永井哲男の発言 (規制緩和に関する特別委員会)

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○永井(哲)委員 その弊害というのも、どうも余り重要なものではないようにも思います。理論的なところからくる、こういったおそれがあるという抽象的な議論に過ぎているのではないか。
 例えば、これは最も問題、関心が高い価格という面で見ますと、出版物については、これは一九七五年を一〇〇と見た場合に、消費者物価が一八〇になっているのに対して、雑誌は一五九、書籍は一三一、これは九三年ですけれども、そういう意味では消費者物価以下の伸びでしかない、いわば物価の優等生だというふうにもうなっているわけですけれども、こういう事態を一体どういうふうに考えるのか。
 新聞について言えば、これは価格については、これも異論もあるでしょうけれども、これも例えば利益率というところから見ると、売上高営業利益率、これが製造業一般が三・三%に対して全国紙が一・一%、売上高経常利益率が製造業一般が二・六%に対して〇・六%ということで、これは競争があって非常に頑張っているということがこういうことからも言えるのではないかなというふうに思います。
 どうも、その中間報告は、原則違法だということから、再販が果たしている機能というものを余りに軽視しているのではないか。再販制度というのがもう既に四十年以上たっているわけであります。
 それでは、今現在どういうような状況になっているのか。新聞は、これは最も民主主義の発展にとって欠くことができないという意味で、知る権利にとって大きな問題ですけれども、宅配が九九%にもなり、そういった制度は国民にも支持されているということ。全国どんな離島であっても同一の価格であり、これはむしろ国民としての一体感醸成という上でも大きな役割を果たしているんではないか。世界一の発行部数というものを誇っている。そしてまた、再販のないアメリカのような地域は、地域独占紙、地域が一紙または二紙というような状況であるわけですけれども、日本の場合には、複数の新聞が対立していろいろな意見というものを国民に知らせる大きな役割を担っているということが、新聞の場合には言えるのではないか。
 出版では、これも四千社を超えるという多様な出版社が存在するということ自体、多様な意見の存在ということで大きな意味があるのではないか。また、毎年四万八千点もの新刊が発行されて、これは世界で第三位ですけれども、そういうこと。そしてまた、書籍にしても十四億冊、雑誌が約五十億冊近い。そういったものが効率よく配達され、全国の二万八千店の書店や十五万カ所の販売拠点といったものに効率よく並ぶということ自体、国民の知る権利という面から見て大きな機能を果たしている。
 こういうふうに、再販が果たしている積極的な機能というものに目をつぶって、その弊害というものを殊さら取り上げる、これは、角を矯めて牛を殺すというようなことになるのではないか、そういうふうに思います。
 そこで、原則違法だというふうに言いましたけれども、特に縦の取引制限は、横の取引制限、カルテルなどに比べて違法性というものが少ないというような意見があります。垂直的な制限行為については、経済的効率性を阻害することがないということから、競争制限的効果の存否など経済実態を勘案してその適否を判断する、そういうふうにすべきではないかという見解が有力になっているというようなこともあります。
 そしてまた、欧州委員会では、ドイツ語圏の三カ国の再販の協定というものが欧州競争法や欧州のカルテル法に矛盾しない、こういうような決定を去年の七月に出しているわけであります。これは、出版物を文化財として高く認めて、こういうような決定もしている。
 一方では、この縦の取引制限というのがそれほど、違法性といいますか、そういうものがないということも前提になっておると思うのですけれども、そういう動きについてどのように公取としてはお考えでしょうか。手短に答えてください。

発言情報

speech_id: 113404019X00419951108_024

発言者: 永井哲男

speaker_id: 23057

日付: 1995-11-08

院: 衆議院

会議名: 規制緩和に関する特別委員会