改革法案の修正では国庫負担の時期や幅が不明確になっておりますが、ぜひともこの点について御尽力をいただきたいというふうに思っております。
最後に、これまで連合がこの税制改革について基本的な考え方をいろいろ出しておりました。とりわけ、賃金が上がれば税金がそれだけ上がる、それ以上に上がるというふうな仕組みについての是正を特に強調してまいりました。これが物価調整減税制度ということであります。そういう意味で、この自然増税を緩和する物価調整制度の導入をぜひともお願いをしたいというふうに思っています。
また、不公平税制の問題については、具体的な問題が七年度の年度改正に先送りをされております。しかし、消費税率アップを国民に求める以上、国民の税に対する信頼を得るためには徹底した是正が必要であります。昨年は交際費や公益法人への課税の適正化、使途不明金への課税強化、租税特別措置の合理化などが実施されました。今年度もとりわけこの点について強力な是正をしていただきたいと思います。
この点について、地価税の緩和の動きがあるやに聞いておりますが、この点については、私どもは、バブルの再燃をしないように、より定着、充実していく方向へ持っていくべきだと考えております。また、租税特別措置法についても思い切って洗い直すことについて、我々としてもぜひとも進めていただきたいというふうに思っております。
最後になりましたが、いずれにしても、納税者という表現になっておりますが、国民が税金を払うんだ、タックスペイヤーというふうな意味では、より国民が進んで税金が払えるような環境整備をぜひともお願いをしたいと思います。そういう意味で、申告納税環境の整備と執行体制の整備についてより一層の推進をお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。(拍手)