小野晋也の発言 (科学技術委員会)

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○小野委員 長官の方から幸せとか温かさだとか、人間ということにつながる技術のあり方を模索していかなくてはならないと言われたのは、私も全く同感なんです。
 技術の歴史をまた振り返ってみました場合に、昔の技術というと、人間が歩くとわずか時速四キロメートルでしか歩けないけれども、自動車が発明されたら六十キロメーターで走れるとか、飛行機が発明されたら時速八百キロメーター、九百キロメーターで飛べるとか、だから足の機能を拡充する。また、手の面で申しますならば、小さな部分を扱おうとしたらマジックハンドみたいなものを使いながら扱わなければやれないとか、人間の手ではやれないことを機械ならばやれるとかいうようなことで、かつての一番古い時代の技術というのは、人間の体の機能を拡張する技術だったような気がいたします。
 それがここしばらく、制御技術だとか情報技術だとが入ってきますと、これは何かというと、実は頭の技術になってきたと思うのですね。
 ところが、これから先の技術体系のあり方ということを考えていくと、やはり長官が言われた人の幸せというものをどう技術の中に織り込むのか、人が生きがいという問題を感じられるような技術というのはどういうものなんだろうというような、ある意味ではこれまでの技術が取り扱えなかった心の問題というものを、この技術体系の中にいかに盛り込んでいけるかということが問われる時代になってきているだろうと思っております。ですから、先ほど言われましたような視点から、またこれは恐らく世界じゅうで模索している段階だと思いますけれども、科学技術庁の姿勢の中においても、ぜひ追求をしていっていただきたいなと思っている次第でございます。
 引き続きまして、もう先ほど長官の答弁の中にもございましたけれども、この科学技術白書を拝見させていただいておりまして非常に数多く出てくる言葉というのは、実は「新たな産業」という言葉なんです。恐らく十数カ所この白書の中に出てきていると思うのですね。ですから、今、時代が閉塞的な状況の中に入ってきて、特に、経済社会の中においても新しいブレークスルーを行うような技術がなかなか生まれてこない中で、世界経済も成長の道をどこへ求めていいかよくわからなくなってきているというような状況の中で、科学技術が先導役を務めながら新しい時代を切り開いていこうじゃないか、こういう非常に力強い気概がこの白書の中にこもっていると思います。
 例えば、こういうふうに紹介されているのです。
 先進諸国では、成長著しいアジア諸国をはじめとした開発途上国の追い上げ等を踏まえ、経済成長、競争力確保、雇用創出が共通の大きな政策課題となっている。このような状況のなかで、我が国を初めとした先進諸国には、基礎研完の成果をも踏まえた技術革新を進め、独創的な新しい技術に基づく新産業の創成を継続的に行っていくことが求められるが、そもそも、新たな産業を創出し、雇用を確保していくためには、企業家精神の発揮とともに、基礎研究から応用開発にわたる、幅広く、総合的な厚みのある、持続的な科学技術力が必要とされる。
 これがまさにこれからの科学技術庁が目指しておられる方向だろうと私は思います。
 これを読みながら一点気になった点を申し上げるとするならば、新しい、新しいという言葉を随所に込めながら、実はその新しさが、何が新しいのかということについて具体的な絵が描かれていない部分がこの白書の中にあるということでございます。これは、恐らく皆さん方の英知を傾けて、いろいろと議論をされた上でもまだ不明確なものが残られるために、それを表現されておられないと思うわけでございますけれども、イメージだけで結構でございますから、どのような産業分野を想定されながらこれを描かれてこられたのか、そしてまた、そのイメージに基づいて、今後科学技術研究の内容の方にいかなるフィードバックをかけながらその方向づけを行っていこうとしておられるのか、この点についてのお尋ねをさせていただきたいと存じます。

発言情報

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発言者: 小野晋也

speaker_id: 14105

日付: 1995-02-15

院: 衆議院

会議名: 科学技術委員会