志賀節の発言 (法務委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○志賀委員 そうであればあるだけに、ただいまわずかな例として申し上げたにしても相当深いところにかかわっておることでございますから、私のただいまの質問の内容等も十分銘記しておかれたい、これは私からの希望でございます。
なお、ただいま御説明のありました欧米における、欧米というよりも欧州における憲法裁判所についてでありますが、私の承知している限りでは、民主主義国家、あるいは民主主義国家としてのメカニズムの中で、なおナチス・ドイツのようなものが政権掌握をしてしまったという反省に基づいて憲法裁判所というものは生まれたのだというふうに、私は少なくともそういうふうに学んできたわけでございます。要するに、いかに民主主義国家の容貌を備えていようとも、一歩間違えると何がその国家の中で起こるかわからないのだという、いわば謙虚な反省、あるいは慎重な姿勢が必要だと思うのでございまして、そういうところにドイツの憲法裁判所の設定が起因しておる、こういうふうに私は聞いておるわけでございます。
そこで、私は、日本の場合も、今お話がございました、当局としては確たるこの哲学にかかわるような問題は打ち出せないのだというお話でありましたから、それはそれでいいとして、十分に心にとめておいていただきたいというのはそういうことである。現に、我が田に水を引くようで恐縮でございますけれども、小選挙区制度というものはいずれ導入されると思いますが、私は決していいものだと思っておらない。これはよりナチズムのようなものを生みやすい土壌をつくると理解している一人でございまして、少なくともこういうことが直接の原因ではなくても、最高裁判所の一票の格差是正のようなものが遠因か一因になったとするならば、これはゆゆしき問題ではないかと私自身考えておるのでありまして、この憲法裁判所というようなものについては、これからぜひ深く御討究をいただきたい。これは、私からの切なる希望でございます。
さて、ここで教えていただきたいと思いますことは、もう一つ憲法にかかわることでありますが、今までいわば連邦国家を形成しておりましたソ連邦が、ベルリンの壁の崩壊以降これまた崩壊いたしまして、てんでんばらばらの共和国家になってまいりました。それとは全く裏腹に、西欧十二カ国がEUという名のもとに、欧州国家運邦と申してもいいようなものを形成しつつあります。これは行く行く、EMSと呼ばれております、EMSという頭文字であらわされる共通通貨もつくられよう、こういうことが言われている中で、やはり憲法というのは国の基本法でありますから、EUに基本法が将来できないはずはない。もしこれが連邦国家になれば当然そういうものができてしかるべしであろうと考えておるのでございますけれども、そのEUの憲法というようなものは、現段階ではどういう方向にあるのか、御存じであれば教えていただきたい。
例えば、それぞれの国が持っている、国というのはドイツとかフランスとかイタリーとかですが、それとは全然別に憲法全部を、全部の国々の基本法となるべき憲法を別途考え、これをつくろうとしているのか。それとも、従来ある各国の憲法の共通項を取り上げて、いわば小異は一応捨てるというよりもさておいて、大同は認め合って憲法にしていく方向とでもいうものを考えているのか。そういうようなことはどういうことになっているのか。今後の日本の場合も、あるいは法律というものを考える上においても大事なことだと思いますので、教えていただきたい。これが当局に対する私のこの問題に関する質問であります。