石橋大吉の発言 (災害対策特別委員会)

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○石橋(大)委員 私は、法案の改正点に即して忠実に幾つか質問をしたいと思うのですが、大きく言いまして、この法律改正の目的を達成するために本当に実効性のある措置がとれるかどうか、これが全体の問題意識であります。
 この法案は、今提案理由の説明にもありましたように、「阪神・淡路大震災に対処するため行われた災害応急対策に係る車両の通行が著しく停滞した状況等にかんがみ、災害時における緊急通行車両の通行を確保するため、都道府県公安委員会による災害時における交通の規制に関する措置を拡充するとともに、車両の運転者の義務、警察官、自衛官及び消防吏員による緊急通行車両の確保のための措置等を定める必要がある。」こういう認識に基づいて所要の法律改正が行われるものであります。
 提案理由を拝聴する限り、まことにもって時宜にかなった法律改正だと考えるわけでありますし、改正点も非常に限られた単純な改正であります。しかし、実際問題として果たしてどうか、こういうことを考えると、いろんな疑問や困難が生ずるのではないかと予想されるわけであります。
 質問に入る前に二つだけ前提を置かせていただきます。
 一つは、この法律の改正案は、「災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合」の車両の通行規制について規定するものでありますが、私は、災害の発生が予知できて、それが発生する前の交通規制であれば、この法律改正の目的を実現できるような規制が比較的可能だ、こう思っていますが、災害の発生後ということを前提にしますと、そう簡単ではない、こういうふうに思うわけです。そういう意味では、第一に、災害の発生後ということを前提にして質問をします。
 二つ目には、今回の兵庫県南部地震のように、早朝五時四十六分、人々が日常的な社会生活や経済活動を始める前に大地震災害に見舞われた場合と、関東大震災のように、午前十一時五十八分、昼前ですが、人々が非常に活発に日常活動や経済活動を行っているさなかで大震災に見舞われた場合とでは非常に大きく違う、こういうふうに思うのです。
 したがって、災害の発生後ということ、そして日常の経済活動や社会活動が非常に活発な状況の中で大災害が発生をした、こういうことを前提にして以下の質問をします。
 まず一つは、都道府県公安委員会の指定する車両の通行規制の範囲についてですが、法第七十六条によって都道府県公安委員会が指定する車両の通行規制の範囲は、法文の規定を読む限りかなり限定的なものに思われるわけでありますけれども、実際の態様は災害の規模、範囲によって当然異なってくるわけであります。その実態によっては、例えば神戸市の一区域内ということもあるでしょうが、神戸市の全域あるいは阪神地区全域、こういう広範囲にわたる場合もあると思います。東京の例でいえば、東京の二十三区の中だとか、部か全域だとか、あるいは首都圏全域にわたるとか、災害の状況によっては非常に広範囲にわたることが考えられます。そういうふうに当然考えられておると思いますが、その辺はどうか、こういうことが一つであります。
 二つ目に、そういう場合に、規制の対象が広範囲にわたったときには現在の警察や消防の対応だけでは法改正の目的を実現することは非常に難しい、こういうふうに思われるわけですね。
 関東大震災の例などを見ますと、地震は御承知のように大正十二年九月一日の午前十一時五十八分に発生しているわけですが、当時、警視総監は直ちに、警視庁、各警察署の焼失などによって災害地の治安を残存警察官のみで維持することは不可能だ、こういうふうに考えまして、当時は軍隊がまだありましたから、東京衛戌司令官に出兵を要請し、その依頼にこたえて、衛戌司令部では、九月一日夜に近衛師団そして第一師団に命じて要所に兵を派遣して警戒に当たらせる、こういう措置をとっております。そして、九月の二日には当時の東京市と府下五郡に戒厳令をしき、さらに三日には戒厳区域を東京府、神奈川県全域に、そして四日には埼玉、千葉二県にも拡大して関東戒厳司令部を設置し、司令官、参謀長を任命しながら、地方からの師団の出兵もあわせ求めまして、その総兵力は約五万に及んだ、こういうふうに言われているわけであります。
 古い言葉ですから戒厳令というのはわからない若い方が多いかもしれませんが、戒厳令というのは、非常事態に対して行政権や裁判権を軍隊にゆだね、兵力によってその地域を警備する、こういう布告でありますが、それでも流言などによって百数十名の朝鮮人などが惨殺をされた、こういう悲惨な状況が起こっているわけであります。
 直ちに軍隊を動員するという状況には今ありませんけれども、いずれにしましても、災害がこういう広範囲にわたって、予想されるいろんな異常事態の中で果たして法改正の目的を警察官を中心にして実現することができるかどうか、大変疑問があるわけでありますが、この点についてまず伺っておきたいと思います。

発言情報

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発言者: 石橋大吉

speaker_id: 11680

日付: 1995-06-01

院: 衆議院

会議名: 災害対策特別委員会