志賀節の発言 (法務委員会)
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○志賀委員 則定局長の御説明と私が先ほど申し上げたことは、概略変わりないと思います。ただ、多少の解説を施さないと、この婦人が、富士茂子という人だそうでありますが、若干誤解を招くかもしれないので申し上げておきたいのは、内縁の妻とございましたが、それはそのとおり表現に間違いはないと思いますが、本人も、殺されたその内縁の夫もともに再婚、三婚同士だそうでございまして、お互いに入籍はなぜかしないということに話をしていたということで、これは必ずしも公序良俗に反することを好んでやっていたのでないというふうにこの点は御理解いただきたい。しかも、二人の間に生まれた子供は父親の方が認知をして自分の子にしておった、こういうことでありまして、何かこの犯人に見誤られた人間が非常によくない人間のような印象は、この機会に私は払拭をしておきたい、この仏のためにも、そう考えておる次第でございます。
くだくだしいことは時間の関係で省きますが、こういうふうなことが現実にございます。しかも私は、このテレビの画面を見ておりまして、実際泣いたのでございますけれども、十二年の刑期を保釈によって務め上げて出てきた彼女が徳島の旅館に行きまして、そこで待ちもうけていたのは、奥さんがやったんだと法廷で証言をした昔そのラジオ商の家に勤めていた店員二人が、私どもは全くうその証言をしてしまって十二年も奥さんにこういうことを経験させたことは申しわけないということを涙ながらにおわびをする。普通の感覚ですと、この二人の店員に対して、まあ形相も物すごく荒々しく食ってかかったか、あるいは暴力を振るってもおかしくない場面でありますのに、この婦人は、私も十二年間苦しんだけれども、あんた方も十二年間大変だったんだよね、御苦労さんだったねと言ったというのを、私は聞いて涙したんです。
私は、かつて、キリスト教の牧師が自分の愛する妻ががんであるということを医者からひそかに告げられて、そのことを妻に打ち明けようか打ち明けまいかということに悩んだあげくの果てに、その妻におまえはがんなんだよということを打ち明けた、そのときにその奥さんが、あなたも今まで私にこれを打ち明けるのにどんなに苦しんだんでしょう、本当にあなたに御苦労かけて申しわけなかったわ、でも私たちはこの日のためにこの信仰に生きてきたんじゃないのと言ったという本を読んで、私は泣いたのでございます。私は、同じような思いがこのときしたということを、この機会に告白をしておきたいと思います。
私は、こんな清らかな人の人生をめちゃくちゃにしてしまうような公権力というのはあっていいんだろうか。しかも、この人は牢屋から出された後、徳島駅前でビラ配りするんですね、自分の無実を訴えたくて。最初のうちはみんなそっぽを向いて行ってしまう。そのうちに結局一人、二人と彼女の理解者、同調者が出てきて、最終的には大きな公会堂を満員にするような集まりができて、そこで瀬戸内晴美さん、瀬戸内寂聴さんですが、出てきて話をする、そこまでいくのですが、これはやっぱり自分自身が生きていてやっているからこういうことができるので、これを死刑囚になぞらえるならば、恐ろしいことだなと私は思わざるを得ない。
現実にあり得る話だ。人間は過ちを犯す動物だということを法務当局は忘れちゃいけない。その謙虚さを忘れてはいけない。私はそういうことを、これを見ていて、公権力というものがいかに謙虚でなければいけないかということをこの機会に強く強くお訴えをしておきたい、こういうことを現実に犯しているんですから、この過ちを。
ですから、まず前田法務大臣のおっしゃった言葉をそのとおりに受けとめるならば、これは私は強く指摘しておかけなればいけないことでありまして、これに対する法務大臣、御感想を承りたいと思うのであります。私の話からで結構でございます。