厚生委員会

1996-07-23 衆議院 全652発言

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会議録情報#0
平成八年七月二十三日(火曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 和田 貞夫君
   理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君
   理事 鈴木 俊一君 理事 青山 二三君
   理事 石田 祝稔君 理事 柳田  稔君
   理事 横光 克彦君 理事 荒井  聰君
      伊吹 文明君    狩野  勝君
      久野統一郎君    熊代 昭彦君
      近藤 鉄雄君    七条  明君
      田中眞紀子君    高橋 辰夫君
      竹内 黎一君    長勢 甚遠君
      堀之内久男君    持永 和見君
      保岡 興治君    渡瀬 憲明君
      赤松 正雄君    粟屋 敏信君
      大野由利子君    鴨下 一郎君
      北村 直人君    久保 哲司君
      坂口  力君    高市 早苗君
      福島  豊君    山本 孝史君
      五島正規君     田邊  誠君
      森井 忠良君    枝野 幸男君
      岩佐 恵美君    土肥 隆一君
  出席国務大臣
        厚 生 大 臣 菅  直人君
 委員外の出席者
        証     人 郡司 篤晃君
        証     人 安部  英君
        証     人 塩川 優一君
        郡司証人補佐人 井口 克彦君
        安部証人補佐人 弘中惇一郎君
        厚生委員会調査
        室長      市川  喬君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月二十三日
辞任       補欠選任
  戸井田三郎君     久野統一郎君
  根本  匠君     七条  明君
  山下 徳夫君     渡瀬 憲明君
  桝屋 敬悟君     坂口  力君
同日
辞任       補欠選任
  久野統一郎君     戸井田三郎君
  七条  明君     根本  匠君
  渡瀬 憲明君     山下 徳夫君
  坂口  力君     桝屋 敬悟君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生関係の基本施策に関する件(エイズ問題)
 厚生関係の基本施策に関する件(病原性大腸菌
 O-157による食中毒の発生状況及び対応)
     ――――◇―――――
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和田貞夫#1
○和田委員長 これより会議を開きます。
 この際、申し上げます。
 本日は、委員室での喫煙は御遠慮願いたいと存じます。
 また、報道関係者の方々にお願い申し上げます。傍聴人の方を撮影することは御遠慮願いたいと存じます。
 なお、傍聴人に申し上げたいと思います。御静粛に傍聴されるようお願いいたします。
 以上、御協力をお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
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和田貞夫#2
○和田委員長 厚生関係の基本施策に関する件の調査に関し、エイズ問題について、郡司篤晃君より証言を求めることといたします。
 この際、証言を求める前に証人に一言申し上げておきます。
 昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によって、証人に証言を求めるときには、その前に宣誓をさせなければならないことになっております。
 宣誓または証言を拒むことのできるのは、まず、証人または証人の配偶者、三親等内の血族もしくは二親等内の姻族または証人とこれらの親族関係があった者及び証人の後見人後見監督人または保佐人並びに証人を後見人後見監督人または保佐人とする者が、刑事訴追を受け、または有罪判決を受けるおそれのあるときであります。また、医師、歯科医師、助産婦、看護婦、弁護士、弁理士、公証人、宗教の職にある者またはこれらの職にあった者は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、本人が承諾した場合を除き、宣誓または証言を拒むことができることになっております。
 証人が宣誓または証言を拒むときは、その事由を示さなければならないことになっております。
 証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または十万円以下の罰金に処せられ、また、宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。
 以上のことを御承知おきください。
 次に、証人が補佐人に助言を求めることが許される場合について申し上げます。
 すなわち、証人は、宣誓及び証言の拒絶に関する事項に関し、補佐人に助言を求めることができることとなっております。
 助言は、その都度証人が委員長にその旨を申し立て、その許可が得られた後に認められるものであります。
 なお、補佐人は、みずから発言すること及びみずから証人に助言することはできないことになっております。
 次に、今回の証人喚問に関する理事会の申し合わせについて申し上げます。
 その第一は、資料についてであります。
 証人は、証言を行うに際し、資料を用いることは差し支えありませんが、委員長の許可が必要であります。また、これらの資料は、いずれも当委員会に提出していただくことになっております。
 その第二は、証人がメモをとることについてでありますが、尋問の項目程度は結構でございます。
 なお、補佐人がメモをとることは構いません。
 以上の点を御承知おきください。
 それでは、法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めることにいたします。全員起立をお願いいたします。
    〔総員起立〕
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和田貞夫#3
○和田委員長 議院証言法第五条の三の規定により尋問中の撮影は許可しないことになっておりますので、これより郡司篤晃君の証言が終了するまで、撮影は中止してください。
 それでは、郡司篤晃君、宣誓書を朗読してください。
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郡司篤晃#4
○郡司証人 
    宣 誓 書
 良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、
 又、何事もつけ加えないことを誓います
  平成八年七月二十三日
               郡司篤晃
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和田貞夫#5
○和田委員長 宣誓書に署名捺印してください。
    〔証人、宣誓書に署名捺印〕
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和田貞夫#6
○和田委員長 御着席を願います。
 これより証言を求めることといたしますが、証人の御発言は、証言を求められた範囲を超えないこと、また、御発言の際には、その都度委員長の
許可を得てなされるようお願いいたします。
 なお、こちらから質問をしているときは着席のままで結構でございますが、御発言の際には起立してください。
 委員各位に申し上げます。
 本日は、申し合わせの時間内で重要な問題について証言を求めるのでありますから、不規則発言等、議事の進行を妨げるような言動のないように特に御協力をお願いいたします。
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和田貞夫#7
○和田委員長 これより証人に対して証言を求めます。
 まず、委員長より委員会を代表して総括的にお尋ねをして、その後、委員各位の発言を願うことといたします。
 それでは、私からお尋ねいたします。
 あなたは郡司篤晃君ですか。
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郡司篤晃#8
○郡司証人 はい、そのとおりです。
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和田貞夫#9
○和田委員長 生年月日、住所、職業をお述べください。
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郡司篤晃#10
○郡司証人 生年月日は、昭和十二年七月十六日。住所は、神奈川県藤沢市辻堂一二七三号。
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和田貞夫#11
○和田委員長 職業。
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郡司篤晃#12
○郡司証人 職業は、東京大学医学部健康科学・看護学科保健管理学教室教授であります。
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和田貞夫#13
○和田委員長 それでは、お尋ねいたします。
 血液製剤の投与によるエイズ問題を今日のような深刻な状態に至らしめた主な要因のうち、あなたが生物製剤課長に在任当時かかわった次の事項についてどのように考えているのか、お尋ねいたします。
 第一に、いわゆる帝京大症例の疑似症例の判定が、当時において、逆に安全宣言的なものとして受け取られ、問題への取り組みをおくらせることになったのではないかということです。
 この症例の判定はスピラ博士によればエイズであり、また疑似症例とは、あなたを初め衆参両委員会での各参考人の答弁によっても、エイズを完全に否定したものではありません。厚生省は、エイズ研究班と共同して、帝京大症例の正確な認識とその後の一層の警戒の必要性を周知徹底すべきではなかったのですか。
 第二に、旧日本トラベノール社の非加熱製剤の自主回収の事実をエイズ研究班に報告をしなかったことです。
 あなたは、その理由を、この自主回収の事実は当時におけるエイズの医学的解明に何の意味もなかったからとしていますが、参議院において芦澤参考人は、この事実はエイズの原因を究明する上で有意義な情報であったと述べられておられます。常識的に考えれば、当時、エイズの医学的解明が進んでなかったからこそあらゆる情報を研究班に提出することが必要であったと思われますが、いかがですか。
 以上二点について、簡潔にお答えください。
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郡司篤晃#14
○郡司証人 まず第一点、帝京大学疑似症例と言われている症例についてでありますが、この疑似症例という言葉がいつから使われたのか、私は存じ上げません。医学の上では、疑似症例というのは似て非なるものであります。
 したがって、疑似症例という名前を使えば、これはエイズではないということを意味してしまいます。私たちの当時の認識は、この症例はアメリカに見るような典型的なエイズとは言えないという、そういう結論だったというふうに理解をしております。
 また、スピラ博士が日本にいらっしゃったときに、みんなでこの症例について意見を聞こうという話になりまして、意見を交換しました。その当時の、そのときの状況を私はよく覚えております。彼は、残念ながら、アイ・アム・ソーリー、これはアメリカではエイズに入れるというふうに言われました。
 私は、この差は結局、本質的にはエイズが確定診断ができないということにあったと理解をしております。つまり、エイズの本態がわからない。
 したがって、アメリカにおいては、カポジ肉腫とかカリニ肺炎とかといった症状を中心に、そして本質的には原因不明の細胞性免疫不全という、そういった症状を中心にした概念として仮に定義をし、そしてそれに当たる症例をできるだけたくさん集めて研究しようという、そういう目的の概念設定であったということであります。
 しかし、日本におきましては、この症例自身がまず大変複雑な症例であったために、かつ、日本の第一例目であると言っていいかどうかということを大変厳密に考えたために、必ずしもエイズという断定するには至らなかったということであります。
 周知すべきかどうかということにつきましては、その当時のことを思い出しますと、この症例の検討の結果につきましては、委員長並びに私も同伴をいたしまして記者会見をしておりますので、十分広く認識されたというふうに私は理解をしております。
 第二に、トラベノールの回収報告でありますが、これは厚生省からの文書による問い合わせに対しても私がお答えをしておりますが、これはかなり後になって私は知らされたということがまず一つございます。
 それから、意味がないと申し上げたことは、若干説明をさせていただきたいと思います。
 当時、私たちは、エイズの本態が何であるか、もしウイルス感染症であれば、その感染力はどのぐらいのものか、あるいはまた潜伏期間がどのぐらいなのか、発症率がどのぐらいなのか、そういった情報を一生懸命、論文やその他の中から読み取ろうとしていたわけであります。しかし、一社が製品を回収したという情報は、これらの情報に何の貢献もしないわけであります。
 また、当時、論文の上で、エイズはHTLVのI型ではないかというガロの論文が出ます。これは御存じのとおり、日本で言うATLV、成人型白血病の原因となるウイルスでありますが、これは発症率が文献によって違いますが、三千分の一から数千分の一と言われているものであります。つまり、一人発症しても残りの二千九百九十九人あるいは数千人は発症しないで一生を終わるという、そういったものでありました。
 当時、ある地域においては、HTLVはキャリア率が二〇%というような地域もございましたが、その血液はスクリーニングをされることなく患者に輸血をされていたわけであります。
 そのようなわけで、HTLVという類似性におきまして、また、先ほど申し上げましたように、当時重要な科学的知見と考えていたものに対してこれらは何の情報をつけ加えることもないということから、私は意味がなかったというふうに判断をしたわけであります。
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和田貞夫#15
○和田委員長 以上をもって、私からお尋ねすることは終わりました。
 次に、発言の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤晟一君。
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衛藤晟一#16
○衛藤(晟)委員 早速、郡司証人に質問をさせていただきたいと思います。
 エイズの危険性についての認識について、まず第一点、お尋ねいたしたいと思います。
 証人は、エイズの実態把握及び血液製剤の問題を議論するために、一九八三年、昭和五十八年六月にエイズ研究班を設置いたしました。証人がエイズ研究班を設置した時点、一九八三年の六月の時点のエイズについての認識及び一九八四年七月に生物製剤課長を交代するまでの間にその認識はどのように変化したのかについて、まずお伺いしたいと思います。
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郡司篤晃#17
○郡司証人 一九八三年六月十八日の時点という限定でございますと、恐らく、先ほども私が申し上げました「サイエンス」の二つの論文、つまりガロ及びモンタニエの論文が出た直後だと思いますので、その辺が一番新しい認識ではなかったかと思います。
 つまり、エイズがウイルス感染症である可能性が高い、しかも、それはインフルエンザやはしかやあるいはB型肝炎のように感染力のかなり強いものではなくて、かなり弱いウイルスではないかという、そういう認識だったと思います。
 一九八四年七月に離任、私は確かにしておりますが、それ以前、八四年の、正確に私は月数が今は思い出せませんが、恐らく、テレビ発表が四月だったと思いますが、論文は五月に出たと思いますが、ガロのHTLVのⅢ型という確定をしたというニュースが流れ、あるいは論文が出された時点ではないかというふうに思います。
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衛藤晟一#18
○衛藤(晟)委員 もうこの時点において、後で質問させていただきますが、この時点においては、あなたがやめる前においては、相当エイズウイルスの固定がされ、非常に危険性がはっきりわかっていた時期であるというぐあいになると思います。そして、そのことを前提として今から質問をさせていただきたいと思います。
 エイズの研究班における帝京大症例の扱い、あるいはクリオ製剤への転換、加熱製剤の緊急輸入をめぐって外部からの圧力があったのではないかと言われております。例の七月四日付のペーパー及び七月十一日付のペーパーはそれを裏づける資料であるというぐあいに言われております。
 そこで、再度、これらの中において、証人が生物製剤課に在籍していた期間中、帝京大症例の取り扱い、クリオ製剤への転換、加熱製剤の緊急輸入に関連して外部からの圧力はあったのかどうか、感じたのかどうか、説明をいただきたいと思います。
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郡司篤晃#19
○郡司証人 はっきり申し上げますが、圧力はございませんでした。
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衛藤晟一#20
○衛藤(晟)委員 どうしてもやはりそのことがつじつまが合わないわけですね。これだけの危険性を認識していながら、何も圧力がなくて何もしないという結果になったということの方が極めて不思議であります。
 それでは、これにかわる何かあったのですか。例えばお医者さん同士の争いだとか、そういうようなものをあなたは感じましたか。
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郡司篤晃#21
○郡司証人 私は感じておりませんでした。むしろ、科学的といいますか医学的な考察の結果、そのような結論になったというふうに私は受け取っております。
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衛藤晟一#22
○衛藤(晟)委員 それでは、クリオ製剤への転換についてお尋ねをいたしたいと思います。
 一九八三年当時、エイズの原因が不明であり、その感染力、発症率が低いと考えていたという御発言がございました。しかし、濃縮製剤の有用性の大きさのゆえに、エイズ研究班においてクリオ製剤への転換を否定されたようであります。
 しかしながら、エイズの重篤性については既に明らかになっており、少なくとも一部の患者についてクリオ製剤への転換は早期に可能であったというのが、多くの参考人の今までお話をいただいた認識であります。例えば大河内参考人は、「子供に使うとかそれから軽症の人に使うとか、そういうところの分に関しては恐らくうまく供給できたんじゃないかと思います。」と発言しております。風間参考人も、「小さい子供さん、新生児、小児あるいは四歳以下とか未成年の子供とかいうのがクリオの適応である、」というぐあいに発言しておられます。委員の一致した意見であったというぐあいに私は認識をいたしております。
 証人は、エイズ研究班において幼児、軽症例、新鮮例についてクリオ製剤に戻ることは必ずしもしないということが雰囲気で決まったというような発言をしておられますが、エイズのリスクについては関係者が皆認識をしているのですから、エイズ研究班のそのような結論にかかわらず、厚生省としてクリオ製剤への転換を図るべきだったというぐあいに思いますが、それについてどう考えますか。
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郡司篤晃#23
○郡司証人 いわゆるクリオ製剤への一部転換についてのお尋ねでございます。
 確かに、一九八二年の十二月だったと思いますが、アメリカのNHFから、子供、四歳以下だったと思いますが、新鮮例あるいは軽症例につきましてはクリオに戻るべきではないかというようなリコメンデーションが出ていたと記憶しております。
 また、一九八三年の春、三月だったと思いますが、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンというアメリカ東部の大変権威のある雑誌に、二つの論文と一つの意見が発表されます。それらは、濃縮製剤を使っている血友病患者さんに比べてクリオを使っている患者さんは細胞性免疫の低下が少ない、そういう論文であり、一つの意見と申し上げますのは、この際、アメリカで現実に行われております、現在行われております濃縮製剤の自己注射をやめるべきではないかという意見があったわけであります。
 日本におきましては、その八〇%の製剤が製品あるいは原料としてアメリカから輸入されているわけでありますので、もしこの意見が正しいとするならば、日本でも正しいわけでございます。したがいまして、私は、この点につきまして、まず、委員会あるいは血液製剤小委員会で議論をしていただいたつもりであります。
 その結論は、ある意味で私の認識も間違っていたというふうに思ったわけであります。つまり、私たちは、危険サイドだけを認識しておりましたが、血友病の治療の専門医たちは、濃縮製剤というのはこれまでの治療法の進歩である、そして、これが基本であって、クリオの適応はかなり限られるのだという御意見でございました。したがいまして、私は、自分の意見を修正したわけでございます。
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衛藤晟一#24
○衛藤(晟)委員 意見を修正した方がむしろおかしいと思うのですね。これだけエイズについての危険性を察知していながら、そして非常に早くからそれを、恐らく一番あなたが早くそういう資料を手にしていながら、そしてその危険性を否定できないというところまで来ていながら、何ゆえに、一部でもいい1全部転換というのは、血液行政の中において、非常にまだ当時においては問題があったと思います、確かに。しかし、一部でもいいから戻すということを何ゆえにしなかったのか。これは私は、明らかにやはり足りなかった部分だというぐあいに思います。
 むしろ、あなたも薬事法の改正が行われてきたということについての認識をちゃんとしていなかったのではないのかというぐあいに思います。スモンの反省に立って昭和五十四年の薬事法改正で新たに設けられた緊急命令、六十九条の二には、医薬品がある時点で安全性に問題があることが相当の根拠をもって判明した場合には、その時点で直ちに、科学的評価が確定するまでの間、販売の一時停止等のいわば現状凍結を図るということが、危害の発生または拡大を防止する上で必要不可欠であるという認識に立つ規定であります。
 裁判所の所見において、血友病患者のエイズについて、「ウイルスによるものとみるのが科学者の常識的見解になりつつあった。」郡司課長は、エイズの原因が血液または血液製剤を介して伝播するウイルスであるとの疑いを強めていたということをはっきり言われております。その判断がなされておるわけでございまして、国内の献血血液による濃縮製剤やクリオ製剤の自給、または加熱製剤の製造承認の促進といった代替製剤確保のための緊急措置、あるいは緊急命令の権限を行使しての非加熱製剤の販売の一時停止措置等の措置が期待されたというぐあいに裁判所でははっきりと指摘をしているところであります。
 証人は、薬害を再び発生させないという薬事法改正の趣旨を十分認識した上で、所見で指摘されたこうした措置、いわゆる国内血による濃縮製剤あるいはクリオ製剤の供給、加熱製剤の製造承認の促進等の措置に努めたというぐあいに言い切れるのかどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。
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郡司篤晃#25
○郡司証人 私は、さきに資料が厚生省から出されたりいたしまして、少しそれを見直す機会を与えられました。それを見てみますと、一九八二年の段階では、アメリカにおきましても、治療方法を変えるなということがまず専門家の間の基本的な意見でございました。また、FDAにおきましても、生物製剤基準を変える必要はないという意見でございました。また、一九八三年六月の世界血友病連盟の大会におきましても、現在の治療方
法を変えない、変える場合にはリスクとベネフィットをちゃんと比較をして変えるようにという意見だったというふうに思います。
 したがいまして、その当時、世界におきましては、この治療方法を国家権力をもって変えるという考えは存在しなかったのではないかというふうに私は理解をしております。
 また、先ほど私が触れました二つの論文と一つの意見につきましては、後日、同じ雑誌の中にたくさんの反論が載せられて医学的な議論が進められたというふうに理解をしております。
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衛藤晟一#26
○衛藤(晟)委員 あなたの今の発言の中で、やはりこの五十四年の薬事法の改正の趣旨が、私は、行政の責任者としてちゃんと理解をされていなかったのではないのかという感をどうしてもぬぐうことはできません。私は、これはやはり極めて大きな行政における問題に挙げられるというぐあいに確信をいたします。
 さらに、この血友病の患者の症状はいろいろ異なりますけれども、治療についてはさまざまな意見があったというぐあいに聞いております。厚生省はもっとイニシアチブをとって、ドクターレターとか添付文書などを通じてエイズの危険性について広く情報を提供した上で、治療方針を個々の患者、医師の判断に私はやはりゆだねるべきではなかったのかというぐあいに思います。
 エイズのこれだけの問題がある、あるいは治療についての利便性も一部あったというのであれば、それらすべてのデータを一つのものにして、そして患者さんに、あるいはお医者さんにこのことの情報提供を図って、その上で合意をされて治療をやるべきであったというように思いますけれども、このような情報提供ということが全くこの当時なされておりませんが、それについて郡司証人はどう考えますか。
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郡司篤晃#27
○郡司証人 確かに、厚生省が正式にそのような情報を提供したことはないかもしれません。しかし、その当時、エイズに関しましてはジャーナリズム等におきましても大変大きな報道が行われており、また、医学界の雑誌におきましても、エイズに関する論文は大至急載せるという、そういう原則で速報しておりました。
 したがいまして、ある意味では、素人の厚生省が情報を整理して流すということよりも、そのような専門雑誌の中でより多くの報道が行われていたということの方が現実でございまして、そのような情報の提供の必要性を感じ、あるいはそのような能力が厚生省に必ずしもなかったということだと思います。
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衛藤晟一#28
○衛藤(晟)委員 私は、多くの先生方、また参考人にお越しをいただいた方々から、一部の血友病の先生方あるいは学会等において、確かに今証人からお話しされたような治療についてのお話はございましたが、もっとちゃんと情報が開示をされて、あるいは患者さんにもそのことがちゃんと伝わっていたならば選択ができたというように思いますが、結局、患者さんにしてみると、一方的に決定されて、一方的に感染をさせられたというのが実態でございますから、これはやはり非常に大きな問題だったというように思います。
 そしてもう一点、先ほどの薬事法の改正の問題に絡みますけれども、やはり、先ほど申し上げましたように、郡司証人もこの五十四年の薬事法の改正について極めて認識が甘かったというぐあいに私は感じます。そして、それに伴って、この薬事法が改正された後も、例えば厚生大臣がこれだけの権限を発動できるようになったというようなことについて、例えばこの後証人として御発言をいただけるでありましょう安部先生、塩川先生といったエイズ研究班の関係者の方々にもそのことが十分に伝わっていたのかどうか極めて疑問に思うのですが、この点については、郡司先生、どう考えておられますか。
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郡司篤晃#29
○郡司証人 その当時、私が薬事法を隅々まで承知していたかどうかわかりませんが、今回、いろいろ資料が出てまいりましたり勉強する機会がありまして、そのような、薬事法の精神はそうなっているということはよく理解をしておるつもりであります。
 しかし、また一方で、その当時、世界じゅうの専門家の意見に反して行政が特別に権力を行使して薬剤を市場から云々するというようなことにつきましては、なかなか困難な状況であったということも御理解をいただきたいというふうに思います。
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