郡司篤晃の発言 (厚生委員会)
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○郡司証人 まず第一点、帝京大学疑似症例と言われている症例についてでありますが、この疑似症例という言葉がいつから使われたのか、私は存じ上げません。医学の上では、疑似症例というのは似て非なるものであります。
したがって、疑似症例という名前を使えば、これはエイズではないということを意味してしまいます。私たちの当時の認識は、この症例はアメリカに見るような典型的なエイズとは言えないという、そういう結論だったというふうに理解をしております。
また、スピラ博士が日本にいらっしゃったときに、みんなでこの症例について意見を聞こうという話になりまして、意見を交換しました。その当時の、そのときの状況を私はよく覚えております。彼は、残念ながら、アイ・アム・ソーリー、これはアメリカではエイズに入れるというふうに言われました。
私は、この差は結局、本質的にはエイズが確定診断ができないということにあったと理解をしております。つまり、エイズの本態がわからない。
したがって、アメリカにおいては、カポジ肉腫とかカリニ肺炎とかといった症状を中心に、そして本質的には原因不明の細胞性免疫不全という、そういった症状を中心にした概念として仮に定義をし、そしてそれに当たる症例をできるだけたくさん集めて研究しようという、そういう目的の概念設定であったということであります。
しかし、日本におきましては、この症例自身がまず大変複雑な症例であったために、かつ、日本の第一例目であると言っていいかどうかということを大変厳密に考えたために、必ずしもエイズという断定するには至らなかったということであります。
周知すべきかどうかということにつきましては、その当時のことを思い出しますと、この症例の検討の結果につきましては、委員長並びに私も同伴をいたしまして記者会見をしておりますので、十分広く認識されたというふうに私は理解をしております。
第二に、トラベノールの回収報告でありますが、これは厚生省からの文書による問い合わせに対しても私がお答えをしておりますが、これはかなり後になって私は知らされたということがまず一つございます。
それから、意味がないと申し上げたことは、若干説明をさせていただきたいと思います。
当時、私たちは、エイズの本態が何であるか、もしウイルス感染症であれば、その感染力はどのぐらいのものか、あるいはまた潜伏期間がどのぐらいなのか、発症率がどのぐらいなのか、そういった情報を一生懸命、論文やその他の中から読み取ろうとしていたわけであります。しかし、一社が製品を回収したという情報は、これらの情報に何の貢献もしないわけであります。
また、当時、論文の上で、エイズはHTLVのI型ではないかというガロの論文が出ます。これは御存じのとおり、日本で言うATLV、成人型白血病の原因となるウイルスでありますが、これは発症率が文献によって違いますが、三千分の一から数千分の一と言われているものであります。つまり、一人発症しても残りの二千九百九十九人あるいは数千人は発症しないで一生を終わるという、そういったものでありました。
当時、ある地域においては、HTLVはキャリア率が二〇%というような地域もございましたが、その血液はスクリーニングをされることなく患者に輸血をされていたわけであります。
そのようなわけで、HTLVという類似性におきまして、また、先ほど申し上げましたように、当時重要な科学的知見と考えていたものに対してこれらは何の情報をつけ加えることもないということから、私は意味がなかったというふうに判断をしたわけであります。