五十嵐ふみひこの発言 (本会議)

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○五十嵐ふみひこ君 私は、自由民主党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけを代表して、平成八年度予算三案並びに与党三会派共同修正案に対し、賛成の討論を行います。(拍手)
 この予算案は、長期にわたる深刻な低迷からようやく脱出しようとしている景気を確実な回復軌道に乗せるため、欠かすことのできない極めて重要な予算案です。のみならず、二十一世紀を展望した新たな経済構造を構築するため、変革への大きな第一歩を画する予算案でもあります。
 いずれの側面から見ても、このたびの予算審議では、住宅金融専門会社いわゆる住専の不良債権処理問題が焦点とならざるを得ませんでした。
 私は、住専問題処理に充当された六千八百五十億円の予算支出が多くの国民の方々から大変厳しい御批判をいただいている事実を率直に認めざるを得ません。また、納税者に負担をお願いせざるを得なくなるまでに至った責任については、政治がその最大の責めを負うべきであり、政治家の一人として強く胸の痛みを感じています。
 しかしながら、現行法制下において、この問題から逃げることなく、先送りもせず、正面から早期解決を図ろうとしたとき、今回の処理方式はやむを得ないものと判断をいたしました。(拍手)何よりも景気の回復を図り、金融システムの崩壊を防ぐために、政治的な利害得失のマイナスを承知の上で政治的信条に従ったものであります。
 新進党は、当初、委員会審議の中で、その有力議員何名かの方が、会社更生法と破産法を並列した法的処理を主張されました。後に、これは住専処理の対案ではなく、金融機関破綻処理の一般原則にいつの間にか変化をしてしまいました。しかし、いずれにせよ、住専処理案としての法的処理案は、政府・与党として既に十分に検討したところであります。
 まず、会社更生法は関係当事者の同意が得られません。破産法適用については、これによって多大な不利益をこうむる農林系金融機関が、政府、母体行を相手取って訴訟を提起し、泥沼の訴訟合戦に発展することが予測されます。系統金融機関には、系統資金の住専からの引き揚げを大蔵省と母体行によって阻まれた経緯が過去にあるからです。
 つまるところ、法的処理といっても、関係当事者間の合意がなければ事態の前進は図れず、合意のすき間を強制的に埋めるすべは見当たりません。というより、住専のケースでは、法的処理は、複合的な責任問題の解決から政治が手を引き、裁判所に政治的解決を要求する無責任な手段にほかなりません。(拍手)
 また、日本共産党が主張される母体行による六千八百五十億円負担増も、法的に強制する手段がなく、処理スキームの対案足り得ません。
 私は、バブル経済の発生とバブル破綻後の激しい経済混乱の要因が、我が国経済システムの欠陥、とりわけ時代おくれの金融システム自体にあると考えます。日本の金融は、土地神話に寄りかかった運営によって、審査能力、リスク管理能力を劣後させ、デリバティブなど金融技術の高度化やリストラを怠り、国際競争力を失ってきました。それは、護送船団方式による官・業もたれ合いという明治以来のシステムがもたらしたものです。
 私は、今、非常な危機感を感じています。現代の金融危機は静かな資金シフトの形で進行します。現に起こっている郵便貯金への資金シフトは中小金融機関の体力を着実に弱めつつあり、これら中小金融機関の弱体化は新しい企業や産業の支援育成に痛烈な打撃を与えます。
 また、日本発世界金融恐慌の不安がジャパン・プレミアムを生み、日本国民に目に見えぬ大損失を与えています。この問題に野党も与党もありません。一日も早く自己責任原則を確立した国際的に通用する新たな金融システムを構築し、信用不安を取り除かねばなりません。このため、今回の公的資金投入については、猶予の許されない非常緊急の措置として、やむを得ぬ決断であったと考えます。(拍手)
 一方、公的資金を投入した以上は、過去の失政や個々の刑事・民事上の責任を厳しく追及することは当然のことです。関連法案によって新設する住専処理機構が厳しく債権取り立てを行い、国民負担を極力圧縮するのはもちろんのこと、国会においても特別委員会を設置して厳格な監視と追及を行っていかなければなりません。金融行政のあり方、農林系金融機関の改革など、既存システム全体の見直しについても与野党を超えて取り組むべきであろうと思います。
 住専問題を契機に明るみに出された政治と行政組織との間の仕切りの問題、言いかえれば政策決定の責任の明確化についても改めて真っ正面から問い直す必要があります。公務員の天下り問題やモラルの確立の課題、公務員制度全般の再検討まで迫られて当然であります。与党三党は、これらの諸課題に積極的に取り組むことで合意し、既に解決に向けた概略的方針を確認し合ったところであります。
 その中では、国民の皆様の不満に配慮し、金融機関と農協系統に対し、今後、一次損失分の財政支出に相当する新たな寄与を求めることとしました。処理スキームは変更不可能ではあるが、結果として国民の皆様に負担をかけないで済むよう、あらゆる手だてを講じようというものです。
 ただし、付言させていただくならば、もともし六千八百五十億円の支出は新たな増税によるものでなく、景気回復の足を引っ張っている住専問題に解決のめどが立ち、景気回復が本格化すれば、法人税の増加という形で取り戻せるものであります。国民一人一人から五千五百円を新たに取り立てるかのような誤解を振りまくことは、政策判断の問題に別次元の要素を持ち込むことになります。
 なお、審議の過程で、一部野党による物理的な審議妨害が継続して行われたことは、議会制民主主義の原則を踏みにじる極めて遺憾な行為であり、どのような理由があろうと許されません。(拍手)国民の素朴な怒りに便乗し、党略に利用するのは、かつて国家社会主義者が権力奪取に用いた手段であります。冷静な政策判断の場を情緒によって曇らせることは危険であり、強く反省を求めます。(拍手、発言する者あり)
 このほか、本予算案に賛成する主な理由を簡潔に申し述べます。(発言する者あり)

発言情報

speech_id: 113605254X01619960411_048

発言者: 五十嵐ふみひこ

speaker_id: 2376

日付: 1996-04-11

院: 衆議院

会議名: 本会議