永井孝信の発言 (本会議)

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○国務大臣(永井孝信君) まず最初に、最近の労働災害の現状及び傾向についてのお尋ねでありますが、労働災害は長期的には減少傾向にあるものの、平成六年にはなお年間約十七万六千人が被災しており、また、死亡災害は平成七年二千三百四十五人と二年連続して増加をしております。
 特に、死亡災害の約四割を占めている建設業については、平成二年以来連続して減少してきたところでありますが、平成七年は増加に転じ、千十八人が死亡をするに至っているわけであります。また、交通事故による死亡者数も死亡災害の約三割を占めるに至っておりまして、平成七年は六百七十八人と、前年に比べ二十一人増加しております。このように、労働災害の発生状況は今後とも予断を許さない状況にあります。
 過労死の請求件数の推移、認定状況についてのお尋ねでありますが、請求件数につきましては、平成四年度から平成六年度までで見ますと、約三百五十件で推移をいたしております。また、認定件数につきましては、平成四年度から平成六年度までの平均で見ますとおおむね三十件でありましたが、平成七年度におきましては、認定基準を緩和したこともありまして、これまでの認定件数を大幅に上回る七十六件という状況にあります。
 労災保険給付の審査体制等についてのお尋ねでが、平成七年度における労災保険給付の審査体制については、第一審として、都道府県労働基準局に九十三名の労災保険審査官を配置しているところであります。また、第二審として、労働保険審査会に委員六名を配置しているところであります。
 平成六年度における審査請求の新規請求件数は約九百五十件であり、再審査請求件数は約三百件となっております。これらの処理に要した期間は、審査請求においては約一年一カ月であり、再審査請求においては約二年九カ月となっております。年度末の未処理件数は、平成六年度末では、審査請求が約八百二十件、再審査請求が約七百件となっております。これらの事案の処理に当たっては、審査請求制度の趣旨を踏まえて、一段と迅速な処理が必要であると認識をいたしております。
 過労死の認定基準についてでありますが、現行の認定基準につきましては、最新の医学的知見を踏まえ、昨年二月と本年一月にその見直しを行ったところであり、この認定基準に基づき適正な労災認定に努めているところであります。労働省といたしましては、今後とも医学研究の動向を見守り、新たな医学的知見が得られました場合には認定基準の見直しを行うなど、適切に対応してまいる所存でございます。
 精神的な疾患を労働災害と認めるべきだとのお尋ねでありますが、精神障害についても、他の傷病等と同様、業務との相当因果関係が認められる場合には、従来から業務上疾病として取り扱っているところであります。
 新しい勤務形態等のもとでの労働災害についてのお尋ねでありますが、労災保険給付の認定は、労働者の勤務や傷病の実態とその変化等を十分踏まえ、個々の事案ごとに、被災労働者の保護に欠けることのないよう適正かつ迅速に行っているところであり、新しい勤務形態や労働契約のもとで働く労働者についても同様に対応しているところであります。
 因果関係についての立証が困難な場合における行政の対応についてのお尋ねでありますが、被災労働者等が労災保険給付請求を行うに当たっては、雇用関係や傷病の発生状況等の基本的な事項についての申し出があれば、医学的事項等の複雑な問題については労働基準監督署において必要な調査を行い、因果関係の判断を行っているところであり、今後とも、労災保険の認定について被災労働者等の保護に欠けることのないよう努めてまいる所存であります。
 今回の法律改正に係る予算上、定員上の措置等についてのお尋ねでありますが、定員事情の大変厳しい中、労災保険審査官については二十七名の増員、労働保険審査会については非常勤三名の増員を行って審査体制の整備充実を図ることとしているところであり、このために必要な経費等を予算案に計上しているところであります。このような審査体制の充実に加えて、事務処理の抜本的な見直しによる簡素合理化等を進めることにより、従来よりも一層効率的な処理に努め、滞留事案の早急な解消と処理期間の大幅な短縮に努めてまいる所存であります。
 最近の労働災害の現状を踏まえた方策についてのお尋ねでありますが、労働省では、最近、死亡災害が増加傾向にあることにかんがみ、建設業の死亡災害の中で最近増加している木造家屋建築工事等における労働災害防止対策の強化、また交通労働災害防止のためのガイドラインに基づく適正な労働時間管理、教育の実施等の対策の充実強化などを重点的に行うこととしているところであります。また、平成七年度に、中小企業集団に対する助成制度を拡充し、中小企業における労働災害防止活動の促進を図っているところであります。今後とも、労働災害の状況を踏まえた適切な防止対策の充実に努めてまいる所存であります。
 職場の安全管理等についてのお尋ねでありますが、労働省においては、平成五年度を初年度とする第八次の労働災害防止計画に基づき、安全衛生教育の徹底及び安全衛生管理活動の促進、また心身の健康保持増進対策の推進及び快適な職場環境の形成の促進を図っていくこととしております。さらに、長時間労働による疲労等を要因とする労働災害を防止する観点からも、一つは完全週休二日制の普及拡大、二つには年次有給休暇の取得の促進、三つには所定外労働の削減、とりわけサービス労働の絶滅を期して、これからも行政を推進労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案してまいる所存であります。
 また、新しい労働形態における事故防止対策についてのお尋ねでありますが、例えば御指摘の在宅勤務者については、VDT作業による目、手腕等の疲労や腰痛の発生が考えられますことから、VDT作業のための労働衛生上の指針や職場における腰痛予防対策指針に基づき、今後とも関係事業者に対する指導に努めてまいる所存であります。
 最後に、労災保険財政の現状と将来の見通しについてのお尋ねであります。
 労災保険財政の状況を平成六年度の決算で見ますと、収入総額は前年度より〇・六%増の一兆八千七百五十八億円であり、他方、支出総額は前年度より二%増の一兆二千五百五十六億円であります。この収支差である約六千二百億円につきましては、年金受給者の将来にわたる給付の原資として積立金に繰り入れているところであり、積立金の額は平成六年度末におきまして四兆五千五百六億円となっております。このように労災保険財政は基本的に安定した状況にありますが、今後とも、景気の変動や労働災害の動向を踏まえつつ、引き続き健全な運営に努めてまいる所存であります。(拍手)

発言情報

speech_id: 113605254X01619960411_024

発言者: 永井孝信

speaker_id: 3197

日付: 1996-04-11

院: 衆議院

会議名: 本会議