笹木竜三の発言 (本会議)

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○笹木竜三君 私は、新進党を代表して、高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故に関する報告について質疑を行わせていただきます。
 まず最初に、二月十日早朝に発生した北海道・積丹半島国道二百二十九号線豊浜トンネル崩落事故によって二十名のとうとい生命が失われました。御冥福をお祈りいたし、御遺族に対し心からお悔やみ申し上げます。
 昨年「もんじゅ」の事故が起きましてから、我々も新進党として十二月十五日には調査団を派遣、さらに十二月十八日には科学技術委員会として派遣、調査をいたしました。我々自身もその調査において動燃から虚偽のビデオの報告を受け、非常な憤りを感じました。立地自治体の住民も、ビデオ隠し等動燃の事故後の対応には大きな不信感を抱いております。さらに、動燃の事故発生直後におけるマニュアルの不備、不徹底にも非常な不安を感じています。
 しかし、今回の事故については、単に事業者、動燃に対してのみではなく、科学技術庁に対してもその不信が向けられております。事故発生直後に科学技術庁の方が、事故の掌握がまだ十分なされてもいない段階で、「今回のは想定内の小さな事象だ」あるいは「七段階の中でゼロプラスのレベルだ」と言い張る感覚。動燃と国の対応に不安を感じた県が協定に基づき立入調査を実施すれば、それを公然と批判する体質。両方の言動ともに科学技術庁が訂正はされていますが、今回の事故では、残念ながら、実態を隠そうとばかりする動燃と科学技術庁という不信感を立地自治体の住民は持っております。
 そこで、まず総理にぜひ実行していただきたいことがあります。事故を事象と言ったり、あるいはロケット打ち上げの失敗を、事故をふぐあいと言ったり、一般社会に通じないような奇異な言葉を役所の方々が使うのをやめてほしい。少なくとも一般社会の感覚に合った言葉で一般の人に説明をするときには話していただきたいと思うが、ぜひ総理の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
 今回の中間報告、大変な御苦労であったと思います。ただ、気になるのは、マニュアルの不備や運転員の判断ミスの指摘、そういったものに対する批判は明確になされているのに比べて、科学技術庁の監督指導の責任についての分析、報告が余りに少ないことです。
 ナトリウム漏れを起こした温度検出器が検査項目に入っていないこと。あるいは、遠隔監視システム、テレビモニターがなく、ナトリウム漏れによる白煙の有無を確かめるために一々現場に行っており、判断がおくれたこと。ナトリウム漏えいの検出器の警報は中央制御室で発信する、しかし、ナトリウムの漏えい指示記録は中央制御室とは別室にあり、前兆現象を感知できなかったこと。さらに、配管の下の位置にエアダクトがあるのもナトリウムが漏れないことを前提にした設計でおかしい等々。これらはすべて安全審査体制の欠陥だと思います。
 国が安全を管理して保障する、そのことを前提に各自治体は原子力発電の立地を受け入れています。事業者のみを前面に出すのではなく、国、科学技術庁が率先して安全性の見直しを行わなければ自治体は納得できません。国の監督指導のあり方も含めて、安全性、安全検査を徹底的に見直すべきだと考えますが、科学技術庁長官のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、今回の事故後の実態把握、調査をほとんど動燃と科学技術庁に任せているのは消極的に過ぎるのではないかと思います。現在、「もんじゅ」事故に関して、科学技術庁のミスや責任について調査を行っている機関はほとんど存在しません。総理が言われるように、このような事故の場合は、国民や専門家の前にその事実を明らかにし、原因究明と徹底した安全対策に取り組むことが必要だと考えます。事業者と指導監督の主体以外の、より中立的な機関によって調査を行うべきではないでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。
 また、今回の事故発生後、福井県への連絡は事故から五十三分後、敦賀市へは六十七分後と、連絡通報が非常におくれています。特に所内連絡に時間を要し、迅速な連絡がなされなかったという反省を踏まえ、例えば一斉ファクスシステムで自動的に自治体への連絡がなされるよう強力に指導すべきだと思いますが、科学技術庁長官の御意見をお聞かせください。
 さて、今日のこの「もんじゅ」の事故が起きた後、総合エネルギー調査会あるいは原子力安全委員会の委員を務めたある学識経験者が次のように述べています。「今回の事故による計画のおくれと新増設のペースダウンで、二〇一〇年には原子力による電力が設備容量で計画より二千万キロワット程度足りなくなるのではないか」、このように懸念を持っておられる方は決して少なくありません。
 また一方、立地自治体では「地域振興とは関係がない。徹底した安全性の見直しと情報公開、さらに原子力政策への国民の合意、これが得られなければ「もんじゅ」は凍結」と明言しています。今回の事故は高速増殖炉路線にどのような影響を与えるとお考えになるか、総理と科学技術庁長官の、御意見をお伺いしたいと思います。
 さてここで、高速増殖炉、FBR政策についての総理の御認識をお尋ねいたします。
 現在は世界のウランの価格は安定しており、プルトニウム価格の四分の一から八分の一と見積もられてもいます。また、ロシアの核兵器解体によるウランを買い付けすることも可能になっております。さらに、埋蔵ウランの採掘可能量も、コストや技術を高めていけば、投入を高めていけば、まだまだ増加するとも言われております。このような現状から、プルトニウムの商業化よりもずっと安い費用で、例えば五十年分のウラン燃料を確保できるという試算もあります。
 また一方では、二十一世紀はプルトニウム余剰の時代とも言われて、フランスのFBRスーパーフェニックスも、増殖というよりも今では廃棄物燃焼あるいはプルトニウムの消費を効率よく行う炉として活用しようともしています。
 以上のような事情から、資源の少ない我が国のエネルギー安全保障は、FBR路線よりも、次世代エネルギーまでのつなぎとして低濃縮ウランの備蓄の方がより合理的ではないかという意見もあります。FBR推進路線についての意味をどう訴えていくおつもりなのか、ぜひ首相の御意見をお聞かせいただきたいと思います。次に、通産大臣に御質問いたします。
 FBRは二〇三〇年までに実用炉を目指すとあります。商業炉となれば、所管は資源エネルギー庁、通産省となります。今回の事故と中間報告を経た今、実用炉、商業炉計画に変更はあるのかないのか、これは二〇三〇年ぐらいのことを想定してですけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、平成六年の原子力長期計画には、高速増殖炉実用炉の経済性は軽水炉並みになる、高速増殖炉は実用炉の場合に軽水炉並みの建設費を達成していくと述べられています。それが本当に二〇三〇年までに達成可能と認識されているのかどうか、通産大臣、お答えいただきたいと思います。
 さらに、さきに述べた軽水炉並みの経済性あるいは軽水炉並みの建設費、これを、高速増殖炉を実用炉、商業炉としていく条件と考えてよろしいのでしょうか、通産大臣のお答えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、原子力の長期計画に関して質問さしていただきます。
 かつて新型転換炉は、日本独自の炉型として原子力開発当初から開発が目指されてきたもので、天然ウラン、濃縮ウラン、プルトニウムのどれでも利用できる、高速増殖炉開発までのつなぎの原子炉と位置づけられていました。平成六年六月二十四日の原子力長期計画では、「新型転換炉による核燃料リサイクルを継続することによりMOX燃料の利用について国内外の理解と信頼を深めることは、将来の高速増殖炉による本格的なリサイクルを実現する上で重要です。」あるいは実証炉については「二〇〇〇年代初頭の運転開始を目標に建設計画を進めていきます。」と、この長期計画の中で建設推進をうたっています。
 しかしながら、そのわずか一年二カ月後の平成七年八月二十五日には計画の撤回。電気事業連合会は、建設費、運転費ともに軽水炉の三倍になり、経済性に見通しが得られないとの理由から、新型転換炉実証炉計画を見直すよう七月に申し入れを行い、原子力委員会は建設断念を決定しております。
 みずからの計画策定のわずか一年二カ月後の断念、余りにも唐突と言わざるを得ません。計画断念までに投入した資金が約三千億円、国の予算だけでも二千億円が費やされています。そして何よりも問題なのは、この多額の国費を投じたプロジェクトの中止が国会のいかなる検討を経ることもなく行われていることです。原子力長期計画のあり方、原子力委員会の位置づけについては疑問を持たないではおれません。
 また、今回の事故をきっかけとして、立地自治体では、国策としてのエネルギー政策にもっと国民的な合意を得る努力をしていただきたいという要求が強まっております。原子力委員会の人選が若干偏っているのではないか、あるいは審議があるとはいっても最初からシナリオができている等の問題が指摘されることもあります。原子力委員会の審議をもとにして、より広範な議論を起こし、それを踏まえて原子力長期計画を決定していくべきだと考えます。それがまた立地自治体の望みにもかなうことだと考えます。
 以上のことから、首相にまず、原子力長期計画さらにエネルギー需給長期計画は国会の承認を得るべきだと思うが、ぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、かつてのATRあるいは現在のFBR、「もんじゅ」、さらに、これから科学技術振興の予算は増額がされていくと思いますが、大規模な科学技術の振興プロジェクトについては、国会の中に評価機関を設置することが必要ではないかと考えます。国策の基本、エネルギー政策を国会の中でもっと明確に位置づけることがどうしても必要だと考えるものです。総理には、与党第一党の党首として、ぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、一日も早く原因の究明がなされ、徹底した情報公開が速いスピードで進むことを願いまして、私の質疑とさせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕

発言情報

speech_id: 113605254X00719960220_007

発言者: 笹木竜三

speaker_id: 27370

日付: 1996-02-20

院: 衆議院

会議名: 本会議