志賀節の発言 (法務委員会)

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○志賀委員 大変身近な問題として取り上げてみたいと思いますことは、一票の格差是正問題でございます。
 これは、従来、しばしば選挙無効請求事件というようなことで、今日まで取り上げられてきていることは御存じのとおりでありますけれども、一票の格差を是正することが憲法違反を免れる道であるというような感覚を、最高裁は持っておられるような気がいたします。何よりその証拠には、従来出されている判決文がそれを示しておるわけでございますけれども、この判決どおりに事を運ぶならば、既に指摘をされておるところでございますが、過密には過密、過疎には過疎の拍車がかかるだけである、これはもう明白でございます。
 例えば、私の選挙区は、小選挙区になる前段階でお話をすれば、岩手二区と申しますが、この岩手二区は、従来定数四名でございましたが、昨年の七月執行の総選挙以降、定数は一名減の三名になっておるわけでございます。この三名が、それならば今後何かの拍子に四名に戻ることがあるだろうかと考えると、可能性と申しますか、蓋然性としてはむしろ二名に減る方向にあるのではないだろうか。今の趨勢からすれば、そう断定せざるを得ない。
 要するに、民主主義は数の論理と言われておりますが、その地域の有権者がふえれば代表者をふやす、その地域の有権者が減ればそれだけ代表者も減らす、こういうことでまいりますと、わかりやすい言葉で言えば、松葉づえを必要としている人から松葉づえを取り上げて、到底松葉づえなんか必要なくやっていける人にその松葉づえをあてがうというような形になるのではなかろうか。例えば、東京その他の大都会は、黙っていても人口がふえていく、それなりにやっていける。そういうようなところがどうしても代表者はふえざるを得ない、このことに私は大きな疑問を持つ次第でございます。
 代表者がふえれば、当然それだけ財政的にも政治的にも有利な条件が整うわけでありまして、それが減ればその逆でありますのでありますから、私の地域は、代表者の頭数が四名から三名に減れば、四名に戻るよりはさらに一名減る、二名減る方向に動くのではないかと考えるのが自然のことわりでありまして、こういうこと自体が既におかしい。もっと憲法に則して申し上げるならば、文化的な最低生活を保障している憲法、あるいは職業の選択の自由を保障している憲法の上から見て、事実上過密を生んだり過疎を生んだりしていく方向づけの最高裁の判決そのもの自体が憲法違反になっていないだろうか、私はこういう疑義を抱くわけでございます。
 それだけではございません。既に法務委員会で何回か前の質疑の中にもあったようでありますが、三権分立が近代国家の建前になっております以上は、これをやはり厳守すべきでありますが、今、日本の立法府の構成にかかわる問題、要するに国会議員の構成をどういうふうにしていくかについての問題で、最高裁判所がくちばしを入れるということは、これは明らかに裁判所が立法府にくちばしを入れていることでありまして、三権分立を侵していることになりはしないか、こういう点でも憲法違反につながっているのではないだろうか。
 こういうことを考えますと、私は、今直ちに最高裁にこの問題をめぐって違憲訴訟を起こすつもりもなければ、準備もございませんが、しかし、このこと自体を取り上げてみても、一票の格差是正というのは、果たして違憲訴訟になじむ主題なのか主題でないのか、これを疑わざるを得ないのでありますが、こういう点に関して、当局はどういうお考えを持っておられるかをこの機会に承っておきたい。

発言情報

speech_id: 113105206X00319941109_006

発言者: 志賀節

speaker_id: 23231

日付: 1994-11-09

院: 衆議院

会議名: 法務委員会