犬丸令門の発言 (税制改革に関する特別委員会公聴会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○犬丸公述人 社団法人日本自動車連盟の犬丸でございます。税制改革特別委員会において発言の機会をいただきまして、厚く御礼申し上げます。
今回の税制改革案に関連いたしまして、個別論で恐縮でございますが、主として自動車に関する税制について要望申し上げます。
我が国の四輪の自動車の保有台数は、現在約六千三百万台であり、我が国の経済社会において極めて重要な役割、機能を持っております。しかしながら、我が国の自動車の増加が他に例がないほど急速であったことも原因いたしまして、自動車に関する税制は不合理な面を数多く持っております。自動車関連の税金は九種類の多きを数えるとともに、他に例のないほど複雑であり、制度に内在する不合理や不公平が納税者にはわかりにくい仕組みとなっております。
第二に、特に自家用乗用車について見ると、その保有台数は四千百万台と全世帯の九〇%に普及して、庶民の生活の足ともなっているにもかかわらず、税制は自家用車はぜいたく品であるかのごとく、結果として高額の負担を強いられる構造になっております。
第三に、我が国の道路は近年かなりの改善を見ておりますが、道路容量及び質が経済社会活動に対してまだまだ不十分であり、今後高齢化社会の到来を考えるとき、今のうちに立ちおくれを取り戻すため整備を急ぐ必要があります。
以上の諸点につき、以下具体的に述べさせていただきます。
自動車の税金は、まず取得段階において消費税及び自動車取得税の二種類があり、購入後の保有段階では走行キロに関係なく自動車税、軽自動車税及び重量税の三種類、そして使用段階では揮発油税、地方道路税、軽油引取税及び石油ガス税の四種類で、合計九種類の多きを数えており、極めて複雑であるばかりでなく、同一、類似の目的による課税、乗用、貨物、排気量、重量、燃料別等による分類が複雑であり、納税者には極めて難解であります。
したがって、これらを購入段階、保有段階、使用段階で統合、簡素化する必要があります。特に今回の消費税についての税率アップに際しましては、現在の取得段階での自動車取得税と消費税の二重課税という不合理で高負担を解消するため、自動車取得税を廃止して税制の明確化を行っていただきたいと考えます。
また、ガソリンにつきましては、一リッターについて五十三・八円のガソリン税及び地方道路税がかかっておりますが、このガソリン税を含めた小売価格に対して消費税がかけられており、税金に税をかけるという不合理があります。ぜひこれを解消して、消費税はガソリン本体価格のみにかけるという形にしていただきたいと考えます。
次に、自動車諸税の不公平について申し上げます。
自動車の保有段階の税金として自動車税と自動車重量税がありますが、自動車税について見ると、排気量二千ccの自家用乗用車については年額三万九千五百円に対し、二トン積みの自家用トラックについては一万一千五百円となっており、乗用車はトラックの四倍近い税額であります。また、重量税については、車両重量一トン当たりの税額は自家用乗用で一万二千六百円、トラックで六千三百円であり、乗用車がトラックの倍額となっております。
自動車税及び重量税はいずれも道路の利用及び道路損傷に対する受益者負担と考えられるため、このような不公平は自家用乗用車に対する著しい差別、虐待であります。トラックの走行キロは乗用車の走行キロを大幅に上回るものであること、また我が国の道路は今後、維持管理、補修のコストが次第に増大していくことを考えるときに、これらの自動車保有税の不公平は早急に見直し、改善が必要であると考えます。
次に、自動車に使用される燃料課税の不公平について申し上げます。
ガソリンに対する課税としては、揮発油税と地方道路税があり、合計して一リッター当たり五十三・八円となっており、一万軽油に対しては軽油引取税があって、一リッター当たり三十二・一円で、この税額はガソリンの○・六倍となっております。これらの税金はいずれも道路整備を目的とする特定財源であるにもかかわらず、現行のような著しい税格差は産業優先の典型であり、ガソリン車にとっては大きな不公平であります。
欧米諸国ではガソリンと軽油の税率の格差がこれほど大きな例はなく、逆にアメリカのように軽油の税の方が高いという例もあります。
燃料税は自動車諸税の中で唯一走る距離に比例する公平な税であるはずでありますから、この基本となる燃料課税の不公平を改善することがぜひ必要であると考えます。
次に、道路整備の促進について申し上げます。
道路は国民生活及び社会経済活動のかぎを握り、国土発展のための重要な社会資本であります。しかし、その整備水準はまだまだ著しく立ちおくれており、交通渋滞は全国各地に蔓延して、莫大な経済損失を生じさせているばかりでなく、交通事故発生の要因ともなっています。また、我が国は今後急速に高齢化社会を迎えることでもあり、活力ある社会の発展のためには、今のうちに道路整備を急ぐことがぜひ必要であります。
ここで、国及び地方の道路投資額について見ると、平成五年度では国及び地方合計で約九兆五千五百億円であり、これは有料道路への出資金等を含んだものでございます。一方、自動車関係諸税の税収額は合計で同じく平成五年度で七兆六千七百億円であり、また日本道路公団等の高速道路、有料道路の料金収入の合計は二兆三百億円であります。すなわち、自動車使用者の税金または高速料金としての支払い額は合計九兆七千億円となり、道路投資額の九兆五千五百億円を上回ることになります。
このことは、現在の一般道及び高速道路に対するすべての投資額は、現在走っている自動車がすべてを負担していることになるわけで、一般財源の投入は全く受けていないことになります。今後の我が国の経済社会の発展のため、一般財源からも十分な資金を投入し、道路整備を推進していただきたいと考えるものであります。
以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)