小野晋也の発言 (文教委員会)

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○小野委員 この点につきましては、まだ動き始めてしばらくでございますからいろいろと試行錯誤されながら取り組んでおられるものと思いますけれども、先ほど申し上げました点も、現場の教育に当たってこられた方々が語っていた声でございますので、今後の検討課題として真摯に取り組んでいただきたいと御要望を申し上げておきたいと思います。
 先ほど申しましたとおり、このいじめ問題は非常に大きな社会的な問題を投げかけております。例えば、随分以前でございますけれども、もう二
十年ぐらい前に、小学校の子供がみずから命を絶つというようなことで話題になったことがございました。あの当時、インドの方とたまたまお話しする機会があったわけでございますけれども、その方が、とてもインドじゃ考えられないことだということで、日本社会はどうなっているんだということを言われたのが今も耳に残っているのでございます。あの貧しくて、食べるものすらなくて、学校にも行けない、そんな国の子供でも自殺する人はいないのに、この豊かな国でなぜ日本の子供は自殺などをするんだろう、こういうことでございました。
 あのころに、「子どもの自殺」というタイトルで稲村さんという方が本を書いておられます。その中にこんな文章が出てきているわけです。
  今日は、事柄の深い意味において歴史上かつ
 てないほどの混迷の時代と思われる。いかなる
 目標を持ち、またいかなる未来を持ち得るかを
 人はともすると見定め得ず、まさに「喪失の時
 代」と呼ぶのがふさわしいように思う。人が
 依って立つ所以のもの、最も大切なものを喪失
 しているからである。
  喪失は、最も根源的なものの喪失というだけ
 にとどまらない。もっと具体的なあらゆる面で
 進行し、人間関係の喪失、未来の喪失はもとよ
 り、宗教、哲学、生甲斐など、万般に及んでい
 る。
  そうしたなかで、人は真の意味で依拠するも
 のがなく、深い空虚のまま、日々を物質的なも
 のや多忙でごまかそうとしているかにみえる。
 親たちのそうした雰囲気を、子どもたちは敏感
 に感じとり、明らかに強い影響を受けているよ
 うに思われる。
  自殺を考えている子どもたちは鋭く問いかけ
 る。なぜ生きねばならないのか、なぜ親のよう
 にならねばならないのか、おとなは生きる価値
 を確信しているのか、この社会は生きるに値す
 るのか、等々と。そしてまた問う。生きると
 いうことは、あくせくと競争して人を踏み倒
 し、結局はただ疲れるためだけではないのか
 と。このような文章が続いているわけでございますけれども、こういう文章に触れるときに、子供の世界で起こっているさまざまな問題は、決して子供の問題ではなくて、むしろ私たち大人の問題であり、かつ、先ほど御指摘を申し上げましたとおり、日本の社会全体としてはらんでいる問題だという認識を持ちながら取り組みを進めていかない限り、小さな部分で幾ら規制をかけてみるとか指導を行ってみるとか、こういうことだけでは恐らく解決がつかない問題だろうと考えている次第でございます。
 私も、昨年、大河内君の自殺に際しましていろいろと考えさせられるものがございました。私もこのような社会全体として受けとめるべきであるという結論に立ち至った一人でございますけれども、その結論部分として三つのことがあるような気持ちがしたわけでございます。
 それは、一つは社会の構成員、とりわけ未来社会の中心的な構成員になるべき子供たちに未来への夢とビジョンを明確に示し、さらにその目的に向けて困難に挑戦する人生姿勢のとうときことをきちんと伝授すべきことである。これが一つです。
 それから二つ目は、外見的なファッションや表面的な話題性で人が評価をされるのではなくて、人間の内なる魂から輝きが生まれて、それをお互いが認め合っていくような社会を私たちは目指すべきこと。
 それから三つ目、人々がよりよく出会い、そこに自然で健全な形で人間関係が築かれ、社会に共同体意識や連帯意識が形成されるような社会的な仕組みをつくっていくべきであること。このような志向性を持って教育現場のみならず社会全体としてこれからの日本社会を築いていく努力を欠いては、先ほど申しましたように、なかなか個々の問題の解決にも結びつきにくかろうという思いを持っている次第でございます。
 そこで、奥田文部大臣におかれましては、これまでいろいろな分野で御活躍をされながら議会生活をやってこられ、今文部大臣という立場におられるわけでございますけれども、文部大臣自身のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。

発言情報

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発言者: 小野晋也

speaker_id: 14105

日付: 1996-02-23

院: 衆議院

会議名: 文教委員会