松田重三の発言 (厚生委員会)

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○松田参考人 今の先生の御質問にお答えするためには、やはり帝京大症例をエイズと認定されなかった経緯と、それから順天堂大学症例がエイズと認定された経緯を簡単に御説明した方がよろしいと存じます。
 帝京大症例につきましては、御存じのとおり、エイズを否定されたわけであります。
 特に、先ほど申しましたように、その理由といたしまして第一番目に挙げられたのがステロイド剤の使用でございます。
 私は、臨床免疫学を専門とする医者でありまして、現在までに多数のリューマチや膠原病患者を診察してまいりました。特に膠原病患者に対しては、治療のためにステロイド剤を投与するわけであります。しかも、病気をコントロールするためには、膠原病患者さんは一生涯ステロイド剤を飲み続けなくてはなりません。したがって、長期にわたり、かつ大量のステロイド剤を服用するわけであります。しかし、私の長年の経験からいいま
して、よほどのことがない限り、免疫不全症がもともとない限り、このようなステロイド剤を長期投与したとしましても、膠原病患者にいわゆる日和見感染症が発症することはごくごくまれであります。
 翻って帝京大学症例を見てみますと、短期間に、それもごく中等量と申しましょうか、そういったステロイド剤を投与しただけでこのように重篤な日和見感染症が生じるとは到底考えられないわけであります。
 したがって、ステロイド剤を投与したからエイズを否定するという合理的な理由は全く見当たりません。
 さらに、リンパ球の減少が軽度であるということも指摘されました。
 しかし、リンパ球が減っていたことは事実でありますし、また、順天堂大学症例と比べてみますと、帝京大学症例のリンパ球の何と二倍以上もある症例がいとも簡単にエイズと認定されてしまった奇妙さがあるわけであります。
 三番目といたしましては、本症例にはカリニ肺炎がなかったということが指摘されました。
 なるほど、当時使用されたCDCの診断基準には、エイズにはカリニ肺炎とカポジ肉腫が合併するということが明記されておりますが、その下の方には、真菌症でありますカンジダ症あるいはサイトメガロウイルス感染症ということがエイズの必須条件として挙げられているわけでありますが、この帝京大症例の解剖の結果、全身性のカンジダ症とサイトメガロウイルス感染症が発見されたわけでありまして、エイズを否定する材料にはならないわけであります。
 さらに、血友病B患者であるということでも否定されましたが、血友病AであれBであれ、非加熱製剤を投与し続けられた症例でありますから、エイズ発症のリスクグループであることには間違いなくて、これを否定する理由にはならないわけであります。
 したがいまして、帝京大症例をエイズと否定することには合理的な理由が見当たらないわけであります。塩川班員は、当時は研究班の班員は一流の学者が集まって医者の良心に従って帝京大症例の検討を行ったとおっしゃっていますが、以上述べたような理由から、帝京大症例をエイズとして認定しなかった理由は全く思い浮かばないわけでありまして、そういった理由から、塩川班員の医師としての良心を覆さなくてはならないような圧力がかかったのではないか、そういうふうに推察したわけであります。
 さらに、順天堂大学症例は、先ほどの塩川班員の喚問におきまして、消耗性症候群であるということを塩川班員は述べておられました。
 しかし、消耗性症候群というのは、体重が非常に減少して、かつ非常に治りにくい病気であります。当時は、エイズと診断されて、長くとも、どんなに頑張っても三年以上生きる症例はほとんどいなかったわけであります。現在も、消耗性症候群になった患者さんは、ほとんど治療法がないまま、一年以内に亡くなっていくのが現実であります。しかるに、順天堂大学症例は何と十年も生存した、これは非常に奇妙であります。
 したがって、帝京大症例を隠すために順天堂大症例をでっち上げたというようなことも考えられる。これも塩川班員の良心をどうしても曲げなければいけなかったような圧力がかかったのではないかと推察したわけであります。
 さらに、前回、参議院でも申しましたとおりに、塩川班員は、ある大学関係の有力な教授でありますが、許可をもらっていないので名前を明かすことはできませんが、その教授のところにいらっしゃって、厚生省は非常に困っている、安部先生の発言や行動に対して非常に困っているので班長をやめるように説得してほしいと頼んだそうであります。幸いにして、その有力教授は安部先生にコンタクトをせずに、塩川先生に対して、自分でやりなさいということを言ったそうでありますが、そのような奇妙な行動をなさるということも学者としての良心ということを疑わざるを得ないわけであります。
 それから、やはり有力な中央薬事審議会委員のお話、これは非常に親しくしていただいている先生でありますが、これも許可をもらっていないのでお名前を明かすことはできませんが、中央薬事審議会委員をなさっていたその先生のところに、厚生省から天下った会社の社長が直談判に来たそうであります。というのは、新薬を申請したのでありますが、いろいろな問題点がありまして、もう一度再検討するように会社に戻したそうでありますが、そこのところをどうにかしてくれという直談判があったそうであります。
 幸いにしてその薬は、幸いという言葉は語弊があるのかもしれませんが、その薬は最終的には認可されなかったと先日その中央薬事審議会の委員に確認しましたが、このような事実と研究班での帝京大症例の認定の不可思議な経過あるいは順天堂大学症例の不可思議な認定などを考慮いたしますと、やはり何か塩川班員の態度並びに研究班の進行を変更するような重大な圧力が加わったのではないかと推察したわけであります。
 以上であります。

発言情報

speech_id: 113604237X01519960514_018

発言者: 松田重三

speaker_id: 24454

日付: 1996-05-14

院: 衆議院

会議名: 厚生委員会