三重野康の発言 (予算委員会)
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○三重野証人 今委員がおっしゃいましたように、ペイオフも一つの選択肢として検討いたしましたけれども、これはとらないということにいたしたわけでございますが、その理由を説明する前に、ちょっと、金融機関の破綻というものが一般の企業の破綻と違うということを申し述べたいと思います。と申しますのは、それが今の委員に対するお答えになろうかというふうに思っております。
金融システムの安定を第一に考えたわけでございますが、金融システムというのは金融機関の集まりでございまして、非常に大事な役目を果たしております。
これはもう委員御承知だと思いますけれども、金融システムの一番大きな二つの働きというのは、一つは決済機能、日本の経済取引のすべてのものは金融機関を通じて決済される。もう一つは信用仲介機能、これは金を預かって必要な先に貸すということでございまして、この二つの働きを持っておりますので、金融システムというのは経済の動脈みたいなもので非常に大事なものでございまして、これが安定が保たれて、初めて経済の発展ができるというふうに考えております。中央銀行の二つの使命の一つが金融システムの安定にあるのもそのためだと思います。
この金融システムにはもう一つ、システミックリスタというこのシステム特有のリスクがございます。これはどういうことかと申しますと、金融システムは金融機関が与信、受信で網の目のようにつながっておりますので、一つの破綻、一つの支払い不能というのが他に伝播するということがございます。
もう一つ、金融機関はバランスシートの資産と負債が非常によく似た構造を持っておりますので、どこかが一つ悪くなりますと、預金者がおれのところは大丈夫かなということで、連想によってそれがずっと波及するというものがある。これをシステミックリスクと申しますが、これはほかのところにはないわけでございまして、もし、例えば電機業界のA社が破綻しても、当然に同業のB社、C社に破綻が広がることはございませんけれども、金融機関についてはそれがあるわけでございます。
それを一番恐れたわけでございますが、確かに委員がおっしゃいますように、今度は一つの信組で、そういう伝播はないのじゃないかという説もございますけれども、現在の日本の金融システムというのは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、いわゆるバブルの後遺症である不良債権の処理に追われております。
もちろん、全体としては、このところの積極的な償却によりまして、ようやく峠を越えて、解決の方向には向かいつつありますが、やはりまだ道半ばでございまして、その上、中小金融機関には非常に多く問題を抱えて苦闘しているところもあるわけでございます。こういうデリケートなときでございますので、一つの信用組合の破綻といえども、これが伝播するおそれは十分あるというふうに見たわけでございます。
世の中には、信用組合みたいに小さいのが果たしてそういうことがあるかと言いますが、これは可能性はあると同時に実例もあるわけでございまして、これも委員御案内のとおりでございますけれども、昭和二年の三月、同じこの衆議院の予算委員会で当時の大蔵大臣が、渡辺銀行はとうとう破綻したそうだという話をしましたが、事実は、そのとき破綻していなかったわけでございますが、それを端緒として昭和の金融恐慌が起きました。この渡辺銀行というのは三千八百万円の資金量でございます。これは今に換算しますと五百五十億ぐらい、小さなことでございます。
そういうことも踏まえまして、私どもはやはりそういう可能性があると判断をいたしました。