村上清の発言 (厚生委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(村上清君) お答えいたします。
日本で国民年金ができましたとき、これは違っているかもしれませんが、私の理解でございますけれども、その前にイギリスで国民保険といいますか、定額の年金をやっておったわけですね。ビバリッジという方が社会保障の神様みたいになっておりまして、ビバリッジが考えたのは、定額掛金で定額給付、だれからも例えば一万円ずつ取って三万円ずつ上げるとか、それが公平だと彼は考えたわけです。多分その影響を随分受けているんだろうと思うんです。というのは、発足当初の記録を見ますと、イギリスのことを随分調べていらっしゃるわけです。
ところが、国民年金がいよいよ発足しかけたころに、イギリスでは定額じゃやっていけない、つまり定額方式というのは、当時のイギリスの白書の言葉をかりますと、たくさんの船が船団を組んで行く、一緒に行こうと思えば一番遅い人についていかなきゃいけない、つまりみんなから取ろうと思えば低い掛金しか取れないわけです。そうすると、まともな給付ができない、あるいは破綻しちゃうということで、もう既に所得比例に切りかえようという話が出ていたんです。
小山進次郎さんは多分それを見ていらしたんで、将来は能力に応じた良担にすべきだと。ただ、それを言ったんじゃ始まらないから、とにかく始めるんだということでお始めになった。その功績は高く評価していいと思うんですね。もし国民年金がなかったら、今農村の、過疎のお年寄りは大変なことになっているわけでございますので、私はその意味で、小山さんだけじゃなくて厚生省の方の努力を大変高く評価したいと思うんです。
ただ、そのときにイギリスはもうだめになっちゃったということを目の前にしながら発足したわけです。その後を見てもないわけです。社会保険料というのは能力に応じて徴収するのが当然じゃないんでしょうか。つまり、収入のない人から取れとか、日本では免除があるけれども、免除にしたら三分の一になっちゃいますね。
そういうことを考えますと、これは私の意見というよりも、私は外国の専門家に会うたびに日本の窮状といいますか、困った状態を訴えて、何がいいと聞きます。そうすると、やっぱり一つの御意見は税方式だということです。これはごらんのようにほとんどの国が税方式です。それに対して目的税の国もございます。例えば、カナダなんかは最初は目的税でやって後で一般税収に変えたと。だから、それはどっちとも言えないんでございますけれどもね。
それから、もう一つの御意見は、これはアメリカ人が言うんですけれども、自営業も全部厚生年金に入れちゃえと言うんです。アメリカの社会保障は、もう働き手全部、自営業であろうと何だろうと所得をがっちり捕捉して、それから社会保障税ですから税務署が税金と一緒に取っちゃうわけです。それで、基礎年金については居住だけを要件にして払ってやる。そういう意見を私はアメリカの大変偉い専門家お二人から聞きました。アメリカ人の発想からすればできるんですけれども、日本はクロヨンというのがございまして、それができるんだったら最初から自営業も厚生年金に入れちゃえばいいんで、そうすると、今で言うと、一号、二号、三号のうち一号がなくなって二号と三号になるわけです。三号というのはまさにもう税方式でしょう、働き手が所得に応じて払っている掛金でみんなが基礎年金をもらうわけでございますから。だから、日本も半ば部分的にはもう税方式のような要素が入っているんですね。
そういうことを考えますと税方式しかないし、そうすると事務が非常に簡素化になるんです。人手も省けます。そして、その事務費にかかっているお金というのは税金なんですね。これはお調べになれば相当な額でございますよ、国民年金は。恐らく、外国人が見たらびっくりするぐらい高い率の負担になっております。これは役所の人が怠慢じゃないんです。大変な苦労をしていらっしゃるにもかかわらずそうなっているわけですね。
ただ残念ながら、ある時期に消費税は悪い税だ、新税は悪税というイメージを、だれが植えつけたか知りませんよ、でも植えつけられた方がたくさんいるわけですよ。それが浸透しちゃう。日本のマスコミというのは要するに役所が言うことをただそのまま書くんですよ。木鐸じゃないですかと言ったら、皆さん昔はそうでしたとお答えになる。――きょうはいないでしょうね。木鐸も少しいると思うんですけれども。そういうことでございます。